参考文献(関連事例)は調べて並べて終わり、では片手落ち

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(システム移行中に書いた記事の再掲。そろそろ安定してるのかな〜)


卒業論文だけではなく酷いケースだと修士論文でも目の当たりにする事がある話。関連事例を「こんなのがあります。こういうのもあります。」のように列挙するだけして、自身の研究テーマと全く紐付けが為されていない論文が稀によくあります。もっと酷い場合には自身の話すら脈絡ない話がいくつか並んでて全くストーリーが分からないものもあったりしますが、今回は「関連事例」の話です。

何かしら初めて研究をやるといった「これまでやったことがないことについて事例調査する」という場合には、どこから足を踏み出せば良いのか自体に迷ってしまうこともあるでしょう。このあたりの話は振り返りサマリ(地図)制作のススメにも「自分なりの地図」を作ろうという視点で書いたつもりですが、ちょっと言葉足らずか。ということで別の言葉で補足をしてみることに。

一般的には「論文(文献)」にはその著者の目指している未来があり、そこへ導くためのストーリーが描かれているはずです。もし、その論文を読んでも未来像(目標)が想像できないのなら、それは何も論じていないに等しいです。論文とは、学問の研究成果などのあるテーマについて論理的な手法で書き記した文章なはずですから。ということで、論文にはストーリーがあります。ただの物語と違うのは、原則として事実に基づいて論じているという点です。

論文にはストーリーがあるならば、それらを構成する要素があれこれあるはずです。物語なら時代背景・場所・人物・組織・小道具・演出などなど多種多様な要素を挙げることができますが、論文でも当然何かしら「要素」があります。抽象的に大別すると「問題・仮説・結果・考察」とかになりますが、各々を構成する要素がまたあるわけで、具体化するレベルに応じて様々な要素が関連し合いながら存在しているはずです。

ストーリーを要素群やそれらの関係性に分解できたならば、それらを鳥の眼や虫の眼で眺めてみよう。もしくは要素や関係性を別のものに入れ替えてみたらどうなるか、妄想してみよう。完全にゼロから生み出される新規なアイデアなんてありません。折角読むのだから、そこから発想を広げて新しいストーリーを構築できないか想像を膨らませてみよう。たかだか一つ二つの思いつきでうまくいくとは限りません。(うまくいく人は余程の天才か、運の良かった人)。

抽象的すぎて良く分からないよ!というなら、例えば次のようなことを考えてみよう。あくまでも例で、他にもいろいろ考える余地はあるでしょう。そうやって視点を広げて考えるという癖をつけておくと、ある時想像もしてなかった事柄が繋がって面白いアイデアに昇華できる。かもしれません。

・その一部を拡張することでシステムの目標達成力を改善・強化することはできるか。
・構成要素間は独立したパーツなのか従属したパーツなのか。
 ・独立しているならそれらを同時に扱うパーツを導入することで改善できないか。
 ・従属しているならその関係性を改善する方法は考えられないか。
・何かを作用するということは必ずデメリットもある。どのようなデメリットがあるか。
・メリット・デメリットを発展させるならどうなるか。
 ・メリットをより拡張することは可能か。
 ・デメリットを打ち消すもしくは和らげることは可能か。
 ・別手段で同等or同質のメリットを実現できないか。
・この事例を飛躍させるとどういう世界になるか。
 ・該当事例の出版年が古い場合、今の社会情勢でも外的要因を考慮すること無く対応できるシステムになっているか。
 ・もし塾考が必要な要因変化があるならばそれは何か。その要因をどうする(拡張する/縮小する)と良いか。
・その世界は望んでいる幸せな状況か。
・その世界においてどういうシステムがあると更に幸せになるか。

タイトルに戻ると、ただ読むだけではなくて目的に応じて可能性を上げるための一工夫を加えよう、という話ね。