IPSJ78, day2

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おやつ! pic.twitter.com/K6lex90Fwt

— Naruaki TOMA (@naltoma) March 11, 2016

ホテルの具合が何か変なのか2日続けて熟睡できず。特に昨晩は途中で何度起きたかわからないぐらい眠りが浅かった。Sleep Meisterによると普段は97~98%ぐらいの睡眠効率が、昨晩は88.7%。ついでにホテルのデフォルト設定なのか、前の客が設定してたのが残ってるのか、テレビのONタイマーが6:50に勝手に動作し始めて起こされるし。おじさん的にはちゃんと寝ないと回復しないぞ。

2日目は特にうちの学生発表はないので自由行動。一応一般セッションは予稿集があるからということで、個人的にはイベント物で面白そうなのがあればそちらを優先するようにしてます。今回はイベント会場が日吉キャンパスと矢上キャンパスとに分かれていて、、、と勘違いしてたんですが、実は矢上キャンパスで完結してたらしい。会場間違ってしまって午後は開始ギリギリ到着になったので既に満席。5時までずっと立ち見してました。辛い。午後は写真+概要メモのみです。

学生の方も自由行動取れることをいいことに、面白そうな発表や企業展示ブースを覗いて楽しめてたようです。発表は刺激になるものばかりだし、展示ブースも下手な企業説明会より面白いしね。

<概要&メモ>



[ 知のコンピューティング,次の一手 ]
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午前中に参加したのは知のコンピューティング,次の一手。「人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築」についてCREST関係者らの講演後にパネル討論という流れでした。中身はは SSH (Social Science and Humanities, 人文社会科学) と ELSI (Ethical, Legal, and Social Issues, 倫理的・法的・社会的課題) への取り組みが大切で、具体的にあれこれやってるよ紹介に加え、教育(e.g., シラバスに盛り込む)を通してこういう人材増やしていくのが大切じゃないかという話。一例として、技術者がある医者からの依頼で仕様策定・開発・納入したシステムが、医者以外のスタッフや患者からは使いにくいシステムになってしまうという話が。実社会で受容されるにはマルチステークホルダーの存在を踏まえたアプローチが必要で、理系・工学系の人はここが弱すぎる傾向があるのでは?というお話。

あと初耳の話として「人工意識をモジュール化しよう」というARAYA BRAIN IMAGINGの金井先生の話が面白かった。統合情報理論に基づき「ある種の情報構造の状態」を算出することが理論的には可能(現実的にはシステムの要素数?だかに依存して小規模じゃないと結構なタスクになるらしい)で、その算出した「ある種の情報構造の状態=意識」と仮定するらしい。実際の意識が観測困難なために証明は恐らくできないだろうが、そこは問題ではなく、例えば意識の有無に関する動物実験等で良質な問題設定がでてきてるので、それを利用する形で代替出来るんじゃないかとか。



[ 知のコンピューティング,次の一手 ] 各講演メモ

知のコンピューティング,次の一手

講演(1) 知のコンピューティング・グランドデザイン、岩野 和生 (科学技術振興機構 上席フェロー)

シンクタンクとして提言策定
知のコンピューティング
 情報の半減期:1000年とか続く知はごくわずか。
  ビッグデータとか情報爆発とか言われるが数百年〜1千年続くものは何か。
   知識を生産しても世の中で意味が無い?
   ITの社会適用をどう考えるか?
   新たな社会サービスの形?
    e.g., 状況を把握して、選択肢とリスクを提示->新たな決断ができるように。
     適切な選択肢とは?そのための叡智とは?
     人がやってる優れた決断はどのように形成されているか?
グランドデザイン
 知のアクチュエーション
  叡智をどう取り出し、社会に影響を及ぼしていくのか
 reality 2.0

講演(2) 倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を考慮した人間と機械のハーモニアスなシステムとは ーCREST「人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築」第2期の狙いー、萩田 紀博 (国際電気通信基礎技術研究所 所長)

人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築
 キーボーで付き合う時代から、より密接に自然に接する時代へ
  プライバシー->インテリジェントなシステム?
  ハーモニアスなコラボレーション
   e.g., 場の状況と話の流れに応じた対話の実現(言語、認知科学、ロボティクス、、、)
    3層構造?
     情報・状況を把握する層
     ELSI(えるしぃ)を考慮した合意形成->ミドルウェア
     社会へ影響を与える層
Call 1
Call 2 (H27)
 合意形成支援システム
 人工意識モジュール?
Call 3 (H28) 公募予定

講演(3) エージェント技術に基づく大規模合意形成支援システムの創成、伊藤 孝行 (名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授)

コレクティブインテリジェンスの促進
 マルチエージェントシステム
  e.g., 合意形成をどう管理するか
   公共の合意形成、イノベーションの合意形成、対立のある合意形成、継続的な合意形成

名古屋市のパブリックコメント
 COLLAGREE
  センチメント分析、ファシリテーション支援、タグクラウド
  議論ツリー->納得感を持ちながら合意形成に繋がる? by 日本ファシリテーション協会
  ポイントによるインセンティブ導入(発散シーン・収束シーン)
  -> 将来構想:議論構造把握だけではなく、シミュレーションの導入へ

会場Q: 望ましい合意、よりよい合意という話があったが、どういう基準で評価する?
 A: 基準を評価する基準自体が必要。
  公共政策形成の例だと「多くの意見を発言している」「状況を理解した上で発言している」とか。

講演(4) 神経科学の公理的計算論と工学の構成論の融合による人工意識の構築とその実生活空間への実装、金井 良太 (株式会社アラヤ・ブレイン・イメージング 人工意識開発部門 代表取締役)

物理現象でしか無い脳活動が「赤を見る」とか主観的な感覚は、どう生み出されるのか?
主観的な感覚が、いかにして物質である脳から生まれるのか?
 意識と相関する脳活動
  意識に情報が登る活動無意識の活動: 違いは何?
   意味とは?理解とは?人工知能は意味を理解できるのか?

人工意識プロジェクト
 統合情報理論(IIT)
  公理系に基づく理論: 公理系から始める意識学
   意識は直接観測できないが、それ自体は問題ではない。
   動物実験等で代替に相当しうる実験設定も生み出されつつある。
  内側から見た情報を扱う(情報の内側外側?)
  「ある種の情報構造の状態=意識」と仮定(合ってるかどうかは分からない、恐らく証明は無理)

会場Q: 人の場合には情動が不可欠。
 家に意識を持たせる意識というのは、何かしら判断の主体になるような意識?
 A: 感情は今のところは直接実装することは考えていない。
  ただし何らかのフィードバックがそう感じられることはあるかもしれない。
  ビッグデータを必要とせず、仮説生成に基づき必要な情報取得を促すシステム。

講演(5) 記号創発ロボティクスによる人間機械コラボレーション基盤の創成、長井 隆行 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授)

記号創発ロボティクス
 ロボットで社会を作りたい:フィジカルに行動しながら概念獲得、言語獲得、、、

理解とは何か?
 理解:概念を通した未観測情報の予測
 意味:予測した内容
 概念:経験(マルチモーダルデータ)のカテゴリ分布によって形成される
 -> 希望設置問題:計算モデルの構築

長期実験
 数時間*1ヶ月:100時間以上
  今やってるのは名詞のみ:ローカルな概念、精度7割程度
  より長期へ
   動詞(動作)も対象へ。モデルとしては組み込み済み。
    スマートハウスでの例(notロボット):精度約7割。

会場Q: マルチモーダルにしてることの効果は?
 A: 画像分類、音素分類とかの個々の分類ではうまくいかないというのはある。
  ぬいぐるみの中に鈴が入ってるものとか。
  認識だけではなく、モダリティを超えて何かを予測できるということが重要。
  モダリティ間の共起をどう表現するか。

講演(6) 「知の創造とアクチュエーション」ワークショップ、茂木 強 (科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)

パネル討論 新しい技術の社会受容に向けた課題に研究者はいかに立ち向かうべきか


今何が必要なのか、何故必要なのか、それをどうやるのか

ITの観点じゃない問題意識 by 小林先生
 期待されるELCIについて: challenge to ELSI

Collective Visual Sensing (集合視) to understand group activities by 佐藤先生
 クローズスペースにおけるシナリオ: 特定目的のために合意を得ることは難しくない
 オープンスペースにおけるシナリオ: ???

社会に受容されつつ、社会が変わるには? by 土井先生
 マルチステークホルダーの存在
  技術者はアプローチが足りてない?

どうしてELSIが必要か->ELSIをどれぐらい先進的・挑戦的に取り上げているか by 萩田先生
 若手を育てる、シラバスにELSIの必要性を組み込む
  理系・情報系の人はここが弱い?

討論
 社会需要
 マルチステークホルダー

会場Q: 投票、民主主義がどうなのか。投票システムでさえ1970年代で民主主義とは言えないとの主張。
 しかたなく受け入れている。なので法律もその形になる。
 A: 民主主義のあり方はさておき。
  「政治的な争点には必ず回答がある」と主張している人がいる。理系的な発想。
  正解があってそれを求めるというものとしては考えていない。
  民主主義は失敗を受け入れるためのシステムとして見ている。

会場Q: 社会システムの受容性をどう確立するかというところに興味がある。
 コラボレーションに積極的に参加する人は良いが、残りの大多数な消極的な人たち。

次の一手
 萩田:ICTに頼る必要はない。
  個々の宗教をどう広げるか、長くかかるかもしれないが長く残る。
  科学技術は急ぎすぎているかもしれない。
  少なくともハーモニアスな取り組みが必要。
 佐藤:開発からシミュレーションのサイクルを早く回す。
 土井:家族に聞くなりして、需要供給・必要性なりをもう一歩踏み込んで書いて頂く。
  相手がどういう思考で考えているかを知る。
 小林:ELSI by Design。表面的なデザイン。出口の一つの形。
 岩野:社会的責任を強く意識して夢を描く必要性。
  社会受容性、社会全体のITに対する受容性を高める必要性。数学+コンピュータサイエンス。
  SSH, ELSIを様々なファンディングなり、組み込まれた形の提案。



[ 超スマート社会の実現に向けて ]
午後1は基調講演の超スマート社会の実現に向けてに参加。したんですが、個人的には期待はずれ。延々と文科省・総務省やら国レベルの製作としてどういう歴史があるのかという話が続いて、予算削減・選択と集中、他国と較べて論文数の低下、とか「超スマート社会の実現に向けて」というタイトルどこいったの?と突っ込みたくなる話だけで終わったように感じました。(途中で飽きたので聞き逃してるだけかも)

[ Deep LearningとこれからのAI研究 ]
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続けてDeep LearningとこれからのAI研究という深層学習なイベント。どちらかというとこちらの講演を聞きたくて参加してました。深層学習の概要や位置づけについては人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)と同じ。それに加えて最新事例を紹介しつつ、何ができててどこがまだなのかをコメントするという流れで多数の事例が出てきました。画像認識は人間超えた(あるデータセットで人間正答率95%程度(人間でも間違える)のものに対し、96だか97だか数値忘れましたが95%は超えたらしい。

あと、DQNとかの教科学習と組み合わせてゲームをとかす事例は、結果だけを見ると昔から実現できてる内容だけれども、昔は人間が特徴作ってあれこれ設定した上で学習する形だったのが、深層学習+教科学習では「画像を入力するだけ(どのアイコンが何を意味するかとかの教師データは全く与えない)」で試行錯誤に伴う報酬獲得を通してゲームを解くところが面白いという話。まだ反射神経だけで解けるゲームが主体で、パズルとかは無理なんだけど。

特にびっくりした事例は「自然文を入力すると、それらしい画像を生成する事例」がでてきてる件。松尾先生自身が一つの解釈として話してくれたことですが、これって「人の話を聞いて、それが意味するところをイメージできてる」ってことにかなり近い。実際に理解出来てるかは別問題だけど、十分その取っ掛かりにはなってるように思います。



[ 実社会ビッグデータ利活用のためのデータ統合・解析技術の研究開発 ]
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最後に参加したのは実社会ビッグデータ利活用のためのデータ統合・解析技術の研究開発という講演。データ統合で指すところのデータは多種多様で、Twitter/SNSみたいなWebデータ(半構造データ、非構造化データ)、ドライブレコーダとかの実センサデータ、国県市町村らで出してるLoDやそうではないドキュメント、それらのデータから推測したデータなどのメタデータ、等々と幅広く「なんでも」を想定してるらしい。それらを同一手段でアクセス・利用できるためのプラットフォーム構築するレイヤー、それを通してデータ収集・分析するレイヤー、分析結果を可視化するレイヤー、全体を統合して使いやすいUIを提供するサービスレイヤー、ぐらいのタスクを多数の組織で連携開発してるよというお話。プロジェクト終了後にはオープンソースだかオープンサービスだかで公開することを想定してるらしく、それを見据えた実証実験に重きをおいてて、今は藤沢市で実験中とのこと。

質の異なるデータが増えるのはともかく、増えすぎるとそもそも辛いよね(e.g., メモリに乗らないサイズのデータは実質的に処理できない)。高圧縮かつ圧縮したデータで分析できるようにすると嬉しいよね、というのは確かに。

いろんなストリーミングデータがあることを前提としたストリーミングアルゴリズムの必要性ももちろん重要。マルチモーダルも超えた処で「共起する特徴」をうまいこと処理・可視化できるミドルウェアか。

ドライブレコーダで急ブレーキや急なハンドル操作してる現場を見ると、過去に事故が起きたことは無い(警察への届け出は無い)場所であっても「ヒヤリハット事例」に相当する場所を多数見つけることができるというのはそうだよな。で、そういう情報を「初めての場所を通ることが多いタクシーに提供すると事故減らせるのでは?」というのは面白い視点。