TPOに応じた学び方をできるとベター
「最適な学び方」というのはなかなかありませんが、より良いアプローチがあるならそれを選択するに越したことはないです。社会人向けAI人材育成という話が出てますが、いわゆる(大学の)学生と社会人とでは事前知識や使える時間等様々な点で違いがあることを踏まえると、学生向けにカスタマイズされてる授業が社会人向けにベターかどうかは「?」なところがあるな、と。
大学のカリキュラムというのは、2個学期制の大学なら1年間に前期後期で4年間通して8個学期で卒業要件を満たすように設計されています。2単位の授業だと、1個学期で「授業15週+学期末テストの16週」に渡り、毎週90分授業を受講し続けます。自習時間を除くと、1週間あたり1科目90分しかありません。ただし平均10科目程度を同時に受講します。達成したい明確な目標があるなら突き進めば良いはずですが、大学の一般的なカリキュラムではそう設計されていません。
大学のカリキュラムはデメリットしか無いのかというとそうではなく、「様々な必修科目を履修することで視野を広げ、それらを融合することで『新たな一歩』を踏み出しやすくする」という狙いがあります。うちの学科で例を挙げると、プログラミングだけじゃなくアルゴリズムやOSを学ぶことで実装上の最適化や工夫をしたり、線形代数や確率統計・微積といった数学も学ぶことで機械学習の中身を理解できる基礎を築いたり。必ずしも授業で提供していなかったコンテンツに対しても取り組む力を身に着けさせるために、このような設計を取っています。
これに対して今の世の中は、書籍に限らずブログなりMOOCsなり、有料無料を問わず教材が溢れています。Pythonならこんな感じで目的に応じて教材を選ぶぐらい、選択肢が数多くあります。例えば、TensorFlow Tutorialsをやれる環境構築さえできれば「機械学習使って画像認識やったぜ!」とかやれるわけです。具体的な目標があるなら、こういう「一点突破型でやってみて、わからないところを補う」アプローチが良いんじゃないかなと想像します。問題は、公式チュートリアルぐらいならともかく、世の中には有象無象のwebページがあるので、良い教材を探すこと自体が容易ではなかったり、適した補助教材を探そうとなるとより難しいという点でしょうか。体系的に学んでいるわけではないため、次の一歩が良くわからず、ひどい場合には「毎回目的に合致したチュートリアルを用意してあげないと、やれない」という状態で、何を学んだのか良くわからないこともあるかもしれません。ただし、短時間で一定の目標を達成するには向いているでしょう。また、補助する教師役がいるなら「次の一歩」についても探しやすくなり、それを繰り返すことで徐々に自分で歩む力を身につけることもできるでしょう。
ということで、個人的には「日中は仕事して、夜なり週末なり空いた時間で学ぶ」という社会人向けには、
- 目的に沿った環境構築してやってチュートリアル探し、やらせる。
- 目的に沿った課題を用意(というか設計かも)して、少しずつメタ知識化さていく。or 課題自体を一緒に設計することを通して知識共有化を目指す。
みたいなアプローチが望ましいのではないかなと想像します。社会人といっても幅広いですけどね。