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From: Ritter ABC 
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Subject: Re[2]: Re[2]: Re: 30条と49条 (罰則関係 	)
Date: Tue, 03 Oct 2000 21:39:44 +0900
Organization: Nifty News Service
Lines: 153
Message-ID: < 20001003213944EutF$BxMwaI@news.nifty.com> 
References: < m3n1gmzczr.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 
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NNTP-Posting-Date: 3 Oct 2000 12:39:46 GMT
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In-Reply-To: < m3n1gmzczr.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 
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こんにちは。

Hideaki Iwata  さん wrote in
Message-ID: < m3n1gmzczr.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 

>  ひで@和大、です。
>  なんか、やっと合意点が見つかった気がする。

うーん。最初と比べると、岩田さんのお考えも大分変わったようには思うんで
すが。。。

明らかな間違いと注意すべき点を指摘しておきますから、後は御自分でお考え
下さい。

>  そうです。法律を改正することにより、従来の条文では著作者の権利が
>  制限されていた部分を、著作者の権利として認めることは、その法律が
>  適正な手続きを経て公布された以上は、何らおかしくありません。

どこかの条文で「著作者の権利が制限」という語が用いられていますか?
また、田村先生の本で用いられていますか?
法は、「著作権の制限」という語を使用しているでしょう(第5款)。


>  >  一般利用者がそれまで私的使用目的によ
>  >  り無償で利用できていた部分について著作者が新たに補償金を受け取れるよう
>  >  にしたのは、その一方法であって、何も、著作者がその点について「本来」何
>  >  らかの権利を有していたからではありません。
>  
>  だから、「本来」って言うからおかしいんだってば。
>  著作権制度はその時の社会情勢によって変化するものだ、って前提があ
>  れば、「本来」が実は「本来」ではなかった可能性だって考慮する必要
>  があるでしょう?ってのが私の主張。
(中略)
>  だから私はずっと「著作者の権利が法により制限されている」と表現し
>  ているのです。
>  その制限が、「本質的に著作者の権利に含まれないもの」なのか、ある
>  いは「著作者が有する権利の行使が法により制限されているもの」なのか?
>  はたまた別の形態なのか?を議論すること自体が、ナンセンスだ、と言
>  い続けているんです。

この議論は、岩田さんの「本来」という発言から始まっているのですよ。

以下のとおりです。

Message-ID: < m3hf7a2vvs.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 
>  佐々木氏以下が何度もおっしゃってますが、30条はあくまでも著作者の
>  権利を制限している条項に過ぎません。本来著作者が専有する複製権を、
>  ある状況下では制限しましょう、と、人為的に定めているに過ぎません。

Message-ID: < 39CC2BCB.9CBE4E5E@af.wakwak.com> 
>  本来著作者が有する権利ではあるが、一定の要件を満たした場合は制限される、と定
>  めたものなのだ、と説明しています。

Message-ID: < m3u2b21jog.fsf@dolphin.eco.wakayama-u.ac.jp> 
>  本来著作者の権利に含まれていないはずの「私的使用のための複製行為」
>  に対し、デジタル方式の記録媒体に限って「補償金」という制度が導入さ
>  れた理由はどこにあるのか、を。

岩田さんは、「著作権の制限」に関する解説書等の記述(それは私が述べてい
ることと同じことです。)を、著作者は「本来」完全な権利を有しているのだ
が、法の定める一定の要件を備える場合には、それが制限されるという誤解を
し、その誤解が、49条の要件を充たしていない場合でも、30条の私的使用
目的で複製された複製物の目的外使用(貸与、譲渡等)は複製権(著作権)を
侵害するという結論と結びついているのだと思います。

はっきり意識はされていないかもしれませんが。。。


>  # ちなみに、「権利の行使が制限」って言い方は、私の記憶する範囲で
>  # は、今、この記事で初めて使ってます。私は一度だって「権利の行使が
>  # 制限」とは言ってません。常に、意識して「権利が制限」と言い続けて
>  # います。

私は、岩田さんが使ったとは述べていません。
「権利の制限」という意味を理解していただくために便宜上対置させたもので
す。


>  だからね、立法趣旨ってことばを持ち出して、「制限とは本来、著作者
>  が有しない権利を意味するんだ」って言っちゃえば、後々ややこしい
>  でしょう?って言っているんですよ。

私は、そのようなことは言っていません。
著作者は、著作物を創作することによって著作権を取得するが、その権利は、
取得の時点から30条以下の制限付きの権利であると述べているだけです。
つまり、制限されている範囲では、著作者は、最初から権利を有していないと
述べているのです。
これに対し、岩田さんは、その制限されている範囲も、本来は著作者が権利と
して有していると誤解していると述べているのです。


>  それを「本来」って言葉を使うからおかしくなるんだってば。

それを最初に使ったのは、岩田さんですよ。

>  で、なんでこれが問題になるか、と言えば、ABC氏は
>  
>  「本来、私的領域における複製行為は著作者の権利の枠外に置かれ
>  ている。私的領域と社会的に求め得る要件を30条は定義しているが、
>  本来的に枠外である以上、私的使用目的に複製した著作物の事後
>  使用に関しては、49条が適用できない事例に対しては、法は著作者
>  の権利が及ばないとしている」
>  
>  と主張しているのに対し、私は、
>  
>  「30条が示す私的領域における複製要件は、事後の使用においても
>  私的使用に限定している」
>  
>  という審議会報告説を提示しているに過ぎない。

私は、「本来」とか「本来的」とか言った言葉を用いて、上の点を説明してい
ません。
私の基本的態度は、法は、21条から28条までの規定と30条から49条ま
での規定により、価値中立的に、一般利用者の自由利用に残すべき部分と著作
者の権利とすべきところとを切り分けている。それは、立法政策に基づくもの
であると述べているだけです。立法政策による切り分けですから、事情が変わ
れば、法改正によりその切り分け方を変更するのは当然です。
補償金の規定の新設はその例です。
また、逆に、著作者の権利を狭める方向での改正も場合によっては有り得ると
思います。


>  枠組は不変のものでもなく、もちろん、本来的なものでもないとす
>  るなら、少なくとも、ABC氏説に対する「本来」って部分は無効で
>  ある、って言っているに過ぎないんだけどなあ.........

私が、自説を根拠づけるために、岩田さんの指摘されるような意味で「本来」
という語を使用したことはありません。

なお、岩田さんは、現在では、著作権法上、著作者は法律によって与えられて
いる複製権等(これらは30条以下の制限を付されたものです。)の範囲を超
えて著作権を有していないということは理解されているようなので、これ以上、
この点について議論するのは、確かに、意味がないように思います。

しかし、そうなると、30条により私的使用目的で適法に複製したものを私的
使用目的外で他人に貸与した行為が49条の要件を備えていないにもかかわら
ず、複製権の侵害となるという審議会の報告書の記載は、法的に説明がつかな
いはずです。

そして、その帰結として、岩田さんも、審議会の記載が一種の政治運動として
述べられている主張を記載した可能性が強いことを認めざるを得ないでしょう
し、そのような見方をされるのであれば(私もそのような政治的な運動がある
こと、それが審議会にまで影響を及ぼしていることを否定するものではありま
せん。)、新たに、法律論を前提として、私が述べているような観点から、こ
の問題を検討し直してみようという気持ちになられるのではないかと思います。


法律論  大歓迎!

--
Ritter ABC  
 

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