IPSJ80, day1

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情報処理学会 第80回全国大会に来てます。1日目は企画イベントに参加してて、結果的には全部プログラミング教育(プログラミング的思考教育)に関連する講演ばかりの一日でした。


子ども達に,いま必要なマナビ:プログラミング的思考や読解力の必要性と 教育のあり方は? 〜データなどの確かな根拠に裏付けされた実態と展望〜

[ セッション概要 ]

国策として小学生にプログラミング教育だかプログラミング的思考教育だかを目指すことになっているが、各講演者からの主張を交えた目標・達成方法についての討論を聞く形になってました。全体要約としては「新井先生無双」なセッション(誇張しすぎ)。

新井先生は、東ロボ〜RST周りの話から現状の義務教育問題への指摘。
柏市教育委員会の佐和副参事からは、国策として決定される前から実施している小中へのプログラミング教育事例。
日本STEM教育学会の後藤代表からは、より学びの効果が高くなるプログラミング教育について産官学で取り組んでる事例。
早稲田大学の齋藤先生からは、ツールが溢れているがどれがどのような学びに効果的なのか、統一的体系的な評価が乏しいことへの取り組み。

結論的な話(主に新井先生の主張)としては、、『現在の小学生はあれもこれもやれという中で更に追加でやるというのは無理筋。そもそも教科書を読めていない層が多く、偏差値との相関が高い。興味の有無や性差、スマホの利用時間等との相関はまったくない。読む力があるかどうかが重要。やることを削り、小学校では読解力(係り受け、同義文判定、推論、イメージ同定)の確立に注力すべきである。プログラミングに限らず何か特定の能力に欠けていたとしても、後日独学なり教育なりがスムーズに進む。』

ちなみに、プログラミング自体を否定している訳ではなく、プログラミング的思考(再現性のある手順書を書けるとか)を育成するために必ずしもハードとソフトは必要じゃないという立場とのこと。ハードとソフトがあることでより効果的に教育できるならやるべきだけど、それ以前の問題としてそもそも指示されてることを理解していないなら駄目だろう、と。個人的にも似たような考えを持ってますね。


新しい一般情報教育の知識体系

[ セッション概要 ]

こちらはどちらかというと大学における情報教育中心なのかな。GEBOKが前回作成から10年経過したことに伴う改定と、今後の小中高に盛り込まれる情報系教育を踏まえた上で今後をどう位置づけるかといった話。会場での結論としては「目標毎に異なるのだから、違う話を混ぜないように目標を明確にしよう」、「知識体系だけではなく、何をどのように教えるべきかといったシラバス・教材例も含めるべきでは」みたいなところなのかな(多分)。

GEBOK自体は知識の体系化が主目的であることと、全大学生が身につけるべきコアを設計しているらしい(?)。それなら取捨選択が出てくるのは妙な気もしますが、必修科目と選択科目ぐらいの位置づけなのかな。大学学部学科毎に目指す人材像が異なるので、コアといっても難しいだろうというのは理解できます。

個人的には、大学でOfficeの使い方やるのは意味がわかりません。既に高校、場合によってはそれ以前でもやってるよね。だけど国内全大学にアンケート調査する限りではまだまだそっちに時間取ってるところが多いらしい。どのぐらい時間かけてるか分かりませんが、琉大も共通科目としてはやってるよね。調べられない、(Officeレベルの)問題解決への道筋が描けないのなら問題で、そこを教えるなら分かります。そうじゃないなら分かりません。ちなみに、ある大学では学部問わず一律でOffice教えるのは辞めたけど、特に問題でなかったらしい。状況としては、できない学生はできないままだし、無料講習用意しても来ないし、大学生協で提供してる有料講座に参加してどうにかしてる、らしい。あはは(乾いた笑い)。


特別講演 小中高で育む情報活用能力

[ セッション概要 ]

基本的にはタイトル通りの「小中高で育む情報活用能力」の総まとめ。そこへの協力もあるけど、それと同じぐらい『2024年度には,新学習指導要領の内容で学んだ生徒が高校を卒業する.この生徒は,全員がプログラミングの経験を含む高い情報活用能力を持っている.これを受け入れる大学も社会も対応を迫られることになると予想される』ということで、それを踏まえた教育どうするの?という問題提起なセッションでした。ただ、時間不足でQ&Aとか討論は盛り上がらなかったのが残念。一応、明日続きがあるらしい。


こんな感じのオープンな自習室欲しいよね。写真撮ったのは学生いないですが、別の場所では普通に学生らが議論やらしてました。