No. 1006/1090 Index Prev Next
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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 30条と49条 ( 	罰則関係)
Date: 03 Oct 2000 14:23:15 +0900
Organization: Center for Information Science, Wakayama University
Lines: 53
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ひで@和大、です。

"H.Tanaka"  writes:

>  抵抗があるのは一緒ですが(^^;)同じく民法1条の(著作者の)権利濫用と
>  どっちが勝つか、は、事例次第だと思いますよ〜。

これは同意見です。
ただ、この問題(権利の濫用)については、田村先生は「著作権法概説」
の中で少しですが論じられています。正確には、30条以下の「権利の制限」
に明文化されていない事象に対し、1条の「公正利用」を盾に著作者の
権利濫用を抗弁することは、解釈論として困難だ、と、裁判例を示して
論じています(166頁)。もっともその直後に

「ただし、別途、権利濫用を論じる余地はある」

と述べられていますが.....どっちなんだよ:-)はっきりしてくれ。

# 権利濫用を否定する裁判例しか示されていないしなあ....:-)
# この辺に、田村先生の主義がうっすらと見えてきたりする:-)

# でも、大半の記述は非常に中立的で公正ですよ、念のため。

>  地上波テレビ放送の複製物の貸し借りに難を示すのは権利濫用かと…。
>  レンタルビデオの複製物だと、ややえすとっぺる?…なのかなあ。

多分、ですが、私はこの問題は「公衆要件」の如何で決定される問題で
あり、その客体によって大きく変わることはないだろう、と考えています。

つまり、「fjに貸与を呼びかける記事を投稿し、大勢の人の目に触れる
状態に置いた上で、同記事に答えた、それまでは見ず知らずの二人」に
対し、「公衆」としての要件を満たしているかどうか?が裁判の場では
議論の対象となると考えています。

もちろん、昭和56年報告書の論を採用し、「30条では私的使用目的以外
の複製物の使用を認めていない」という判断が下される可能性もありま
すが、個人的には、同時に「fjで知り合ったばかりの二人は著作権法が
想定するところの公衆と判断できる」との合わせ技が出るのではないか
と。

逆に、「fjで知り合ったばかりの二人は著作権法が想定するところの
公衆にはあらず」かつ「30条は複製後の使用目的を規定していない」
で、この訴えは著作者側の「権利の濫用に当たる」って結論も考えられ
ますけどね。

# こっちは二重否定が必要だから、望みが薄いと思うんだけどなあ、
# 個人的には。私が弁護人を勤めるなら、この抗弁は駄目もとでしか
# しないなあ:-)

結局、30条に基づき複製された著作物が客体の場合は、客体の性質に
よって扱いが変わる可能性は低いのではありませんか?

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