No. 854/1090 Index Prev Next
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From: "ISHIBASHI" 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 「貸してください」記事に関して
Date: Thu, 21 Sep 2000 00:07:24 +0900
Organization: BIGLOBE dial-up user
Lines: 96
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Nakagawa wrote in message
< 8q7tfp$avj$1@pin2.tky.plala.or.jp> ...
> つまり、可罰的違法性みたいな議論の適用に
> 一般ルールはないのでしょうか?

えっと、この部分は刑事訴訟のお話ですね。
「一般ルール」は、法律とは無関係の話と解釈して回答させていた
だきますと、例えば、交通事故が有った場合、被害者の損害が軽微
であり、かつ加害者の謝罪と示談成立の確証があり、被害者側も納
得するなら、警察側はその裁量で刑事事件として取り扱わない場合
が有る、という話はよく聞きますよね。そのような裁量が
Nakagawa さんが知りたいと思っておられる「一般ルール」かどう
か、ちょと分かりかねますが。

> 見逃したTV番組で、再放送やビデオ化の予定がないものに
> 対象を絞っています。
> そこで「損害」といえば、
> 「見逃してしまった視聴者がいる事によって得られるべき
> 著作権者の利益が、(一人分)消滅したことによる損害」
> 「慰謝料」といえば
> 「見逃してしまった視聴者が、他人の助けで番組をあとから
> 見れたことによる、著作権者の精神的苦痛」
> でしょうが、どちらも、顔上げて主張できますか?
> 「具体的な予定はないけれど、将来ビデオ化するかもしれない」
> という理由で、
> 将来の「可能性としての」損害を理由に出来るのですか?
> もし償うべき損害がないとすると、
> (勝訴の可能性のある)民事訴訟は起こせるのでしょうか?
> 特に上記のような事件で。
> 
> もし、訴訟が起こせないときには、
> 「訴訟は起こせない(「起こさない」ではないですよ)けど、
> あなたの行為は著作権侵害です」と、言う事は出来るのですか?
> 
> また、「もう見せてもらった」ではなく「これから見せてもら
> う」の場合、著作権者には何の損害が生じなくても、差止め訴
> 訟は起こせるのですか?

えっと、この部分は民事訴訟についてのお話で、しかも損害の有無
と差止にからんだお話ですね。
(あらかじめ、他の方にお願い)
以下、法的に私が間違った説明をしている場合は、ご指摘のほどよ
ろしくお願い致します。

民事訴訟においては「利益無ければ訴権無し」という原則がありま
して、裁判の結果によって何の利益も得られないのに告訴した場合
は、その告訴は却下されます。でも、ここで言う「利益」は、金銭
的な利益に限定されているわけではありません。著作権者は著作権
(無体財産権)を有しており、その財産権の侵害を止めさせること
は、差止請求権(112条)として認められております。しかも、
差止請求権と損害賠償請求権(民法709条)は別個に規定されて
いますから、損害が全く無い場合は損害賠償を請求できないけれど
も、将来の損害の有無にかかわらず差止を請求することはできる、
と私は理解しています。

なお、このような場合の差止は、権利の濫用(民法1条3項)に
当たる、と考えられる方が、もしかしたらおられるかもしれませ
んが…

> 「あなたがそれをやっても私は全然損しないが、
> あなたがそれをやるのは私の権利の侵害だ」という理由で
> ひとの行為を制限する自由を認めることが、
> 一体誰のためになるのかを考えると、
> そもそも著作権はそのような事を認めた権利なのかが
> 分からなくなってきて、

差止請求権(112条)は、損害が生じる可能性が有る行為をあら
かじめ有効に防止する為の規定です。著作権のような無体財産権の
場合特にこの予防的措置の必要性が高いことは、形の無い「無体」
の財産権であることから理解して頂けると思います。「あなたがそ
れをやっても私は全然損しない」という点は、将来的な損害の可能
性も含めると、通常の有体物の財産と比較して、無体財産権の場合
は極めて判断し難い類のものです。したがって、差止請求権(11
2条)を、著作権の侵害に対する民事上の救済措置として特別に設
けたことは至極妥当です。

あと、「私は全然損しない」場合にも差止を認めることの不合理で
すが、この点は、「私は全然損しない」という確信を持っている著
作権者は、当然、告訴しないであろうことが法上の前提にされてい
ると考えます。

また、例えば、fj での一回限りの貸し借りが「私は全然損しな
い」であっても、それを放置し続けたら、fj での貸し借りが頻繁
に行なわれる状況になる恐れがあると著作権者が判断した場合、つ
まり将来的に無視できない程の損害が生じる恐れがあると判断した
場合は、一回限りの貸し借りに対してであっても差止を認めること
は不合理ではないという点も理解していただけるのではないかと思
います。(この点も、無体財産権特有の侵害の予防の必要性に関係
してます)


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ISHIBASHI
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