No. 737/1090 Index Prev Next
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From: Hideaki Iwata 
Newsgroups: fj.soc.copyright
Subject: Re: 「貸してください」記事に関して
Date: Sun, 10 Sep 2000 23:42:29 +0900
Organization: WAKWAK Internet service
Lines: 96
Distribution: fj
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Xref: ie.u-ryukyu.ac.jp fj.soc.copyright:11735

ひで@自宅、です。

ISHIBASHI wrote:
>  ISHIBASHIです。

>  したがって、そのような確認の無いまま合意手続きをとられる
>  場合は、私もその際は反対させて戴きます(私で4人目でし
>  たっけ?)。

あ、俺も一応意思表示しておこう。反対です:-)

>  ところで、岩田さんにお伺いしたいのですが・・・
>  (ここからは、岩田さんとの法律的なお話)
>  
>  岩田さんは、TV番組の録画ビデオの貸し借りが38条4項の「貸
>  与により公衆に提供することができる。」の適用を受けないと考え
>  ておられるようですが、それは、TV番組は「映画の著作物」に該
>  当するからという見解に基づくものでしょうか? それとも別な観
>  点からのお考えでしょうか?(ちょっと興味が有ったものですか
>  ら)

えーと、どの記事を見てそう御判断されたのかちょっと判らないですが、
原則的にはTV番組の録画ビデオは「映画の著作物の複製物」と判断され
る傾向にある、と認識しています。
根拠は3つあり、その一つは昭和48年の著作権審議会第三小委員会(ビ
デオ関係)報告書です。
http://www.cric.or.jp/houkoku/s48_3.html
で読むことが出来ます(いい時代になったなあ:-)

# 蛇足ですけど、この種の報告書には著作権が発生するはずなんだけど、
# その辺の権利関係ってどうなっているんでしょうね?
# 委員と文化庁がちゃんと契約書結んで、著作権は文化庁が有すること
# になっているんでしょうかね?(^_^;;)

昭和48年の時点で(現行著作権法が施行されてからわずか3年の時点で)
これほどまでに明確に現状分析と問題点の洗い出しがなされていると
いうのは正直驚きでした。この文書を初めて見たとき、「あー、なんて
俺たちは愚かなんだ。30年近くこの問題をほったらかしにしているなん
て。」って思いました。もっとも、昭和48年といえば私にはまだ選挙権
がありませんでしたけどね:-)っていうかまだ小学校にも入ってない:-)

同書より引用します。
------------------------------
 なお、将来は映画の著作物として保護されるためには必ずしも固定を
要件としない方向で検討すべきであるとの意見もある。しかし、そのよ
うな考え方によつてみても生テレビ番組がすべて映画の著作物たりうる
わけではない。このことは一般的に、何が映画の著作物たりうるかとい
う問題と関連する。たとえば、ベルヌ条約改正会議などにおいても、街
頭または劇場にカメラを固定し、単に被写体を機械的に撮影しただけの
ものは、映画の著作物たりえないとの結論を出しているが、結局は、創
作性の有無、編集の有無などが著作物であるかどうかを決めることとな
るということである。

つまり、昭和48年の時点で既に、生テレビ番組以外のTV番組(つまりは
何らかの編集作業が加わったTV番組以外)は映画の著作物と考えるのが
妥当だと述べています。

第二点は、昨年の法改正による映画の著作物以外の著作物に対する上映
権の新設です。著作権審議会報告によれば、例えば絵画をビデオカメラ
で撮影し、それを別室に設置したプロジェクタを使ってスクリーンに投
影する様な行為に対し、上映権は適用されます。
つまり、前述の「生テレビ番組」に近い概念となっています。この様に、
現在の流れは著作権を強化する方向にあります。その是非は別にして、
現在の社会情勢を鑑みた場合、TV放送されるほとんど全ての番組は等し
く映画の著作物と判断するのが妥当である、と考えています。

最後の点は、ゲームソフトを映画の著作物と判断する一連の裁判例で
示された裁判所の判断です。三国志事件で対象となったゲーム以外は
ほぼ全て、映画の著作物と判断されています。また、三国志事件自体も、
従来からの、そして現在に至る映画の著作物か否かの判断基準を踏襲し、
その上で当該ゲームはその基準に合致しない、と定めています。
全く異なる判断基準を裁判所が示したのは昨年の中古ソフト東京訴訟に
おける東京地裁だけですが、この判断には大きな問題があると分析して
います。また、直後にほぼ同じゲームソフトに関し、大阪地裁が映画の
著作物に相当するとの判断を下している点から見ても、第二点で示した、
「社会情勢として映画の著作物の適用範囲を拡大する傾向にある」は
妥当な判断だと見なしています。

以上により、先の結論に至っている訳です。

しかし、改めて言うまでもありませんが、私はレッテル主義に陥りたく
はありません。つまり、「TV放送された番組」=「映画の著作物」という
図式には反対します。
従って、個別の著作物毎に、それが映画の著作物か否かをきちんと判断す
る必要があると考えます。ただ、現状としては、映画の著作物類似の
概念が拡大傾向にあることは、十分に認識すべきだ、と考えています。

その上で、一般論として「TV放送された番組」近似「映画の著作物」と
考えるのは、さほど悪いことではないと判断しています。

# 結局、重要なのは映画の著作物の要件であって、レッテルじゃない、
# ってことです。どの様な性質を持っていれば映画の著作物たりえるの
# か、を一人一人が良く理解して欲しい、と願ってます。

# 河野氏には無駄だと思うけど:-)
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