enPiT琉球大学FDワークショップ2016が終了
おおっぴらに告知(募集)されてなかったように思いますが、enPiT琉球大学FDワークショップ2016に参加してきました。直前まで何やるのかよくわからなかったのですが、数日前に届いたパンフから抜き出すと次のような趣旨だったらしい。
enPiT FD 合宿 2016 in 沖縄
enPiT では PBL 型の教育に重点を置き,各大学では様々な取り組みが行われていますが,担当教員が試行錯誤を繰り返しながらより良い教授法を目指して手探りで取り組んでいるのが現状です.
そこで,今回開催する合宿では,議論やワークショップを通して PBL 教授法についての研鑽を深めることを狙います.ワークショップでは,ポスターなどの具体的な成果物を作成し,これを共有することで今後の enPiT における教育に役立てていくことを目指します.また,教員同士の交流により,日頃の PBL で感じている疑問や悩み事などについても率直に意見交換できる場となります.
決めていたことはこのぐらいの緩い設定になってるのと、大きな枠組みとしてOpen Space Technologyでやろうというものでした。大雑把にまとめると、こんな感じ。
- グッズとしては模造紙・付箋紙・各種ペンぐらい。その他討論グッズあっても良いと思うけど、それだけでもやれる。
- 誰かがリーダーとか役割は決めない。ここに参加している時点で全員が適任で対等。(椅子を円状に並べて座る。対面とか所謂座学形式のように何かしら立ち位置を含まないことが重要)
- 幾つかのテーマに関する討論が同時並列で走る。1テーマ90分程度。途中でやりたいテーマ立ち上げて話し始めても良い。
- どこかのテーマに固定参加し続けてい続けてもいいし、移動しても良い。
- 結果は起こるべくして起こる。(ゴールや過程のコントロールは不可能だがそれなりにうまくいくことが多い)
- 「law of two feet」。何が得られるかは分からないし、結論が得られるとも限らない。もし何も得られないのであれば、議論を進行を促進するために足を使え。(自ら動け)
- 適度なタイミング(1日の終りなり中間なり)で、全員で共有する。
デザインスクールでやってるものにも近いけど、「必ずしも結論を出す必要はない」「テーマ移動可能」「テーマ自体が浮き沈み合って良い」とか、自由度がより高い。かつ、ファシリテータとか不在なのが面白いかな。
今回はオープンスペーステクノロジーに加えて、実際には初日朝の参加者らの硬さを見てリーンコーヒーが導入されました。
- 取り敢えず適当なグループに分かれて、話し合いたいテーマを付箋書き出し。(5分ぐらい)
- 書き出した付箋紙について、7分制限で概要説明+軽く討論。7分で一旦終了し、その時点で「もう十分・もう少し続けたい・これ嫌だ」の3択投票。単純に投票多い方を採択して実施。もう少し続けたい場合は追加で3分延長。最大2回まで延長可。
- 全付箋紙について通して終わったら、より討論を深めたいものに投票(一人3票)。投票の集まった上位3つについてテーマ化。
- テーマ化終えたら全員円状に集まり、テーマについて1分程度で概説。
- 関係の強いテーマはなるべく並列にならないようにスケジューリングして、討論開始(前述のオープンスペーステクノロジー方式へ)。
テーマ決定
私が参加したのは
「スキル差、個人差を踏まえた学習方法、教育のパターン」
「チームによる知識の獲得」
「学習効果とその評価」
の3テーマ。以下、討論中に出てきた話題を思い出せる範囲で列挙してみます。
「スキル差、個人差を踏まえた学習方法、教育のパターン」
- 大学の授業は知識伝達偏重してないか。形式知を伝えているが、暗黙知をどう伝えるか。PBLは一つの手段だが単にPBLやれば良いというものでもない。
- スキル差は広がる一方。スキルの低い学生へのサポートばかりしてるのは問題ではないか。チームとして補い合う形もあるが、どう評価すべきか。
- 「単位取れれば良い」学生にどう意欲向上させるか。スキルマップやKPT等、何かしら先の見通しを良くする(=振り返り促進や、進捗体感効果も)のも一つの手。
- 知識・スキルを教えても良いが、教えるだけで「学び方」を伝えていないのでは。
真似る=学ぶ。例えば新しい言語学ぶ場合の「自分なりのHello World(≒何でも良いのでロジック自体は既に把握している特定アプリを、その言語で実装してみることで差分から言語特徴・特性を学ぶ)」を手にするとか。技術書の読み方とか。読書会、勉強会とか。 - 別科目・授業外・学外等、他への繋がりをどう意識付けるか。
- 学ぶことの楽しさをどう伝えるか。
「チームによる知識の獲得」
- どんな時に「学んだ」と強く感じるだろうか。失敗した時? ただし失敗は切っ掛けにすぎない。失敗に気づけることも成長。
- ラーニング・パターンも一つだが、チームでの知識獲得に特化したスターターキットなり、何かうまいパターンを共有できないか。
- 形式知にしづらいものをどうするか。暗黙知のまま活用するのも手だが、どう教育(伝える)と良いか。研究なら論文よりもソースコードというのも一つの手だが。IDEなり言語仕様なりに組み込むことで仕組み化してしまうのも手か。
- 基本は「話し合う」。他人は自分と必ず違うので、同じ言葉喋ってても認識のズレがどうしても出てくる。何度も話し合うことが重要。
- 話しやすくする工夫は。「分からなかったら聞いて」では聞かない・聞けない。辛かったらヘルプを出すことができる雰囲気。教えることによる学び。
「学習効果とその評価」
- アウトプット評価 vs プロセス評価。プロセスはどう評価したら良いか。QCストーリーのように、解決したい大目標を明確にし、それを妨げる思いつく範囲で要因を列挙し、まず一つセレクトして思いつく打開策を提案・採択。その際期待する効果を考えさせ、実際にやった結果どうだったかの差分を見える化する。それを積み重ねることでプロセスの可視化にも繋がる。ただし60人〜100人ぐらいの授業で一人の教員でサポートするのは無理ゲーじゃないか。
- いくつかの観点に分けて評価している。結果(KPI等)、企業理念の実現度合い、手段(前述のプロセス可視化)、、。
- 教員による評価と、学生自身が「学んだ!」と効果を実感するところにはギャップがないか。効果を学生に実感させるにはどうしたら良いか。
- 評価尺度を学生自身が決めるのも手か。ただし初学時には軸設定できない。精々「用意した評価軸から選ぶ」ぐらい。その後自分で設計できていけると良いのでは。
- チームとしての最終アウトプットの良し悪しを評価するのか、チームとしての成長を評価するのか。
- 自己評価はすべきだが、学部2,3年では難しいかも。他者評価・360度評価から初めて、慣れてきたら自分を客観視できるようになるのでは。
- 評価軸に関する共通認識が大切。ルーブリックも手だが、、。
- PBL等のグループワークでは、嫌な雰囲気になりチームとして機能しなくなることもある。といったことの事前周知やそれに対するサポート体制が重要。
個人的な今後につなげていきたい点としては、ペアプロのプロセス可視化をどうにかしてみたいかな。あと、リーンコーヒー方式で軽いブレストするのも面白そう。
[1/6修正]
さが先生からのご指摘感謝!
リーンキャンバス->リーンコーヒー
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1月 6th, 2017 at 20:34
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