修士修了生がそれまでに得た知見の中で、特に論文などの文章として書かれているもの「ではない」部分として、これまでに作成したプログラムや実施した計算機実験の一部を体験してもらうため、研究室新配属生を対象としたワークショップのような形式で実施してもらいました。
残念なことに帰省している慶留間くんはタイミングが合わず、参加者は玉城くんのみ。マンツーマンで指導して貰えるとか恵まれてますねw
今日は、一般物体認識やってる下地くん(参考:FIT2010、FIT2011)が担当です。
修了生に向けて指示した中身は以下の通り。
>目標と補足
・修論成果物のイントロor部分課題or全体像を体験してもらう。
・細かい内容はがっつり割愛し、イメージとして伝えるよう工夫。
*例えば実験2の探索アルゴリズムでは「NNがどういうものか」を
簡易説明だけで終わり、入力ファイルと出力ファイル、パラメータの説明だけで「学習」
についての試行錯誤を体験させています。
詳細は修論や参考文献読めば良いだけなので、おまじない/こういうもの、という説明でも良いです。
・必要に応じて成果物を参照できるようにする。
*sharkにデータやプログラムを置くだけじゃなく、
それらをどのように使うのかのドキュメントも用意しましょう。
修論付録だけでドキュメントを完結する場合には「修論のありかを明示しつつ、付録参照」のように書いてもOK。
*修論付録を用意できたら印刷(製本)前に一度確認させてください。
・「機械学習」など計算に時間がかかる部分では、
ワークショップ中では小さなデータで試し、
処理の過程を理解してもらった後で「3分クッキング方式」で「予め処理しておいた結果」を用意しておくとベター。
>内容と実施方法の例
下記の例全部というわけじゃなく、どれかを組み合わせて90分程度で収めるという意味で例示してます。
>下地くんバージョン
(1) SIFT特徴量からBoFでベクトル表現するやり方。
(2) ベクトル表現された特徴量を用いたSVMによる学習&認識の仕方。or 投票制による簡易学習&認識の仕方。
(3) SIFT特徴量から共起情報を構築するやり方。
(4) 構築した共起情報の可視化や傾向を観察するやり方。
(5) 構築した共起情報を用いて認識するやり方。
これを踏まえて実施してもらったんですが、大半の時間が説明になってて「体験」する部分が殆どなかったのが少し残念。
今回のやり方は、「下地くん本人が動かして結果を示しながら(見ながら)説明する」という形になっていました。これはこれで「下地くん本人が対象問題をどう捉えて、それについてどうアプローチしたのか、その結果どういう知見を得たのか、どこに難しさ/面白さがあるのか、残されてる問題が何か」といった一般的な研究紹介という点での面白さは伝わる紹介だったかと思います。
この方式は、確かに一人で修論読みながら学ぶよりはイメージしやすくなっているのですが、冒頭で述べた「これまでに作成したプログラムや実施した計算機実験の一部を体験してもらう」が少し落ちてるのが勿体無いかな。それでも「こういう説明をする時にこういうデモができると分かりやすい」ぐらいの意味合いがあったとは思うし、説明を通して「クラスタリング、ベクトル空間モデル、重心、Visual words」とかいろんな技術用語についてのイントロにはなったと思うので、やっぱりやってもらって良かったとは思います。
という感想を書いてたら「予定より早く70分ほどで終了」しちゃったので、「じゃ、実際に聴講者本人に動かしてもらうために環境構築から」という無茶ぶりを注文。昔はともかく最近だとMacPortsで、
% sudo port selfupdate
% sudo install opencv
ぐらいでPyhton binding含めていけるかも、という話らしい。
それは良かったというか、頑張った人お疲れさまです。
で、30分ぐらい関連パッケージ含めてインストール終了して、Cのサンプルソースをコンパイルする所までをやりました。
【OpenCVインストール&サンプルソースをコンパイルするまで】
% export PKG_CONFIG_PATH=/opt/local/lib/pkgconfig/
(ここによると「opencv.pc が配置されているディレクトリ([OpenCVをインストールしたディレクトリ]/lib/pkgconfig)」を指定するらしい)
% mkdir -r temp/opencv
% cd temp/opencv
% cp -r /opt/local/share/OpenCV/samples/C/ C/
% cd C
% sh build_all.sh
(コンパイルエラーが出なければOK)
HDとSSDの違いが出たのか、学生の方はまだOpenCV本体のインストールに辿り着けず、下地くんの都合上今回はここでお開きに。自作プログラム周りは修論付録として使い方書いてもらってるので、残りはなんとかなるのかなと期待。
次年度以降はもう少しイベントの振り方を考えてみよう。
指示メールで「やり方」と書いたのが悪かったかも。
一方で、一般的な研究紹介という点で今回の内容も重要ではあるし、論文として書ききれていない「熱意」のような部分も面白いことは面白い。じゃ、数回に分けてやれば良いじゃん、と思わなくもないですが。
ちなみに、3/20には与儀さん担当で実施してもらう予定です。