Archive for the ‘コラム記事’ Category

知能情報コース公式サイトとしてリニューアル

金曜日, 7月 27th, 2018

うちでは学生主体で各種サーバの運営保守をやってるということで、情報工学科改め、知能情報コースのサイトが学生の手により刷新されたようです。あちこち身内から突っ込まれてますが、そこ含めていいことだよね。単に作り変えるだけではなく、(人間デバッガ兼ねて)意見を募ろうということでご意見箱設置し、実際にそこに書かれた意見を参照しながら更新し続けられているようです。昨晩というか昼過ぎぐらいから始まって、その時点で見られた問題点もいくつかは既にfix済みという。すごい。

うちのサイトを紐解いてみると、こんな歴史を辿ってて。

ここに残ってるログ的には1998年2月(私が4年次)ですが、実際にはその1年前には既にあった気がします。懐かしすぎる。私自身は学科サーバとかには全く関わっていなくて、4年次で配属された複雑研の研究室サーバ管理に触り始めたのが最初の機会だったんだよな。

2000年にはそこそこ学科ページとしてコンテンツが充実し始めてて、最低限の情報は既にあったのかな。学科サイトが最初にあって、そこから「琉大非公式ページ(制作:情報工学科)」という時代でした。前述の1998年版は、谷口先生から好きなように作れ〜みたいに言われて興味ある学生が作成してたはず(うろ覚え)。

2001年には外部向けと内輪向けとで情報を分け始めたらしい。

2002年には割と大きくデザイン刷新されてますね。教員はここまでテコ入れしないので、そういうのに熱心な学生がいたのでしょう(ぉ)。

2005年頃にも一度デザイン刷新があったらしい。この頃に私は教員として入ってきて、最初の1,2年ぐらいはサーバ版に関わってたはず。

2009年頃から、今のWordpressに変わって、後は細かいデザイン更新に終止してたのが2018年7月25日までだったと。

進捗がなくてもいいじゃない

火曜日, 6月 19th, 2018

私もこういう話をするんですが、進捗出せないときこそ指導する良い機会なので、気にせず大学来よう。顔出せなくなる負のスパイラルに陥るのを避けるためでもあるけど、そもそも教員の仕事の一つが指導なので気にしなくていいです。

これが半年とか数年続くと1教員では対応困難なこともあるけど、そのために保健管理センター(メンタリング)もあるし、それ以外のサポートも充実してきています。高いお金払ってるんだから大学を活用しよう。

P.S.
人間なので24時間365日100%のペースで走り続けることはできないし、そういう行動も求めません。やれる時にやって。気が乗らないとか休みたいときは休もう。それを1年間とかの中長期スパンで「このぐらいは休む前提で」とかバッファを含めて計画的に行動する練習をしよう。これも練習です。失敗してもいいので、早めにリカバリできるように、引きこもるのではなくて相談しよう。

卒研最終発表が終了

木曜日, 2月 22nd, 2018

2017年度卒業研究発表会が終了しました。発表者もそうですが、当日までのサポートに加えて当日の座長も担当してくれた院生の皆さんもお疲れ様でした。明日もちょっとしたタスクがありますが、終わった後はまずは体と頭を休めましょう。その後で、B4の皆さんはやり残したことや今日もらったコメントを元に、成果を整理しましょう。後輩に引き継げる状態にするところまでがお仕事です。


例年のことですが、今年も判定会議で揉めそうな発表がありますね。「研究」とは、例えば、、、

研究と称される行為の目的は多種多様であり、自明に求められる成果は目的によって異なる。

学術的研究
学術的な研究の目的は、突き詰めれば新しい事実や解釈の発見である。それゆえ研究の遂行者は、得られた研究成果が「新しい事実や解釈の発見」であることを証明するために、それが先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)も示す必要がある。

(by wikipedia:研究

というように、「新しい事実や解釈の発見」が本質的な目標ではありますが、工学の観点からは「新しいモノの開発」であったり、「その過程を通して得られた知見」といったことでも構いません。それまでに存在しないモノならば、それは『先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)』に該当しますので。

例えば、同時に数十万人が同時に楽しむゲームアプリがあったとしましょう。お金が無限にあるならサーバ環境を強化しまくればいいですが、実際にはそんなことはありえないし、可能な限り低コストに抑えたいのが運営側の本音でしょう。しかし、楽しむのを妨げるほどの低スペックだとユーザが離れてしまいます。そこで可能な限り低コストで環境構築なり運営保守なりをしようという要求はよくある話(=ニーズや問題)です。では、そのような「よくある問題」ならば、それをどうにかしようと取り組んでいる事例は山のようにあるはずです。それが調査研究や事例調査(サーベイ)と呼ばれているもので、まずは関連事例を調べ、その問題をどのように定義しているのか、どのように取り組んでいるのか、どこまで解消できているのかを調査や再現といったことを通して学んでいきます。多くの場合、その過程を通して関連知識を学びますが、その学びの過程で、解決されていない問題に気づいたり、より良い解決手法を思いついたり、より制約の少ない問題設定拡張を目指したりといったことを目指していくようになります。これが広い意味での「新しい事実や解釈の発見」です。うまいこと「負荷分散するアルゴリズムの実現を目指してゲームアプリやサーバ環境を開発する」みたいな話でも良いわけです。ゲームだから駄目とかではありません。重要なのは「新しい事実や解釈の発見」です

このような話を踏まえると、仮に研究内容が「パーツを買ってきて組み立てPCを作りました」みたいな話で終わってしまうと、どのあたりに『先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)』があるのでしょうか。何かしら目新しいことに繋がる要素を盛り込んで、新たな知見を得ることが主題になっているのであれば構いません。そのような問題設定になっておらず、「すでに世の中にあるものを作りました」だけで終わっている内容だと、それは演習や卒業制作的なものであって、研究ではありません。

また、勘違いしている学生が多いのですが、卒業研究や修士研究は成功しなくても良いです。次に活かすための知見が得られればOK。言い換えると、卒業研究のゴールは知見を得ることであって、得られた時点で「卒業研究としては成功」です。

とかとか。質疑応答時間だとそこら辺の話するのは筋違いでもあるので控えるようにしてますが、気持ち的にはわりとモヤモヤしてます。例年のことですが。

P.S.
書き忘れてたので追記。同期の発表を見に来ない卒研生が多いのはちょっと悲しい。4年次の最後の発表で強制参加させるようなのも悲しいし。しくしく。

学生に求める力?

金曜日, 2月 9th, 2018

色々あるんでしょうけど、プロジェクトを遂行する力という点からは次のようなことを達成する力を求めています。私は。

  • 学士: 指示されたことに取り組み、その過程から得られたことを体系化して報告書として整理する力。成功する必要はなく、同じ失敗をしないため、次に活かすための知見が得られれば良い。
  • 修士: 上記に加え、自分で目標設定・計画検討し、取り組む力。こちらも失敗しても良いが、自ら中心となって動く力が必要。
  • 博士: 上記に加え、最終的に2件以上成功すること。(査読付き論文2本が最低条件)

卒業研究で自分でテーマを選びたい学生は多いですが、うまいこと問題設定できる学生はレアです。それは悪いことでもなんでもなくて、そもそも見知らぬ世界に入っていきなり「その分野でだれも知らないような成果を出す」とかできる方がおかしい。異世界ラノベの主人公じゃないんだから。

まずは「研究の取り組み方」を体験して、独り歩きできる範囲を広げていく。その過程で知見を深めるだけではなく「自分なりの視点・考え方」を少しずつ得ていく。そうしてまとめたものが「卒業論文における序論や関連研究」だったりするわけで。一歩一歩歩きながら自分地図を作成していくことで見通しが向上し、より遠くのことまで視界に入ったり、それまで見落としていた細かなところに気づいたり。そのうち取り組みたい問題を自分で設定できるかもしれませんが、卒業研究のうちはそれも「指導教員とのやり取りを通して設定する・選ぶ」ことができればそれで十分です。ただし、何かしらやったことを成果として残そう。残せないのは駄目です。人間は忘れてしまうものだから。その代表的なアウトプットが「論文」です。

実は文章を理解していない?

火曜日, 6月 20th, 2017

情報処理学会の学会誌最新号で「ロボットは東大に入れるか」という企てという小特集が掲載されてました。これまでの成果と残された課題のサマリで、読んでて面白いです。

例えばなぜ高校生は「意味を理解しないAI」に敗れたか?では「ロボットが単に事前データとして膨大なコンテンツを用意できるから」ではなくて、「そもそも問題文を読んで理解していないんじゃないか?」という指摘が出てきます。「東ロボ 2016成果報告会」の記事でも具体例が出てきていますが、読解力自体が欠けているとしか解釈しようがないケースが散見しているという話で、現在の教育システムの欠陥ではという指摘につながっていきます。実際どうなのかはより多くの検証が必要でしょうけど、そっちも進めてるらしい。

P.S.
情報処理学会誌は本来有料ですが、ジュニア会員(大学3年生までなら無料)になれば、無料で見れます!

(情報収集) してますか?

月曜日, 5月 22nd, 2017

4年生の卒業研究も既に1ヶ月以上経ってますが、皆さん如何ですか。研究に限った話ではないですが、専門知識を持っていない新しい分野で活動し始めるならまずは「自分なりに関連情報収集して、体系化する」必要がありますよね(よね?)。情報工学科だとPD1,2あたりでもそれなりにやって欲しいと思ってますが、皆さんどうやってますか。軽くググってるぐらい?

代表的なところだと、、

  • 取り敢えずググる。
  • 学会なり研究会なりある程度分野が絞れているならそこの雑誌(電子媒体含む)を漁る。
  • 上記に似てるけど、特定分野・技術についてオススメ論文や書籍を先生・先輩らに聞いて、読む。
  • Google ScholarCiNii等の論文検索に特化したwebサービス(DB)で漁る。
  • DB検索時に、目的に応じて「出版順」や「被引用順」等のオプションを使い分ける。
  • たどり着いた論文で、引用している重要そうなor気になる参考文献を見つけたらそれも読む。
  • 読むだけだと良くわからないので、実験を再現してみる。

こんな感じのことをやりながらその分野に関する情報を収集しつつ、専門用語に関する知識を得たり、視点や問題設定を整理して理解を深めていきながら自分自身のテーマを具体化していく時期だろうと思います。今何をやってるのか、何をしたら良いのか分からないという人は卒業研究が不安で不安でたまらないあなたへを読んでみたり、研究指導教員とは違う先生・友人らと話してみると良いでしょう。一人で閉じこもってたら進みにくいので。相談するのも重要なスキルです。社会に出ても一緒。

情報源の集め方や、集めた情報の読み方、読んで得た知識の整理の仕方等、各々いろんなやり方があってどれがベストというものでもないですが、「授業」と比べるとより自由度が高い分、自分なりのやり方を見つけて取り組まないとなかなかうまくいかないかもしれません。練習だと思ってやれることをやってみるも良し、友人・先輩・教職員らに相談するも良し、何かしら自分から動こう。抽象的な方法論ならラーニング・パターンも参考になります。

何でこんな記事を書いてるかというと、デザインスクールの準備でテーマ設定のための情報収集してて。この様子を記事で書いとくと参考になるかなと思い、その導入編ということでまずはこの日記を書いてる次第。実際に情報収集〜整理の様子を日記に書くかどうかは怪しいけど、日記ネタがない時に書いたりするんじゃないかな。


P.S.
大学院向けに「サーベイ論文の書き方みたいな講義」を提供すると良いのではと提案してみたのだけど、微妙に乗り気じゃないっぽい。社会に出ても役立つのにー。

座長メモ(2009年度作)

月曜日, 1月 23rd, 2017

卒業研究の最終発表時には院生(M1中心)に座長をしてもらっています。まだお願いしてなかったこともあり、院生から突っつかれて答えてました。

  • 日程は既に確定していて、2/16(木)にやる。
  • 基本的には例年通りなので、5セッション*2並列になりそう。
  • 休学してる院生についてはその人自身の判断で座長するかしないか決めて良い。
  • 必ずしも2名1組でやる必要はない。

前回の年次指導担当やった(2005年度)ときの最終発表時に、座長向けの心得的なメモを準備した気がするなとフォルダをあさってたら見つかりました。

[ 座長メモ2009 ]

違う情報も入ってるけど心得的には一緒かな。

まずは作ってみる。少しずつできることを増やしていく。

金曜日, 1月 20th, 2017

理解するってどういうことだろう?の*一先ず*の回答編。

人間同士であっても「理解してるかどうか」なんて確かめようがなかったりする。授業で話した内容をどのぐらい理解しているのかを計測するためにクイズ、テスト、レポート、口頭試問等あれこれやったりしますが、基本的には「ある質問の仕方に対してどのぐらい納得できる回答を出せるか」ぐらいをチェックしているのであって、本当に理解してるかどうかなんてわかりません。尋ねる内容の質と量を改善することでより良い評価方法を構築することはできるだろうけども、内容自体は発展し続けるので「やり尽くされた学問」でもない限り100%の評価は無理というか無謀。

じゃ、どうしよう。問い方を工夫してみたらどうか。

旧「理解するってどういうことだろう?」
新「何ができたら理解してるといえるだろう?」

この問い方なら、「できること」を列挙し、1つずつ実現してみることができます。実現できたのなら、そこではじめて「何が足りないか」をテストしやすくなる。足りない何かが見つかったなら、それを実現する方法を考えよう。そうやってできることを1つずつ増やしていけば、いつか十分に「理解してるようにみえる」かもしれない。これは結果として、最初の問に答えることに近づけているのではないだろうか。イコールではないだろうけど、今度はその工学モデルを相手にすることで人間相手にはやれなかった検証方法を適用することもできるかもしれない。

と、こんな具合にやれることが増えていくので、私なりの*一先ず*の回答は「まずは作ってみる。少しずつできることを増やしていく」でした。

P.S.
こういうやり方は、構成論的アプローチと呼ばれています。

たかだか数千円で良質の本をゲットできるなら使うに越したことはない

火曜日, 4月 12th, 2016

「本=良い」という訳ではなく、どんなメディアにもコンテンツの良し悪しがあります。授業で教科書や参考書として推してるものの多くは「その分野の文献を多数読んだ上でセレクト」したものなので、それなりに良書である可能性が高いです。ただし万人向けというとそうでもなくて、想定してる初学者〜中級者、これまでに学んでいるであろう背景知識、触れさせたい内容、リファレンスの有無等、いろんな事項が関わってくるので「誰にでも向いているとは限らない」のも実情です。

じゃ、どうしたら良いかというと「その先生や先輩に相談する」だったり、図書館・書店で該当キーワードで引っかかる書籍を総当りで眺めて探すとか。とにかく「初めてその分野を学ぶ」のであれば、本として整理(体系化)されたものが有力候補でしょう。チュートリアル的なものも導入としては良いかもしれません。いずれにせよ、Web上に散らばってる情報源を自身でつまみ食いするにはそれなりの能力や時間といったコストが必要で、そこを数千円で代替できるなら買ったほうが早いよね、と。

もちろん指定教科書が不適切である可能性もあるので、その場合には何らかの形で教員・学科・大学なり何らかの手段で指摘して欲しいです。それが互いのためだし。そういう別要因があって「教科書を買わない」という対応ならわかりますが、単に「高いから買わない」ぐらいの理由だと、「たかだか数千円をケチるためにそれ以上の労力を支払う羽目になってない?」と突っ込みたくなります。

共同でリアルタイム議事録

木曜日, 4月 7th, 2016

明治大学の中村先生から教えて貰いました。

・Google Docsの積極活用(共同でリアルタイム議事録&質問)

中でも、共同のリアルタイム議事録はかなり楽しいもので、中村研の一つの文化になりつつあるのかなと思います。共同のリアルタイム議事録オススメです。

発表者の情報が事前に書き込まれていて、その中に、発表内容を書き込む場所、コメント&質問を書き込む場所(アイテマイズ)を用意しておいて、そこに自由に書き込む感じですね。
画像をはったり、装飾したりもできるので、なんだか盛り上がります。

facebookの書き込みからピックアップ)

ゼミでは「発表者が発表したり、教員と討論するだけ」にならないように気をつけるようにしているのですが、共同編集するというのは思いつきませんでした。面白そうだしやってみるか、ということで今年度から導入してみてます。まだ一回しかやってませんが、具体的には以下の様な感じでやってみてます。

  • テンプレートを用意。細かい指定はなく、発表者毎に議事録欄とそれ以外のメモ欄の2項目を用意してる程度。
  • 「議事録欄」は、主議事録担当者が編集。「メモ欄」はそれ以外の人が自由に編集。ただし編集ブッキングしにくいように箇条書きを用意して、誰かが編集中の項目には触らないようにしてみてます。
  • 主議事録担当者として「院生1名+学部生1名」の2名を指定する。2名構成は、本人が発表する際の議事録を残すことと、記録漏れを少しでも防げると良いなということを意図してます。ただしこのせいで「誰がどっちをどう編集するか」とか読み合いが始まったりするっぽい。

今の時期の学部生は本配属したばかりで右も左も分からない状況ですが、それでも分かる範囲を少しずつ増やすためにも「議事録強制参加+院生サポート」して貰いつつ、ふとした疑問・思いつきとかでも書き込める場所を統一して用意しておくことで「個々人のローカルなりどこかに書き散らされて放置される」よりは吸収できる可能性が出てくる等、面白い取り組みだなということで導入してみてます。1回目から学部生にも書いてもらってますが、適度な緊張感にもなってるかも。

ひとまず続けてみます!