Archive for the ‘イベントレポート’ Category

卒研最終発表が終了

木曜日, 2月 22nd, 2018

2017年度卒業研究発表会が終了しました。発表者もそうですが、当日までのサポートに加えて当日の座長も担当してくれた院生の皆さんもお疲れ様でした。明日もちょっとしたタスクがありますが、終わった後はまずは体と頭を休めましょう。その後で、B4の皆さんはやり残したことや今日もらったコメントを元に、成果を整理しましょう。後輩に引き継げる状態にするところまでがお仕事です。


例年のことですが、今年も判定会議で揉めそうな発表がありますね。「研究」とは、例えば、、、

研究と称される行為の目的は多種多様であり、自明に求められる成果は目的によって異なる。

学術的研究
学術的な研究の目的は、突き詰めれば新しい事実や解釈の発見である。それゆえ研究の遂行者は、得られた研究成果が「新しい事実や解釈の発見」であることを証明するために、それが先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)も示す必要がある。

(by wikipedia:研究

というように、「新しい事実や解釈の発見」が本質的な目標ではありますが、工学の観点からは「新しいモノの開発」であったり、「その過程を通して得られた知見」といったことでも構いません。それまでに存在しないモノならば、それは『先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)』に該当しますので。

例えば、同時に数十万人が同時に楽しむゲームアプリがあったとしましょう。お金が無限にあるならサーバ環境を強化しまくればいいですが、実際にはそんなことはありえないし、可能な限り低コストに抑えたいのが運営側の本音でしょう。しかし、楽しむのを妨げるほどの低スペックだとユーザが離れてしまいます。そこで可能な限り低コストで環境構築なり運営保守なりをしようという要求はよくある話(=ニーズや問題)です。では、そのような「よくある問題」ならば、それをどうにかしようと取り組んでいる事例は山のようにあるはずです。それが調査研究や事例調査(サーベイ)と呼ばれているもので、まずは関連事例を調べ、その問題をどのように定義しているのか、どのように取り組んでいるのか、どこまで解消できているのかを調査や再現といったことを通して学んでいきます。多くの場合、その過程を通して関連知識を学びますが、その学びの過程で、解決されていない問題に気づいたり、より良い解決手法を思いついたり、より制約の少ない問題設定拡張を目指したりといったことを目指していくようになります。これが広い意味での「新しい事実や解釈の発見」です。うまいこと「負荷分散するアルゴリズムの実現を目指してゲームアプリやサーバ環境を開発する」みたいな話でも良いわけです。ゲームだから駄目とかではありません。重要なのは「新しい事実や解釈の発見」です

このような話を踏まえると、仮に研究内容が「パーツを買ってきて組み立てPCを作りました」みたいな話で終わってしまうと、どのあたりに『先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)』があるのでしょうか。何かしら目新しいことに繋がる要素を盛り込んで、新たな知見を得ることが主題になっているのであれば構いません。そのような問題設定になっておらず、「すでに世の中にあるものを作りました」だけで終わっている内容だと、それは演習や卒業制作的なものであって、研究ではありません。

また、勘違いしている学生が多いのですが、卒業研究や修士研究は成功しなくても良いです。次に活かすための知見が得られればOK。言い換えると、卒業研究のゴールは知見を得ることであって、得られた時点で「卒業研究としては成功」です。

とかとか。質疑応答時間だとそこら辺の話するのは筋違いでもあるので控えるようにしてますが、気持ち的にはわりとモヤモヤしてます。例年のことですが。

P.S.
書き忘れてたので追記。同期の発表を見に来ない卒研生が多いのはちょっと悲しい。4年次の最後の発表で強制参加させるようなのも悲しいし。しくしく。

来年の修論最終発表に向けての備忘録的な何か

火曜日, 2月 20th, 2018

修士の最終発表が無事に終わったようです。今回は2年次、3年次も数人は来てたか。小学生っぽい子もいたけど、関係者の家族かしら。

今回の感想としては、LT見る限りでは「最もイミフde賞」を伊波立樹さんに進呈したい。ポスター発表で概要掴めたけどLTでは本当に訳がわからなかった。ただ、本人はこのテーマ楽しんでるというのは伝わった。
「発表が丁寧で賞」は悩みどころで、比嘉明周さん・河野三四郎さん・大嶺志歩さんあたりかな。自身の研究位置づけを丁寧に示してたり、どう取り組んだかまで含めて聞き取りやすい話し方で良かったです。


修士の最終発表会は、本来の公式趣旨からすると「最終審査の代わり」です。元々は一般的な口頭発表形式でしたが、修士の数が増えてきて1日実施が困難になってきたタイミングで今の「LT+ポスター発表形式」になりました。修士ならそもそも学外発表も義務付けてるのでoralに拘ることはないよねということで、割りとすんなり受け入れられた気がします。

が、ポスター発表に変更した際の思いが失われてるというか、そもそも世話教員(各年度の年次指導)毎に実施方法がばらばらだったりするので、来年度担当するしってことで気になる点を列挙しておこうという備忘録日記です。

ちなみに個人的な思いとしては、(1)できるだけ学部生にも参加して欲しい(参加しやすい雰囲気にしたい)、(2)修士発表のコアな所はそれなりに専門用語使いまくりで構わないけど、LTではなるべく非専門家(学部1年次レベル)にも伝わるようなスタイルをとって欲しい、の2点。池上彰さんみたいなとは言わないけど、いかに本質的なところを一般向けに分かりやすく伝えるか、掴みを取るかを意識した内容にして欲しいという気持ちがあります。あくまでも私の勝手な思いですけどね。

  • 告知はできる範囲で早めに。
  • なるべく学部生後輩に参加してもらいたいので、少なくともタイトル付きで告知。
  • LTは概要掴むというのが趣旨ではあるけど、個人的には「俺の研究面白いぜ!見に来てくれよな!」と伝える(≒客集める)ことを意識させたい。きっとe13ならできるはず(ニッコリ)
  • ポスター発表人数が同時に3〜4件だと、1件当たりの聴講人数が多すぎて聞き取りにくかったりポスター見えなかったりするので、もう少し並列度あげたい。元々はこの倍ぐらいでやってた気もするな。
  • 午前は悲しいことに午前というだけで参加者少ないので、可能ならば午後だけでプログラム組めると良さげか。
  • 発表者への評価的な何かか、聴講者との結び付き的な何かをサポートする何かを導入した気もする。何か。

第14回沖縄複雑系研究会が終了

土曜日, 2月 3rd, 2018

第14回沖縄複雑系研究会が終わりました。多少延びましたが、予想の範疇で終われた座長含めて参加者皆さんのおかげですね。

元々は琉大情報4研究室+沖縄高専2研究室でしたが、去年ぐらいから機械の宮田研が合流し、今回から同倉田研が合流して合計8研究室に。発表者だけで30名。一人質疑込み15分取るとこれだけで450分(約8時間)です。これに休憩・昼食タイム入るので1日がかり。これに教員・先輩・後輩来るので一番多い時間帯では椅子足りないぐらいになってました。発表者も聴講者も座長さんもお疲れ様でした。何か一つでも得られるものがあったなら何よりです。

逆に、何もなかったのならそれは何か参加の仕方が悪いかもしれないし、イベント側の問題かもしれない。個人的には2本足の掟(The Law of Two Feet)という考え方が好きです。単に教員なり誰かに言われたから参加してるじゃなくて、自分で何かを得ようと考えて行動できると良いかな。学会発表とかの外部に出ていくのも基本は一緒です。

(データ解析コンペ2017) 中間発表時点では見通し良さそう?

月曜日, 12月 25th, 2017

10月から始まってるデータ解析コンペの、中間発表が先週終わりました。機械の宮田研中心に発表してきてくれたのですが、他チームと比べると質疑時に聴者からの反応が強かったらしく、最終発表に進める可能性は高いんじゃないかとのこと。実際どうなるかは分からないけど、残り2ヶ月弱で最後の仕上げですね。

FAN2017@岡山大学

水曜日, 11月 8th, 2017

進学すると学会出張に行けて旅先で美味しいもの食べれますよ!(過去の例
という研究室紹介を兼ねたレポート記事です。

今回は、事前にあきお先生情報で把握してた「ままかり」「きびだんご」、そしてはれんち先生情報の「牡蠣」、後は歩いて見かけた「黄ニラ」「デミカツ」あたりか。どれもこれも美味しくいただきました。


第27回 インテリジェント・システム・シンポジウム(FAN2017)に参加してきました。このシンポジウムは、情報処理学会とかの特定学会が開催しているものではなく、電気学会、電子情報通信学会、人工知能学会等の合同開催みたいなスタンスで動いてて、「今年度はどこそこが主催ね」と持ち回りで開催されてます。今年度は機械学会主催だったこともあり、予想以上にそっち寄りの発表が多かったです。制御とかソフトが絡む話が多いですが、8〜9割は機械絡みかも。例えば「車椅子でのトラブルはハードそのもののトラブルというよりは、ヒューマンエラー。これをKinectで環境情報取得し、段差認識することで操作支援に繋げたい。そのためにセンサをこの高さ&角度で取り付けることで環境情報取得しやすくなった」みたいに、何かしらハード運用を含むような話が多い。

情報工学寄りな話もちらほらあったのですが、複数セッションに混ぜ込む形で入ってたのでまとめて聞くのは難しかったか。個人的に気になった発表は以下の通り。


1A2-3, 進化計算による大規模シミュレーションにおける実験回数の削減
例としては災害時の避難でしたが、大規模シミュレーションではそれ自体の計算コストが大きいだけでなく、「道路Aが通れない場合はどうなるか」「橋Bが崩落した場合どうなるか」といった要因全てを網羅的にシミュレーションするのはスパコンでも無理。なるべく低コストで、重要要因を絞り込むことができれば嬉しい。それを進化計算(GA)でやってみた。という話。GAでパラメータを直接最適化するというのではなく、どの要因が重要度が高そうかというメタGAとして最適化する話でしたが、やはり評価関数の設計で苦労してる様子。面白そうなんだけど、解ける問題なのかが良くわからないのだよな。
1A2-4, 学習係数調整による構造適応型リカレントRestricted Boltzmann Machine の分類精度の向上について
深層学習では構造最適化すること自体が難しいので、RBMで自動的に層を増やしたり、ニューロンを追加・削除する「適応型モデル」を提案済み。今回はそれを拡張して、学習率も自動調整させる試みをやってみたという報告。そっちはまだ上手くいってなくて、既発表のAn Adaptive Learning Method of Restricted Boltzmann Machine by Neuron Generation and Annihilation Algorithmが面白そう。というかSMC2016は去年参加したので聞いた話だな。
1A2-6, ロープのマニピュレーションにおける位相幾何を用いた計画法に関する考察
ロープの状態を正確に把握するのは難しく、それを数理モデルとして表現し、操作計画策定等してるという話。静止状態ではまだしも、実際にマニピュレータで操作してて、その際の「腕でつまみ上げた際の変化」を把握するのが辛いらしい。
1A3-3, 事前特徴抽出による部分空間法の改良
クラスタリングの一種である部分空間法は、クラスタを後から追加しやすいメリットがあるが、クラスタ間の重なりに無頓着なのでそこをどうにかしたいという話。PCAして「主成分じゃない成分(固有値が極めて低い成分)」を使うらしいけど、その指標だけだと辛そう。
1A3-4, 標本特徴空間を用いたスパース最小自乗ツインサポートベクトルマシン
SVM拡張の一つ、最小自乗ツインサポートベクトルマシンは比較的高速だがスパースじゃないため、サポートベクトル数が多い。これをスパースにしたいという話。
2B1-1, 動作予測に基づくアシストウェア制御のためのウェーブレット分散特徴量の応用
腰裏に設置してるセンサーでリアルタイムに腰の動きをモニタリングできるが、「どのタイミングでアシストするか」は「実際に該当行動が生じる1秒前から機能して欲しい」ということが分かっており、1秒後の動作予測をしたいという話。モニタリング情報に必要な情報が含まれてるかは微妙に謎だけど、面白い話だ。
2B1-4, ランダムフォレストを用いたカスタマーレビューの半自動分類
分類機を構築する際に、高品質で大量のラベル付きりデータを用意するのは辛い。これを半自動学習でどうにかしたい。SVMやNNだと予測確信度に基いてラベル付与できるが、ランダムフォレストでは用意されていないので、多数決結果で代替するという話。
2B2-3, 成長型自己組織化マップによる強化学習
SOMで状態推定する話をベースに、状況に応じてそれまでの学習結果を壊さないようにニューロンを増やすという話。ただし、SOMだと2次元空間制約が厳しそうな予感&ほぼ同等の話が既にあるらしい。
2B2-6, Quantitative evaluation of collective intelligence expressed in rating evaluation of computer chess
集合知の質的評価に取り組むことを目的とし、「2〜3人協力型のチェス」で検証してみたという話。ユーザ間の協力方法は「協力相手に手を提示し、選ぶだけ。その手を何故選んだか等の情報は自身で解釈検討する必要がある。選んだ手が割れた場合にはランダムで決定」というもの。これだけでもそれなりにスコアが上がるとのこと。

ieLT#8 秋のLT収穫祭終了 #ieLT

土曜日, 10月 7th, 2017

こんな感じのプログラムでLT大会が開催されました。喋り方や演出がLTっぽい学生増えてるな。意識してそうしてるのかしら。

学科的には、元々新入生向けイベント的に開催してたやつですが、(毎回だけど)有志が集って秋開催に繋がったらしい。内容的には、今年の春にやってたやつよりも新入生に伝えたい話が多かった気がする(主に前半)。会場実参加者的は開始後も増え続けて40人ぐらい?(発表者含む)。 TL見る限りUstream視聴もいたっぽいので全体としては50人ぐらいはリアルタイムで見てたのかも。

全学年集まってたので、ある意味こういうお祭り騒ぎ的なものが好きなメンバが集まったといえばそうなんだろうな。(イベント自体に気づいてない人も少なく無さそうなんだけど、入学したばかりの時期ならともかく、今の時期でnews-ie/Slackあたりをチェックしない人にあれこれやるってのもなぁ)

第548回「親の子育て、就業と貧困問題ー社会的保護の展望ー」 #参加メモ

月曜日, 9月 11th, 2017

先週土曜日のイベントメモ。デザインスクールのテーマとかなり近いということで、沖縄大学の公開講座「親の子育て、就業と貧困問題ー社会的保護の展望ー」を覗いてきました。

以下、参加メモです。當間視点で書いてるので間違ってる可能性あり。

<目次>


[ 全国貧困率の結果と沖縄の位置づけ by 山形大・戸室先生 ]

 都道府県別貧困率を調査した火付け役。貧困問題が注目され始めた当時は全国平均しか数値がなく、この状態で都道府県なり自治体なりで対策を取ろうにもそもそも把握できていないということで、都道府県別の数値を算出したとのこと。

 国が算出した相対的貧困率は貧困線に基づいたもの。貧困線をざっくり説明すると「世帯所得の中央値の半分の額」。平成25年国民生活基礎調査では122万円が貧困基準。中央値の半分にも満たないという点で相対的に貧困としている。金額からかなり厳しい生活状況だと想像できるが、いくつか問題がある。例えば、貧困世帯の収入が同じままで、裕福層だけが所得が減少し、貧困線が120万に下がったとする。所得が120〜122万円弱の世帯は、所得が変わらないにも関わらず基準が変わったために「貧困ではない」とみなされてしまう。
 相対的貧困よりもベターな指標を使いたい。その一つとして、総務省「就業構造基本調査」と厚労省「被保護者調査」を使って都道府県別に算出した。ざっくり説明すると、憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」に基づいた都道府県別基準である生活保護基準を用いて、世帯別に算出したもの。その結果がこの報告

 前者の相対的貧困率では全国16.3%、沖縄29.9%(1位)で約1.8倍。
 後者の生保基準貧困率では全国13.8%、沖縄37.5%(1位)で約2.7倍(2012年)。2位は大阪21.8%で大きな差がある。20年前と比べても上昇幅が全国を上回る。貧困率が高い地域はワーキングプア率(低賃金)が高い。また、貧困世帯のうち生活保護を受講している世帯割合(捕捉率)は15.5%。

 沖縄の最低賃金は714円。仮に月20日*8時間で1年間働いたとしても約137万にしかならない。これは「健康で文化的な最低限度の生活」を営める金額なのか。ある閾値を基準としてゼロイチ判定しているのも問題ではないか。捕捉率はヨーロッパだと7〜8割程度に対し、日本平均が2割と低すぎるのはどこに問題があるのか。


[ ひとり親世帯における養育と雇用・就労問題 by しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄・秋吉さん ]

 ひとり親で苦しんでいる人が大勢いる。中でも母子世帯の貧困状況は酷い。具体的に動ける人数が少ない中、より大きな結果を出すには政治への提言だろう。そんな思いから立ち上げ、窓口として調査・整理・提言や、ひとり親への相談対応等しているらしい。

 沖縄県のひとり親世帯(2011年調査)は約3.5万世帯。このうち母子世帯が3万、残りが父子世帯5千世帯で約85%が母子世帯。この割合は全国(約146万世帯)で見てもほぼ同様の割合。
 沖縄県の母子世帯になった理由は、離婚79.3%(80.8%)、未婚12.2%(7.8%)、死別4.9%(7.5%)。カッコ内は全国の数値。どちらも離婚が多く、死別に関しては沖縄は約半分程度と少ないこと、未婚状態で母子世帯となる割合が倍近い点が特徴か。母子世帯になったときの年齢が20歳未満である割合が2.8%(1.6%)と高い点も沖縄の特徴。
 ひとり親世帯になった直後に困ったことは、母子世帯では生活費が圧倒的で83%、次に仕事39%、子育て・教育33%、借金返済21%。これに対し父子世帯では生活費60%、子育て・教育52%、仕事42%、家事32%。子育て・教育・家事で困るのが男親らしいといえばらしいか。

 収入を比較すると、沖縄の母子世帯155万円(181万円)、父子世帯209万円(360万円)。カッコ内は全国平均。
 養育費等の手当てを含めると、沖縄の母子世帯185万円(223万円)、父子世帯232万円(380万円)。
 母子世帯全体に占める生活保護受給世帯は、H23年全国母子世帯等調査によると受給しているのは14%。他は受給していない。沖縄の場合、子どもを預ける場所・職場・急病等での移動等を考慮すると車が必須であることが多いが、生活保護は車があるだけで受給できない。究極の選択を強いられ、受給しない道を選んでいる世帯が多い。

 母子世帯の就労率は沖縄87.5%(全国80.6%)で、これは世界的に見ても高い数値。ひょっとしたら世界一かもしれない。沖縄県の母子世帯正規職員での平均就労収入は209万(全国270万)。パートアルバイトだと124万(全国125万)。母子世帯の母の最終学歴と相関が高いが、大学・大学院卒でも45%は200万円未満であり、上位の26%が400万以上と押し上げている点に注意。
 母子世帯の母が仕事を探す際の条件は、勤務時間・収入・急用への対応の3点。だが条件に合う職場を見つけるのは困難。結果的に収入が低く、電気・電話料金・ガス・家賃等の対応経験がある家庭も多く、それどころか「過去1年間に食料を買えなかった経験がある」母子家庭が45.6%あり、これは最早相対的貧困どころの話ではないのでは。


[ 子どもの貧困は親と地域の貧困から:中小企業における「人を活かす経営」の取組事例 by 副代表理事・宮城さん ]

 全国の中小企業同友会では「良い会社をつくろう」「良い経営環境を作ろう」ということを目的に掲げていることが多い。これに対し、沖縄の同友会では「良い経営者になろう(学ぼう)」も加えている点が違う。中小企業が個々にやれることは少ないが、集まることでやれることは増える。学びの一環として、良いものを共有・蓄積して広める活動をしているとのこと。
 今回は具体例として大宮工機における長年の取り組みが上手くいった例の紹介をされていました。結果としてエコアクション21認証を受け、IT経営実践認定を受け、障害者雇用もうまく動いているようです。

 他にも就業規則の改善例の紹介がありました。
 例えば就業時間。古くは明確な規則がなく、日曜日だけが休み。平日は8時頃まで残業なことが多かった。そんな中、育休で事務職員が一人暫く欠けることに。パートは見つかったがベテラン1人と比べると新パート1人だけで業務が回るとは思えないため、過去に働いていた経験のある元職員に声掛けし、快く引き受けてもらえたため業務を回せるだけでなく、IT導入により簡素化もし始めたため若干時間があまる状態に。また、育児などのため早めに帰りたいという要望もあったため、業務時間と業務日を減らす一環としてまずは事務職のみ週休1日から「3週5休」してみることに。そのため「業務は18:30まで」と社外に声掛けした所、実際に早く業務が終わった。18:00, 17:30,,,と5,6年かけて段階的に減らしてみた結果、今では17時過ぎには会社に誰もいない状態に持ってこれた。ブラック企業等の話題が上っている今の時代だからやれたことかもしれないが、結果的には業務時間&日数を減らすことができている。
 人を大事にする改善を続けた結果、採用にも変化が現れてきた。中小企業のため合同説明会が中心だったが、ここ最近は中途退職者による声かけ等、「**さんから話を聞いた」というケースが増えてきた。
 今後も人材は減っていくことを踏まえ、人を大事にする業務改善に取り組みたい、とのこと。


今回の貧困問題に関する土曜教養講座は今後も継続して続ける模様。

子供科学人材育成事業・サイエンスリーダー育成講座(AIの先生になろう!) day3

日曜日, 8月 13th, 2017

[ day1 | day2 | day3 ]

全6日間プログラムのうち半分が終わりました。6日間の内、最終日は合同での成果発表会なのと、全6日間が「8月に3日間、1ヶ月後に3日間」と変わった日程なので、後半4,5日目はそもそもどれだけ覚えてるかという話もあるし、後半からしか参加できない受講生もいるとのことで、実質的な内容は今日までの前半3日間で終わりになるんじゃないかと想像します。9月からの2日間は、復習しながら発表資料の作成が主題にならざるをえないかなと。

今日の内容は、2日目の時点では「誰かが数値化したデータ(正確には、受講生らが適当にプロットしたデータ)」を前提として機械学習を適用してみて傾向を眺めるという話を踏まえ、「実際の現場では対象をうまく数値化する必要がある」という話に突入。グループを「顔画像」「風景画像」「文章」の3つに分け、各々TAサポート付きで数値化の仕方や、前処理の有無で何が変わるかを観察してみたりという一日でした。

観察しながらわかったこと・疑問点等をgoogle documentで整理させていたのですが、一部を抜粋するとこんな感じです。

入力データ作りの手法(担当:文章)
形態素解析
 自然言語のテキストデータから対象言語の文法や辞書と呼ばれる単語の品詞などの情報に基づき、形態素の列に分割し、それぞれの形態素の品詞を判別する作業
 例)私は今日 1時まで起きていた
   私 / は / 今日 / 1時 / まで / 起きて / いた

Ngram
文字Ngram N=2
 例)私は今日 1時まで起きていた
   私は は今 今日 日1 1時 時ま まで で起 起き きて てい いた
Bag of words
メリット
 構造がシンプル
デメリット
 語順が考慮されていない
 単語の意味的な表現を理解しない
前処理前後の変化
 精度が0.94から0.92に下がって速度が1051秒から719秒に上がった
今日の講座のまとめ
・色々な素材をデータにする手法を調べよう
 どの方法にも長所と短所があるため、その時々で使い分けが必要
・前処理前後の変化
 前処理をしたことによって特徴が失われ精度が下がることがある

TAサポート付きだけど、これ、高校生自身が「見て、聞いて、書いた文章」だよ。凄い。

「この講座で知ったことを教えてあげよう(3人以上)」という宿題も出ました。受講生ら自身が他にやりたいこともあるだろうし、負担にならない程度で復習にもなって良いですね。

次回、残り3日間は9月16日〜18日になります。

P.S.
受講生らによる参加ブログ(受講生が会場で書いたのを、主催側が記事として編集してる)の方に1日目のブログが公開されてました。どこまで楽しんでくれたかなー。

子供科学人材育成事業・サイエンスリーダー育成講座(AIの先生になろう!) day2

土曜日, 8月 12th, 2017

[ day1 ]

2日目が終わりました。昨日と打って変わってとてもハードな内容でしたが、高校生らはどう感じたかなーw。

どうハードだったかというと、、

  • 多層パーセプトロン、SVM、ランダムフォレストの特徴を検索して調べてみよう。(!?)
  • 機械学習使ってみよう。(わかる)
  • モデルによって得意とするデータセット、苦手なデータセットがないだろうか?(わかる)
  • 同じモデルでもパラメータ弄るとどうなるだろうか?(わかる)
  • 調べた特徴や、動かしてみた結果からわかったことを他の班に教えに行こう。(わかる)

こんな感じ。まだ1日目終了時点では「機械学習ってデータの傾向をうまいこと利用するモデルなんだよ」ぐらいのイメージを持ってもらったぐらいで、2日目朝からいきなり「アンサンブル学習ってのがあって〜」「マージンというのは」とか喋りだすという。いや勿論授業として話し続けるだけのやり方ではなくて、グループ毎に調べたページにでてくる文章をTAが噛み砕いて説明するとかしながらではあるのだけど。TAの使い方としてはとてもうまいなと思います。一方で、高校生側が得ているものが何かがやや気がかり。

どこまで用語やそのイメージを掴み取ってるか分かりませんが、丸一日かけて「機械学習で遊んでみよう。分かった点は整理して、不思議に思った点は質問しよう。整理した結果を他の班と共有しよう」してたようです。受け身で話を聞いてるだけではなく、手も口も動かしてる(アウトプットしてる)ので、「機械学習のイメージ」が形成されつつあるのかなぁ。

P.S.
ツールとしてはMLDemosなる可視化サポート付きのものを使ってました。講座終了後に使いやすい(インストールしやすい)のもメリットか。

子供科学人材育成事業・サイエンスリーダー育成講座(AIの先生になろう!) day1

金曜日, 8月 11th, 2017

news-ieで募集して、遠藤研・澤崎くんが担当することになった高校生向け講座が始まりました。当初の予定では100%丸投げのつもりだったんですが、私の名前も併記する方向に流れてしまったのであれこれ小姑よろしく気づいたところにコメントするぐらいのサポートをしてますが、教職免許持ってる大学院生だけあって安心感があります。

1日目は、受講生も相互に知らない人ばかりで、グループ組んで作業することも多いということでそこの垣根を取っ払う工夫が随所にありました。単に自己紹介するだけでなく、基本的には1体1の形で全員個々人で対面する形で話をさせ、簡易的な他己紹介っぽい形式を取ったり。グループ毎のメモ環境を用意したり。私がやってたらそのあたりはかなり時間削っちゃっただろうな。

内容的には、一般的な認識での人工知能を確認し合うことで各々の知識を把握して、それをベースに大学や研究的な意味での話や、現状稼働しているサービス・未来のサービス・いくつかのキーワードについての調査タスクを与えてグループ毎に実施。グループ毎にTAサポート付きでやって、ある程度インプット溜まってきたらグループ間交流。

ということで、今日は具体的な人工知能についての話はほぼなし。1日かけて仲良くなろう&共有認識を作ろうという日に費やされていました。このぐらいのペースが良いのかもね。参考になります。

P.S.
受講生側のブログというがあるらしく、多分これかな。澤崎くんの講座以外にも複数並列で走ってるので、一度のタイミングで更新されるかわからないけど、楽しみに待つとしよう。