卒研最終発表が終了
木曜日, 2月 22nd, 20182017年度卒業研究発表会が終了しました。発表者もそうですが、当日までのサポートに加えて当日の座長も担当してくれた院生の皆さんもお疲れ様でした。明日もちょっとしたタスクがありますが、終わった後はまずは体と頭を休めましょう。その後で、B4の皆さんはやり残したことや今日もらったコメントを元に、成果を整理しましょう。後輩に引き継げる状態にするところまでがお仕事です。
例年のことですが、今年も判定会議で揉めそうな発表がありますね。「研究」とは、例えば、、、
研究と称される行為の目的は多種多様であり、自明に求められる成果は目的によって異なる。
学術的研究
学術的な研究の目的は、突き詰めれば新しい事実や解釈の発見である。それゆえ研究の遂行者は、得られた研究成果が「新しい事実や解釈の発見」であることを証明するために、それが先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)も示す必要がある。(by wikipedia:研究)
というように、「新しい事実や解釈の発見」が本質的な目標ではありますが、工学の観点からは「新しいモノの開発」であったり、「その過程を通して得られた知見」といったことでも構いません。それまでに存在しないモノならば、それは『先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)』に該当しますので。
例えば、同時に数十万人が同時に楽しむゲームアプリがあったとしましょう。お金が無限にあるならサーバ環境を強化しまくればいいですが、実際にはそんなことはありえないし、可能な限り低コストに抑えたいのが運営側の本音でしょう。しかし、楽しむのを妨げるほどの低スペックだとユーザが離れてしまいます。そこで可能な限り低コストで環境構築なり運営保守なりをしようという要求はよくある話(=ニーズや問題)です。では、そのような「よくある問題」ならば、それをどうにかしようと取り組んでいる事例は山のようにあるはずです。それが調査研究や事例調査(サーベイ)と呼ばれているもので、まずは関連事例を調べ、その問題をどのように定義しているのか、どのように取り組んでいるのか、どこまで解消できているのかを調査や再現といったことを通して学んでいきます。多くの場合、その過程を通して関連知識を学びますが、その学びの過程で、解決されていない問題に気づいたり、より良い解決手法を思いついたり、より制約の少ない問題設定拡張を目指したりといったことを目指していくようになります。これが広い意味での「新しい事実や解釈の発見」です。うまいこと「負荷分散するアルゴリズムの実現を目指してゲームアプリやサーバ環境を開発する」みたいな話でも良いわけです。ゲームだから駄目とかではありません。重要なのは「新しい事実や解釈の発見」です。
このような話を踏まえると、仮に研究内容が「パーツを買ってきて組み立てPCを作りました」みたいな話で終わってしまうと、どのあたりに『先行研究によってまだ解明されていないこと(新規性)』があるのでしょうか。何かしら目新しいことに繋がる要素を盛り込んで、新たな知見を得ることが主題になっているのであれば構いません。そのような問題設定になっておらず、「すでに世の中にあるものを作りました」だけで終わっている内容だと、それは演習や卒業制作的なものであって、研究ではありません。
また、勘違いしている学生が多いのですが、卒業研究や修士研究は成功しなくても良いです。次に活かすための知見が得られればOK。言い換えると、卒業研究のゴールは知見を得ることであって、得られた時点で「卒業研究としては成功」です。
とかとか。質疑応答時間だとそこら辺の話するのは筋違いでもあるので控えるようにしてますが、気持ち的にはわりとモヤモヤしてます。例年のことですが。
P.S.
書き忘れてたので追記。同期の発表を見に来ない卒研生が多いのはちょっと悲しい。4年次の最後の発表で強制参加させるようなのも悲しいし。しくしく。