Archive for the ‘デザインスクール’ Category

沖縄が突出して子どもの貧困割合高い理由?

金曜日, 9月 1st, 2017

今年のデザインスクールのテーマ「子どもの貧困対策」について少しずつ勉強しているわけですが、全国平均16.3%と比べると沖縄県は29.9%と2倍近い数値になっています。地方だからというだけならここまでの差はでないはず。ということで集めた情報源を元にそれらしい理由を探ってみています。

今のところ一番しっくり来る説明は、子どもの貧困問題と大学の地域貢献で出てくる背景説明です(下記)。

  • 戦後27年間、米国の統治下にあった特殊事情。沖縄は日本政府の財政援助から除外され、日本本土との社会資本・生活基盤の格差、所得格差が生じた。
  • 孤児があふれ、父親や夫を失った家族は、母子家庭で支え合い生活をしていくために懸命であった。まともに義務教育を修了していない者も多かった。
  • 沖縄の人々の生活は米軍からの配給によるものだった。
  • 基地周辺の米兵を相手にする特飲街の形成は、基地の街として発展したが、共生を強いられた歪な発展であり、米国基地の存在と基地経済によって沖縄の地場産業を含む経済基盤が十分な成長が遂げられなかった。
  • 復帰後の沖縄の振興政策は、少なくとも1970年代は本土との「格差是正」を目標としていたわけであるが、公共事業、観光、基地の「沖縄3K経済」を推進する高率補助や外発的な圧力を受けることで歪な社会構造が形成された。これは格差是正を目指していたが、結果としては県外との格差だけではなく県内格差も顕在化させた。

ざっくりまとめると、戦後米国統治下に伴う結果(約27年間)と、復帰後の目先優先政策(約8年間?)の合計約35年間(1945年〜1970年代)もの間、教育・福祉問題が後回しにされがちで人的リソースへの投資がおざなりだった。加えて目先優先政策だったので3K経済ばかりが発展するという歪な発展を遂げた。ということかしら。1945年生まれの人は今72歳。教育機会と考えると+10歳ぐらいした現82歳〜47歳の35年間ぐらいが「教育機会が少ない環境下を強制された」世代なのかしら。(この見積もりは怪しいが)

加えて、米国統治下時代は特に死亡を含む暴力も身近だったわけで、行きていくのに必死だった人は少なくないのでしょう。そういう環境だったことが暴力の多さ(?)にも繋がってたりするのかな。

生徒に共通するのは“アメラジアンとしての教育”を必要としていること

木曜日, 8月 31st, 2017

「日本語と英語の両方を学んだということではなく、英語でも日本語でも教科書が読め、意見が言える。アメリカ・日本どちらでも生活ができ、必要とされる。そして2つの文化を身につけ、アメラジアンであることに誇りを持ち、アイデンティティを育て、生きる力を育むことを目標としている」

恥ずかしながらアメラジアンスクールなるものがあることを知りませんでした。インターナショナルスクールとは異なり「2つの言葉“で”学ぶ」と。理由は様々のようですが、沖縄では年間およそ 300 人が出生らしいので、それなりのニーズはあるのでしょう。ここに「若年出産・若年無業率・非正規就業率・離婚率等が高い本県の状況」が合わさると、ニーズという言葉が適切なのか分からなくなりますが、表には現れにくい様々なケースがあるのだろうなとは思います。

掛け算に順序導入するとか意味の分からないローカルルール作るぐらいなら、多文化教育に力入れるべきじゃないのかな。大学でも縦割り見直しとか言ってるけど、工学部だけじゃなくて全学部で、もっというと高校含めて文系理系とか言わずにSTEM教育目指したほうが良いんじゃないかな。

分からないことはまず調べてみる

木曜日, 8月 24th, 2017

デザインスクールが始動ということで、イベントサイトの方に今回のテーマ「子どもの貧困対策」の概要紹介記事を書いてみました。そっちに書いたけど、対象は子どもなんだけど関連する要素が多い(多すぎるともいう)のと、個人的な観測範囲での話は多少できるけどそれはそれで偏ってるしということで基本的には門外漢です。初心者なら初心者なりにまずは調べ学習しようかということで、

  • 沖縄+貧困ぐらいのキーワードで引っかかる比較的新しめの論文を図書館で複写依頼したり。最近はオンラインでやれて楽ちんだ(私が学生だった頃は当然のように手書きだったし、検索のためにも図書館に行く必要があった)。
  • 上記でも出てきますが、Amazonや県内書店の沖縄棚で関連しそうなものをピックアップしたり。

と、一先ず情報収集してみてます。勿論こうして拾える情報には何かしらバイアスがかかってる可能性もありますが、ある程度の量を揃えてそれなりに幅広く読めばそれなりの傾向も見えてくるよねということで、調べ学習の重要さは変わりません。

集めた書籍の一つ、「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」を読み始めているのですが、もう、恐い。取材対象の時点で偏ってるというのはあるけれども、半分ぐらいまで目を通した感想としてはとにかく「クソな野郎が多い」。沖縄は若年出産・若年無業率・非正規就業率・離婚率あたりの高さが一つの悲しい特徴ですが、それを生み出してる一要因が野郎にあるのは当然なんだけど、出て来る事例の酷いこと。一方で、そのような野郎(e.g., DV男)を生み出してる背景はなんだろうねとも考えるわけですが、実際問題として何なんだろう。子どもの貧困自体は全国的にも問題視されてるけれども、ここまで沖縄が突出して多い理由はなんぞや?

デザインスクール2017がそろそろ始動

水曜日, 8月 23rd, 2017

去年で終わりという可能性もあったのですが、今年度も実施できることになりました。こんな感じで少しずつ中身を具体化していってるのですが、どうにか2017年度の実施日&テーマがほぼ確定しました。

日程: 11/23(木,祝)午後開始, 25(土), 26(日) の3日間
 *11/24(金)は平日のためプログラムなし。
内容: 子どもの貧困

という大枠で開催することになります。告知&募集を兼ねたイベントサイトの方も少しずつ準備を始めています。テーマ補足記事書いたら募集リンクを準備する予定なので、早ければ今週末には募集開始できるかしら。

詳細プログラムはまだまだこれからですが、基本的にはこんな感じの流れになります。

1日目: 基調講演による情報&討論切っ掛け提供。グループワーク。
2日目: フィールドワークやグループワーク、発表準備。
3日目: 発表準備仕上げ。昼過ぎ(?)から発表会。

といった形ですね。運営側として準備するのは初日の基調講演と最終日の発表会ぐらいになります。それ以外にも細かい部分の調整をしていきますが、実際に頭や手を動かしてもらうのが中心になるので大枠は変わりません。

興味のある人は上記3日間の予定を空けておいて下さい!

現場で動かれている方からの講話?

木曜日, 8月 3rd, 2017

デザインスクール仕込み話。

先日は子ども未来政策課さんにお邪魔した結果、子どもの貧困を把握するための調査結果、それに基づいた指標作り、課題設定といった話を提供頂くことができそうです。一方で、調査結果はかなり抽象化された数値情報が中心ということもあり、個別の状況についてはあまり具体的なところが見えてきません。

フィールドワークを通して体感することもできますが、最初に与える情報源として現場寄りの話も提供したくなり、今日は子どもの居場所学生ボランティアセンターさんにお邪魔させて頂きました。

センターがやられている概要や事例報告はこちらにありますが、基本的には「身近なお兄いさん、お姉さんとしての立ち位置で学習・生活・芸術活動・給食等の子どもたちと接する活動」を展開されている模様。ただし学生に丸投げするのではなく、ボランティア学生を派遣する際にはそもそも市町村の窓口にて推薦を貰った上で定期的な現場確認をすることで状況把握に努めたり、学生には事前研修だけでなく日々の報告やメンターとのやり取り等、「学生自身の成長」に繋がる支援体制を構築しているようです。去年?から始まったばかりのようですが、凄い。デザインスクール側からの希望を伝えた所、多数の現場経験をもつ研修担当の方々と調整の上で講話頂くことができそうです。また、ボランティア学生ら自体がデザインスクール受講生として参加することも期待できそうな雰囲気です。

こんな状況なので、これまで以上に「現場密接な討論」が期待できるかもしれません?

テーマ確定しても問題なさそう?

火曜日, 8月 1st, 2017

デザインスクール仕込みの話。先月から京大さんとの打ち合わせが始まり、仮確定で「子どもの貧困」テーマについて問題設定としての触感を探ってみようという話を進めています。

今日は「子ども未来政策課」さんにお邪魔して、子どもの貧困に関して把握している現状や問題点、将来像とそれに向けた動きについて伺ってきました。ありがたいことに、当日の基調講演対応も含めて前向きに検討頂けそうな雰囲気です。少し気がかりな点(話の広げ方次第で際限なくテーマが膨らむ)もありますが、個人的には意図的にノータッチにしたいかな。

それとは別に、話の流れで「こちらからはマクロ視点としての情報提供をして、それとは別に現場からの話も合ったほうが良いのでは」ということに。いくつか候補案はあるのだけど、どうしますかね。

デザインスクール仕込み始め

月曜日, 7月 3rd, 2017

ここ毎年11月に京大さんと合同実施しているデザインスクール(2016年度の例)を、今年も開催すべく動き始めています。実際には4月だったか5月だったかぐらいからちらほら動き始めてますが、京大側とのミーティングが始まったという意味では今日からになります。日程的にはほぼ確定で、11月23日(木,祝)、25日(土)、26日(日)の約3日間に跨るプログラムになる見込みです。テーマは「子どもの貧困」になる予定ですが、まだどうなるか分かりません。

とかとか、いろいろここ数年で動きがあるようなのですが、いかんせん門外漢なので具体的な状況が良くわからず。中心課題としては良さそうですが、当日どういう方向に話が進みそうか見積もるためもう少し情報収集することになりました。

具体的なテーマ&プログラム提示して受講生募集するのは早くて来月になりそう。

良くわからない分野に突撃する時は取り敢えず情報収集

金曜日, 5月 19th, 2017

デザインスクールの準備をぼちぼち始めています。「デザインスクールって何?」って人はこの記事眺めてみるとイメージしやすいかな。一言でまとめると「他流試合形式(他分野学生らとグループ組むという意味)で問題発見・解決するワークショップをしてみよう」というもの。単にアイデア出しとかするだけならプロジェクトデザイン1(工学基礎演習)プロジェクトデザイン2と被る部分が多いですが、大きな違いは2つ。

・京大の大学院生が全グループにファシリテータとして入ること。
・情報工学科(知能情報コース)以外の学生ともグループを組むこと。

全グループに事前準備した京大院生が入ってくれるので、「はいやってみてー」のような投げっぱなしではなく、より身近で細かいアドバイスを貰いながら取り組むことができます。また、色んな分野の学生さん(去年は沖国学生も参加。更にその前の年は留学生も参加)とグループ組めるので、物事の見方や考え方の違いを体感しやすい環境です。

予算の都合(主に京大関係者が沖縄に来る予算)でもう終わりかなと思ってたのですが、どうやら2017年度も開催できるようです。例によって11月。まだ調整中ですが恐らく「11月23日(木,祝日)、25日(土)、26日(日)」の3日間での実施になると思います。受講生募集はまだまだ先ですが、それに向けた準備を始めてます。一番大きなのはテーマ検討ですね。

上記のように毎年何かしら沖縄らしいテーマを設定しています。去年のテーマがめちゃくちゃでかかった(物理的にも抽象的にも)ので今年どうしようと悩みまくってますが、遠藤先生案で今のところ叩き台を作っているところです。どうなるかしら〜。

[募集] デザインスクール、学部・大学を問わず受講生募集中です!

火曜日, 10月 18th, 2016

詳細は公式サイトにて。
以下、イベント概要です!

期日: 2016年11月19日(土)、20日(日)、21日(月)夜 (週末2日間+平日夜)
場所:琉球大学地域創生総合研究棟1階(予定) *人数次第で変更予定

今回は「普天間飛行場の跡地利用」というテーマを題材に討論する短期集中型のワークショップです。

主催の1つに情報工学科が入ってる割に「情報工学らしくない」テーマですが、元々の狙いが「社会で求められる問題はそもそもが複合的な問題であり、1つの分野単独の知識だけでは完結しない。そのような状況で課題発見から解決までを行う短期集中型のワークショップ」だということと、折角京大さんが沖縄に来てくれるので沖縄らしい題材を扱いたいということからこのようなテーマ設定になってます。

共同主催の京大側院生は、ファシリテータとして分野の垣根を超えた討論方法を学んできた上で参加してくれますし、年々受講生の専門分野が広がりつつあるので、幅広い視点からの物事の捉え方・整理の仕方等を実際に体験したい人におすすめです。

話を聞いてみたい人はここへの書き込みなり、リンク先にある連絡先なりで連絡頂ければ対応します!

学部・大学を問わず募集してます!

京都大学サマーデザインスクール参加で気づいたこと(その1: 専門家の関与度合い)

月曜日, 9月 12th, 2016

前々からプレイヤー参加したかったデザインスクール。琉大側では運営に回ってる都合上無理でしたが、今回は本家のSDS2016に参加することができました。運営や視察では気づけなかった体験が得られたということで、その備忘録を兼ねて書いていこうかと。


[ テーマ提供者(専門家)の関与度合い ]

一言でまとめると、「デザイン≒研究」だということを強く意識できた3日間でした。

沖縄での合同デザインスクールでは、「テーマ」を設定するのは原則として運営側です。第三者や実際に問題直面してる関係者から聞き取り調査等して考慮することもありますが、運営側が主体となって調整しています。テーマに関する事前情報の提供は講演などの形で終わることが多く、ワーク時にはその話を踏まえることはできても、専門家が不在のため推測・想像の域を出ないことも少なくありません。こうすることの大きなメリットは「京大と琉大の意向を反映しやすい。ワーク時の自由度が高い」。「スクール」であるので、最終的なアウトプットの良し悪しと同じぐらいに「ワークを通して何を学べたか」が重要で、この辺りを運営側で調整しやすいというのがメリットです。逆にデメリットは、ワーク時に「誰に聞けば知りたいことを教えてくれるのか不明で、相談しながらのワークは難しい」ですね。情報工学科の例としては、プロジェクトデザインという講義であるテーマに対して討論するという経験を体験させていますが、基本的に専門家不在です。

本家のサマースクールでは、運営側で抽象的なテーマを推奨することはあっても、原則としては自由。ただし何でもありというのではなく「スクール」としてどういう学びを提供したいかということについて、数年かけて共有認識を作り上げた上での自由という文脈が付いています。テーマ提案者がワークのファシリテータを兼ねている分、(テーマ次第ですが)その道のスペシャリストと共に文脈を読み解いたりする等、専門的な知見をベースにしたワークを実施できます。一方で、実施者次第ですが「最初から想定しているゴールへ誘導」するような形になっちゃわないかがやや疑問です。この辺りは「スクールに関する共有認識を上手く擦りあわせておく」ことが必要不可欠でしょう。