Archive for the ‘イベントレポート’ Category

FIT2011, day1

水曜日, 9月 7th, 2011


FIT2011の初日が始まりました。

1日目のプログラムはこちら

FITに参加し始めたのは去年からなんですが、年々全国大会並に参加者が増えてるんじゃなかろうか。一日の構成は「午前中に1セッション、午後に特別講演と1セッション。これらと並行してイベント企画や展示会」となっているのですが、この1セッションあたりの並列度が21個もあって、全体の1割見るのすら無理になってたりします。予稿自体は見れるから良いというのもあるけど、ちょっと広く薄くなり過ぎてないかなー。狭く濃くやるなら研究会に行けよという話ではあるので、そっちにも参加する予定ではありますが。

という訳で、あくまでの私自身が参加したプログラムに関する備忘録になります。

午前中はイベント企画機械学習の最前線
参加してから気づいたんですが、IBISML(情報論的学習理論と機械学習)研究会(Web URL、Twitter: @ibisml)主催のチュートリアル企画でした。興味があってMLにはROM参加しているのですが、どおりで興味のあるテーマが揃ってるチュートリアルな訳だ。プログラムにもそう書いててくれれば迷わなかったのにー。

午後は特別講演と下地くん発表の一般物体認識セッションに参加してきました。

青字は質疑応答時のやりとりですが、ニュアンス自体が大分違ってる可能性が高いです。

食事の様子はこちら


目次
イベント企画: やさしく分かる機械学習の最前線 ~データから意味を読み取る~
 ・隠れた構造をあぶりだす ~トピックモデルを用いた潜在意味解析~
 ・こんなに使える最適化手法
 ・自然画像の事前確率分布を応用した画質改善

特別講演: 粘菌の行動知 ~原始生命システムの自律分散情報処理~

一般セッション: 一般物体認識



イベント企画: やさしく分かる機械学習の最前線 ~データから意味を読み取る~

隠れた構造をあぶりだす ~トピックモデルを用いた潜在意味解析~

文書
 同じ文書で現れやすい単語のまとまり(トピック)
 各文書は少数のトピックを持つ
  Q: ツイート等の短文ではそもそも表出するシンボル数が少ないが、問題にならないか?
画像
 同時に共起しやすい(写り込みやすい)対象

トピックモデル=隠れた構造(トピック)を抽出するための確率モデル
 教師無し学習
 拡張容易
  トピックに相関を持たせたり、トピック間に階層構造持たせたり、
  観測データを増やしたり、etc.
 文書に限らず様々な離散データに対して有効性が示されてきている

入力: bag-of-words
 単語集合表現、順序無し
 シンプルな多項分布:全文書の単語が同一分布であると仮定
 混合多項分布:複数の単語分布があると仮定(1文書は1トピックを選択)
 トピックモデル:1文書の単語が複数の分布から生成されると仮定(単語毎にトピックを選択)
  複数トピックを持つ文書も表現可能

PLSAとLDA:代表的トピックモデル
 基本的には一緒で、ディリクレ事前分布を仮定しているのがLDA。ベイズ的。
 ディリクレ事前分布:多項分布のパラメータを生成するための分布
 性能的にはトピック数等実験設定にもよるが
  多項分布<PLSA<混合多項分布<LDA

グラフィカルモデル
 変数間の依存関係を図示したもの

学習(Collapsed Gibbs サンプリング)
 θとφを積分消去:共役事前分布を用いているため可能
 入力:文書データ、トピック数K、ハイパーパラメータα・β
 未知変数:

応用例
 時間変化するトピックの解析
  多重スケール時間(複数の時間スケール)でのトピック発展を解析するためのモデル
 内容と関連するタグの抽出
  ソーシャルアノテーション:SBM、写真共有等
  内容と関連しないタグ:後で読む/これは凄い(主観評価)/etc.
 ファッション推薦
  写真からコーディネートを学習、上衣から下衣を推薦
  上衣と下衣に分けて特徴量学習


質疑応答
Q: スーパーパラメータの推定の仕方は?
A: MCMC+サンプリングからの導出など、事例データからの推定方法がいくつかある。

Q: ファッション推薦の評価の仕方は?
A: 雑誌写真で片方を隠した状態で評価。実際にユーザによる評価もすべきだと思う。

Q: 内容に関連しないタグを抽出すると何に使える?
A: その後の学習等の際に除外することで精度向上等につながる。


こんなに使える最適化手法

計算機性能向上+アルゴリズム進歩に伴い現実問題に対しても有効な手段に
 PCクラスタ利用した例だとスウェーデン全都市TSPでも最適解求まる段階に。

最適化分野の概要
 意思決定・問題解決のための一手段
 定式化+最適解の計算+最適解の検証・分析
 制約条件を満たす解の中で目的関数を最小(最大)にする解を求める問題
  線形計画問題
   数千〜数万パラメータぐらいでも一般的なPCでサクサク解ける
  MIPもほぼ現実的なサイズで解けるようになってきたので、
  研究対象としては非線形なMIP等がトレンドになりつつある

計算困難な組み合わせ最適化問題
 易しい問題
  多項式時間で最適解を求めるアルゴリズムが存在する問題
  割り当て問題→ハンガリー法、最短経路問題→ダイクストラ法等
 難しい問題
  厳密な最適解を求めるのに最悪の場合に入力サイズに対して指数時間を要すると
  臣事されている問題、NP困難問題

現実問題に対するアプローチ
 厳密解法と近似解法
 汎用解法と専用解法
 既存ソルバーの利用
  かっちりとハマる専用ソルバーが見つかる事は稀
  汎用解法のソルバーもいろいろ揃ってきている
 自分でソルバーを開発
  試行錯誤に十分な開発期間があれば良い選択肢。
  ランダムウォークの方が効率良いことも。

事例
 集合住宅における電気自動車の充電計画
 事業所における電気自動車の充放電計画
  時空間ネットワーク(time-expanded network)
 統計的機械翻訳におけるフレーズ対応
 基盤検査におけるプローブ経路計画
 多角形詰め込み問題


Q: 整数計画問題→線形計画問題にして解き、後で丸めてしまうのが楽という話が
 あったが、0,1しかでてこないケースでも良いのか。
A: 問題によりけりだが、0,1のケースでは丸めるのは難しい。
Q: 0,1変数しかない場合で解き難いケースでは、メタヒューリスティックに行くのが良い?
A: 0,1変数でも分枝限定法なりで解けるケースもある。
 必ずしもメタヒューリスティックが良いという訳ではない。


自然画像の事前確率分布を応用した画質改善

事前確率分布
 函館といえばイカ刺しが美味しいはず!
尤度分布
 ひょっとしたら今朝のホテルのイカ刺しは
 東京で食べるイカ刺しと同じ味かもしれない?!
事後確率分布
 しかし「事前確率分布」の思い込みの分だけ、
 実際にイカ刺しは美味しく感じます!

事後確率最大化法(MAP法)を応用した画像処理紹介
 超解像処理、ぶれ回復処理、デノイジング処理、、
 逆問題として定式化:不良設定問題
  y=Ax+n, E(x)=||y-Ax||^2_2
  事前確率分布を設定することで一つに特定しやすくなる

事前確率分布(思い込み)が大事
 観測する前から分かっている情報(思い込み)を数学的に表現し学習するのが難しい
 適応的事前確率分布モデル
 事前確率の更新(繰り返し処理)

事前確率分布を使わない方法:ML法
 ML法:最尤法(尤度最大化)
 MAP法:事後確率最大化(事前確率分布を利用)


Q: 事前情報のアップデートはずっと続けるとoverfittingになるのか?
A: はい。
Q: どうしたらよいか?
A: 経験的にやることになるが、PSNRを示せる真値のあるデータで
 やってみるのも一つの方法。

Q: 事前分布を構成する部分についてMAP推定しているが、
 ベイズ使うなら1点を求めるのではなく分布を求めるのが自然に思う。
A: その通りで、最良推定に近くなっていると思う。分布を求めることも可能。

Q: 画質改善の場合、見栄えを良くする場合と真値にすること自体が目的の場合とで
 分けて考えるべき?
A: その通りで、犯罪捜査のようなケースだと真値が重要。見栄えの場合は、
 方法論としてTV対応等の場合にリアルタイム処理といったことが必要。
Q: 提案手法のスケーラビリティは?
A: 100枚でも1万枚でも問題内容な方法を提案。ただし位置合わせ的な前処理は必要。


特別講演: 粘菌の行動知 ~原始生命システムの自律分散情報処理~

迷路等の幾何学的なパズルを解くという事実
時間的な記憶とでも呼べるような、周期的な環境変動を学習して思い出す
個性や逡巡と思える行動

粘菌紹介
ビデオ:Like Nothing On Earth
 多核の単細胞生物:脈打ちながら周囲を覆い尽くす様
  複数の個体がぶつかり合うと1つの変形体に合体
  切っても1個体として生存
  Q: 1個体として繋がり合おうとする欲求or利点がある?

パズル解き
 迷路中にバラバラに配置→合体
 入り口出口にオートミール設置→最短路へ
  生理的要請
   体が繋がっていて、十分情報交換できること
   なるべく早く大量の養分を吸収すること

流れに応じて太さが変わる管(管の適応性)
 管の流れが多いと管は太くなり、少ないと細くなるという性質を持つ
 管を水道管ネットワークとしてモデル化
  管:長さと太さで記述
  えさ場:流入、流出(流量は固定)
  さらに適応ダイナミクス(強化と減衰のバランス)を導入
   保存量を介した相互作用
   個々の管が独立してバランスを保持するように固定流量に沿うように行動
   →シミュレーションで再現

場所の違い:危険度最小化問題(部分的障害光照射エリアを避ける)
 光が当たっている箇所への縮小項のパラメータを拡張
 数学的に同等な問題:光の屈折(砂浜+海)

どこが情報処理?
 ビット列でない「情報」表現
 物理運動が処理過程
 管同士で流れを取り合うと自ずと最短経路が求まる
  脳のような司令官が無くても賢く振る舞う仕組み?
  集団運動の自己組織化/自律分散処理

カーナビへの応用
 概して悪い経路から消滅、時々刻々かわる渋滞に適応
 現行のダイクストラ法にない利点

沢山のえさ場を繋ぐ
 3つの異なる性質を「ほどほど」に満足
  全長の長さが短くなるように(コスト)
  耐故障性:断線に対する連結補償性 *何でこれが必要?
  連絡距離:効率
 社会インフラのネットワークが持つべき性質
  鉄道網の粘菌式デザイン
   モデルではパラメータで耐故障性/コストをチューニング

時間記憶?
 刺激タイミングの予測+思い出し
 モデルの仮定
  粘菌自体が何らかのリズム現象(拡大/縮小/動くためのリズム)がある
  そのリズムは多重である
  リズム(振動子)は位相のみ、振幅は無視
  同じリズムを持つ振動子が多数
  全振動子の平均的挙動(秩序パラメータ)が移動速度
 モデルの振る舞い
  自然刺激に近い振動数を持つ振動子群がクラスタ群(スーパークラスタ)を形成
   すぐには壊れず、予測的な動作に繋がる
   暫く刺激が無いと壊れる(重心を見るとないように見える)

迷い・個性?
 弱い毒キニーネに遭遇→立ち止まる→通過/分裂/引き返し
  Q: 弱い毒で分裂が起こるなら、耐故障性との兼ね合いは?
  Q: 個性?どの個体でもいずれかを選択しうる可能性があり、
   スーパークラスタとの兼ね合いで決定される?
 暑い先端部が消えたり現れたり
  モデルのアウトライン
   ゾル、ゲルの2相流体
   ゲルの張力発生によるゾル流
   早い線形弾性と遅い塑性
  2つのサドルが近接した解起動が振り分ける
 類似のモデル
  導火線のアナロジー
   粘菌の先端らしさの活動性(燃え尽きたマッチの再生を考慮)

書籍:粘菌 その驚くべき知性


Q: 数学系の研究者らとの共同研究になっているケースが増えているようだが、
 生命とは何かということについて何か思うところはあるか。
A: 手短に述べることはできない。ある米国研究者の議論によると「何でも
 定義できると思ってはいけない」ぐらいの定義しか出て来ないらしい。
 どれもまずは物理現象だと思おう。それでいろんなことが、生き物の
 生き物らしいことも理解できるんじゃないかと思ったのが15年ぐらい前。
 根は生物学者だが、ロジックは物理や数学。思いもよらないロジックを
 うまく使えばいろんな生命現象が説明できるのかなという期待を持っている。

Q: 情報処理という分野はコンピュータの性能を良くしてどんどん早くする
 という方向に進む。スローライフではないが、それに則した情報処理技術を
 探すべきかなという観点もある。粘菌はどんな情報処理要素でどう処理して
 いるのか。そのモデルをうまく使えれば良さそうに思うが、何かないか。
 生物にならえという感覚について。
A: そういうことを考えていきたいと本当に思う。早くなることは良いことだと
 思うが、解き方。力づくでやるのではなく、批判している訳ではないが、
 何か違う解き方が沢山ある。人間の顔認識でもそうだし、何か機会に
 やらせようとすると難しい所があるが、人間は簡単にやっているというような
 ケースがある。例えば野球でのフライの取り方。弾道計算とかはしてない。
 明示的にいうことができないことについて一つずつ掘り起こしていったら
 面白いのではないか。


一般セッション: 一般物体認識

  • A Semi-Supervised MarginBoost Algorithm Applicable for Dissimilarity-Based Classifications
  • マルチモーダル入力に対応した重み付き多数決による識別器
  • PatchMatchを用いた類似パッチの高速KNN探索法
  • ここまで立ち見でメモできず

  • SIFT特徴量の共起を用いた一般物体認識手法に関する基礎研究

Q: 一般物体認識で領域を分けるという話があったが、
 PASCALデータセットからの領域切り出しはどうやっているのか。
A: データセット内にマスクが含まれており、これを利用した。

Q: モデル1と2の違いが良く分からなかったが、
 SVMで学習するための特徴ベクトルの作り方が異なるのか。
A: SVMでの学習は行わず、ヒストグラムでの尤度判定、
 多数決程度の処理で判別させている。尤度なりを学習させていくことは検討中。

Q: 領域毎にSVM、もしくはヒストグラム化したのをSVMでそのまま学習
 させるとどうなのか。
A: 試行実験では認識率が低かった。学習時に領域切り出しはできても、
 認識時には画像全体で特徴量を構築する必要があり、
 そのミスマッチが大きく影響していると考えられる。

  • 3次元特徴量を用いた構造表現による一般物体認識
  • 問題意識:SIFT+BoFでは位置情報や関係性が失われてしまう
     デプス情報を用いた3次元グラフ構造表現
     D-SIFT→グラフ化→グラフ編集距離→識別器
      濃淡画像をモノクロ変換してSIFT
      3次元グラフ構造表現
       近接グラフ、疑似階層グラフ
      グラフ編集距離
       Q: 各編集コストはどう調整する?
    
    
    Q: どのぐらい時間がかかるのか? 例えばリアルタイム処理可能か?
    A: 普通のPCで半日程度。
    
    Q: 最初の発表におけるDissimilarityを使うということに近いように思うが。
    A: リンゴと桃、オレンジのように形上はほぼ違いが無い。
     それを区別できるように導入してみた。
    
    Q: 距離が合っていれば形状が正しいと考えて良いか。
    A: 必ずしも正しいとは限らない。
    
    Q: グラフ編集距離の求め方は?
    A: D-SIFT上で一定値を設けて近さを求めている。エッジの計算に時間がかかる。
    
    Q: D-SIFTはダメだという話なのか、物体の形状依存なのか。
     SIFT等と組み合わせて使うと良いとかありそうか。
    A: SIFTでは取れる(区別できる)ケースでも、D-SIFTではうまくいかない
     ケースがある。デプス情報からSIFTを取ること自体がおかしい可能性がある。
    
    
  • 移動ステレオカメラ画像中からの移動物体抽出と三次元データのセグメンテーションの検討 -SIFT特徴点を元にした前景・背景のエネルギー関数を組み込んだ手法の提案-
  • 問題意識:より頑健な(様々な状況に対応できるorより制約の少ない)移動物体抽出の必要性
     セグメンテーションの精度向上
      TMRによる動物体領域抽出
      複雑な物体:アフィン変換→Feature-Cut
    
    
    Q: 従来失敗していた原因と、それが成功したのは何が効いていたのか。
    A: Feature-Cutによる
    
    Q: 動画の背景が白く、セグメンテーションとしては簡単にやれそうな実験。
     従来法は、何故グラフカットに失敗しているのか。背景全体をシードにするのではなく、
     forground の外側をシードにするとやれるのでは。
    A: 考えてはいるが、形状にも依存してしまうため難しそう。
    
    Q: 今回の実験ではアフィン変換でも良さそうだが、ダメなのか。
     またより複雑な、実際アフィン変換では難しそうなケースではどうなるのか。
    A: 試していないので分からないが、Feature-Cutが高精度なのでこちらを中心に進めている。
    
    
  • 局所的色彩モーメント不変量で構成したベイジアンネットワークによる画像照合
  • 問題意識:似た特徴を持つ画像検索では特徴の選び方が重要
    局所的色分布特徴量
     RGB、色相関など
     色相関距離
     符号化
      Q: 単純な2値化の仕方としては面白いが、実際には統一ルールでは難しくない?
    照合エンジン(ベイジアンネットワーク)
     Q: ナイーブベイズと差が出てないのはどう解釈したら良い?
    
    
    Q: 部分画像集合の特徴値分布を使う考え方はうまくいきそうに思えるが、どうやっているのか。
    A: (再説明)
    
    Q: 特徴量の分布状態を評価していることに相当する?
    A: 計算した統計量から特徴値を2値に評価しているだけ。
    
    Q: 問題設定について。全く同じ写真を探したいのか、同じ被写体を探したいのか、同じ種類を探したいのか。
    A: 同じ種類のものを探したい。
    
    
  • 画像を用いた物体の詳細情報認識手法
  • 問題意識:物体とその物体の詳細を認識させたい。e.g., TV+電源ボタン
     詳細部分:人間が直接操作を行う部分
    
    
    Q: 位置情報を用いて補正する場合の基準となる減点は、特定の一点を使っている?
    A: 既に特定された部分で、かつ、一番近い場所を捜査して推測する。
    
    Q: 例えばキーボードの場合は多くのキーがある。文字認識が間違ってるやつもあるが、それもそのまま採用してしまう? 正しく認識できたものだけ利用するとかなり精度向上すると思うが。
    A: 今は採用してしまうが、検討中。
    
    Q: 無料OCRでGoogleのものがあるが、今回商用を採用したのは精度の問題?
    A: Googleは比較はしていないが、比較した中で精度の高かった最新版を採用した。
    
    Q: OCRソフトは想定している利用状況にも依存しそうだが。キーボードやるならキーボードの辞書使うとか。
    A: 文書対象なので文書だと前後の文字から補正することも可能だが、今回はそういった補正が効かない。そういった方向も考えてみたい。
    
    Q: リモコンの場合でもキー番号が独立して配置されているが、文字と文字の間に意味があるケースだとOCRの精度が高くなるのか。
    A: 高くなると考えている。
    
    Q: 文字を基にマッチングを行っていて、SIFT特徴量等で使われている幾何的な情報が使われていないが、そういった情報を使ってみても補正しやすくなるのでは。
    A: 試作中だがまだ検討段階。
    
    

    「複雑系科学と応用哲学」沖縄研究会第1回大会, day3

    水曜日, 8月 31st, 2011

    「複雑系科学と応用哲学」沖縄研究会第1回大会、最終日3日目のメモです。

    古典論理〜関連論理周りの話については殆どついていけてなかったのですが、可能世界における矛盾やギャップを埋め合わせるために指標やスターを導入している人らがいる一方で、それらを関連性’→’のみで説明できる(=記述できる)ようにしようとしている人らがいるということは分かりました。

    言語進化学の方は、関連学会がとても面白そう。最近は実験検証が増えてきているようですが、それ以上に結果をどう解釈するのが妥当かについての討論が大変そうな印象。獲得できた言語にcompositionalな性質があるからといって、それが自然界にあるものを模写したに過ぎないという観点は目から鱗。環境要因重要だ。


    目次


    「関連論理の可能性を探る」, 吉満昭宏(琉球大学)

    関連論理から見た古典論理のアノマリー
     C.I.ルイス
     CL:古典論理→数学等
      リッチ過ぎて都合が悪いケースが。
      CLからリッチな部分を除いて構成したものがRL(関連論理)。
      他にもRL(R), RL(B) 等いろいろある。
      Rは最も強い構成、Bが中間?、Sが最も弱い構成。
    
    アノマリー
     古典論理(?)では上手く説明できないもの。
     関連論理から見ると妙に見える古典論理。
      含意、否定、連言を使った例題5ケース(式)
       *含意と条件の区別が必要で、文字通りの「含意」ではない
      a. ~p⊃(p⊃q): 偽な命題は任意の命題を含意する
      古典論理では形式的真理であるが、
      どの式も「命題p,qの間にある演繹的な関連性を無視している」ように見える。
     様相論理
      〜ねばならない(必然性)
       □(1+1=2)
       必然性オペレータの導入→可能性を考慮せざるを得なくなった
       様相論理のように単純にオペレータを導入するのではなく、
       導入することで何が起きるかを、オペレータが何を意味するのかを考える必要がある。
      〜はできる(可能性)
       ◇(1+1=2)

    意味論
     ラウトリー=マイヤー・パラダイム:純粋意味論
     「p→q」への意味を与えた。
      様相論理と比較して、人工的過ぎて本質的な意味が分からないという批判。
      →応用意味論
       自然な解釈まで得られている意味論
       例「全てのwでpが真」。wに解釈を加える。
    
    関連論理へ意味論の付与
     Copeland: 自然な解釈を与えたが、複雑。
     真理値が公理に則して演算できるように演算子を導入しただけ。
    
    実は二種類あったアノマリー
     古典→関連
      含意/演繹的関連: '⊃' → '→' *Aアノマリー(式a,b,c)
      否定: '〜' → '¬'    *Bアノマリー(式d,e)
     関連論理はAアノマリーだけで説明するんじゃないのか?
     Bアノマリーがあっても良いが、Aアノマリーとの関係性はある(説明できる)のか?
     2本立てで説明するならそこにも関係性があるべきでは?
    
    意味論のアプローチまとめ
     A~Cは応用意味論、Dは全く異なる方針。
     A. 簡潔化された意味論: G.プリースト、R.シルヴァン
      殆ど説明できてないし、スターはそもそも無理。
     B. 状況意味論: E.D.メアズ、G.レストール
      状況と状況から新しい状況を生成して説明。
     C. 内容意味論: R.T.ブレイディ
     D. 非形式論理への転換: コープランド, R.L.イプステイン
      '→'関連性のみで説明できるようになるだろう。
      でも、それだと形式論理ではない。
    
    
    可能世界 vs 状況
     '可能世界'では完全性がある。必ず真偽がある。
      矛盾やギャップを含めて説明しようとすると指標やスターが必要になる。
      でも矛盾が存在する世界を可能世界と呼んで良いのか?
       pure semantics 込みだと矛盾がある世界はどうなの?
     '状況'では良い(え、何で?)
      矛盾した信念を持ってても良い。
      信念分析の場合にwを使うのは宜しくない(?)
       別の指標が望ましい(?)
      →矛盾が存在するからといって何でも真になる世界ではない。
       古典論理だと何でも真になってしまう。
    
    applied semantics
    situation / state / event
    
    


    討論3「複雑系科学と応用哲学のコラボレートの可能性」

    キャンセル
    


    「言語とコミュニケーションの進化~実験アプローチの展開」, 橋本敬(JAIST)

    アウトライン
     自己紹介
      JAIST知識科学研究科
       人文社会系の知と理工系の知の融合
       知識の想像・共有・活用を科学する
        言語と社会制度から生まれる知識というフレームワークについて
        複雑系科学でアプローチ
      伝達創成機構
       ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明
       コミュニケーション神経情報学
       コミュニケーションとダイナミクスの次元の関係
        非線形ダイナミクスとしてできるだけ力学系として捉える(イメージ)
        理解(意味の共有):N+N2N
        協調・共感:N+N=N
         N=ダイナミクスの次元
      EVOLANG IX(国際会議)
       言語学/生物学/進化学/工学等々が集合
    
    言語進化の紹介
    進化言語学の問題設定
    言語の起源と進化
     言語起源
      言語を用いる能力の生物進化過程
     言語進化
      (言語を用いる能力による)言語の複雑化・構造化の文化進化過程

    比較認知科学
     鳥との比較が多い
      鳥は低レベルのセマンティック(?)があり、それとの比較。
      言語としての比較ではなく、言語を構成する要素/機能/程度等で比較。
    
    前適応
     別の機能を発揮することでセレクションされた能力が言語能力にも使えた。
     分解された能力の「元」は何なのか。
      例:ミラーニューロン
    
    進化という観点から、人間の本性としての言語、人間そのものを理解する。
     数理モデル、シミュレーション
    
    Chomskyらの仮説
     広義言語能力(FLB)
     狭義言語能力(FLN)
      再帰操作。
       計算システム→再帰→内部表現+有限要素→無限の表現
       音韻システム:知覚・運動システム
       意味システム:概念・志向システム
     あくまでも候補であって、これ以外を持っていても良いという立場。
     生成文法学者が支持。
      認知言語学者は誤りという立場。
    
    言語の定義
     チョムスキー一派は明確に与える
     認知言語学派はあやふや
      進化言語学として科学的に捉えやすくなってきてはいる。
    
    自己組織化
    言語進化の実験アプローチ
     合成性:単語や文の意味が、その部分と組み合わせ方の何らかの関数になっている
      赤い丸/walk+ed=walked
     構造により意味が異なる:taro watched a girl with telescope.
     繰り返し学習を実験室で実現
      Cumulative cultural evolution in the laboratory: An experimental approach to the origins of structure in human language, Kirby, S., Comish, H., & Smith, K., 2008
     シミュレーションでも実験でも自己組織化された
      言語は言語能力が獲得しやすいように進化するし、
      言語獲得能力はより複雑な言語を獲得しやすいように進化する共進化。
     inductive bias がある。
     ベイズ繰り返し学習, Kalish, Griffiths & Lewandowsky, 2007
      汎化学習されやすいように言語が構造化(文化進化)
      その結果として、合成的言語ができる
      Kirby, 2002; Brighton, 2002; Smith 2003; Griffiths & Kalish, 2005
      情報伝達システムの法則。言語はその一事例。
    
    合成性/compositionalな構造
     言語がcompositionalな構成を獲得したのではなく、
     最初から自然/世界にはcompositionalな情報があり、
     言語はそれを写し取ったに過ぎない。
      世界を分節して認知する力?
      人間だけが何でこうなった?
      情報伝達システム全般でそうならないのは何故?
       人間固有の能力に関して論じるには不十分な実験
       メタファー
    
    機能語/内容語:認知意味論
     人間特有:機能語がある
     機能語は内容語から意味変化して生成。
      行く→未来
     一方向性がある意味変化。逆方向は殆どない。抽象度の上がる方向へ。
     内容語→機能語の中に抽象度が上がる方向への意味変化。
      何故一方向性が生じるのか?
       人間特有の現象なのでこれを明かすことで特有の言語認知能力についての説明を。
      「抽象」が元々無いからでは?
      一方向性が実現する認知的なバイアス?
    
    言語の働き
     新しい概念を生み出す
    
    構成論的手法の弱み
     シミュレーション結果の解釈
    
    コミュニケーション
     動物のコミュニケーション
      平均すれば送り手が受け手の反応によって利益を得るような、
      ある動物から他の動物への信号の伝達(Slater, 1983)
       あざむき
        動物:刺激反射系でも結構複雑なことを学習できる
        心の理論/刺激反射
     ことばによるコミュニケーション
     記号コミュニケーション
    
    

    「複雑系科学と応用哲学」沖縄研究会第1回大会, day2

    火曜日, 8月 30th, 2011

    「複雑系科学と応用哲学」沖縄研究会第1回大会、2日目のメモです。

    初日もそうでしたが、二日目は初日以上に討論を通しての互いの意識・問題点・アプローチの妥当性といった様々な観点における擦り合わせを中心として進み、結果的には発表者自身も様々な視点を得られているという形になっていました。異分野の専門家同士が本気で討論し合うと、全国大会やシンポジウム、研究会とも違った面白さがありますね。

    複雑系科学と哲学の親和性の高さというか、似たような所で困ってるという印象を強く持った一日でした。
    また、複雑系工学との違いというか「構成的アプローチ→実環境へのアナロジー」を強烈に問い続けている点は、なるほどという印象。工学的には「実際にそういうモデルで動いているかどうかはおいといて、とにかく効率良く動けば良い」みたいなところもあるし。


    目次


    「心の哲学とロボット工学の出会い~ロボットの持ち得る意図的主体性は人の心的表象の理解にどのように迫れるか」 , 金野武司(JAIST)

    共同注意という現象の理解に構成的アプローチで迫る
    共同研究
     認知ロボティクスの哲学
     意図的主体性のロボット的構築に向けて
    
    研究の興味
     人の人らしさはどんなところにあるのか?
      意図を推論し合うスタイル
      シンボル操作による創造性の発揮
     非言語コミュニケーション
  共同注意における心的理解の発達過程(乳幼児)
     言語コミュニケーション
      記号によるコミュニケーションシステムの形成過程
    
    複雑系としての問い
     社会の規範が先か、個人の能力獲得が先か(にわとりたまご問題)
    
  必ずしも因果に分けて議論できない現象
      因あって果があり、それがまた因へ影響を及ぼす。その繰り返しでルールも変化していく。
      こういうループ構造を持つものとして捉えるのが複雑系の見方。
       進化発達過程
        汎用的な学習モジュールが最初から備わっているのか。
        規範(制度)を生み出すための特化した能力があるのか。
        学習モジュール+規範生成能力の両方が無いといけないのか。
         人間以外には規範を生み出せない?
          八の字ダンス:inertに持ってるif-thenルールに過ぎない?
    
    inert問題/学習vs発達
     言語を獲得する能力はinert。日本語を獲得するのは学習。
     通常の然るべき環境におかれて自然と獲得するものはinert、とするのが良いのでは。
      ある状況化ではこうなる、という能力そのものをinertと呼ぶのは良いが、
      状況まで含めてinertというのは行き過ぎでは。
       体内外では分けられない?→困難
        線引き問題なので今回はここまで。
     基盤としてのコミュニケーション能力=inert。
    
    乳幼児の発達過程
     反射的な行動をする状態から、気がつけば意図を理解した状態に→社会参加
     社会に適応する能力の発達は相互補完でロバスト
    
    コミュニケーションで大事なことは?
     書籍「自閉症の謎を解き明かす」1991, p.209
      食卓で「お箸取れる」「取れるよ(取らない)」
      電話で「誰々いますか?」「います(呼んで来ない)」
     他者の意図を理解する
      その人が何をしたいのか、何をして欲しいのか。
      自閉症者だと、言語的な学習はできるが、意図は学習できない?
       特殊パターン(意図を理解するのではなくif-thenで覚える)を多数学習する。
       どのパターンに当てはまるか曖昧な状況ではパニックに陥ることも。
    
    他者の意図を読む?
     G. Gergely, et.al., Rational imitation in preverbal infants, Nature, 415(6873):755, 2002.
      意図を理解してるか否かで説明しやすい実験。
      14歳児頃からそういうことを理解していると解釈できるような反応。
       模倣してるだけ?
        模倣してるだけだとしたら何を模倣している?
     N. Meltzoffらの実験(1995) ボルトとナットの実験
      どのような状況下で意図を推論しようとする能力を発動させるか。
      ロボットでも視線のやり取りをすると発動することが多くなる。
       ザクのような顔では顔と認識しない?
       数ヶ月ではおぼろげで視線には反応できない(顔の向き等)。
       12ヶ月頃から視線に。
     意図性の判定はもの凄くグレー。
     意図に気づき始めると何にでも意図を考えたくなるのか
     何故何故坊や
      女子:ターンテイク自体を目的としがち
  男子:何故なのかを知ることを目的としがち
    
    視線のやりとりについての発達
     共同注意
      親の視線方向に目を向ける行動(6ヶ月頃〜)
      他者の意図を理解(14ヶ月頃〜)
      他者と意図を共有する(24ヶ月頃〜)
      「自分がそのオブジェクトに注目していることを、
       親が分かっている
       ことを自分は知っている」
       that節としては(遅延して)言語獲得できるが、構造としての入れ子構造にはならない(?)
      Tomasello 195, Dennett 1987, 金沢1999
    
    心的理解の発達をどう解明するか?
     3つの過程
      1. 反射的な行動から意図的な行動への発達
      2. 他者の意図を理解する段階への発達
      3. 他者に意図を伝え、意図を共有する段階への発達
     Tomasello, 心の理論, 発達心理学, 信念
     誤信念課題までは考えていない
     心の理論課題
      欧米では3~4歳からじゃないと無理(と言われているのを良く聞く)
      日本では4~5歳からじゃないと無理(と言われているのを良く聞く)
       論文としてはまとまってない
       言語の問題?文化の問題?実験設計の問題?
        日本語がシステマティックじゃない分、文脈依存度が高く、
        心の理論問題のようなシンプルな課題に落とし込めない?
         だからこそ他者の意図理解が大切では?
    
    Tomasello, 2000(書籍)
     意図的な主体になる
      意図に身を任せた行動/メタ認知/反射的な行為
    
    反射的な行動を生成するシステムの用意
     周辺刺激への敏感性, Atkinson et al., 1992
     反射的な共同注意(共同注視), Hood et al, 1998; 板倉, 2005
     視覚定位の運動モジュール+学習モジュール, Nagai, 2003; Triesch et al, 2006
      モジュールを並列化することでも反射的に行動する点は変わらないという立場
     意図的な共同注意
      学習モジュールで必要なこと
       親が見た対象を思い浮かべ、その想起対象があるだろう方向に視界を向ける
     →8名被験者での予備実験では差が見られず
     見ようとしていると感じさせた行動
      反射的なロボット:ボールとは違うところを見たらそっちを見たとき
       =反射的な行動
      意図的なロボット:「自分が適当なところを見ていたら、ロボットがボールを見ていた」とき
       =意図的な行動
      →意図を感じさせた状況に違いがある
    
    


    討論2「心へのアプローチ:複雑系科学と応用哲学の方法論的差異」

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    「ポテンシャルモデルを用いた均衡表現による囲碁の解法」, 大島真(琉球大学大学院 理工学研究科 総合知能工学専攻)

    山田研究室紹介
     複雑系xモジュールロボット
     複雑系xボードゲーム
      局面=配置そのもの。not情勢。
       およそ10^360乗
      固有ルールが存在し、ルールが特有の構造を作る。
    
    囲碁の概要
    囲碁の研究
     「競合共進化アルゴリズム」を利用した「詰め碁」の解獲得
      競合共進化:敵対関係にある種間で共に進化
      共生共進化:助け合いながら進化
     「モンテカルロ碁」に対する「ポテンシャルモデル」の適用
    
    共進化
     種として分けられるのか/分けることの意味
      今回は先手後手でコーディングが異なる
       大雑把には同一ルールだが分けないとうまくいかない?
       バリエーションの問題なら島GAとか別解決がありそう。
        先手後手を分けないとコーディング/適応度関数が設計上複雑になり過ぎそう。
        詰め碁なので対戦よりはパズルに近く、役割が固定されているとした方が楽。
         対戦のような局面が偏っていない状況化では先手後手を混ぜた設計が必要では。
     適応度の設計
      呼吸点 liberties を主体とした設計
    
    囲碁の問題点
     適応度関数の設計が分からない
      いつどのタイミングでどこにおくべきか
      勝敗に至るプロセス
     将棋やチェスだと駒毎に点数付けたり、動ける範囲を考慮することで点数化しやすい傾向。
     全体を見る大局観が必須。
    
    ポテンシャルモデル
     黒白を対極ポテンシャルとみなす。
     ポテンシャルエネルギーの均衡状態を指標に探索空間を一部に限定することで計算コスト削減。
     領域を制限したモンテカルロ碁=ゲーム探索木+数値的特徴
    
    ポテンシャルの決め方
     石のある場所を最大値とし、1マス離れる毎に半分。
      正当性は実験で検証。
      一般モンテカルロでの全領域対象した勝率の偏りで評価?
      でもポテンシャル場は勝率を表す訳ではないのでは?
       モンテカルロ碁の計算コスト削減は分かるが、大局観に繋がる?
        単峰性よりも多峰性の方が良いよねというヒューリスティックのように繋がると面白そう。
     枝狩り方法
      陽領域/陰領域/なだらか領域/勾配領域
      勾配領域が最も枝狩りできた(16手目ぐらいまで)
       何故序盤で勾配領域を選ぶと良くなるのか?
      陽領域はすぐ下降。
      領域のコンビネーションは?
       勾配領域をベースに手探りで組み合わせると、多少改善。
     モンテカルロ碁自体が正解を出すものではない
     棋符で確認してみるとか
    
    ポテンシャル場と呼ぶ必要性
     場ではあるがポテンシャルにはなっていないような。
     勾配を利用して進む訳でもない。
    
    


    「心の観測装置としての身体表現―マインド・リードをめぐる実験哲学の試み―」 , 長滝祥司(中京大学)

    心の研究
     脳科学者らの蓄積してきた経験的データ
     脳の状態と心的状態との対応関係を解明するやり方
     哲学者の言う「説明ギャップ」
      マッピングできたからといって実際にそのように生じているとは言えないのでは。
     (1) 心的状態にアクセスする二つの方法。
      一人称の方法と準二人称(準三人称)
       観察者が被験者の行為を見て心の状態を推測できるかどうか。
       一人称(内観)を信頼する程度には準三人称も信頼して使うのでは?
       表情や身体動作を見て記述された内容はどのぐらい信頼性があるのか?
        一人称と準三人称の報告を比較した時に、準三人称でも良いとされた時の嬉しいことは?
         手段が内観だけでなくなるので、ツールが増える。
     (2) 素朴心理学を巡る論争とそれに関連する現象学の議論を検討。
     (3) 心的状態にアクセスする準二人称の方法の検討。
     (4) 身体表現の理解や記述の程度や情報量・信頼性について実験的検証を踏まえた検討。
     (5) 身体表現や表情の記述の適用可能性についての考察。
    
    心の科学の難しさ
     脳内の計測は技術的に精度が向上していく。
     脳内状態と心的状態との対応関係については困難。 
     観測者間の違い/共通了解
      言語表現/類似した記述の仕方
      数量化する装置では「観測者間の違い/曖昧な状態/読めない状態」を扱いづらい。
    
    観察者の訓練
     神経現象学(Valera, F., Thompson, E.)
      被験者を訓練することで主観的報告の信頼性をあげるという方法。
     共感能力
      重要だが、心的状態のあらゆる次元で等しく信頼できる情報を与えてくれる訳ではない。
      この能力の及ばない心的状態もある。
      →第二の方法で得られた情報が、客観的データとしてどの程度信頼性を持ちうるか
    
    素朴心理学を巡る論争
     理論説
      「素朴心理学は一つの理論(心の理論)である」と主張する立場。
      機能主義。因果を説明。
     シミュレーション説
      素朴心理学は他人に対するシミュレーションの実践だと主張する立場。
      「他人と自分は類似した存在者である」という前提からはじめる。
      オフラインで自分の反応を使う。
       シンパシーを使う。エンパシーではない。
       他人の気持ちを慮る訳ではなく、自分がその人になっちゃう。
       感染:もらい泣き。
        シミュレーションか?
     どちらも心的概念は必要。ハイブリッドもある。
     状況により使い分ける人もいれば、両方とも使わない人も。
     ギャラガー「内的装置も推論も使わずに目で知覚するように相手の心的状態が理解できる」
    
    現象学の提案
     メルロ=ボンティの言葉
     →顔に限定せずに身体に拡張しても良い
      心的状態を表現する時にしばしば身体全体を使う。
      心は身体表現において可視化されている。
    
    他人の心を理解する能力
     生得的と呼べる部分/社会関係の中で獲得される部分
     他人理解に失敗する理由
      身体動作や表情に本質的に現れない領域がある程度存在する
      理解する能力が不足している
      →能力養成で客観的な記述を。
    
    作業療法士を対象とした実験
     職人芸的な趣が強い。
      第三者に伝えるのが困難
     理解したと思っても独断的な解釈の可能性として批判されることも。
      患者の意図や欲求をより正確に把握するには言語的なコミュニケーションが最適。
      身体動作や表情からは不正確な情報しか得られないとする傾向。
       暗黙知の言語化。
     一般的には適切な治療方針とのマッチングには半年以上かかる。
      「何でその作業をさせるのか」
      暗黙知と治療方法とは必ずしも直接的には繋がらない。
      心的状態理解に対する暗黙知技能が療法士のスキルに直結する?
       的確な治療を選ぶ根拠として使えるものと、使えないもの
       医者は物理的な身体しか見ない?
     再現可能な記述の構築、ターミノロジーの構築
    
    実験
     怒りの表出傾向:Anger-Out, Anger-In
     コースター制作作業で判断
      正答数には有為さが見られなかったが、年齢や経験年数との相関は見られた。
      身体表現や表情だけでなくインタラクションの仕方に着目。
    
    分類/ターミノロジー/体系化
    言語/記号/定量的表現
    
    

    「複雑系科学と応用哲学」沖縄研究会第1回大会, day1

    月曜日, 8月 29th, 2011

    ちょっと変わった組み合わせですが、「複雑系科学と応用哲学」沖縄研究会第1回大会に参加してのメモです。
    備忘録としてのメモですが、あくまでも私個人の解釈なので事実誤認も含まれるかもしれません。

    なお、発表中にいつでも質疑をする形式だったこともあり、発表タイトルと中身は必ずしも一致してないです。

    初日の感想としては、

    1. 倫理が形成される要因を、コミュニティへの参加(コミュニケーション可能)という観点から考えるとリソース制約ぐらいしか必須条件じゃないっぽいように感じた。(発表者の主張としては「他者危害の原則」だったけど)
    2. そもそも倫理って必須条件なのかが疑問。コミュニティへの参加の仕方も多様化してるし。
    3. 自閉症者を異世界に存在する者として捉える見方は新鮮。心の理論を持ってないということでばっさり切り捨てる人もいるんだというのも新鮮。
    4. 「考える対象が分野問わず」という共通点があるというのは面白い。実際いろんな話題について共通理解得られている部分も少なくなかったように感じた。

    といったところです。


    目次


    趣旨説明, 吉満昭宏(琉球大学)・柴田正良(金沢大学)

    分野:(応用)哲学+(複雑系)科学
    所属:大学院大学(JAIST)+大学+高専
    
    哲学→応用哲学
     哲学自体幅広い学問だが、元々はもの作りを通して追求する側面があった。
     そこに立ち戻ろうと思ったら「応用哲学」という名称で呼ばれるようになった。
     交流を切っ掛けに創発へ。
    
    参加者一同自己紹介
    


    『自閉症の倫理学』を巡る2~3の事柄, 柴田正良(金沢大学)

    書籍: The Ethics of Autism
    書籍: 治療を越えて バイオテクノロジーと幸福の追求
    
    
    考えてみたいこと
     物理主義的世界において、いかなる倫理が可能か?
     物理主義的世界:ここでは一切の心的・文化的存在が物理的・化学的・
      生物的存在によって決定される世界のこと。恐らく証明はできない
      が、結果的に相関が得ざるを得ない証拠は多くある。妖精とか天使
      とか奇跡なんてものは無い。決定論的かどうかについては議論の
      余地が多々ある。
     人間は、物理主義的世界において何か作用したがる存在。

    倫理がいかなる状況で発生するか?
     仮にあらゆる意味で孤独で問題無く暮らせる人がいたとき、
     その人にとって倫理は生まれるか?
     (という仮状況の設定はどうなんだろう)
    
    共同体テーゼ
 【前提条件】少なくともある期間、各メンバが他メンバと「同等の
     権利と義務」を持つことができる
     →共同体に属する行為者に倫理が発生する。
    
    歴史上の倫理的共同体
     前述のテーゼから線引きをせざるを得ないというのが自然な発想。
      (共同体に入るか否かという線引きのこと?)
     近年の共同体:黒人・女性・障害者等への権利拡大
     人類社会はとりあえず完全義務対象者から成る倫理的共同体。
     不完全義務対象者として動物(ペット)を含みつつある。
     →仮に安全に精神安定/高揚を調整できる薬が開発されたら?
     →記憶消去できるようになったら?
     →サイボーグやロボットはどうなるか?
      →倫理の前提に「同程度の心身能力」がある?
    
     人格の定義/コミュニティ一員としての定義
    
     現時点で科学的に判定できないだけで、ペット/ロボット等も持ってる可能性。
     →倫理は人間から見ると人間主体で作らざるを得ない
    
     倫理が未だに科学的に構築できないのは、
     ある意味で物質主義的世界でないことの証明である可能性。
    
    例えばアシモフ: これは倫理ではない
     自律性が与えられてない状況で倫理は無い
    
    人類の倫理学的共同体の自然的基盤
     (1)人間の傷つきやすさ
     (2)おおよその平等
     (3)かぎられた利他主義:人間は悪魔でも天使でもない
     (4)限られた資源
     (5)限られた理解力と意思の強さ
    
    自閉症の倫理学: The Ethics of Autism
     1. 自閉症者は非自閉症者とまったく異なる世界に住む
     2. 成人の自閉症者は「治療される」必要が無い。望めば別。
    
    キーコンセプトとしての心の理論(Theory of Mind)
     自閉症の原因を説明する3つの理論
      1. 心の理論説: 他人の気持ちがわからんというのを説明
      2. 中心性統合弱化説: 全体を見ずに細部への強い拘りから説明
      3. 実行機能弱化説: 同じ動作を繰り返しやるケースを説明
      →決定的な説明にはなっていない
       自閉症自体が特定理由から生じるものではない可能性
       バーンバウムは理由からではなく行動から説明
    
     ケース:オキシトシン
      治療に有効であるケースが少なくないが、
      何故有効なのかは分かっていない。
    
    心の理論を欠くとはどういうことか?
    自閉症者は道徳的共同体のメンバーか?
     共同体の外側に位置する/態度次第では属さないと論ずる人もいる。
    
    自閉症者には自分が運用できる道徳理論がない
    異世界の存在者との共生の倫理
     自閉症者の完全性
     他者危害の原則
    


    討論1「複雑系科学と応用哲学の基礎概念の適合性について」

    エンハンスメントの是非
    良くあるテーマ例:ドーピングの是非
     遺伝子:工学的/ブリーディング
     自然さ==その時々の直感?
    
    心の理論
     有名な実験:誤信念課題
      子供に人形劇(二つある箱のいずれかにおもちゃを入れて、
      部屋から出かける。おもちゃはどこにあるか)を見せる実験。
      4歳未満の健常児はまず間違う。自閉症児だと12未満でも成功率80%未満。
      (悪魔/天使な私とか内面に複数の自分は居ない?)
     別実験:異欲求課題
      信念よりは理解しやすい欲求を対象とした課題
     ファーストオーダ/セカンドオーダ
      ファーストだと自分だけの問題
      倫理ではセカンドオーダの確認は困難?
      オーダが上がることは気にする必要が無いのか
       e.g., 自分がそれをされたくない→他者に迷惑をかけない
       裁判官のようなケースではオーダの高い能力が必要だと思うが、
       「倫理的に振る舞う」だとセカンドオーダで十分では。
        別例:「罰する」→「何もしないと罰する」で協力が生まれる例
         TFTだけじゃなく別要素を導入した実験。
    
    ドーピングの是非
     ルールを変えても同じ状況は現れる
    
    共生の倫理
     他者危害の原則
      他者の自由を侵さない
      これに抵触しない別原則は多数考えられ、どれを選ぶかの原則は分からない
    
    道徳的行動のレベル/差異
     コンベンショナルな道徳:自閉症者でも割と分かる
     モラル的な道徳
    
    (リソース制約無視の話に聞こえていたのだけど、討論意図はどこにあるのだろう)
    


    ミクロマクロ・ループ・アプローチにおけるルールと戦略のOpen-ended dynamics――学習、進化、そして内部ダイナミクスの役割, 佐藤尚(沖縄高専)

    「複雑系」科学の方法論
    構成的手法によるアプローチ
     多数の要素が相互作用する環境→創発
      相互作用の結果生み出された機能や構造が作り手にも影響を及ぼすことを含めた包括的な概念
      →影響がダイナミックに作用し合う
       バサッと切り取って見ることができない
       要素に分解すると本質が失われる「複雑系」
     1. 理解したい対象の「元となるシステム」を構成する(作る)
     2. それ(ら)を用いて計算機で実験する(動かす)
     3. これらのことを通して対象の理解を試みる
    
    シミュレーション
     100%再現することは考えない
     重要な要素(現象の核)が何なのかを考え、そのことを検証する
     モデル化
      モデル化の方法は直感/サーベイ/組み合わせ/etc.で仮説構築
     実験で検証
      単なる現象の模倣ではなく、
      現象の裏にある本質的な論理を理解することを目指す。
      本当にそれが重要な要素なのかどうかは実験以外の主張はできない。
    
    シミュレーションの同定手順
     1. 対象の観察→内部構造を推定
      例:制度。not法律。集団内で共通した様式。
       →元システム=その制度を作った人間
        内部構造=人間の内部構造(ルールを作りだす際に必要な機能は?)
      経験や学習を通して価値観等が変化
      内部ダイナミクス
       内部の状態が外部要因からの影響を受けずに内部状態が変化する
    
      比較対象間で同質のものを探そうとするだけでなく、
      俯瞰的に見て「生成されるものの影響」も加味したり、
      考慮してなかった第三の要素なども考慮するような幅広い視野が重要。
    
      説明力
       相補的な立場。
       例:言語学→言語の成り立ち
        チョムスキーの生成文法→実験的に例示や反証
       予測としての側面
        古典物理学レベルの予測は無理(具体的なレベルでの予測は困難)
        定性的な予測は可能なものもある(抽象的なレベルでの予測は可能)
    
     2. 特徴抽出
     3. 構成モデルの作成
     4. シミュレーション
     5. 結果の評価
     6. 対象と構成モデルとの比較・検討
    
    アナロジー
    
    対象を問わない(限定しない)という点で複雑系科学と哲学は似ている
    
    複雑系科学のメタフィジクス
     現象の分類
      代表的なものはある。定性的不変クラスは出尽くしている?
       ベキ/同期/カオス/自己複製/自己組織化/etc.
     現象を捉える時の粒度依存
     好きなモデルがある
      力学モデル/計算モデル/確立モデル
    
    表象の有無
     人間モデル→力学モデル+自己学習=RNN
      Elman Network
       スケールアップ問題
        徐々にニューロン数/層数を増やしながら複雑な学習をさせていく方がベターという報告
       過学習問題
     どこまであれば「表象がある」?
      定義困難、プアか否かぐらい?
      タコイカ細胞ではない
      内部ダイナミクス(アトラクタ)としての表象
       ダイナミクスに応じて行動も変わる
     「表象」の必要性
      猫+イカとかを説明しやすい
    
    

    2011年度オープンキャンパスを終えての備忘録

    土曜日, 7月 23rd, 2011

    個人的に感じた点や、学生経由で耳にした点についての備忘録。私自身が目指している所自体がズレてるという話もあったりするので、色眼鏡と押した方が良いと思います。「どうするか」はおいといて、取りあえず忘れる前に書き出しておこう。


    事前準備

    • 新システム移行後がまだ不安定でトラブル続きのため長田先生が忙しそうだったこともあり、オープンキャンパス作業は一通り私がやるつもりだったのだけどあまりにも作業が多くて会場設営&撤収作業は長田先生に一任してしまった。結果的にはとても助かったのだけど、ごめんなさい。

    学科別説明会

    • やっぱり必要性が良く分からない。(全イベントに共通している点ですが、一通り強制参加というのがしっくり来ない。一般的なお祭りにおける1ブースとして提供するのは良いと思う)

    パネル展示

    • 会場設営関連:パネル提出の〆切等をもっと厳密にやるべき?(ギリギリまで持って来ないとか最終的に無かったとかあると、部屋毎の平均滞在時間を調整するのが困難)
    • 物理的に時間が短すぎる。(参加人数が100名強なので1部屋でやるのはまず無理。分散させるにしても「時間/1部屋」や「時間/1説明員」のバラツキが大き過ぎて、ツアー形式でやるには無理があった。)
    • そもそも「全員集合→分散なり何かやる」というスタイルもちょっと厳しい人数になってきてる気がしなくもない。(一般的なお祭りスタイルでやれないのか。)

    なんでも相談

    • パネル展示が長引いたこと+午後のツアーが3時間連続とかいうスケジュールなので、そもそも昼食時間に設けることにどれぐらい意味があるのか良く分からない。(利用者は居るので価値がゼロということではないけど、これも一般的なお祭りでの1ブースとして設定したら良いような。)

    施設見学・体験ツアー

    • 基本的には問題無し。
    • 総数が減ったこともあり、説明する側にも休憩時間(見学グループが来ない時間帯)が確実に取れたという点も割と良かった。
    • ただ、聞く側(見学者)は3時間ぶっ続けになるので、来年度もこのぐらいの人数になりそうなら見学者側も休憩取れるように工夫した方が良さそう。(だから祭りスタイルならry)


    在学生との意見交換会

    • 基本的に学生主体でやってもらうつもりが結構先生ベースで進んでいたようなのが残念。予め「在学生と話すことがメイン」という趣旨を伝えてなかったのが悪かった。(ノープランではあったのだけど、多めに学生確保したのは少人数毎にわけても対応できるだろうという見込みがあったし、実際学生からもそうした方が良いという意見も聞こえたので、学生に丸投げで十分良かったと思う)
    • 全体を仕切る司会者ベースで進める方式にせよ、小グループベースで進めるにせよ、30分はちょっと短い。(だからry)
    • 例えばプライベートなことでもざっくばらんに話せるように、Ustreamは無しが良い。

    アンケート

    • もう十分ブラウザベースでやれそう。次年度からは電子化コスト省くためにもそうしたい所。

    個人的には祭りスタイル一押しではあるんですが、その場合のデメリットとして「見学者自身がどう見て回ったら良いか良く分からず、結果として十分見学してまわれない可能性」が考えられます。琉大祭以上にどこで何やってるかのマップ作成&案内掲示が必要だし、迷子対応も従来以上に増えるでしょう。そして、各ブースが離れ過ぎている閑散とした祭り状態になってしまうと、盛り上がり自体がなかなか出ない可能性も。

    他にも何か意見しておきたい事柄があればコメント欄orメール等で當間まで!>手伝ってくれた皆さん

    (美来工科インターンシップ) 備忘録

    金曜日, 7月 8th, 2011

    美来工科インターンシップ実施の世話人を2年間担当してみての感想というか気になる点の備忘録です。

    基本的には「やりたいようにやって良い」という話だったのですが、特により良い方式を思いつかなかったので、2年前に岡崎先生が実施されていた方式に(多分)近い形で実施していたと思います。その中でも個人的に重要視していた点は、高校生ら自身が考え、行動し、体験することで、

    大学(院)進学の意義 【高校までと大学以降の違い】

    に気付き、自分自身が進学すべきかどうかや、(進学とは無関係に)将来について考える切っ掛けや判断材料を提供する事でした。

    これらを実現するため、「教職志望の学生らによる手厚いサポート体制」を中心としてコスト度外視な環境を用意して実施しています。一つの目安として時間換算してみてみると、、

    ・事前の環境構築関連: 数名x数時間x数日=数十時間程度
    ・(2グループx平均3名ヘルプ学生)x7時間x4日間=168時間

    で単純計算で200時間弱ぐらいの人的コストがかかっています。これは学生だけのカウントで教員は含んでいません。サーバ班や教職志望学生にも各々勉強になる点や得られる気づき等がありますので必ずしもデメリットだけではないのですが、一度の実習受け入れに対して収支がバランス取れているのかが少し疑問です。

    もし、同じ体制で来年度以降も続けるのであれば、もう少しサーバ班や教職志望学生に対して「高いリターンを得るためのテコ入れ」が必要かもしれません。例えばサーバ班なら「サービスを提供するに当っての心構え」をレクチャーするだけでも「LANケーブルや電源ケーブルが足に引っ掛からないように気をつける」とか、教職志望学生なら「サポートするにあたりどのような方針で取り組むか、何に気をつけるか」といった事柄を事前に話合うことで高い目的意識を持って取り組むだけでも得られる気づき(=高いリターン)が多くなりそうです。

    一方、少しでも収支バランスを取るためにコスト低減を図る工夫にもいろいろありそうです。

    単純な「就業体験の大学版」として授業に参加させるだけ、というのもありえるでしょう。ただし、この場合だと高校生側には「難しい(から頑張る!)」ぐらいの事柄しか得られ難いように思います。講義1回目からの参加ならまだしも、途中で前段知識すら無い状態で放り込まれるのはあまりにも厳しすぎるように感じます。(想像ですが)

    もう少し高校生に取ってもリターンが得られる方針としては、「社長のかばん持ちインターンシップの学生版が一案として良さそうに思います。大学生に数日間共に行動し、授業参加したり課題やったり自由時間にリフレッシュしたり、そういう学生の行動を目の当たりにする機会の提供がメインで、その学生の可能な範囲でのみ質疑等に対応する形です。関わる人数としては全く減らないどころか増えてしまいそうですが、高校生向けの専用プログラムを一切用意しない分、特別に何かを用意するというコストが殆ど発生しないことによりコスト削減になっているはず。多分。

    他にも色々あり得ると思いますので、何かしら少しでも収支バランスの取れる形で実施できると、高校生に取っても受け入れ側に取っても続けやすいベターな形になるのかなと感じました。


    関連ツイート

    (美来工科インターンシップ) 3日目終了

    木曜日, 7月 7th, 2011

    3日目が終了しました。

    グループ1の作業報告によると、今日はこれまでのインタビューデータを1枚のパネル上で話の筋が通るように整えると共に、追加で数件インタビューを実施したり、サーバ室・学生研究室の見学をしながら話を聞いて回ったようです。宜野湾農工大についても抽出できたようですね。
    明日はインタビュー予定に加えて、パネルとしては1枚のみに限定した上で調査の結果得られた事実のみを掲載。それを踏まえて自分らがどのように感じたかを口頭のみで話す方式で進めるらしい。

    グループ2の作業報告によると、昨日まではパネルとしてのまとめについてはノープランだった所が、仮作成の段階ですが実際にレイアウトするところまで作成が進み、70名強集まったアンケートについても集計結果をほぼ終えたようです。今日一日での表に見える部分の作業がグッと進んでいます!
    明日は、実際にどういう話としてまとめるかを検討の上パネルを仕上げる方針の模様。

    残す所、後一日!


    三日目の記事一覧
    グループ1
     ・活動計画~3日目~
     ・先生への質問(遠藤先生)
     ・先生への質問(河野先生)
     ・先生への質問(名嘉先生)
     ・三年生まとめ(美来出身)
     ・活動報告~三日目~

    グループ2
     ・三日目 朝 日程計画
     ・谷口先生へのインタビュー!
     ・「watson」についての講演会を見てきました!!
     ・三日目 作業報告

    當間レポート
     ・(美来工科インターンシップ) 3日目スタート
     ・(美来工科インターンシップ) 3日目終了

    (美来工科インターンシップ) 3日目スタート

    木曜日, 7月 7th, 2011

    インタビュー実習後半戦、3日目が始まりました。実作業時間換算で残り14時間と行った所です。逆に言うと既に14時間の実習を終えており、各種調査を通してグループ毎に「高校と大学の違い」一つ取っても様々な多種多様な側面があることに気付いているようです。今日からはそれらをどうまとめていくかを詰めて行く段階に差し掛かっているようです。

    グループ1の3日目の計画によると、これまで独立して作成してあるコンテンツを整理して一つのパネル(話題)としてどうまとめるかを検討しつつ、可能な範囲でインタビューも継続するようです。「学年が進む毎にどのように心情が変化するのか」というテーマについて学生自身だけの理解だけでなく、教員としてどのように接しているのかという側面からもアプローチしてそれらを合体させるという方針の様子。具体的にどうのような違いを感じたかということについてもこれから少しずつコンテンツとして現れてきそうです。

    グループ2の3日目の計画によると、アンケート集計結果から出てきたインパクトのある講義「プログラミング1」を担当している谷口先生へのインタビューと、今日の午後に予定されてるWatson講演会への参加を予定し、前後の時間で話の整理について検討するようです。いろんな話題が独立というか乱立しているようでどうまとめるかを苦心しているようですが、私から見るといろんなまとめ方が想像できてしまいます。けどそれを考えてもらうのが醍醐味なので話してしまわないように努力していますw

    (美来工科インターンシップ) 2日目終了

    水曜日, 7月 6th, 2011

    2日目が終了しました。これで半分が終了したことになります。

    グループ1の報告では、予定していた2,4年生へのインタビューや、授業(プログラミング3)見学を実施できたようです。また、隙間の時間でパネル検討も進めており、まだ目安の段階ですが1年次の項目については文章整形含めてパネル上にレイアウトされていました。

    グループ2の報告では、OSやプログラミング3に関連して河野先生インタビューの実施や授業見学を通して、課題の多さや英語の教科書といったことに付随した新たなキーワード「厳しい」を切り口としてまとめるかどうかを検討してみるようです。最終的に話をどう整理するか、パネルとしてどうまとめるか、といった当りにはまだ踏み込めていないので、明日はその辺りについても検討が必要でしょう。

    表から見える分で判断する限りではグループ1が一歩リード(何を伝えたいか、どう伝えるか、パネルとしてどうまとめるかまで検討に入っている)してますが、グループ2もアンケート集計結果から調査対象を絞り込むことで話の種を数多く仕入れているようなので、まとめ方次第ではグループ2が追い越しそうな状況ですね。

    明日も頑張りましょう!

    以下、2日目に作成された記事一覧をまとめます。


    二日目のサマリ

    [ グループ1 ]
     ・活動計画!~2日目~
     ・質問集
     ・先生への質問(赤嶺先生)
     ・美来工科出身の先輩へのインタビュー
     ・二日目終了

    [ グループ2 ]
     ・二日目 朝 今日の日程
     ・二日目 朝2 授業見学!?
     ・二日目 作業報告 河野先生へのインタビュー&授業見学その2

    [ 當間レポート
     ・(美来工科インターンシップ) 2日目スタート
     ・(美来工科インターンシップ) 2日目・中間チェック!
     ・(美来工科インターンシップ) 2日目終了

    (美来工科インターンシップ) 1日目のサマリ

    火曜日, 7月 5th, 2011

    1日目が終了しました。新システムに移行してから始めてまともに利用するサービスや、ちょくちょくトラブル起こしがちなLDAP認証といったいくつかの事象が重なってドタバタしてましたが、長田先生や名嘉先生率いるサーバ班皆さんの活躍によりトラブル解決しながら動くようになっていく場面を見せれたという意味では良かったと思います。事務作業でのドタバタじゃなく、Webサービスとかでのドタバタしてる現場を見るのってなかなかないだろうし、そういうのに直接学生が対応してくれてるのも珍しいだろうし。

    グループ1の1日目報告では、概要しか書かれていませんが口頭確認した限りでは複数学生(1,3年生,美来工科卒業生)へのインタビュー、教員へのインタビューを実施し、ほぼドキュメント化するところまで終えたようです。テーマである「学年が上がることによる心情の変化」についてはまだ検討が進んでいないようですが、まだ件数少ないだろうし、明日以降で少しずつどうやって検討するかの話も進むだろうと期待しています。

    グループ2の1日目報告では、写真付きで具体的に何を体験してきたか書かれてますので一読&できればコメントを! 他にも授業(ニューラルネット)見学でWebclassを使った風景に感動したり、Webアンケートにより現時点で集まってる分だけでも「どうやらOSがインパクト大の講義らしい!これは是非とも探らねば!!」ととても情報工学科らしい部分に気づいたようです。いろんな意味で楽しみですね!

    以下、今日作成された記事一覧をまとめます。


    一日目のサマリ

    [ グループ1 ]
    はじめまして!!
    初日おわりました!!

    [ グループ2 ]
    自己紹介
    サーバー室に突撃インタビュー

    [ 當間レポート ]
    美来工科インターンシップ開始!
    同校出身者との懇談会
    (美来工科インターンシップ) 1日目・午前の部終了
    (美来工科インターンシップ) 自己紹介&テーマ紹介
    (美来工科インターンシップ) 1日目のサマリ (この記事)