Archive for the ‘研究’ Category

評価極性データ、オープンキャンパスとか情報整理してた一日

水曜日, 7月 10th, 2013

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平良くんは今の所「感情+推薦」あたりをキーワードにテーマを構築中。昨日のゼミで話題に上がった「感情表現」についていくつか公開されてる成果があったよなと思いつつ整理すると、次のようなものに。他にもあるかもしれないけど。「感情表現辞典」というのもあるらしいけど、これはどんなものなんだろう。

  1. 日本語評価極性辞書

    極性は「Positive or Negative」のことで、用言と名詞について極性付与した辞書が公開されています。

  2. 評価値表現辞書 (評価表現辞書)

    「評価値になり得る可能性のある表現」を集めた辞書。これ単体では極性等の情報はありません(P/N極性なら上記の「日本語評価極性辞書」)。特徴ベクトル作る際のコードブックとして利用するとか、これをベースに極性なり感情なりを推定するための情報源としては使えるかも。

  3. 感情極性に関するコーパス

    英語版も紹介されてます。

  4. 意見(評価表現)抽出ツール

    これはツールですが、「評価表現の抽出+評価タイプ分類+評価極性判定+評価保持者抽出」するらしい。どのぐらいの精度かも例示されています。

来週末に迫ったオープンキャンパスも整理しておこうということで情報工学科編としてページ作成。学外から多数(情報工学科だけで例年100名以上)の来客があるので掃除&整理整頓をお願いします。

会場設営の方は宮里先生に丸投げ気味なんだけど、大丈夫かな〜。

興味のあるキーワードで見かけた関連事例を意訳紹介してみる

金曜日, 4月 19th, 2013

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実験1/スクリプトプログラミング金曜日のレポート提出を確認しつつ、1年次の登録確認表への押印したり、火曜日のゼミやお茶会で話題について補足してた一日でした。

レポート提出について何かしら応答があったのは現時点で30名。アップロードミスしてる人には折り返し催促してるので、再提出ヨロシク。rsyncコマンド実行時にエラー出てるだろうにと思ったりしますが、引数の書き方によっては「正常に別の所に複製する」のでエラーがでないこともあるか。

ゼミ/卒研では、新4年次の卒業研究テーマを決めるために予稿集/論文集を探させたり、何かしら興味のあるキーワードについて事例調査させたりしています。その中で出てきたキーワードについて例えばこういう事例があるよというのを具体的な調べ方の参考も兼ねて、俯瞰しやすさを意識して意訳してみた実例を示してみています。事例ばかりだけだと悪い意味でのハウツーになりかねないですが、私自身を含めた「いろんな視点/まとめ方」の一例を示すことで背中を見せるみたいなことを意識しています。

例えば、お茶会では新M1のテーマについても話してたのですが、キーワードとしてはIPSJ75(0日目/1日目 /2日目/3日目)やNLP2013(チュートリアル/1日目/2日目/3日目)でのキーワードを交えつつ「オートエンコーダ/要約バリエーション/強化学習状態空間/ベイジアンネット」について意訳紹介(PDF)してみたり。

ゼミ補足としては平良くんがキーワードに挙げた「漫画」事例についての意訳紹介(PDF)と、松田くんがキーワードに挙げた「発言意図」事例についての意訳紹介をしてみたり。

毎回やってる訳ではないですが、比較的前期の間は意訳紹介に限らず何かしら一例を示してみてます。自分自身のその時々のアウトプットを兼ねてw

[複雑研全体ゼミ補足記事] 4/15, 話題抽出と信頼性推測, 指文字/手話の文字変換

月曜日, 4月 15th, 2013

今年度も複雑研全体ゼミが始まったので、その紹介兼ねてのポストです。基本的には輪読ですが、(a)論文の読み方、(b)下手な発表・分からない発表を聞いて自分の力にするヒント、(c)プレゼンテーション・パターンとあれこれ盛り込み過ぎかなと思いつつ、ゴールは全てを身につけることではなく「内容とプレゼンの2視点について互いに指摘し合えること」を目指してやってみてます。

年度毎に少しずつテコ入れしていますが、今回はプレゼン・ハックを最初から念頭に入れている点、事前に先に挙げた「論文の読み方」を示している点、出展の明示+自分の文章で事前に概要紹介を示せ、という3点を強調してみています。具体的にはこういう指示(PDF)を与えています。

以下は今日の全体ゼミを終えての補足記事です。


今日の全体ゼミ
 ・伊集竜之: 話題抽出と信頼性推測 [1]
 ・新垣健史: 指文字/手話の文字変換 [2]
での関連話を補足します。

[1] Twitterからの話題抽出と元記事の多種性からの信頼性の推測について, 情報処理学会 第75回全国大会, 2013, 4Q-3
[2] Kinectを用いた, 障害者支援を目的とした指文字, 手話の文字変換, 情報処理学会 第75回全国大会, 2013, 1ZB-2


>話題抽出と信頼性推測

Twitterで流れてくるURL(≒ソース)付きツイートに関する信頼性を推定するため、ソースの多種性に着目して試みているという話だったかと思います。

質疑応答時に突っ込んだ「信頼性って高い/低いというだけで示されるものなの?」という点については、[3] を眺めると参考になると思います。信頼性をどのような視点から評価するかについての別例としては [4,5] の「訂正情報」に着目するものがあるようです。

[3] 【Credibility for the 21st Century】1. イントロダクション / 「情報信憑性」研究者やまもとのウェブサイト, http://hontolab.org/research/credibility-for-the-21st-century-1/
 2. ウェブ情報の特徴, http://hontolab.org/research/credibility-for-the-21st-century-2/
 3. 信憑性研究の歴史, http://hontolab.org/research/credibility-for-the-21st-century-3/
 4. 情報ソースの信憑性, http://hontolab.org/research/credibility-for-the-21st-century-4/
 5. 情報ソースの信憑性に係る様々な要素, http://hontolab.org/research/credibility-for-the-21st-century-5/
 6. 「情報ソース = 組織」である場合, http://hontolab.org/research/credibility-for-the-21st-century-6/
[4] 流言情報クラウド:人間の発信した訂正情報の抽出による流言収集, 言語処理学会 第18回年次大会, 2012, A4-2, http://luululu.com/paper/2012/A4-2.pdf
[5] Twitterからの多様な流言訂正情報獲得のための分類器の構築, 言語処理学会 第19回年次大会, 2013, Y2-2, http://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2013/pdf_dir/Y2-2.pdf


>指文字/手話の文字変換

元々の出発点は楽器演奏時の手指動作を支援したいというところにあり、その一例としてKinectで指文字/手話認識している事例を読んでみたという話だったかと思います。画像認識的には赤嶺先生、ロボットビジョン的には山田先生の方が詳しいかと思いますが、それを踏まえて私の方では以下のものが見つかりました。

[6] は、「指を曲げることで指先が頻繁に隠れる手の甲側からの推定」を目指しているらしく、楽器演奏時とも問題設定が近いかもしれません。[7] は、古い事例ですが、実時間での3次元手形状推定のために、関節角の可動範囲や依存関係等の制約知識を利用しているようです。[8] は、高速カメラ2台を導入した2次元画像からの3次元形状復元を試みた事例のようです。

[6] 手の甲の特徴点による手指の形状推定モデルの検討, 情報処理学会 第75回全国大会, 2013, 5ZA-2
[7] 手の制約知識を用いた逆運動学解法による実時間三次元手形状推定, 画像の認識・理解シンポジウム, 2005, https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/handle/2324/5911
[8] 2次元映像からの手指3次元形状復元, 電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理, 2012, http://ci.nii.ac.jp/naid/110009482260/

日本認知科学会第29回大会を振り返る

土曜日, 12月 22nd, 2012

日本認知科学会第29回大会が終了してほぼ1週間が過ぎました。記録を兼ねて、見つかる範囲で本大会関連記事を整理しておきます(下記)。

當間レポートでは大まかなストーリーと質疑応答を中心としたメモ。この記事では「聴講した発表」を話のタネとして個人的に感じた印象や考えについてつらつらと書いてみます。なるべく複数の発表をまとめてそれらに共通する話題としてピックアップしたつもりだけど、結果的にはそうなってないかも。

関連振り返り: [ JCLA13(日本認知言語学会) | NLP2012(言語処理学会) | IPSJ74(情報処理学会) ]


<目次>

統合的認知と現実場面における複雑さ
会長講演proc.)の統合的認知として話された「システムを構成する要素間における階層性や接続関係を踏まえたアプローチ」という大きな枠組み自体はいろんなところで出てきている話。ここでは具体的な構造(トレードオフ関係/インプリシット結合/個人間変動)を仮定し、その仮定をうまく観察するためにどのような枠組みで実験設計したかという事例紹介をベースに、全体的な枠組みに言及されていました。JCLA13での「多層的かつ重層的に捉える」という話も同じような見方かも。

認知的な活動に限らずモニタリングしたデータには何らかの要因で「例外的な値/イレギュラー」と看做したくなるケースが出てくるのが自然。例えばJCLA13振り返りで「仮説に合致しない事例は反例か例外扱いで済ます? もしくは仮説自体に制約を設ける?」ということについて考えたりしましたが、こういう例外なデータ件数が少ないほど「取りあえず無視する」と考えたくなるんですが、ここでは「認知仮定を説明するモデルの構造は同一だが、構造の差ではなくそのモデル上の信号伝達バランスの崩れとして例外的に見える個人差を説明する」という視点が目から鱗でした。面白そうなので視覚科学も買っておこう。

また、共感覚も同じ個人差の一形態というようなスタイル(に聞こえた)として話されてたのも面白かったです。「共感覚」という言葉自体を始めて知ったんですが、例えば「数字の1」に対して「赤」とか明確にそれ以外の情報を知覚してしまう感覚があるという話自体知らなかったのですが、生態学的に個人差で収まるなら知覚過程も個人差で説明つくというのはそうだろうと思います。ただ、そこをうまく説明するための実験設計(被験者の属性抽出を含む)は大変そう。このあたりを「実験計画工学」として支援する的な話があっても良いかもしれない。(呼称はおいといてすでにあったり?)

知覚アプローチproc.)についてのシンポジウムでは、渡邊先生の「基礎研究は現実場面の一側面を切り取ったものであって(あるべきで)、何らかの形で現実場面と繋がっている必要がある。応用できないというのではなく、どういう応用を見据えているのかについても話をできるようにしよう」というスタンスから始まり、事例ベースでどういうアプローチで切り込んだかという話。見せかけの複雑さに騙されないこと/エッセンスを残したまま単純化すること、絶対値ではなく差分に注目することといったことは統合的認知も含めてあらゆる問題に共通していますね。ワークショップ(進化言語学)proc.)でもアプローチの話が多数出てましたが、構成論的手法もうまく「エッセンスを残して単純化したモデル」でシミュレーションできかどうかが胆なんでしょう。

別の観点というか全く異なる話ですが、NLP2012振り返りでの「コーパスがないとできないことと、そうではないこと」というモノの見方としては「再利用可能な形で観測結果がないとできないことと、そうではないこと」が気になります。

注意の過程と認知の過程
認知科学において注意と認知がどういう位置付けなのかはまだ分からないのでこれから調べる所ですが、今回の参加目的の一つでした。大分昔に「注意」自体をどうやって実現するかということについて妄想を膨らませた事があって、研究テーマとしても提案してみたことあるんですが流石に先行研究踏まえなさすぎてボツ(正しい結果)。

フェロー授与式の「残されているテーマで取り組みたい課題」として安西先生が話された「情報が溢れている中で、何か問題解決しようとしたら、何故それに必要な情報を抽出できるのか? という根源的な課題はまだ解決していない」らしい。会長講演の冒頭でも出てきた【情報の取捨選択 [James, 1890](Principles of Psychology っぽい)、特徴統合理論 [Treisman & Gelade, 1980](Feature integration theory っぽい)、注意モデル化 [認知科学, 横澤] (このリストでの注意を含むやつ?)】か、論文で挙げてる【[横澤, 1994][横澤・熊田, 1996]】あたりを眺めると概観できそう。ただし、統合的認知でも触れたように、横澤先生(統合的認知)的には「単に脳計測した結果を観察分析するだけ」では要素還元的な分析に陥り、過程の理解に辿り着く前に満足してしまうと意味が無いというお話。

歴史的な背景含めて今年出版された「MIT認知科学大事典」を購入すると良さそうなんですが、1600ページオーバーで紙媒体出版されるとちょっと。「辞典」という側面からも電子媒体出版して欲しいし、実際使うなら「キーワード検索」しまくるだろうし。かといって自炊するのもちょっと。どうにかならないのかなぁ。。

錯覚の利用
錯覚自体のメカニズムを解明するという話ではなく、錯覚することを利用して実験計画に組み込むという事例がいくつか。例えば、ゴム製の腕と自分の腕を並べておき、本当の腕を目視できないように隠してゴム腕だけを見せている状態でゴム腕側に刺激すると「実際に刺激されているように錯覚する」というラバーハンド錯覚を利用して、触覚だけじゃなく温度感覚についても同期刺激であれば錯覚するという話。錯覚を利用するというのは考えたこと無かっただけに、そういう試み自体が面白い。

こっくりさんや目標伝達にみる無意識的な認知
こっくりさんを対象としてたのはO1-2の発表proc.)ですが、大会全体として「無意識的に行われる認知が重要で、その過程をどう明らかにするか」という視点で話されている発表がいくつかありました。どちらも基本的にはターゲットとなる認知の具体例を想定し、そこで見られるであろう仮説を立て、その仮説をうまく説明するための実験設計し、実験観察するという「科学」らしいスタンス。

こっくりさんの例では「脳活動に同期現象・機能的結合が見られることが既に報告されていて、それを踏まえて同期背景として何が行われているのか」を問う話。実験設計としては知り合い同士でペアを作り、「今日の天気は?」といった確実に答えられる設問と、事前アンケートで「自分が知っているか否か」と「相手が知っていると思うか」について調査した上で実験中の設問を設定し、試行中の脳活動から比較したとのこと。

O2-1の目標伝染proc.)では、多くの認知的処理が意識的コントロール範囲内にはないのだから「思考も無意識の影響から自由とは思えない」というスタンスで、一個人が目標を設定する際にも無意識的なプロセスが入り込むかを一例として検証した話。具体的には2種類のシンプルな物語を用意し、片方では衛生的な観点から刺身定食から焼き魚定食に変更するというストーリー、もう片方はそういう意図無しに焼き魚定食から刺身定食に変更するというストーリー。どちらか一方を読ませた後にダミー課題(恐らく数分)を行わせ、お礼として用意したクッキー&消毒液に対する行動を観察比較するというやり方。

人形遣いに見る恊働作業の達成
サッカーとかバスケみたいなグループ競技でもたまに「言葉使わないし目視もしない連携」が発生しますが、そういうたまたまのものではなくてデフォルトで言葉や目視を使わない、つまりコミュニケーションレスに見える状況下で高度な恊働作業を実減じている例としてO3-1proc.)とO3-2proc.)では「文楽人形の人形遣い」を取り上げ、「阿吽の呼吸」のように評される恊働作業をどのように達成しているのかを探るという話。人形遣いは操作するために3人の連携が必要で、メインガイドに相当する主遣いを中心として、それを支える左遣いと足遣いがいる。他に直接操作には関わらない要素としては、脚本や床(三味線や義太夫節をこう呼ぶらしい)があるので、ストーリー的に先読みできるなら合図等無しに恊働作業できるはずだが、それらがない場合でも共同作業しているところがミソ。これを人形の動きや操作手の呼吸モニタリングすることでどのように同期が発生しているかをウェーブレット変換で位相差解析してみたらしい。モニタリングしている情報以外は見れないのが問題だけど、現時点でもいくつかの同期傾向を抽出できているとのこと。想像通りの部分としては、熟練者になるほど呼吸が安定(より周期的)し、動作と呼吸相が非同期的になるとのこと。

操作中なので身振り手振りも使えないし、言葉や目視も行わずに「恊働作業」を実現しているというのは確かに凄い。ただ、直感的には操作している「人形」を通してのインタラクションがありそうなんだけど、このあたりについては計測困難or実験設計困難という判断なのか見落としているのかが良く分からず。

コミュニケーションスキルと足踏みの自発的同期
O1-3の発表proc.)で、対面状況下で(足踏みすることだけを伝えて)足踏みさせたとき、どのぐらい足踏みが合うかと自閉性傾向(コミュニケーションスキル)とに何らかの相関が見られるのではという話。音による同期を除外するためにヘッドフォン(ノイズ音)付けて、対面状況と非対面状況(片方に後ろ向かせる)とで比較すると差が見られたとのこと。特に、自閉性傾向の人でも「同期するよう指示するとできる」が自発的にはでてこない、らしい。

暗黙知・実践知の記述
パターンランゲージ一種だと想像。例えばP1-17proc.)では復興支援活動に携わっている人の話す体験談が「自分がどう感じたか」になりがち(それが体験談だとは思うが)で、後から新しく携わる人が具体的に何をどうしたら良いのかという点で直接的には役立てにくいという話で、そこを「物理的なモノ」中心に記述し直すことを試みているらしい。目的が異なるものを再利用性高めて使おうという点では面白い。

NLP2012振り返り

より現実的なエキスパートシステムとか、実際に現場で利用できるレベルでの知識の蓄積の仕方、と考えても良いかもしれない。専門家に相談したら良いという話でもあるけど、それも難しい状況があるわけで。

ということを考えたりしたけど、パターンランゲージを一緒に設計するというのは一つの解だろうと思います。

緩い対称性
P1-22proc.)ではマルチバンディット問題で緩い対称性(Loosely Symmetric Model, LS)を導入することで学習が効率良く進んだという報告。システム側には乱数的な挙動を除外しているようなので決定論的に動作してしまうのだけど、これで局所解に陥らずに効率良く学習できるというのは謎。著者的には「他と比べてどうか」をリファレンス参照して求めているから上手くいっているように見える、という解釈らしい。強化学習やってる慶留間くんの参考になるかしら。

他にも緩い対称性使ってる事例はあって、P4-9proc.)では「確率的にはあり得ないモデル(認知バイアス)を人間は作ってしまう」ことを経験ベイズとLS組み込んでうまく説明してみようということをやってる話もありました。

今回に限らず「緩い対称性」の事例はたまに見かけるのですが、オリジナルではどういうストーリーでこれを提案しているのだろう。直感的にはロジスティック関数の方がうまく説明できそうな気がするけど。参考文献からオリジナルを探す限りでは因果性に基づく信念形成モデルとN本腕バンディット問題への適用らしいので後で読もう。

協調学習における学習のプロセスと授業形態?
O2-2proc.)によると、複数人で協調しながら学習を進めていく(グループワーク?)場における協調過程を説明するモデルとして、収斂説と建設的相互作用説があるらしい。収斂説では「協調学習を通じて複数学習者の考えが正しい解へと収斂するプロセス」を説明しているが、「正しい解を選んだ個々の学習者が用いているメンタルモデルには多様性が見られる」ことが観察できたので、それを建設的相互作用として説明を試みたという話らしい。

必ずしも「協調」という枠組みではないけれども、代表的な座学聴講スタイルの授業形態において反転授業という「授業の後半で課題のイントロ部分を実際にやり、残りを宿題とし、次回授業の冒頭で開設や質問受付する」に加えて、友人らで互いに教えあえる環境を構築できると「興味はあるけど具体的な行動には結びつかずにドロップアウトしがち」な人を具体的な行動に結びつけやすくなるという話がP2-10proc.)でありました。こういう「積極的に取り組みやすい環境作り」はHow to Make (Almost) Anything (ほぼ何でもつくる方法) 2010年度 体験記や、FabLabCoderDojo Okinawaでやってうことと共通している点なのかも(多分)。一方で、P2-10でも述べられていたんですが、助走期間というかある程度自分で走れるようになれるまでは手取り足取りやってからじゃないと、そういう環境を用意しただけではうまく機能しないというような話も。

P3-2proc.)では、創作活動において「自省」だけよりは「他者作品の模倣課題」を課すことが表現内容/方法/その関係調節といったことへの意識の芽生えを促すことができるらしい。これも助走期間をうまくサポートするコツなんだろうな。変化球的な事例としてはP4-12proc.)の即興ダンスにより「自分の身体は好きだ」「日々の生活で発見が多い」「他者を位置づける」「客観視」する傾向が強まったという話も。

一連の繋がりを持つと認知する過程?
ツイート集合において特定ツイートを指定した時に関連しているツイートのみを抽出(談話抽出)しようとしている堀川くんのテーマに関連して、「繋がりを持つと感じる(知覚する)」といった、語や文・文脈の認知過程についての情報収集が今回のメインタスクの一つ。

P4-4proc.)では、現在進行形で体験している出来事はそのままでは細切れなイベント集合のままで、「極め」に相当するアクションに遭遇することでそのアクションに関連したイベント(=そのアクションを理解するために必要な文脈となる出来事)群を紐付けることでエピソード体験抽出しているという話。協調している点は、「後日談として語るような場面でイベントを再構成/紐付けしているのではなく、体験しつつある認知経験の最中に形作られる」ということらしい。「アクションを理解するために必要となる文脈」を紐付けるために、その文脈をどう抽出or選択しているのかは良く分からないけど、体験最中に「それまでの経験を蓄積して構築したメンタルモデル」との紐付け自体が文脈抽出時の情報になっているのかな?

物語生成関連の発表も数多かったのですが、こっちは認知過程的話が含まれてなかったのでちょっと残念。自動生成や生成支援みたいな話自体も面白いけど、そっちは情報処理学会言語処理学会でも聞ける話なので。

言語処理方面では、NLP2012の振り返りでの発話文の前提推定は前述の「アクションを理解するために必要となる文脈を紐付ける」のと酷似したタスクだと思います。少なくとも出力は同じで、認知過程的に同質なのかは良く分からないけど。説明生成に基づく談話構造解析含意関係認識も関連タスクじゃないか(うまくいくモデルとしては類似点がありそう)と。IPSJ74の「ストーリー性を考慮したあらすじからの類似度計算(abst.)」や「知的ヘルプシステムのための意味を考慮したテキストマッチング(abst.)」、「共起ネットワークを用いたクラスタ性によるテキスト分類」も手続きとしては参考になる視点がありそう。

別観点では、IPSJ74での「マイクロブログ上の中心的話題(abst.)」や「複雑ネットワークからのキーワード抽出(abst.)」は、「極めアクション」の抽出処理として使えそう。

メンタルモデル?
メンタルモデルを直接対象としているというよりは、メンタルモデルを使った認知過程のモデリングについて理解を深めるための教材や授業についての発表がいくつかありました。例えばP1-20proc.)ではメンタルモデルを簡単に設計&シミュレーションできるシミュレータを提案し、授業で触らせてみたという発表らしい。

すべてはメンタルモデルという考え方から」を参考にする限りではメンタルモデル自体にもいろんな解釈があるようなのだけど、このあたりは何か整理されてる文献等があると良いのだけどちょっと見つからず。

日本認知科学会第29回大会 3日目(最終日)

土曜日, 12月 15th, 2012

日本認知科学会第29回大会3日目(最終日)が終了しました。まだまだ咀嚼できてないですが、自分の考えを整理するのは後にしてここでは参加メモの備忘録です。

初日に「会期中に地震あるでしょう」という話だったのですが、最後の口頭発表セッション中に2回来ました。1回目は結構震度あった気もしたけどあれで震度3だったのか。2回目は震度1だったらしい。こっちももうちょい強かった気がしたけど。

最終日は気仙沼食堂に行く予定だったんですが、満席で入れず。仕方ないのですぐ近くにあったかきやNO海鮮丼ぶりや ととびすとに突撃。牡蠣蒸し焼きは当然として、海鮮丼も旨し。やっぱり海産物を一度は食べておくべきだな。適当に入ったお店でこんなに美味しいとか羨ましすぎる。

最終日のプログラムは以下の通り。

 シンポジウム2: 知覚アプローチの現実場面への適用
 ポスターセッション4
 口頭セッション5: 言語・認知
 ワークショップ3: t検定・分散分析から混合モデルへ:文理解研究の導入事例から学ぶ
 ワークショップ4: 進化言語学の方法論的基盤

シンポジウム(知覚アプローチの現実場面への適用)は良い意味で期待を裏切られて面白かった。一つ心残りがあるんだけど、「網膜に映る二次元画像から外界三次元構造復元し、物体や光景を認識」という従来の復元スキームで説明できないことが「二次元画像特徴の集合/統計量からほとんど「直接に」認識」という新しい把握モデルとして説明できることがあるという話は、復元スキーム全体を否定しているのだろうか?

最後の口頭セッションは自分的に一番気になってたセッションなんですが、実態が「言語の認知」というにはちょっと違いすぎるように感じたセッション。2,3件目は言語全く関係ないし。良い悪いじゃなくてセッション名と違いすぎるのはちょっと。

ワークショップも少し残念。ワークショップ3(混合モデル)はどちらかというとレクチャー。ブログ: Mixed Effects Modelsを通して整理発信していくらしい。ワークショップ4(進化言語学)は、参加者に何を伝えたいのかが謎なパネル討論。

以下、當間解釈の備忘録メモです。


<目次>
[ シンポジウム2 ] : S2 知覚アプローチの現実場面への適用
[ ポスターセッション4 ]

[ 口頭セッション5: 言語・認知 ]

[ ワークショップ3 ] : t 検定・分散分析から混合モデルへ:文理解研究の導入事例から学ぶ
[ ワークショップ4 ] : 進化言語学の方法論的基盤


シンポジウム2: S2 知覚アプローチの現実場面への適用

企画: 永井聖剛(産業技術総合研究所)
話題提供者: 渡邊克巳(東京大学),
 本吉勇(NTT コミュニケーション科学基礎研究所),
 熊田孝恒(理化学研究所)
指定討論者: 齋木潤(京都大学)

[ 現実場面の「複雑さ」をどう扱うか(渡邊克巳(東京大学))]
 複雑(と思われている)現象?
  刺激の複雑さ:刺激をきちんとつくる
   見た目の複雑さ/数式モデル上の複雑さを混在して考えない
  操作的定義:受容野とか閾値は操作的定義。脳には存在しない。
  差分を取る:「絶対値」は扱いにくい。変化に注目。
  限界を調べる
  エッセンスを残したまま単純化する:被験者が捉えるストラテジーを最小化(最大化)する
 刺激や現象の見かけの複雑さに騙されないこと
 実験に落とし込む前に、どのように現象のエッセンスを残したまま単純化すべきか
 高次・複雑な刺激をあえて「低次」なものとして扱ってみる
  低次のプロセス組み合わせで説明?高次受容野として説明?
 操作的定義を設定
  有効視野での例: 操作的定義を設定し、それをベースに比較検証
  主観的指標と客観的指標のズレをどう説明するかの面白み
 刺激をきちんと作る
  人,喋り,対話: e.g., パージカルモーション+α?
  刺激つくりだけで手間が大きいが、最初にきちんと作っておく
  現実社会からの収集でも良いが、どうエッセンスを抽出するかが重要
 差分に注目する
  歴史的: 単純接触効果(直前の刺激と比べてどうか。刺激そのものの良さは置いておく)
   頭の中の過程を抽出することができる
   e.g., CMの良さを評価するのではなく、直前と比べてどうかをシーケンスで見る
 系列効果
 ミニマルな状況を作る
  高次・社会的インタラクションにも低次な側面は含まれる
   日常観察だけでは分からない部分をどう引き出すか
   e.g., こっくりさん/指追従: 同期にはフォロワーがどう追従するかが大きな要素

[ 知覚情報処理に基づく美学(本吉勇(NTT コミュニケーション科学基礎研究所))]
 復元から把握へ
  過去数十年:網膜に映る二次元画像から外界三次元構造復元し、物体や光景を認識。
   疑念
    1990年代末, 動物のいる/いないシーンを100msec以下で、
    注意を向けていなくてもできる。(赤い縦線と緑の横線を見分ける方が時間がかかる)
    2000年代, 画像のスペクトル形状から大まかなシーンのカテゴリ認識可能。
  新パラダイム:二次元画像特徴の集合/統計量からほとんど「直接に」認識。
   事細かに復元(高コスト)する必要はなく、
   例えばヒストグラムの一部に着目するだけで「把握」している?
   人間の知覚はルールさえ分かれば簡単に欺くことが可能。
    e.g., 形/質感/物体カテゴリの内部表現: 錯視を用いた実験モデル
    ->復元が必要だと思われていた知覚は、実際やってることは非常に低次コード?
     入力画像->画像特徴->統計量->オンデマンドな意思決定
     ≒コンピュータビジョンと同じ方向
 低次の画像特徴の集合に基づく高次の物体・質感表現
 形式の微を証拠だてて論じることはできないか?(審美眼の自然科学的理解)
  個人の好き嫌いを越えたもの
  一握りの集団の好き嫌いも越えた、普遍的なもの(作品そのものを分析する情報美学)
  絵画の画像統計量は自然照明下における物体の画像統計量と相関(生態光学的要因)


Q: 2次元から奥行きがでてきた西洋絵画ものとの関係は?
A: 何かしら科学的思考法があり、遠近法は幾何学のオンパレード。
 陰影リッチについていうと、古代ローマまで遡っても違いがある。
 認知モデルの背後にも自然環境の影響があるかもしれない。
 例えば直線的な建造物が多かったから遠近法が生まれたとか?


[ 日常生活場面における情報選択や行動選択:神経心理学からのアプローチ(熊田孝恒(理化学研究所))]
 神経心理学:脳の器質的ダメージによって生じる認知機能の変化を実験心理学的に理解する。
 高齢者/障がい者/初心者などの特殊なポピュレーションの認知・行動特性を理解する必要性
 前頭葉機能に焦点をあてた事例
 視覚探索の例: 注意のスポットライトを移動して、ターゲットを見つけ出す過程
  ボトムアップ情報:視覚的顕著性
  トップダウン情報:ターゲットに関する知識
  半側空間無視
   刺激の差で起こることも起きないこともある
   特徴探索(線分)だと生じない
   結合探索だと生じる->ボトムアップとトップダウンどちらに問題?
   -> 知識を要する課題、顕在的に解ける課題で比較
 加齢による認知機能の個人差と日常生活における問題
  注意/ワーキングメモリ/プランニングのいずれか一つだけが劣っている人を集めて比較
   高得点/ワーキングメモリ低下では顕著パターン無し
   注意機能低下: 探索範囲の不十分さ(どこを探すべきか分からない)*非注意
   プランニング機能低下: ゴール設定の不十分さ(何を探すべきか分からない)
   過去の経験やメンタルモデルに従った行動が共通してみられる(機能低下を補う行動?)
   -> 駅構内の案内表示を増設・改良しても有効ではない。
  高齢者と一括りに扱えるようなものではない
 注意が向かない人たち、向けようとしていない人たちの認知モデル
  どうサポートするか
  心理認知学的に把握するところから


Q: 要素数が多少が左右に差が出るのは何故か?
A: 密度が影響している可能性。まだ仮説で検証できていない。
A: 課題の難易度だけで説明できないか?


[ 指定討論: 齋木潤(京都大学)]
 タイトルについて、
  知覚研究者が認知科学で役立つのは実験方法論のみ?
  知覚が基礎研究で現実場面は別世界で切れ目がある?
 知覚研究のリアリティと認知研究のリアリティの接点が少ない?
 問題を絞って掘り下げていく方法論 vs 問題を広げていくアプローチ?
 知覚/認知や基礎/応用といった区分はナンセンス。
 全ての研究はそれなりのリアリティ、何らかの現実場面との接点がある。
 現実場面の一側面を切り出しているだけに過ぎない。

 Q: fundamental な問題はまだまだ解けていない。
  今やってる視野を広げる研究はどう寄与するのか。
 A: 知覚系研究で数十年かけて解決されてないのは、見方が間違ってたという見方もできる。
  駅表示板大きくしても駄目という話でも、5mぐらいの表示だと気づくかもしれない。
  実環境に依存しているにも関わらず、切り出してしまっている。
  世の中の統計的なものが体にしみ込んでしまっていて、そこから外に踏み出せない。
  応用に対して方法論を提供するだけではないと思う。
  横に広がることは物事を深めることと同値。
  表示板を見やすくするにはどうしたら良いかという発想ではなく、
  問題発掘していく見方をする人が増えると嬉しい。
 A: 若い人も国際会議にシフトして国内会議に出てこない。
  fundamental な問題というからには問題は見つかっている。
  知りもしない問題を見つけてくる所はクリエイティブだと思うが、
  視野を広げることはそこに役立つと思っている。
  自分がやってるところでしか成り立たないと思っていたことについて、
  他でも成立するアナロジーだったりすることがあると、そこに普遍性が
  見つかる切っ掛けにもなると思う。
 A: 基礎から応用へというストーリーは自然科学的な発想。
  基礎が開けたら繋がるというものではないように思う。
  日常場面を切り出す程度の問題。
  抽象化の仕方が間違っていないかということに気になっている。
  緩和していった時の傾向確認など。
  実験室の外でやると想定外の面白さがある。
  実験室ではモデルを想定して行動するが、予想しない結果が出て来るなら、
  そのモデルの作り方が間違っている可能性がある。そこにヒントが現場にあるのでは。



naltoma: ここで題材にしている知覚すべき対象の「複雑さ」は、
 乳幼児のようなレベル? ある程度発育した子供以上?
 という発達段階に応じて知覚の仕方によっても変わったりしない?
naltoma: 新パラダイムの把握は、復元スキーム全体を否定する話?



Q: リアリティとの差分について。
 いくつかの目標を遂行してからゴールに行くことについて思い出すと、
 何かしら若い頃からいくつかゴールを忘れてしまうことがある。
 プランニングの問題は若い人でも高齢者でも強弱がある。
 ワーキングメモリの不足?
 一つのことをやっている内に二つ目三つ目、、、どれかを忘れてしまう。
 個人的な体験ではワーキングメモリ不足が影響していないか?
A: 実験室レベルでの実験が良いのか

Q: 地震でも生物でもいろんなところにべき乗則が成り立っている。
 人間の知覚は昔のように物体を細かく分けて認識統合してる訳ではなく、
 統計的に判断しているのではないかという話だったが、これはべき乗則?
 そういうものを頭が認識しているという考え方で合っているか?
A: 統計的にはそういうことが言えると思う。
 ただ、画像の中にある統計量という点では違う話だと思う。


ポスターセッション4


P4-2: 階段状の語彙発達曲線の成因:語とその参照物の共起パターンの生起確率は閾値を一斉に超える, 荒木修(京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科情報工学専攻)ら

従来は、子供の語彙発達時の傾向として推移時の段差は小さく、
大きい目で見れば滑らかな曲線的に発達が進むと想定されていたのに対し、
そのように進む子供もいるが、大きくはっきりした階段状の傾向を示す子供
もいるという観察結果が報告されているらしい。
それを前提に、「こういう傾向を引き起こす原因」の一つを提示するために
シミュレーションした結果、「指示対象となりうる物体との特異的な共起」
に要因があるというのが前回までの話で、今回はさらに複数条件を追加した
シミュレーションを通して「説明」してみるという話。

勿論今回の結果(から考えられる説明)が正しいかは別ですが、
シミュレーションを通してモデル構築するという点ではとてもスマートな
アプローチという印象。


P4-4: 極めのアクションが1 つのエピソードユニットとなる幾つかの出来事をつなぐ, 榎本美香(東京工科大学)ら

時間推移に伴って体験している出来事(イベント)は、
それを体験している最中には細かく区切っているだけで、
後で「極め」に相当するアクションが起こることで不要なイベントを取り除き、
その極めアクションに関連したイベント群を繋げることで「エピソード単位」になるという話。
どういう風に繋げるのかなという点ではこういう考え方もあるか。
具体的な記録からコーパス化&分析するアプローチも一つの参考になるかも。


P4-5: マンガのシーンの想起における境界拡張, 船津徹(東北大学大学院情報科学研究科)

以前見た写真風景を後で思い出そうとする時、
実際に見た写真よりも広角なシーン(被写体が元画像よりも小さく)として
想起される現象を「境界拡張」と呼ぶらしい。シーンの境界が拡張されるのね。
これが4コマ漫画でも見られましたという話。
狙いとしては、「単純なオブジェクトで描かれた線画では境界拡張が見られない」
という報告があり、それに対して漫画では生じることからどのような認知過程が
生じているかを迫っていくことに繋げていきたいみたい。


P4-6: 各特徴の出現頻度がカテゴリ学習と典型性評定に与える影響, 京屋郁子(立命館大学文学部)

狙いは面白そうなんですが、個人的には実験設定が目的にマッチしていない気が。
独立した特徴をいくつか用意し、それらを組み合わせて絵を用意することで
カテゴリ学習への影響を見ようとしていますが、個人的には「絵」になってる
時点でそれらが複雑に組み合わさってしまう刺激に解釈されてしまうような気がする。


P4-7: 因果構造の学習における課題の複雑性と判断方略の変化―観察と介入に関する実験的検討―, 斎藤元幸(関西学院大学大学院文学研究科)ら

面白そうなんだけどタイミング合わず。


P4-9: ベイズ的枠組みにおける対称性推論のモデル化と認知バイアスの体系化に向けて, 大用庫智(東京電機大学大学院)ら

確率的にはあり得ないモデル(認知バイアス)を作ってしまうことを、
緩い対称性(LSモデル)と経験ベイズモデルでうまく説明できないかという話。
具体的な認知バイアスとしては、ギャンブルにおける「確率的に平等」な状態
から「ギャンブラーの誤謬」に推移し、さらに「ホットハンド」へと辿るという
時系列的なモデル修正を扱っていて、この認知モデル更新をうまく記述する
モデル化をしてみることでより汎用的な認知モデルに繋がることを目指しているみたい。


P4-12: 大学生を対象とした即興ダンス授業実践とその効果, 中野優子(東京大学大学院学際情報学府)ら

授業として「即興ダンス」をすることを前提に、
「即興ダンスをすることで認知モデルがどのように変化するか」に
迫ってみたという話。即興ダンスは「構想をその場でどのように
表現するかは個人に委ねられているので指導困難」で、「学習効果
も良く分からない」らしい。大学での授業を通して数回に分けた調査
からは、「普段時の姿勢や呼吸といった身体に意識を向けるようになる」
みたいなものから「自分の身体は好きだ」「日々の生活で発見が多い」
「他者を位置づける」「客観視」とかいろいろ出てきたらしい。


P4-14: 言語統計解析に基づく文生成の計算モデル構築, 堀田崇史(東京工業大学大学院社会理工学研究科)ら

ベイズと何が違うのかが分からない(という質問で集中してた)のですが、
本質的な所はベイズでそれを組み合わせてて、それを誤解を招きそうな別称
で呼んでいるのが問題なだけかも。コーパス次第でどういう文を生成させ
たいかを切り替えられそうですが、このあたりもう少しうまくやれないものかな。

口頭セッション5


O5-1: 言語経験による音象徴処理の変化, 浅野倫子(慶應義塾大学/日本学術振興会特別研究員(PD)/玉川大学)ら

音表象: 「ことばの音」自体が何らかの意味(概念)と結びつくケース
 ブーバ・キキ効果: 言語圏によらず95%が同じ傾向
 抽象度の高い/低いシンボル
  低いシンボルへの音表象は言語発達との関連?
 前言語期の乳児は音表象を[意味的に]処理する
  「言語音は意味と結びつく」ことへの気付き(意味≒物体or事象?)
  個々の音と意味のマッピング
 Q: 成人も同じように音表象を脳内処理しているのか?
 -> N400は生起しない(意味的には処理していない)
  P600(刺激全般に対する再解析処理)では生起(音表象の関係性自体の評価はしている)


naltoma: 言語経験によって音表象の脳内処理が変容するとして、
 それを脳波測定で捉えた際に「脳波上は違う」ということと
 「音表象の脳内処理が異なる」ことは同質なのか?
naltoma: 変容するとして、変容するのは何故か?
naltoma: 意味的に処理するとは?
 音表象との適合度合い(親和度)は、意味的な処理?(統計的な処理ではない?)



Q: 共感覚者ではどうなると考えられる?
A: 計測していないが、個人的にはブーバ・キキ効果と共感覚とでシェアしている
 部分はあると思うが、違う側面があると思う。計測結果は似た結果が出そう。

Q: P600が何故出てくるのか?
 課題はさせている?
A: 課題はさせず、自動的に見聞きしているだけ。
Q: 何か大きな課題させるとP600出て来るというのはあるが、
 今回のケースでは何故でてくるのか?
A: 理由は私も知りたい。
 赤ちゃんと条件を揃えるため今回の実験設計になっている。
Q: Semantic P600は意味的なものにも何らかの形で影響しているということも
 言われてきているが、まだ良く分からない。可能性としては Semantic P600かも?
A: 突き詰めていきたい。


O5-2: 思い出工学:タイムカプセルによる思い出の保管の検討, 新垣紀子(成城大学社会イノベーション学部)ら

思い出工学
 思い出の危機(311,サーバトラブル)
 思い出の定義
  記録や記憶を手掛かりにして自分が作りだす「物語」 [野島,2003]

タイムカプセルワークショップ
 イベント・モノ・語りの記録
思い出保存実験の目的
 実物は必要か
 デジタルで良いのか
 思い出の語りは必要か
タイムカプセル実験の意味
 残したい自分、卒業したい自分
 残したいものは変わる
 語りを残す


naltoma: 思い出工学によるログ化とタイムカプセルとで何を工学or認知科学したい?
naltoma: 目的はいろいろあって、例えば「過去の自分」を追体験すること?
 目的次第で何をどう残すかが変わってくるのでは?
naltoma: タイムカプセルをタイムスケール短く&複数回やることで
 教育的効果(振り返り追体験)に繋がる?



Q: 思い出工学とタイムカプセルについては、
 生活の場じゃない所に置く、手元から一度離すことに意味があるかなと思ったが。
A: タイムカプセルはやっぱり特殊な例。
 一定の時間経った後でどう変わったかを見れる。
 野島先生的には思い出を共有することが目的。

Q: 残した時の語りを覚えているけど、今見直すと時期がずれてるというのは面白い。
 いろんなものをデジタル化するというより、
 思い出深いアナログを残すことが想起しやすそう。
A: 関わり方によって思い出がどう変わるかもポイントだと思う。

Q: 思い出を残すということは個人や集団にとってどういう意味を持つのか?
 逆に残さないことはどういう意味を持つのか?
A: 必ず残したいものだけではなく、思い出したくない過去もある。
 想像してなかったものも入っており、動揺したという例もあった。



O5-3: 人工物利用のためのコミュニティ:アクションリサーチ報告, 原田悦子(筑波大学人間系心理学域/JST-RISTEX)ら

みんなの使いやすさラボ(みんラボ) CUAR 中間/構想報告
なぜ高齢者のための「使いやすさ」か?
 使わない人は相対的に「不便化」
 低コストで支援するためにはICT機器は必須
  何故使わない?

高齢者へ社会貢献としての参加:モノの使いやすさを検証する活動
ラボ: 使いやすさ/人工物研究支援ツール/コミュニティ研究
 高齢者はユニバーサルデザイン的にネックな所に気づきやすい
 逆に若年成人はネックをどうして自力で乗り越えられるか?
 みんラボ内でどのようなコミュニティが発生し、どのような支援が可能か?


naltoma: ラボ紹介だけだったのが残念。
 コミュニティ研究側で入ってるようなのでそっちでどうなってるか聞いてみたかった。



Q: 素直的学習、水平的学習に並んでる「関係的学習」とは?
A: 自分が見ているものが過去の経験に照らし合わせてどう関係しているのか、らしい。

Q: 高齢者は「開かれた社会に踏み込む」か「内向きか」に二極化していく。
 後者も含めた全体が促進できるようにならないか。
A: 今までの施策では「そこまで必要か?」ということを言う人もいる。
 ただ、そういう人も外向けになれるかなと思えるので頑張っていきたい。



O5-4: 定言三段論法推論の内容効果と等確率性仮定:確率サンプリング・モデルによる検討, 服部雅史(立命館大学文学部)

内容効果
 主題材料効果: Wason選択課題、THOG問題
 信念バイアス
  交互作用: 結論と知識が一致すると反例を見逃す傾向
 メンタルモデル理論(MMT)の複数表象
  良い点: 表象・アルゴリズムの水準での説明
  悪い点
   モデル構成原理(仕様)が不明確、難易度予測が低精度かつ不正確
   内容効果や格効果を説明できない

確率サンプリング・モデル(PSM) [服部, 2011; Hattori, 2012]
 PSMは内容効果による格効果も説明可能?
 -> 少なくとも一部は確率表象のことばで説明可能


naltoma: 結果が近いモデルを構築することは工学的には理解できるが、
 ここでは認知的なモデルの理解が目的ではない?
 理解が目的だとするとどう寄与する?



Q: 今回やったことは先行研究の再分析ではできなかった?
 全体としては合ってるけど細かく見ていったところに出てくるズレは問題にならない?
A: AやIが絡んで来る部分はfitが良いが、悪いところもある。
 検討中で、現時点では多少改善が見られている。
 今回の分析が先行研究ではできない。
 先行研究ではニュートラルを使っており、デフォルトに落ち着く。
 今回は外れるようになって欲しかったので、そういう実験設定をしている。

Q: PSMは個人の内的なプロセスのモデル?
 それとも実験時の集団特性のモデル?
A: 基本的には個人プロセスを想定している。
 ただしランダムサンプリングは実際にはそうしていないと思う。
 そういう意味では同質のプロセスを辿っているとは限らない。



WS3: t 検定・分散分析から混合モデルへ:文理解研究の導入事例から学ぶ

企画: 神長伸幸(理化学研究所),井上雅勝(武庫川女子大学)
話題提供者: 神長伸幸(理化学研究所),井上雅勝(武庫川女子大学),新井学(東京大学/日本学術振興会)


ブログ: Mixed Effects Models Blog

盛況でPC広げられないぐらい混んでたけど、
上記ブログ等で関連資料は整理公開していくみたい。


Q: モデル調整の際にAICのような基準を使わないのは?
A: AICだと使い方によってはランダムサンプリングの影響を無視してしまうことがある。

Q: 混合モデルだと3変数時にどれか一つをベースラインにすると
 残り2変数間の関係を見づらいため、場合によっては手間がかかる。
 これに対してMCMCなら最初から3変数でも見れるが、
 そうしない理由は?
A: 文理解の分野では今の所混合モデルが主流であるという点と、
 t検定・分散分析をしている人からすると飛躍が大きすぎるため。


WS4: 進化言語学の方法論的基盤

企画: 岡ノ谷一夫(東京大学),橋本敬(北陸先端科学技術大学院大学)
話題提供者: 岡ノ谷一夫(東京大学),橋本敬(北陸先端科学技術大学院大学),上田雅信(北海道大学),水本正晴(北陸先端科学技術大学院大学),大谷卓史(吉備国際大学)
指定討論者: 藤田耕司(京都大学),池内正幸(津田塾大学)


[ 言語の起源を科学的にやる取り組み (イントロ by 橋本先生)]
 様々な分野の有機的な融合
  理論言語学的アプローチ+比較認知科学的アプローチ
  生物学/遺伝学/人類学/複雑系科学/コンピュータ・モデリング/etc.
 WS目的:方法論的基盤の構築と確立のための議論

[ 進化言語学における構成論と実験の論理(橋本敬(北陸先端科学技術大学院大学))]
 構成論的アプローチ
  無いところからあるところへの変化をシミュレート
   コンピュータシミュレーションor実験室内で構築
  リアルに再現しようとすることは考えていない
  操作や観察可能性を上げることで科学的アプローチを取りやすいように
  言語が成立する要因を探るという点ではアブダクション

[ 進化言語学における6つの主要な誤謬(藤田耕司(京都大学))]
 文化進化の誤謬
 単一起源の誤謬
 過剰適応主義の誤謬
 コミュニケーションの誤謬
 連続性の誤謬
  「シンタクスは人間固有である」という言語学(生成文法)の主張
  ->中身次第。本質を改竄してはいけない。
 「人間中心主義の誤謬」の誤謬
 言語の成立は創発を含んだ進化過程であることを前提とする(そうじゃないと神存在説しかない?)
 進化言語学が進化学であるために
  神経系の進化的連続性を前提とする
  仮説形成の過程を許容する
   概念的定義を行動的定義に着地させること
   言語現象と対応させる行動を特定するため、神経処理レベルの相同性を利用すること
 生物心理学ができること
  併合がラベル付けを必要とするなら、メタ認知は併合を促進する
  パターン学習

[ 生物言語学におけるガリレオ流思考法について(上田雅信(北海道大学))]
 ガリレオスタイル:近代科学の基礎
  言語と心への切り込み
  理想化
  理解可能な説明手段:抽象的な数学モデル
  why -> how

[ 言語と生活形式~哲学的観点から(水本正晴(北陸先端科学技術大学院大学))]
 問い: 母音a[あ]の色は? 赤/青: 共感覚者87%赤
 問い: 90%の人が「え」の色は?と問われて「緑」と答えるとすれば、
  日本人にとって「え」は緑を意味するといえるか?
  数字的な問題?納得できない?
 意味は規範的なものだから多数決では決まらない
  規範性とは?
 哲学方法論
  伝統的方法論: 概念分析(直感頼み?)
 研究者が何をしているのか、何をしようとしているのかを「像」として共有する方法?
 ウィトゲンシュタインのパラドクス
 言語の規範性
  規則性の科学/規則の科学
  規範性(規則)が入ってくると科学では扱えない?
 規範性とは何か
  「誤り」の事実がある、ということ
   「全ての人間は寝る」というのは規則でも何でもない(?)
 規範性なき言語?
  単なる規則性(傾向性,法則性)でなく規則(規範性)こそが言語を言語たらしめている
  これこそが人間以外の動物の「言語」と我々の言語を分けるものでは?
 原形言語と規範性: 傾向性がかけているだけの言語?
 生活形式としての理解することの重要性
 チョムスキーとクリプキの誤謬
  規範性は個人の心の内面、脳内にまで浸透しているようなもの(?)

[ 構成論的研究の方法論的基盤について(大谷卓史(吉備国際大学))]
 実験としてのコンピュータ・シミュレーション
  理論における実験: 数学的に処理が難しい方程式の数値解析(理論存在)
  コンピュータ実験: モンテカルロ法のような現象の近似的モデルの構築(理論存在)
  人工生命: 一般的理論が存在しない現象に関するモデル構築(理論無し)
 共通な点
  現実の抽象化、モデル化
 違う点
  実験は対象やターゲットとなる現象と「深い、物質的な」類似性を有する。
  同じ「物質的原因」が働いている。
  コンピュータシミュレーションは「物質の介入がない実験」。
 実験としてのコンピュータシミュレーション
  物質的な類似性ではなくformal similarityを有している
  formal similarityの良し悪しが信頼性に影響
  世界屋現象の表象
  対象の振る舞いを理解しようとする科学者の活動
 構成論的手法には何が期待されるのか?
  背景知識の良し悪しが信頼性に影響
  どれだけうまく把握して利用していけるか
  アブダクティブな仮説形成やモデル、仮説の理解に有効
 コンピュータ・シミュレーションにはできない実験
  アブダクションと仮説演繹法の違い
  仮説やモデルの限界?
  適用分野の限定?(将来的には解消するかも)
  反証自体の発見には使えない(経験的テストの必要性)

動物認知研究から考える言語の起源(岡ノ谷一夫(東京大学))

[ 進化言語学研究における“方法論”をめぐって(池内正幸(津田塾大学))]
 実践的方法論
  生成文法理論研究がそうであった/あるように反証主義に拠るのがよい。
  仮説演繹とアブダクションの違い?

指定討論者
 進化言語学は何を説明しようとしているかについての合意ができていない
  生成文法ではどうか、etc., といった前提に合意してもらう必要がある。
  反対は合っていいが前提合意がないと建設的にならない。


naltoma: 哲学における規則と規則性/規範性の違いとは??
naltoma: 意味の規範(哲学ではこっち?)と、社会的規範(一般的な意味がこっち?)
 というカテゴリで使い分ける必要があるみたいだけど、意味の規範とは?



Q: 言語の進化について。
 言語の原形を探るための方法として、規範性/構成論/アブダクション, etc., 
 こういう構造を数学的な意味でのラティスにどう当てはめるべきかを考えるべきでは。
A: そういう問いではサイエンティフィックな話が進まなかった。
 過度に一般化してはいけない。

Q: 共通の目的がコンセンサスではないという理解で良い?
 何を知りたいのか。
A: 個人的には言語が進化するのではなく新しい認知能力を持つ人の進化に興味がある。
 別の人は言語がどう変化していくか、
 言語の起源(生物学)や進化(文化進化)の両方に興味がある人もいる。
 何を知りたいかが起源なのかどうかでそもそも「言語とは何か」について合意がなされていない。
 少なくとも10年前に比べたら良くなったが、完全な合意ではない。
 チョムスキーのマージにおいて何が問題かを共有した理解を持つところには辿り着いた。

Q: チョムスキアンな前提に基づいているように見えるが、
 他のフレームワークは考慮しているのか?
A: 今日はチョムスキアンだったが、全員がそうということではない。
A: 認知言語学については生成文法からの派生。
 言語の進化や起源についてはUG自体がどう出てきたかが問題。
 UGがどこから出てきたかという点ではどちらも同じ。
 個体発生/系統発生から始めているというところがエラーかもしれない。
A: 人にだけ役立つものとして生まれているということを認めているのなら、
 そんなに差は無いように思う。
A: 両方とも人間specficなのは、言語固有なのは何かが問われるべきだが、
 問題はそこが出発点。
A: 背景知識の共有については、「背景知識」自体が定義されていない。
Q: 規範はどこにある?
A: 規範性は頭の外、いろんな事実の中にある。哲学的な見解。
Q: 頭の外にある?
Q: 数学的な意味だとか第三世界論として説明するというのは一つの手段だとは思うが、
 それとは違う?
 心理的事実でも物理的事実でもないけど、客観的な何かとして。
A: 何と呼ぶかは分からないが、その通り。
Q: 間主観的に頭の中にあるものを
 頭の中に無いと呼ばれるとサイエンティフィックな手法は無理では?
Q: 進化心理学はまさに規範性の起源を追求していると思うが、うまくいかないと思う。
 言語の起源にサイエンティフィックに取り組むためには?

Q: 言語の進化について
Q: 人間固有の規範が存在するのであれば、このような多様な言語が何故存在するかという
 問いには答えられないのでは?
A: 規則自体が多様で、そもそも「言語にとっての規範性」は切り離せないと思う。
Q: 規範というのは個々のありようではなく、意味の規範と社会的規範から
 話して独立して話すべきもの?

Q: 言語学からするとチョムスキーのような考え方では、
 言語に関する知識・仕様・神経的基盤等の観点から取り扱う。
 進化を考える場合には言語の仕様や神経的基盤が重要なのかなと思っていた。
A: 神経基盤については鳥や人間などの例で一部進んでいる。
 仕様については起源じゃなくて文化進化の点では関与していると思う。

Q: どうやったら知り得るのか?そもそも知り得るのか?
A: 正解かどうかは分からないが沢山の知見が積み重なって何かしらの合意ができる
 ということはありえる。人間使った実験もコンピュータシミュレーションも必要。
 フォーマルセオリーを作って行くことが重要。
A: 物理的基盤は因果関係を含むが、
 生成文法については因果関係を無視している。
 因果関係は複数あるのでそこを見ていくフォーマルセオリーが必要。


日本認知科学会第29回大会 2日目

金曜日, 12月 14th, 2012

twilog
認知科学会第29回大会の2日目が終了しました。

文楽人形遣いにおける「言葉や視線を伴わない協調動作」を実現させている「認知」についての話は、操作している「人形」を通してのインタラクションがありそうなんだけど質問する時間がなかったな。

昼ご飯はコンビニパンで済ませて近場散策。公園かと思って歩いてたら仙台城跡付近だったらしい。いや、近くにあるのは地図見て知ってたけどこんなに近い(会場から徒歩数分)とは思ってませんでした。正確には博物館がその距離にあって、博物館を挟んで反対側にあるからすぐにはつかないんですが、それでも近い。ということで一応伊達さんに挨拶してきました。

特別講演は東北大学・邑本俊亮先生の「実践的防災学」。もともとは文章や言語理解における認知心理学が専門だったのが、(3.11前から)いろいろあって災害科学国再研究所として認知科学に求められていることとして基礎研究だけじゃなく応用研究もやることになったとのこと。文章理解と認知についての出発点を探すことが今回の目標の一つだったので、戻ったら関連事例を読み漁ってみよう。

シンポジウムでの「OS型言語」が謎だったんですが、SVOとかのOとSでした。世の中のほとんど(96%強)はSの後にOが出現するけど、そうじゃなくてOが先に出る言語を「OS型言語」と呼ぶらしい。研究的にもSO型言語ばかりが対象になってて、それだと見えて来ない言語認知があるんじゃないかという話。

晩ご飯は炭焼き牛たん おやまにて牛タンシチューとテールスープ。炭焼き意味無いじゃんとか思ったら負けです。牛タンはやっぱりシチューの方が好みかなー。初日に食べた焼かれたやつも美味しいけど、折角だからあれこれ食べてみないとね。

2日目のプログラムは以下の通りです。

 口頭セッション3: 芸術
 ポスターセッション3
 特別講演: 実践的防災学が認知科学に期待するもの
 口頭セッション4: 視覚・認知
 シンポジウム1: 「主語・目的語語順選好」は普遍的か:主語末尾型言語からの検証

以下、Q&Aを中心にした備忘録です。例によって當間解釈によるメモです。


<目次>
[ 口頭セッション3: 芸術 ]

[ ポスターセッション3 ]

[ 特別講演 ] : L2: 特別講演: 実践的防災学が認知科学に期待するもの, 邑本俊亮(東北大学)

[ 口頭セッション4: 視覚・認知 ]

[ シンポジウム1 ] : S1: シンポジウム1: 「主語・目的語語順選好」は普遍的か:主語末尾型言語からの検証


口頭セッション3


O3-1: 文楽人形遣いの阿吽の呼吸, 植田一博(東京大学大学院情報学環/日本科学技術振興機構CREST)ら


文楽人形遣いにおける協調動作はどのように実現しているか?
 主遣いは「ず(と呼ばれる命令)」を発していると言われている。
 左遣いの視線計測->ほぼ人形動作を見ている
 人形動作計測(磁気式モーションキャプチャ)
 -> 主遣いによる先行->左遣いが合わせる->同期(ウェーブレット変換で位相差解析)

脚本や「床(三味線や義太夫節)」の有無で同期に差があるか
 差がないなら「ず」が主要因
 ヘッドフォンで主遣いのみに動作を指示した場合でも、
  主遣いと右手遣いはほぼ同じ(高い正の相関)。
  左手遣いはやや遅れるが、それなりに相関。(遅れても見た目はほぼ再現)
   床が無くても動作再現できるが、動作の大きさに違いが生じる


naltoma: 人形操作においては視線や発話による合図を行えないとのことだが、
 演台や主遣いの直前までの演出からどのような流れが続きそうかを推測することで
 協調的動作を実現している?(これが「ず」?)
naltoma: 頭巾を被っている方の視線を見ることはできないが、
 被っている方からはどの程度の情報を目視できるのか?(ゼロと看做して良い?)
naltoma: 入念なリハーサルを行わない即興芸術というのは、
 見方によっては「ある一定範囲内に収まっていれば良い」という範囲内に
 収める協調動作になっていれば良い?
naltoma: 人形操作において、3人の役割として分割されているが、
 これはどのぐらい独立しているのか。操作や人形自体を通して
 「相手に伝わる/伝えられる」情報は考慮しなくていいのか?



Q: 主遣いと左遣いの間について検証されているが、
 足遣いは視覚的なアクセスが困難。足遣いについて何か知見があるか?
 「ず」に含まれる情報としては、
 返しのタイミング、動きの大きさ、スピードぐらいの要素が入っていそう
 だが、タイミングはズレるが動きの大きさは合っているなど、「人形の
 動き」についてある程度型が分かっていれば追従で実現できそう?
A: 足遣いについては、基本的に主遣いの腰に手を当てており、
 肉体的にダイレクトに伝えられると言われている。今後の課題。
 「ず」にどういう情報が含まれるかについては、
 今回は同期でのみ分析しているのでタイミングに情報がありそうだという
 ことぐらいしか言えない。違う動作でも波形としては区別できない。
 人形遣いは区別できるので、それを探している最中。

Q: 今回の例では明らかに右手が先に出ているが、そういう動作が多い?
 最初から同時動作というような時にはどうなる?
A: 型動作については右手先行になるはず。
 演目で脚本が分かってる場合には同時もあり得る。
 「ず」に見えるけど「ず」として悟らせない所に面白みがありそう。



O3-2: 文楽人形遣いにおける演技動作と呼吸の対応関係, 渋谷友紀(東京大学大学院学際情報学府)

芸の「呼吸」:重要視されるが極めて多義的
 狂言・歌舞伎: 熟練するにつれて動作と呼吸相が非同期的になる
 文楽人形遣いでは
  動作と呼吸の同期性についてどうなる?(関係性検討)
  呼吸曲線の周期性は?(呼吸に乱れが無いか、一定になされているか?)

熟練者は、そうでない人より動作と呼吸が互いに独立。


naltoma: 呼吸動作が何かしらの「同期」情報になっている?
naltoma: 熟練になると動作と呼吸相が非同期的になるというのは、
 呼吸に引きずられること無く動作を行える「一種の達人」みたいなもの?
 そういう熟練者が主遣いで残りがそうでない場合、
 全体として動作が成立しにくいということは起こらない?
 (非熟練者側が合わそうとするので問題にはならない?)
naltoma: 逆説的に、呼吸を安定させるにはどうしたら良いのだろう?



Q: 舞台歴と役割が相関していそう。
 浄瑠璃が入ってきたときの差についても同じことが考えられないか。
A: 主遣いで比較している。13年の方も主遣いでの比較。
 舞台歴と主遣い/左遣いとの差はある。
 31年の方は基本的には主遣いをしているが、
 より芸歴が長い人の左遣いをやることもある。

Q: 13年の人は呼吸が乱れているのは、外の情報を取り込んでいるようにも思う。
 乱れていないのは慣れてしまって外からの情報に気を配っていないという印象を受ける。
 呼吸が乱れないながらも外に適用していっている?
A: 外の情報を主遣いがどのように取り入れるかということについては、
 芸団で言われていることとしては「浄瑠璃の情報をどう受け取るか
 がとても大切」で、演奏者毎の違いもあり聞きながらやる必要がある。
 良く分からないが、浄瑠璃とべったりになってはいけないと言われることもあるらしい。
 呼吸の安定は体の方であたふたしないということを表していると思う。

Q: 実際に見て「呼吸が乱れている」というのは見えるのか。
 動作に合わせて呼吸しているのは、ある意味迫力にも繋がりそうだが。
A: 役柄やその性質にも関係していると思う。
 今回の女形だと「よいしょ」という感じはあまりない。
 時代物や、型が連続して行く場面では人形遣い自身の動きが大きくなることもある。
 その時はまた異なる呼吸との関係が見れると思っている。



O3-3: 演劇初心者の演技計画における熟達支援の効果, 安藤花恵(九州国際大学法学部)

熟達化研究:ある領域での「初心者」と「熟達者」を比較
 明らかになること:差
 明らかにならないこと:成長プロセス、その差を埋めるための支援法
 -> この差を埋めるための研究

演劇俳優の熟達
 初心者は脚本解釈は考えるが、演技計画(どう演技するか)をほぼ立てない
 準熟練者(5年〜)は観客視点/共演者/脚本全体を考慮して演技計画を立てる
 -> 初心者にさまざまな種類の演技計画を立てるよう指示したらどうなる?
  観客への見え方を意識して計画立てるよう指示したらどうなる?

実験群
 自由に演技計画を立てる
 脚本Aについて熟達支援して演技計画を再度立てる
 脚本Bについて自由に演技計画を立てる
統制群
 熟達支援無し
熟達支援:紙面と口頭

分析方法:発言数をカウント
 演技計画/観客への見せ方を意識している発言
 文脈や流れを考慮している発言/バリエーションの数

結論
 「態度」を身につけることについては、簡単な指示を出すだけで効果がある。
今後の課題
 さらに準熟練者(質や量)に近づけるには?
 より長いスパンでの効果?


naltoma: 成長プロセス等の「明らかにならないこと」は、
 何を比較するかの違いでは?
naltoma: 熟達支援の仕方そのものはどう統一した?->紙面+口頭読み上げ1度
naltoma: 今回の実験設計では近視的に最適化した行動を取っているだけということは?



Q: 実験にどれぐらい時間をかけた?
 実際に演技ができないので最初に戻るといったことはないか?
A: 人によってばらばら。話す時間が長い人も入れば、すぐ終わる人もいて、
 だいたい30分〜1時間。
 演技時に計画通りにできずにつまづくことや、
 計画自体が正しくないこともありうる。

Q: 演出と演技指導、気づきとの違いは?
 系統立てられた教育がないとのことだが、海外でやられてるような事例を持ってくることは?
A: 名演出家とか演劇学科とかあるが、
 話を聞く限りでは日本では「その人それぞれ」でやられているように感じた。
Q: 指導する側の熟達は? それを教育に取り入れることはできないか?
A: 恐らくその人それぞれのメソッドを持っている。
 そこを取り入れることは考えてなかったので、今後考えていきたい。

Q: 茶道では段階的に指示がある。
 気にし過ぎてしまってできなくなることはないか?
A: あり得ると思う。今回は演技計画に特化してやってみた。
 初心者の人はあれこれ計画があり過ぎて演技できないということはあると思う。



O3-4: 音楽の終止構造認識時の脳活動, 星‐柴玲子(東京大学大学院総合文化研究科)ら

音楽を構造化し認識することで意味や情動を含めた理解のレベルが高まる [Koeisch, 2011]
音の流れを、音楽のまとまり構造として認識し分節化することで、内容識別/特徴抽出している?

音楽の最も大きなまとまり(楽章)でfMRI調査した事例
Tonic tone(主音)呈示による安定感 [Krumhansl, 1990]
 調整認識のモデル(空間的相関図)
  安定感に階層構造がある

終止構造
 ドミナントトニック
実験
 終止構造1: 和音、旋律ともに終止
 終止構造2: 和音は終止するが、旋律は終止しない


naltoma: 音そのものの組み合わせで「情動」などを感じるのか?
 文化的な活動が重層的に積み重ねられることで「そう感じる」?
naltoma: 実際の音も聞いたけど「終止感」自体が良く分からない。。



Q: 1回目の終止感と2回目の終止感は、物理的に何が違うのか?
A: 構造の1と2の違いについて、
 構造1は和音も旋律も終止し、構造2は和音のみ終止。
 旋律単独の終止感を見ている訳ではなく、
 和音により構造を作り上げているのかということで検証中。



ポスターセッション3


P3-2: 他者作品との関わりを通した表現の自覚性獲得過程についての検討, 石黒千晶(東京大学大学院情報学環学際情報学府)ら

創作活動(ここでは写真撮影対象で、初学者レベル)において、
自省だけの人と、意図的に「他者作品の模倣課題」させた人を比べると、
その後の聞き取り調査をする限りでは大きな差が見られたという話。
実際の作品での差を見るのではなく、「何を考えて作成すべきか」といった
ことについての意識差を聞き取り調査して比較。

創作活動なだけに「うまく表現できないケース」というのがありそうなんだけど、
そこら辺は現時点では考慮していない。また、逆に「こうしたら」とかいう
指導が邪魔してしまうこともありそうなんですが、今の所は観察できていないっぽい。



P3-4: 人生を表象する映像作品の修辞と概念再考的認知:ストーリーは邪魔者か?, 小川有希子(法政大学社会学部)ら

「ストーリーが邪魔」ってどういうことなのかと思ったら、
映像作品鑑賞時の姿勢が「ストーリー重視かそうでもないのか」というのが問いで、
それを確認するためにこういうタイトルになっているらしい。
ストーリーの功罪と修辞の役割を考察しているようだけど、
何故この二つなのかが良く分からず。


P3-9: 描画コミュニケーション実習に関する予備調査:実験のデザインに向けて, 田中彰吾(東海大学総合教育センター)

一つの絵を二人で描かせるタスクにおいて、言葉を禁止、
身振り手振りだけで合作を作るという過程を観察したらしい。
想像通りの傾向が見れてる気がするのだけど、どこら辺に面白みがあるのだろう。


P3-12: 状況とルールのパターンマッチングを学習するシステムの構築と評価森田純哉(北陸先端科学技術大学院大学)ら

(後で質問しようと思ったけど時間取れなかった)
ちら見した印象では、P1-20と同じく、モデルを簡単に記述できるシステムを用意して課題やらせてみるという話っぽいのだけど、Robocodeと比べて何か違う点があるのだろうか。


P3-23: アイディア生成プロセスにおけるドローイングの認知作用に関する予備的研究, 江口倫郎(東京大学大学院学際情報学府)ら

「図」の役割を、文系な学生は「先生が遣うもの」と認識しがちで、
理系な学生は「自分が理解するための道具」と認識する傾向にある
というのをあれこれ実際に認知的側面について確認したという話。
そうなの?


P3-24: 三次元面知覚の定量評価, 松原和也(東北大学電気通信研究所)ら

2次元空間に描かれた3D描写の「自然らしさ」みたいなのを数学的に評価しようという話っぽい。


P3-25: 日本地図描画課題を用いた不完全な知識に基づく意思決定メカニズムの分析, 山本紘之(北陸先端科学技術大学院大学)

チラ見ですが、合議みたいな話にも繋がるのかな?


P3-27: 比喩にかかわる意味特徴が理解容易性、面白み、斬新さに与える影響‐直喩形式と隠喩形式の比較‐, 中本敬子(文教大学)ら

直接的な比喩と隠喩における差は、
「目新しさ」については見られない(どちらも正の相関)が、
「斬新さと理解容易性」については隠喩形式でのみ負の相関が見られたらしい。


P3-30: 『いわての民話KOSERUBE』―プロップによるストーリー生成システムをベースに文・音楽・視覚表現の生成を統合したシステム―, 今渕祥平(岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)ら

初日含めて物語生成してる研究室結構ありますね。
こっちはどちらかというとパラパラ漫画に近い印象ですが、
Proppの「昔話の形態学」で分類されているストーリーグラマー
を実装し、実際に昔話風の物語を自動生成してみたという話。
ストーリーグラマー自体を何かしら自動作成するというのとは違うらしい。


P3-31: 言語隠蔽効果における言語化内容の質について−距離推定課題による検討−, 武長龍樹(東京大学先端科学技術研究センター)

チラ見ですが、
言語化することでいくつかの認知課題のパフォーマンスが低下するという
「言語隠蔽効果」なるものがあるらしい。

特別講演


L2: 特別講演: 実践的防災学が認知科学に期待するもの, 邑本俊亮(東北大学)

専攻:言語理解に関する認知心理学的研究
 昨年まで:大学院情報科学研究科

1. 東邦大学に研究所ができた
 3.11を振り返る
 災害研の概要
 実践的防災学
  一連の災害サイクルとして捉える
   事前対策/災害発生/被害波及/緊急対策/復旧復興/将来への備え
   全てのサイクルで「どんな実践研究が行えるか」
2. なぜ私が防災研に?
 メインは言語研究
 防災とのかかわり
  切っ掛け:2004年演題:認知心理学と防災
   防災への取り組み/防災情報の認知/防災教育
 災害情報認知研究分野
  災害サイクル全般の人間の認知を対象
3. 実践的防災学からの期待
 災害認知科学研究の可能性:災害サイクルから見た認知科学研究
  事前対策:情報伝達、理解
  緊急対策:知覚、判断、意思決定
  復旧復興:協調、問題解決
  将来への備え:記憶、学習、教育
 何が期待されているのか
  「では、どうすればいいのですか?」:防災意識を高めるには?迅速に避難させるには?etc…
  「あなたの研究でどんな貢献ができるのですか?」(基礎研究だけでは)
  ->認知過程の解明だけでは終わらない
 動き始めたプロジェクト
  杉浦「生きる力プロジェクト」:震災時行動の認知科学的分析
  細川「震災体験談プロジェクト」:
 いろんな貢献があっていい
  e.g., 教育的貢献:日常生活に活かせる学び(後に繋がる)


naltoma: 「生きる力プロジェクト」でアンケート調査で知力を洗い出し、
 それを測定するための課題設計&脳波測定による突き合わせをするのは良いが、
 「テスト(課題)」に落とされた時点で「テストのためのテスト対策」になってしまわないか。
 教育としてはどう扱っていくことができるのか。

口頭セッション4


O4-1: 潜在的な快感情の喚起による視覚情報処理範囲の拡大, 藤桂(筑波大学人間系)ら

ポジティブな事項(感情に結びつけられた事象?)が思い出されやすくなる
 問題解決、創造的思考の促進
 視覚情報処理範囲の拡大
  不快感情や中立感情状態よりもより広い範囲に拡大(良いことだけではない)
   *広い範囲を処理してしまうため局所的な集中で処理できるタスクには遅延が発生
 ペンテクニック [Strack et al., 1988]

潜在的水準での快感情誘導でも視覚情報処理範囲拡大が生じるか?
 ごくわずかな表情筋のみの操作
  自覚無く認知処理のあり方が変容している可能性


naltoma: 
naltoma: 
naltoma: 



Q: ペンテクニックで発生しているものが潜在的な快感情だという保証は?
A: 加えている状態ではよりポジティブに捉えるという結果が一つ。
 デブリーフィングでは快感情については気づいていなかったのと、
 くわえているのは辛いという回答。

Q: 似て非なる例だが、潜在的ではなく顕在的にその表情を作る例でも結果は同じではないか。
A: 顕在的な感情でも視野が広がったりという同じ傾向はいろいろ示されている。



O4-2: Gaze-contingency パラダイムを用いた乳児における行為の意図性の評価, 宮崎美智子(玉川大学脳科学研究所)ら

乳児はいつから自分が意図的な存在であることに気づくのか?
 ブレイクダウン:意図を伴う行為主体感の評価に着目
 行為主体感
  行為と結果の随伴性の理解
   自分の行為がどのように環境の変化を引き起こすのかを予測する
  目標に応じた行動調整
   目標を叶えるための行為の操作

アイ・トラッカーで視線検出利用:アイ・スクラッチ課題(視線で絵を削りだす)
 本当に視線と画面の連動に気づいているか?
  視線手掛かりで「行為主体感」を評価
  気づいた人と気づいていない人の視線パターンを指針に利用
 目標の価値に応じた行動調整(背景の絵の魅力度)
 -> 動機低減


naltoma: 「削る」前後のアトラクティブを逆転させるとどうなる?
 削る前がアトラクティブな写真で、削って行くと白くor黒くなる場合。
 単に「より新しい」ところに注目するなら逆でも「連動」に気づけそう。



Q: 成人で気づかなかった人はどのぐらい存在する?
A: 自分が見ている点を明示的に表示するとほぼ全員が気づく。
 ただ削れるだけで注視点を表示しないと半分ぐらいが気づかない。
 乳児では、難しい条件では11人中1人のみ、簡単な条件では12人中8人気づいた。
Q: 大人で「気づいてない」というのが本当に気づいていないのかというと違う可能性。
 検出できなかっただけという可能性は?
A: 単純なself of agencyだと新生児でも持っている。
 今回は視線から確認できるかが主題。



O4-3: 注視から認知過程へ:ベイズ統計による次元選択・潜在集団の推定, 日高昇平(北陸先端科学技術大学院大学)ら

注視もそうだが、複雑なデータをどう分析するか
 仮説:特定認知過程の働き
 実験:画像等の刺激提示、注視対象・時間計測等
 問題点
  多数の潜在要因:眼球運動の複雑性(生理的な影響など)
  線形 vs 非線形
  発達的個人差 vs 多様性
  -> 個別ではなく、これら全てを一つのフレームワークで対応したい

注視パラダイムの新たな分析法
 ケーススタディ: 視聴覚刺激の連想学習実験 [Wu & Kirkham, 2010]
  4つの箱への注視点/時間/割合
  箱注視バイアス
  手掛かり有無
  累積注視時間
  視覚刺激の有無
  ->等のリッチなデータを組み込んだモデル化し、再分析
   over fittingならないように適切な複雑さで適応する仕組みも組み込み済み
 多数の潜在要因-> 手掛かりと連想効果を分離
 線形 vs 非線形-> 1次
 発達的個人差 vs 多様性-> 指定された群ごとの効果に条件間差

Matlabコード公開: Quantitative Linking Hypotheses for Infant Eye Movements


naltoma: over fitting対策は具体的にどうやる?
naltoma: 



Q: 次元選択は具体的にどうやる?
A: 階層モデルになってて、パラメータに対する事前分布がある。
 効果0になるパラメータを除いたりしている。

Q: 顔による刺激は注意を喚起しやすいということはないか?
A: そこが本来の目的で、その通りの結果。


シンポジウム1


S1: シンポジウム1: 「主語・目的語語順選好」は普遍的か:主語末尾型言語からの検証

「主語・目的語語順選好」は普遍的か:主語末尾型言語からの検証
企画: 小泉政利(東北大学)
話題提供者: 玉岡賀津雄(名古屋大学),酒井弘(広島大学),杉崎鉱司(三重大学)
指定討論者: 小泉政利(東北大学)

趣旨:小泉政利(東北大学)
 例文
  常長が 帆船を 建造した。(SOV語順) SO語順選考 96.6%
  帆船を 常長が 建造した。(OSV語順) OS語順 3.3% [Dryer 2011]
 文理解ではSOVが理解しやすく、産出しやすい。他言語でも多く見られる。
 SO語順選考を生み出す要因?
  仮説1: 普遍的認知説(人類共通の認知特性?)
  仮説2: 個別文法説(処理負荷の問題?)
 OS型言語の文処理メカニズムに関するプロジェクト

玉岡賀津雄(名古屋大学): 言語理解の観点から
 VOS言語の一つ: マヤ・カクチケル語
  動詞だけに標識付き。目的語も主語も無標。
 普遍性とは
  単に主語が目的語よりも前に来るだけではなく、
  基底に基づいた普遍性
 空所補充解析(Gap-filling parsing) を視線検出を利用する課題で間接的に確認
 ->カクチケル語の特性

酒井弘(広島大学): 言語産出の観点から
 文産出モデル [Ferreia & Sievc, 2007]
  メッセージの構築
  文法役割
  語順
  -> 漸進的処理+各種アクセス容易性
 既存モデルの限界:OS言語ではどういうメカニズムで産出される?
 発話とジェスチャー産出には相関が見られない(SO言語と一緒)
 ジェスチャー産出ではSO言語と同じ傾向
  語順だけの相違ではない
  メッセージの段階で違う考え方をしている訳でもなさそう
  文法役割付与の段階で異なる方法を採用している可能性が高そう
   効率性の観点からは悪そう(効率性だけでは説明できない)

杉崎鉱司(三重大学): 言語獲得の観点から
 幼児を対象とした語順とその制約の獲得(予備的研究)
 前提@日本語での事例
  基本語順はかなり早い段階から獲得している。
  談話上の制約(導入)を守られているとほぼ理解。SOV/OSV
 制約(indefinite->definite)を受ける文を対象にVOS  VSOで検証

OS型言語の研究(フィールド認知科学)の重要性
 カクチケル語の理解:VOS語順が最も処理負荷が低い
 カクチケル語の産出:SVO語順が最も頻度が高い
 カクチケル語の理解:3歳児でもVOSが基本語順であることを知っている
 理解と産出で選考語順が異なるのは何故か?(他言語では見られない)
  語要論的な理由(曖昧性解消)が影響?
  人の会話は話題になっているものが先に出やすいことが影響?
  SO言語に基づいた研究手法自体の妥当性?
  被験者のバラツキ?
  他OS言語での検証?
  -> 語順という見方をやめる?(主語の卓立性 [Imamura and Koizumi, 2011])
   違いを問題として捉えるのではなく、
   違っているのが正しいものとして説明できないか?
 基本語順と再頻出語順が異なるにも関わらず、早い段階から基本語順を獲得できるのは何故?
  Vを構成する形態素順と後続部との関係性を獲得?
  mirror principle?
  生得的な知識との結びつき?

質疑応答



naltoma: 負荷という観点では、知識を重層的に抽象化して獲得する経験を
 通しているうちに、SO語順がアクセスしやすい形で保存されている?
naltoma: 
naltoma: 



Q: SO語順とOS語順の一般について。
 SO語順が圧倒的に高いことを考えると、OS語順を持つ言語には
 それが許されるルールや手段があるということは考えられないか?
 例えば head-marking があることによってOS語順が許されていないか?
A: ある手段があってそれが実現されているというのは分かる。
 何故特定の言語にしかその手段が出現していないか、という問い。

Q: 2135言語調べたらVOSは40言語、OSVは13語という調査結果が出されていた。
 ある地方に偏って出現してたり、文化的な要因は考えられないか。
A: 文化的要因を導入することが可能だとして、どう組み込むかが問題。
 可能性はあると思うが、アプローチが思いつかない。
 文処理上厳しい(負担が大きい)ということも考えられる。
A: 個数に違いはあるがどちらも2%という割合は同じ。
 比較的後になって出現している点と地域性はヒントになりそう。
A: チョムスキーの生成文法も見方(180度回転等)によっては同じ構造に見えなくもない?

Q: 言語発生的観点で、例えば命令的(統制的)な発話から始まった?
 ラテン語はその中間的な位置付け?
A: 言語発生的な話は明日ある。
 命令的な文という話についてはそういう研究例がある。
 命令文が基にあるとしても、それがVが先に来るかどうかは別の議論。

Q: 生成文法的にはどういうことが言えるのか。
 VPの中で既に何かが起きているという主張?
 VSO言語はどういうツリーになっている?
A: VSOではSVOからOだけ前に出して動詞をさらに前に出すというような分析が多い。
Q: smallVを先に出してるとかいう話ではないのか?
A: conceptualの段階では同じじゃないかという提案。
 ラージVの構造では同じであって欲しい。
 スモールvの構造で違うので、そこで語順がひっくり返っているということを
 考えられると良いが、これから検討。

Q: indefiniteの次にdefiniteという順序は、
 新情報の後に旧情報となるが、これはどういうことなのか。
A: 構造的な高さと、それがどういう順番で現れるかには高い相関があると言われている。
 SO言語では。構造的な高さの上で高い方が旧情報、低い方が新情報だとすると、
 そこから出てくる順番がそう見えてるだけかもしれない。
A: 1文では現れるが、恐らくdiscourseの段階ではそうなっていない。
 その方が都合がいい。ただし全てが効率性の点では構築されていない。


日本認知科学会第29回大会 1日目

木曜日, 12月 13th, 2012

twilog
滞在中に少しずつ気温があがっていく予報だったので、少しでも雪を見れて良かった!

晩ご飯はプログラム終了時点で19時過ぎてたので、ホテル近場で見かけた「牡蠣の旨煮ラーメン」目当てに仙台廬山で食べました。昼食は軽くパンで済ませてたので餃子を追加。ラーメンそのものは普通だったんですが、宮城県産の生食用を使っているということもあってか牡蠣自体はものすんごく旨かったです。たまたまホテル近くにあったから寄っただけなんですが、こんな感じで惚れ込んでる客がいるお味だったらしい。確かに旨かった。

認知科学会の大会@仙台国際センター、1日目が終わりました。例年だと9月にあるようですが、国際大会が10月にあったらしく、今年は12月に移動したらしい。防災マニュアルが配布されてるのは初めてですが、こっち方面だとそういうのが当然という感覚になってるっぽい。「地震による避難するまではないと思うが、会期中に一度は起きるはず」とのこと。今の所まだ起きてません。

JAXAな野口さんの発表があったのに驚いた。やってることもアプローチも話し方もうまいなー。

会長講演の「統合的認知」は、キーワードとしてはいろんな所で耳にしてましたが具体的な事例やアプローチとしてみるのは初めてでした。イレギュラーに見える認知的現象も「認知的な個人差」として説明できるんじゃないかという話は目から鱗。視覚科学は取りあえず注文しとこう。

フェロー授与式で1時間取られてるのが謎だったのですが、受賞者らによる座談会になってました。「認知科学」という言葉自体が無かった頃の世情や、認知科学へのイントロダクション「LISPで学ぶ認知心理学」の著者安西先生自体も受賞者の一人ですが、安西先生へ書くように仕向けたのはもう一人の佐伯先生だとか。全員学会委員長担ってた時期があって各々どういうスタンスでやってたかとか、どんなテーマであれ「何それ面白い!」とか「積み重ねること」等々いろんな立場からの「私はこう考えている」という話を聞けて面白かったです。

プログラムは並列セッションなしで、以下のように進みました。

 口頭セッション1: 身体・インタラクション
 ポスターセッション1
 口頭セッション2: 社会・協調
 会長講演: 統合的認知
 フェロー授与式
 ポスターセッション2

以下、プログラム単位での備忘録メモです。ポスターセッションは話を聞けた分のみ。
初めての分野でもあり、當間解釈なので間違いも多分に含まれていると思います。ご注意ください。


<目次>
[ 口頭セッション1: 身体・インタラクション ]

[ ポスターセッション1]

[ 口頭セッション2: 社会・協調 ]

[ 会長講演 ]: 統合的認知, 横澤一彦(東京大学)
[ フェロー授与式 ]

[ ポスターセッション2 ]


口頭セッション1


O1-1: 推論課題における身体的負荷の影響, 阿部慶賀(岐阜聖徳学園大学)

狙い
 知的な振る舞いは身体にも支えられている
 身体が推論・問題解決に及ぼす影響を解明したい
 先行研究:触覚ブライミングの例。様々な身体的負荷条件下で坂道の傾斜を推定する例。
  問題提起:メカニズムについては言及されていない
   e.g., 実際に体にかかる負荷の程度が影響しているのか、「思い」が影響しているのか。

「重さ・大きさ」錯覚 [Charpentier, 1891]
 同じ重さなら大きい方が軽く感じられる現象
 ->実際には同じ重さだが、錯覚で主観的負荷を変えた実験設定に利用
  実験1: 手ぶら時と重みでは差が見られるが、主観的負荷では差が見られない。
   ->主観的負荷よりは実負荷の方が優先。

実験2: 主観的等加点測定法の導入
 重さを伝えず基準となる物体を用意。
 同じ重さになるようにユーザに調整してもらう。
 ->主観的にはどちらも同じ負荷だが、物理的負荷の方が影響が大きい。

結論: 推論者が自覚していない身体的負荷や刺激が判断に影響
今後の課題
 負荷への抵抗の能動性・受動性
  身にまとう場合/持つ場合との差?
  背負う場合/足かせ付ける場合との差?
  錯覚をあえてばらして意識化させたらどうなる?


naltoma: 階段段数を推定するという「認知」を対象としているが、
 「推定時の認知」と「実働時の認知」とではどのような差があるのか?
 (この発表そのものは「推論課題」が対象なので関係ないんだけど)



Q: 「荷物を持ってください」とされてるが、被験者は何のために持たされている?
A: 指示はせずに、研究目的も推測されない形でインストラクションをした。
Q: 持たせ方は?
A: 両手で持つ。
Q: 持たせ方と視覚への入り込み方が影響していそうに思うが。
A: まだ詰められていない部分。検討する。

Q: 先行研究では坂の角度をやっていた。今回は階段の段数や距離で異なる推定。
 違う設定になっているため、認知自体は比較出来るものなのか?
A: 被験者が未知の環境に連れて行く必要がある。
 写真を変わりに使いたかったが、撮り方次第でも影響がある。
 学生にとっては角度を推定するということ体験自体が少なく、
 身近な体験である段数を設定した。
 ただ、段数自体への設定の意味が悪いかもという話があり、実験2では距離に変更した。

Q: 実験2では距離を使っているが、距離の方が差が大きかったように思う。
 推論課題として段数と距離とではどういう差があるのか。
A: 段数はきれいに区切ることができるが、距離は「被験者がどう思うか」が
 強く現れる推定だと思う。その点でも段数は設定がマズかったように思う。



O1-2: こっくりさん遂行中の二者間の脳活動の同調:無意識的な同調を探る, 久保賢太(独)科学技術振興機構ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクト)ら

背景
 何かの行動をする時、目的・意図に沿って行動することができるが、
 無意識的な行動を取ることもある。無意識的な行動の源泉となる表象は「観念」と呼ばれる。
 観念運動:観念を持つことで観念通りの行動を行う
  誰かと観念が合うとき、2者間で何が起こっているのか?
   脳活動に同期現象・機能的結合が生じる [Dumas et al, 2010] [De Vico Failanl et al, 2010]
   -> 脳活動の同期・同調は何を意味しているのか?
     動きや目的の一致による同期の背景には、何が行われている?

観念運動の代表例:こっくりさん
 はい/いいえで回答可能な問題を設定
 観念を共有している例(今日の天気)
 観念が非共有の例(事前に調べた片方が知らない問題や、1年前の天気など)
 位相同期性解析:2者間の脳波コヒーレンス
 同期が生じたトリガーの前5秒+トリガー後2秒を分析 x 10試行(知り合い5ペア)

脳活動の同期・同調は
 他社の視点を取得する機能を同時に起動している?
 一人でも観念運動は生じる
 他チャンネル・大域との比較が必要


naltoma: 共有/非共有の質問が単に「共有しているか否か」という違いだけ
 ではないのが強く影響していそう。1年前の天気を知らないとして、
 それをどう意識するかは人によって差があるだろうし。



Q: 全ての被験者は同質だった? こっくりさんの経験度合いや、初めて経験する人がいたかとか。
A: 「こっくりさん」を知らないとできない作業。
 参加者は全て知っている人にお願いした。
 経験の度合いは今回は考慮に入れていない。
 存在を知っているだけでやったことがない人もいた。

Q: 結論で「相手の視点を取得する行為」が重要とのことだが、
 「こっくりさん」という課題自体が「何故動くのか」を推測していると思う。
 相手はどんな風に動かすのかを推測していること自体が影響を及ぼしていないか。
A: 具体的にどのようなことを考えながら作業していたのかを詳細に把握しきれていないことは問題。
 今回は、明確に分かるような課題を設定したことで見やすいように設定してみた。



O1-3: コミュニケーションスキルと足踏みの自発的同期, 永井聖剛(産業技術総合研究所)ら

目的
 対面して足踏みさせたとき、どのぐらい足踏みが合うか。
 そこからコミュニケーションスキルが見れるか。
 自発的な行動マッチング
  動作ミミクリ(顔さわり,足ゆすり,身振り): ラポール、アフィリエーション、仲間はずれ、etc.
  表情ミミクリ: 自閉性傾向
   ->コミュニケーション機能のない「足踏み」動作の自発的同期から観察出来るか?
  動作同期: 協力

実験1: 足踏み同期が生じるか?
 初対面。「その場で足踏み指示」のみ。同期については何も言わない。
 ヘッドフォンからノイズ音程時(音による同期をしないように)
 カーテンを用意し、目視可否を調整。
 -> face条件: カーテンが閉じてる間は一致していないのが、開閉後は一致しているように見える。
  back条件: 対面させず、片方のみ見えるようにすると、片方のみ近づく(一致はしない)。
実験2: 自閉性スペクトラム指数質問紙AQ日本語版を実施
 スコアに基づいてスクリーニング:Low/Middle/High
 Low AQ群≒Middle AQ群
 High AQ群: back条件では同じ現象が起きる。face条件では自発的同期が起きない。
  同期の強さはAQ得点と相関

結論
 コミュニケーション機能のない「足踏み」の「自発的同期」には、自閉性傾向に影響される。
 Social Relevance 高い(対面) v.s. 低 (非対面)
  SR高 = ノンバーバル・コミュニケーションの前提
  SR低では自閉性傾向の影響は全く生じない


naltoma: 対象とする「認知現象」に「限定」するための実験設計。
naltoma: 自閉性傾向の
naltoma: 



Q: 自閉性傾向高い人が対面状況でうまくいかないというのは、
 対面故に緊張しているのか、顔情報に注意がいって同期が取れないのか。
A: 自閉性傾向低い人は対面状況で目を見ているかどうかは全く関係ない。
 1.5m程度の距離だと直接目を見るのは自閉性に関わらず恥ずかしい状況下。
 緊張する、ぎこちなくなる、うまく対応出来なくなることの根拠になりそうだが、
 詳細は今後検討していきたい。

Q: 自閉性傾向の影響だろうということは分かるが、別の要因は?
A: back条件で対応していることが一つ、
 本当の自閉性の人でも「相手に合わせる」ことは「指示するとできる」ことを確認済み。
 自発的にできるか否かがポイント。

Q: Highの人は引き込みみたいなことができる?
 傾向が高い人は「同調的な行動ができない」というところが出発点になっているように見えるが、
 どういう条件下で、何故できなかったのか?
A: 今回の実験だけではまだ分からない。
 研究の流れとしては自閉性についても自発的か否かで可否が分かれることが分かった。
 また、back条件時でできることと、
 face条件時にできることにどう違いが出るかをこれから検証していきたい。

Q: 対面時に、映像だとどうなる?
A: 映像でも見ている人は歩みよれるが、映像は変化しないので少し歩み寄る程度。
 双方での歩み寄りが必要。



O1-4: 社会的相互行為からみたラグビーの技と戦術, 東山英治(千葉大学大学院融合科学研究科/日本学術振興会特別研究員)ら

なぜラグビーなのか
 知の身体性: 身体を通した環境とのインタラクションにより、知が形成
 ラグビー:環境(敵や味方)も主体
  先行研究:サッカーを社会的相互行為として記述 [高梨,関根,2010,2011]

セットプレー:密集->ドロップゴール
 何故この戦術がうまく機能したのかについて、事例分析。
 要因探索
  注目事例を決定
  注目事例の一つ前の状態を想定
  注目事例の負例を探索
  注目事例と負例の比較から要因推測
  一段遡って同手続きの繰り返し

結論:いずれの攻防も履歴が重要


naltoma: 戦術の失敗/成功分析から「どのような認知について何を」明らかにしたい?



(時間オーバーで無し)



O1-5: 行為の生成とその言語化は機能的にどこまで等価なのか?行為の先行遂行と後続観察課題を用いたNIRS研究, 齋藤洋典(名古屋大学)ら

行為に関連する4種類の活動(行為生成、心的シミュレーション、言語化、観察)の機能的等価性
 活動に関与する脳活動上はどの程度まで何が同じで、何が異なるか?

対象:手で行う道具に対する行為(e.g., バスケットボールを投げる行為)
 手の動作の遂行->言語化
 先行研究:行為の言語化による脳活動
  実際に遂行しなくても言語化すると(一部で)合致する脳活動が観測される
 現在を中心に過去/未来を捉えるのではなく、言葉はいくらでも時間を越えることができる。
 被験者に何かをさせるということに集中してるが、被験者になるべく課さない。

Action & Motion Hand-Gesture
 ボールを投げる動作を見せる。何をするかは指示しない。
  練習->身振り課題->観察課題:過去の手掛かり観察:遂行先行群(どのようにジェスチャーするか?)
  練習->観察課題->身振り課題:未来の手掛かり観察:観察先行群(同上)

結論
 自己が先に選択的に遂行した手の運動イメージは、後続観察課題でも自発的に想起される。
 


naltoma: 比較的自由な状況下における被験者の脳活動を通して差異を観察しようとしている
 と解釈すると、その割には具体的なタスクを挟んでいるため目的とは異なるものを観察していないか?
 目的を提示してない状況下での観察ということではあるけど、何かが違う気がする。



Q: 観察してる間は何を観察している?
A: 例えば「ボール」の写真を見ているだけ。
Q: 言語化はその前後に行われる?
A: 身振り課題時にジェスチャーしてもらっている。
Q: 先行して行った行動の影響を調べた事例は多くあるが、何が違うのか?
A: 何もかも終わってるという時間設定をしている点。
Q: 先行して言語化、もしくは言語化していない部分での観察データは分析している?
A: データ収集はしているが、今回は分析対象外。

Q: 「過去から来て未来にいく」という話からするとかなり直近のケースだと感じた。
 どのぐらい時間を延ばせた話として一般化できるのか。例えばPTSDのようなケースもある。
A: 「投げる」という動作は数億年ぐらいの歴史を引きずった動作だと思うが、
 例えば「ふすまを開ける」みたいなものはここ最近の歴史。そのような視点で
 時間を捉えている。

Q: 右手と左手で動作をしていたが、解析時には分けてやった?
A: 現時点では両方とも混ぜ込んだ状態での解析。
 分けることもできるが、現時点では分けていない。


ポスターセッション1


P1-7: 物語理解シミュレーションの試み:物語テキストからアニメーション自動生成を通して, 星名研吾(芝浦工業大学大学院理工学研究科)ら

Event Segmentation Theory [Zacks, et al., 2008] をベースに、
テキストからアニメーション生成に必要(で比較的抽出しやすい事象?)を抽出し、
テキスト上には現れない情報(例えば構図)を組み合わせることでアニメーション生成しているとか。
抽出した事象単語を微分した意味解析的な処理もしているらしい。


Q: 人物/時間/空間等の抽出候補はどうやって決めた?
A: ESTをベースに、抽出しやすさを考慮して設計。

Q: 具体的にはどう抽出している?
A: 形態素解析し、係り受け解析やESTに基づく微分的積分的処理で
 構図決定に必要な情報を抽出している。



P1-10: 遊びロボットによる子供の性格推定に関する基礎的研究, 岩崎安希子(玉川大学大学院)ら

ロボットとの関わり方を観察するのかと思ったら、
子供の動作全体を観察してて中でも「子供が意図的に親への振り返っているか」
で大きな差が現れ、「家庭生活に関するスコア」として有為な差が見られたとのこと。


P1-17: 実践知の記述手法-宮城県気仙沼市を対象とした大学生による復興支援活動をケーススタディとして-, 忽滑谷春佳(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)ら

記述する目的が良く分からなかったのですが、
マニュアル作成というよりは「暗黙知」のようなものをなるべく可視化したいっぽい。
手順としては「体験者自身の体験談として感じた【こと】」として事実というよりは
自分がどう思ったかということを中心に語られがちな点を【(物理的な)もの】中心に
書き直していくらしい。書き換え自体は一度変換したら終わりというものではなく
何度も繰り返され、その過程を通して「暗黙知」を見えるようにしたい、という感じらしい。

【もの】中心に書き換えられた文が単独で列挙されるだけだと分かりにくいので、
それらの関係性も大切だと思うがそこはどうするのかと聞いたら上記のような話になったのだけど、
「一緒にその過程で学ぶ」ということなのかな。


P1-20: 認知科学の入門的授業におけるモデル作成による認知処理の内省を促す授業実践, 神崎奈奈(名古屋大学大学院情報科学研究科)ら

チラ見しかしてないですが、うちの学科だとロボコードでやってることに近そうな印象。
モデルを簡単に記述出来るシステムを用意して、
どういうモデルを構築するか、
そのモデルをどう記述するか、
その結果どうだったか、
結果を踏まえてどうモデルを編集していくか、
という話なのかな、と。(的外れかもしれないが)


P1-22: 緩い対称性推論を用いた強化学習アルゴリズム, 甲野佑(東京電機大学大学院先端科学技術研究科)ら

緩い対象モデル(Loosely Symmetric Mdel, LS)を導入することで、
マルチバンディット問題のようなケースで
「あるマシンが他(複数台をまとめて「他」とする)と比べてどうか」
を相対評価で算出できるようにすると、効率良く学習が進むという話らしい。
話を聞いた感じではアニーリングっぽいのだけど、選択するシステム側には
乱数的な要素を除外している(のでパラメータチューニング不要)とか。
それでマルチバンディット問題をうまく学習できるって謎いのだけど、
「他と比べてどうか」をリファレンス参照して求めているから上手くいっている
ように見える、という解釈らしい。



P1-24: 問題解決における状態空間の抽象化に関する実験的検討, 寺井仁(名古屋大学)ら

複雑に絡み合った状態数も豊富な題材として「ルービックキューブ」を用意し、
どんな状態からでもゴールできるようになるまでの行動を観察することで
「共通してみられるアプローチ」を抽出してみた的な話。
ゴールの仕方そのものは人によって異なるが、ゴールへの辿り着き方には共通性が見られたとのこと。
だけど、抽象化されすぎて「このレベルでの共通性」が見られたとして何が嬉しいのかはちょっと分からず。

例えば、最初は山登り法的にあれこれ試して一定の所までは辿り着くけど、
サブゴールの設定がうまくいかずに頓挫する、みたいな話は「うん、そうかも」
で終わってしまいそうだし。
何を目標としてこういう検討をしているのかを聞いてみたかったかな。


P1-29: 『物語の森』―物語生成システムの統合的応用の一試行―, 秋元泰介(岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)ら

まだ十分ではないものの物語の自動生成システム自体は動いていて、
それを使ってどんな応用があるかの検討という位置づけでの事例紹介らしい。
ストーリーの発展具合や構造の複雑さを「木の枝分かれ」として表現し、
「見た目」だけに着目してストーリーを発展させていくというもの。
子供には大受けだったとか。


P1-30: 視覚的表現を物語生成とつなげる方法の検討―ふたつの応用システムを素材として―, 小野淳平(岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)ら

P1-29と同じ研究室で、API構築しつつ「どう物語を生成するか」
についてあれこれ試行錯誤してるらしい。

口頭セッション2


O2-1: 目標伝染における知識の働き, 太田真梨子(青山学院大学社会情報学研究科)ら

高次認知過程の解明が目的
思考過程の意識成分
 ゴール/サブゴールの設定
 プランニング
 モニタリング
 ->これらを意識的に行うというのが前提?
  無意識的認知過程
   たいがいの認知的処理は意識的コントロールの範囲内にはない。
   思考だけが無意識の影響から自由であるはずはない。
 実験社会心理学の知見
  自動行動=模倣ルート+特性ルート+目標ルート [Dijksterhuis, 2007]

目標伝染:他者の行動観察+意図の自動的推論+意図の採用と行動 [Aarts et al., 2004]
 目標設定にも無意識的プロセスが介入
 行為の模倣ではない
  モジュラな過程なら他は影響しない
  何がどのぐらい影響するか?
   感情/動機は影響するらしい
   認知/知識的なものは影響するか?

実験1
 実験群: 昼食を刺身から焼き魚定食に変更(衛生的な要因)
 統制群: 焼き魚から刺身定食に変更(?)
 ダミー課題
 目的行動課題(従属変数)
  お礼のクッキーを食べる前の消毒液使用量?

今後の課題
 どんな他者の目標でも伝染するのか?
  ダイエットでは見られない(進化的に意味のある動機のみ伝染?)
 伝染しているのは目標なのか動機なのか?
 目標の推論は意識的である必要があるのか?


naltoma: 「目標が伝染する」ということに着目した事例があること自体に驚いた。



Q: 実験では一つの目標を想定されているようだが、現実には複数の目標がある。
 そこから何を採用しているのか、どう選択しているのか。
A: そういうことが何でもかんでも伝染するという危険性を減らしているのだと思う。
 動機/感情系寄りのものは伝染しやすいという仮説は立てられそう。

Q: ダイエットでは現れないとのことだが、
 短期的なスパンではそうだが、ダイエットはかなり長期的。
A: ダイエットは確かに何ヶ月という単位のもの。
 実験では「ジュース用意して好きなだけいれて」といったことでやってるので、
 短期的な効果しか見れていない。



O2-2: 協調的な概念変化を目指す小学校理科の授業における個人の学習プロセス, 齊藤萌木(東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構)

科学的概念教育の成果について体系的な分析の理論的枠組みが不十分
 概念変化と恊働学習
 仮説1: 収斂説 [Roschelle, 1992]
  多様な先行概念が正しい概念へと収斂していく過程
 仮説2: 建設的相互作用説 [Miyake, 1986]
  課題遂行とモニタリングの役割に交互に従事することで建設的に進む過程
  -> 自身のメンタルモデルを言語化して説明できるレベルまで抽象化できたかを確認できる?

4ステップに基づく学習を通した観察

今後の過程
 他の学習者の概念変化プロセス


naltoma: 学習環境のデザインに繋げることが目的のようなのだけど、
 今回の目標である「建設的相互作用説」導入下の課題遂行プロセスを
 分析して、その先にどういうストーリーを描いているのかが良く分からない。



Q: メンタルモデルとして作り上げていくのは非常に時間のかかる学習過程だと思うが、
 例えばトップダウン的に答えを教えて少しずつ正しいメンタルモデルを作り上げていくのも一つの手だと思う。
 どういうことに役立てて行けるのか。
A: トップダウンの例だと、例えば先に実験してしまえば答えを認識させることができる。
 その後でそれをモデルを説明させるという話?
Q: 建設的相互作用で少しずつ作り上げていくことの良い点、アピール点を教えて欲しい。
A: 授業後の分析だけになっているので、証明はできないが、論じていけるようにしていきたい。



O2-3: “忘れて知識を正す”:社会的インタラクションから見る忘却の適応的性質, 本田秀仁(国立情報学研究所)ら

忘却は、基本的には負の機能として捉えられることが多い(心理学でも)。
負の機能しかないのか?
 適応的にも機能する [Luria, 1968]
 -> 社会的インタラクションの場面においてどう機能するかを明らかにしたい

対象: 1対1コミュニケーションに基づいて、知識を獲得して行く場面
 マルチエージェントモデル
 正しい知識、あるいは誤った知識をエージェントが獲得する際に「忘却」が与える影響の調査
 small worldでは忘却により正確性が改善?


naltoma: シミュレーション上の各「知識」は独立したもの?
 これは何をどうシミュレートしていることになるのだろう?



Q: small worldで記憶容量が大きい時は正確性が低いというのは、
 「記憶容量が大きくなっても正確な場合が尾を引いて残っていく」
 というような、例えば相手を説得しやすいエージェントがいるという解釈は無いか?
A: 現状では解釈困難だが、検討していきたい。

Q: 忘却項目の選び方について。頻繁に更新されるのが「?」になる?
A: ランダムに選んでいる。固定されているものが変わりにくいというような設定は一切無い。
Q: 正しい知識が誤った知識より多い条件で始めているが、
 逆の状態ではやってみた?
A: 誤った知識が増えていくと思われるが、多様性が重要。
 多様性があると、誤った知識が増えても正しい知識が残るという状況。
Q: small worldではハブの影響が強いと思うが、ハブの知識と全体との相関は?
A: 今回はハブが生まれにくいネットワーク。
 ハブの影響は今後見ていきたい。



O2-4: 宇宙への適応と自己の変化(1)-宇宙から発信したデジタルソーシャルメディアへの発言に関する言語解析-, 野口聡一(JAXA)ら

宇宙進出の意義を認知科学的観点から明らかにする
 宇宙空間における自己の適応の過程や定位感の変化を
 飛行士本人の発言記録から明らかにする
  自己表現・発言形式に変化は生じる?
 ツイートデータ+作業内容+作業負荷量記録

分かち書き分析
 品詞出現頻度だけでも「形容動詞」から「形容詞」のように
 硬い言葉から柔らかい言葉が増えている傾向が現れていたことが分かった。
通貨情報ツイート数の推移:地球主体->国->都市
語尾の処理における変化:感嘆詞「!」作業量と負の相関っぽい傾向
地上との「時差」の配慮:挨拶表現の推移->母国意識した時差から自分時刻に

今後の課題
 認知的参照枠の変容と、身体的な定位との関係?
 フォロワーとの相互関係
  自己表現や地上フォロワーの宇宙観の形成に及ぼす影響?


naltoma: (ありがち)言語に現れない点での変化はあった?
 例えば、現れそうだと予想していたが、実際にはまだ観察できていない傾向とか。



Q: だんだんと親しくなるに連れて表現がカジュアルになったり、
 特定のことを具象的に表現したり、自己中心的になったりする。
 そういう観点からは、宇宙で起こることも結婚相手に起こることも似ているように思えた。
 宇宙がユニークだという体験としては何か感じられたか。
A: 1つは宇宙体験が全てユニークだとは思っていない。
 例えば南極越冬隊との類似点。海外旅行での時差。全てが特殊ではない。
 似たような傾向を持つ例はあると思う。
 何が宇宙で特殊なのかというと、地球から国、都市への認識の変化は宇宙特有だと思う。
 忙しさと語尾の変化はサラリーマンとかでも見られそう。

Q: 身体的な変容について、地上では交感神経が働き対処しようとする。
 髪の毛が逆立ち血流促進するとかいろいろ。こういう身体的な反応は地球同様なのか?
A: 社会心理学会で話した内容がそこに近い。
 座禅で本人が静止/安定していると思ってても徐々に動いていく。
 その動き自体も面白い。また座禅時にどこをつつかれたか分かるが、
 座ってる時に急に頭に触れると驚きが強い。



会長講演:統合的認知, 横澤一彦(東京大学)

書籍: 視覚科学, 2010
注意
 情報の取捨選択[James, 1890]、特徴統合理論 [Treisman & Gelade, 1980]
 注意モデル化[認知科学, 横澤]
オブジェクト認知:計算論的アプローチ、ジオン理論
危機感
 共存してきた歴史:特徴統合理論、計算論的アプローチ、PDP(NN)
 脳機能計測装置の普及
  良くも悪くも取り込まれた?
  先導出来ないジレンマ?
 統合的認知:そもそも認知とは統合的?
 分解的認知:受容屋の分析、脳活動部位の同定など
  特定部位が活動しているということが、行動にどう結びついているか?
  例えば、線分抽出する神経細胞はどう使われているのか?

統合的認知(AORTAS):注意+オブジェクト・情景認知+身体と空間の表象+感覚融合認知+美感+共感覚
 典型的な従来アプローチ:処理A->処理Bにおいて、独立性や海藻性を確認し、脳科学と共存。
 統合的アプローチ:階層性や接続関係を前提(潜在的かも)とし、全体的な個人差等を分析。
  トレードオフ関係
   e.g., 視点依存性(オブジェクトに対する脳内表象が、視点によらず不変かどうか)
   -> 方向知覚が不正確な見えは、良い見えになる。
  インプリシット結合
   e.g., ラバーハンド錯覚(温度感覚は、視覚の影響を受ける気がする)
   -> 同期した触覚刺激があると影響を受ける(錯覚する)。
  個人間変動
   e.g., 共感覚(誘導感覚により励起される感覚)
   -> 未解明の部分が大きく統計的ゆらぎ大。時間的安定性(生涯安定)。個人特異的。
    日本人の色字共感覚 [Asano & Yokosawa, 2011]
     特異にも見えるが、個人差としても解釈出来ないか?

オマケ
 脳の代わりに、人間組織を捉えてみる
 例えば、極端な縦割りや細分化された組織化は問題あり
 -> 世代間統合(フェロー、サマースクール)
 -> 分野間統合(研究分科会再編、学会運営への参画促進)
 -> 地域間の統合(CogSciとの国際連携、東北初の大会開催)


naltoma: 特異(イレギュラー)な事例に見えるものを「構造上は同一であり、
 その構造上での信号伝達バランスが崩れているだけで個人差として説明できるのでは」
 という着眼点が面白い。



Q: 共感覚について。非共感覚だが強いというのはどのように判断できるのか。
 色に意味が付いてるのはどう考えられるか。アルファベットは形の近さを聞いたことがある。
 連続性についてアルファベットでどのぐらい研究されているのか。
A: アルファベットについては欧米で同じ色が付きやすいという話はある。
 ただし、形状で決まってる割合は低そう。
 共感覚的な傾向については、「平仮名の【あ】を基本色のどれと結びつくか?」を複数回繰り返させる。
 連続性については、今回のデータを今年11月に発表したが、多分今回のデータが一番新しい。

Q: 人間をトータルで捉えるためには知情意を分割すると同時に統合的に捉える必要がある。
 そういう方向性についてはどう考えるか。
A: 方向性という意味では一緒だと思う。
 重箱の隅をつつくような研究になりがちなのもあるという話かと思うが、
 それはそれで重要だが、基本的な行動ですら局所的な脳内処理だけで認知過程が分かるとは思えない。

Q: 共感覚について空間配置の問題として有名な報告がある。
 数の意味をとらえるというのがメインになっていると思うが、
 空間的配置では数字の意味がデリケートになると思うがどうか。
A: その通りだと思う。数字の順番について空間的な配置を述べる人が居る。
 まだ共感覚全体のことを把握しきれていない。
 今回のは一つのデータとして色と日本語特殊性からやった事例。

Q: 文を作りだすことはできないが理解できるように見える症例で、
 実際には同じもので統合された能力に問題が起きてる症例がある。
 普遍的なもので、漏れ出た形で共感覚が出ているというのと同じように、
 対象性があるという感触を感じる。
A: 分からないことが多いが、少なくとも
 「共感覚者は文字と色の直接的な接続がある。
  非共感覚は直接的な接続が無い」とは考えない。
 殆ど変わらない構造を持っていて、バランスの欠如の問題。
 途中のどこでバランスが崩れるかが最終的な個人差となって現れると捉えている。
 全体のプロセスを見る必要がある。


フェロー授与式

授与者: 安西祐一郎氏, 佐伯胖氏, 長尾真氏, 三宅なほみ氏

座談会:過去/現在/未来
「認知科学」との出会い:いつ、どこで、その衝撃?
 野田セミナー
学問としての「認知科学」:位置付け、特徴、成熟度?
 認知科学選書?:このシリーズのことかな?
「認知科学」の近未来
 残されているテーマで取り組みたい課題?
  情報が溢れている中で、何か問題解決しようとしたら、何故それに必要な情報を抽出できるのか?
  目標はどこから出てくるのか?
  アート/美感覚的思考? 分析自体にもシンセティックな思考が入り込んでいる。
   分析はどうしても後ろ向き、位置づけようとしてしまう。
   アートは前の方に、何が可能かという前進思考。
   non-cognitive cognitive science
  授業への取り組み?
   説明するのではなく、クラス分担して合わせると答えが出るというような授業作り?
   学ぶ人自身が構成して作っていく。
   少しずつ前進して、まともなものになっていく。
   そのことの本質を科学的に捉えていけるか?
 日本認知科学会の将来像?


naltoma: 無意識的な所に面白さが眠ってるのはそうだと思うけど、どういう実験設計例があるのかな。



ポスターセッション2


P2-1: 脳の情報処理の動態モデルを構成する, 福永征夫(アブダクション研究会)

単純な4つの数式モデルで「動態モデル」なるものを設計したという話なんだけど、
「非平衡開放系が全てに埋め込まれている」という前提か過程が盲目的すぎるのが気になる。
これじゃシミュレーションできないんじゃないのかなぁ。


P2-9: イベント映像自動生成:映画のショット解析から導出される構図ルールとその適用, 野田佑帆(芝浦工業大学 大学院 理工学研究科)ら

映画をショット集合とし、ショット単位で分析することで構図ルールを構築するという流れは分かりやすい。


P2-10: スキル習得型の学習における反転授業の活用法の検討, 中村太戯留(慶應義塾大学/東京工科大学)ら

講義では教師がいるからこそやれることに注力したいが、
一般的な講義スタイル(課題は宿題であって、講義中にはやらない)ではドロップアウトしがち。
それに対して「反転授業(flipped classroom)」なる方式が提案されているらしい。
授業の後半で課題のイントロ部分を実際にやり、残りを宿題とし、次回授業の冒頭で開設や質問受付する。
これに加えて、グループ化(友人らで互いに教え合える)などあれこれ組み込んでるようですが、
初回から反転授業やっても駄目で、基礎的な部分は手取り足取り事細かにやることなど結局は
「手間暇かけましょう」という話にも見えます。
その時点におけるドロップ率が減るのは良いとして、その後がどうなっているのかが知りたかった。

質疑応答で出てた「細かい課題ログを残せることでゲーミング要素的な取り組みやすさもあるのかも」
という観点はなるほど。


P2-11: 理系の学生に見られる共感覚者の割合とその内容, 松田英子(東京大学総合文化研究科)ら

面白そうだったんですがタイミング合わず聞けず。


P2-13: 旅行案内電話対話のモデル化における基盤化ネットワークの拡張と適用, 水上悦雄(情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所)ら

実際には「対話戦略」的な所をモデル化したいとのことだけど、
一般的なグラフ構造的表現に留まっているらしい。

オペレータの作業風景をモニタリングして初めて分かった事象やルールも
出てきているようだけど、事例やルール列挙で「出し尽くす」のでは行き詰まる
ことが想像できるのだけど、うまい整理方法/体系化方法が見つからないとか。
タスク遂行型部分に限って言えば、比較的簡単なルールだけでかけるというのは意外でした。


P2-15: 食卓における協同調理行為がもたらすコミュニケーションの分析, 坂井田瑠衣(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)ら

目的が良く分からないのだけど、「豊かなコミュニケーションを成立させる要素」
としていくつかの「食卓」を用意し、観察した結果を分析したという話。
結論としては、たこ焼きパーティだと比較的初対面レベルなグループが親睦を深めるのに良さそうとか、
鍋はゆっくり話を深めるのに良さそうとか、一般的な話にしかなっていないような点が勿体無いというか、
その先を知りたくて質問してみたけど良く分からず。


P2-19: 未知語処理における人間の読み行動, 坂本聡(中京大学大学院情報科学研究科認知科学専攻)ら

テキスト文章を読んでいる最中の認知行動を対象とした、
「未知語に遭遇した時の行動」を観察分析したという話らしい。
想定してたタスクと大分違うな。


P2-24: 問題解決過程の振り返り方の違いとヒントへの気付き方の関係:主観報告とビデオの比較, 千邑翔太(中京大学情報理工学部)ら

2人1グループでワークショップ(体験学習)する場において、
一人サクラを潜り込ませてこっそりヒント教示するとか、
自動ログ化(ビデオ)導入するとか、
作業終了後の振り返り質問時に「再現させる」とかを
通すことで「報告の仕方」にどのような差異が見られたかという話。
「サクラと分かりましたか?」という質問すると、
後の質問に全てその影響が出てきそうなんだけど、そんなことはなかったらしい。
私が人疑いすぎなだけ?w

気温差が大きくなり始め?

月曜日, 11月 26th, 2012

昼過ぎに交通指導の予定があったので、短時間で済ませられるように弁当買ってきました。タニタとローソンのコラボで写真のカレーを試してみたのだけど、個人的には程よい辛さ&量で大満足です。リンク先にある「ンビニ弁当の中では高価格帯にもかかわらず、身体を気遣う30代以上の男性のお客様からも好評」という顧客モデルにバッチリ合致してますw

肝心の交通指導は土砂降りのためキャンセルとなり、明日やることになったらしい。明日も雨っぽい&気温は今日より下がりそうなので、上着/厚着を想定しておかないと風邪引いちゃいそうだな。と書くぐらいには、まだ上着も厚着も用意してないです。今日も日が暮れた頃には肌寒いですが、日中は丁度良いぐらいだったし。そんな肌寒くなってきた日の夕方ですが、学生らはブルーシールのマウンテン?を食べに行ってきたらしいw

ということで別件の人力タスクをしつつ、終了後は延び延びになってたデュアルソリューションさんとの連携についての検討。ストレートに思いつくことはこの間やったので、MindMapで書散らしてたのを整理しながらパターン分類し、その他の間接的なネタをブレスト気味に書き出し。質も量も足りないけど、互いの話を煮詰めるタネであれば取りあえずは良いか?

近いうちにサンプルデータが準備できるという連絡が夕方届いたので、後はそのデータ見ながらの検討になるかなー。MindMapをそのまま送っても良いんだけど、説明するための資料じゃないから説明しながらじゃないと読み取れないだろうし。

(意外性のある)推薦という点では、

出典: WebDBフォーラム2012 参加メモ(1日目)
語の認知度と同位語間の関係に基づく意外な情報の発見
主題語から関連語へのリンクを切るという方法論が面白いと思う.Webの情報から得られた同位語・関連語というネットワークにおける,ノード間の到達性を利用すると,到達しにくいものは意外であるという発見が面白いと思う.

という話があったらしい。リアルでも「出会いにくい(身近な人からは得にくい)情報」は「意外性のある」情報の一例だと思うだけに、面白いアプローチ。

教員による研究室紹介終了(NAL研紹介サマリ)

火曜日, 10月 23rd, 2012

研究室紹介は20時過ぎで終了。関係者各位お疲れさまでした。

今日は4年次の中間発表〆切に向けてのミニゼミ2件をして、残りは研究室紹介用の資料整理をほげほげしてた一日。昼過ぎには終わるだろうとたかをくくった割には16時頃までやってました。一旦資料作り始めるとあれこれ紹介したくなるからなぁ。実際には説明省略しまくりでしたが、興味ある人はゆっくり眺めてみてねってこともできるし。

ということで、NAL研紹介で使った資料をアップロードしたので資料リンク紹介と、話し忘れた事項の追加です。基本的には全て資料中にリンクを掲載していますが、特に説明中に紹介した関連事例リンクも抜粋しています。

紹介し忘れてたのは後半2件。

選書2012は、関係のある専門分野へのイントロダクションも紹介してますので、参考になるかなと。

未踏ユース/スーパークリエータにまつわる座談会は、IPAの未踏ユースと呼ばれるプロジェクトの話です。詳細はその座談会記事を読んでもらうとして、端的に紹介すると「前人未踏なIT技術を組み込んだアイデアに対して開発費(上限180万ぐらいらしい)とスペシャルなPMを用意して開発支援するよ!」という人材発掘を兼ねた育成事業です。その応募にNAL研の与儀さんが採択されただけでなく、スーパークリエータ認定されました。ぱちぱち。という紹介ではなくて、進学するからといって「研究室内/大学内/学術交流内」に制限した活動をするのは勿体無いよ。未踏に限らずもっと外を見よう。外に出て活動しよう。という話をし忘れました。

勉強会に限らずいろんな所で多種多様な支援なりプロジェクトなりコンテストなりが開催されてたりしますので、そういう情報探して応募するも良し。気にせずGitHubとかでオープンソースとして公開しながら自分のプロジェクト進めるも良し。研究活動100%集中で学外発表しまくるも良し。何らかの方法で学外活動しないと、外からは「あなた」を見つけることができないですよ。というお話。前に新入生向けLTで話したことでもあります。

琉球大学・沖縄高専第3回交流研究会を終えて

水曜日, 9月 19th, 2012

昨日のことになりますが、琉球大学・沖縄高専第3回交流研究会が終わりました。

今回は沖縄高専での実施ということもあり、多数の車で押し掛けてしまいましたが「学外での発表」を意識できる分、4年次の学生にとっても気が引き締まる思いで参加できたんじゃないかと思います。

当初は21名?ぐらいの発表が予定されていましたが、就職活動や体調不良が被って当日4人のキャンセル。その割には討論時間延長や、当日発表追加があって終わってみたら予定時間をやや過ぎるぐらいの時間まで討論が続きました。

他学科の先生も数名来られてて、特に午前のセッションでは画像処理/ロボットビジョン周りの専門家から有意義なコメントを。それ以外のセッションでも関連教員を含む多数参加者から様々な視点を通した討論が行われてました。卒研着手して半年が過ぎたタイミングですが、このぐらいの時期に「研究室外の目に晒して、コメント貰える」のはやっぱり良いですね。

次回は冬(年末年始頃)の実施を予定しています。

以下、発表時のメモ+質疑応答一覧です。
私の解釈違いやメモれなかった分もありますので注意ください。

関連リンク: [ 1回目 | 2回目 ]


<目次>


マリオAIを用いた学習アルゴリズムのパフォーマンスの比較 岩瀬翔(琉大工学部4年・遠藤研)

動機:様々な学習アルゴリズムのパフォーマンスの違いを知りたい

naltoma: 学習アルゴリズムのパフォーマンスを知りたいということだが、
 問題設定やアルゴリズムの実装方法等様々な要因が絡む。
 マリオAIでパフォーマンスを比較するのはどういう意図?
naltoma: マリオエージェントの動作を編集したら良いとのことだが、
 マリオエージェントへの入力(観測情報)は?
naltoma: 段階的に学習することで学習効率は改善する?
 学習効率と学習アルゴリズム毎のパフォーマンスはどう関係している?
naltoma: GPによる学習がうまくいってないとのことだが、評価関数は?


Q: GPを使った理由は?
A: 3年次の時に進化計算班でGAを使ったプロジェクトに携わった。そこでGPを触った事があるから。
Q: GPだと行き詰まっているとのことだが、GAを考えても難しそう? GAよりはGPがマリオ向き?
A: どちらでも実現可能だとは思う。学習するかどうかという点ではどちらも悪そうな印象。

Q: それぞれの学習アルゴリズムで最終的にゴールに到達するというのがいい結果になる?
A: はい。ゴールが最低条件で、そこから敵を倒したか、タイムはといった条件で評価が変化する。
Q: 最良なアルゴリズムはマリオAIに特化したものが選ばれそうだが、
 マリオAIだけでパフォーマンス比較できる? それが汎化に繋がる問題点?
A: マリオAIだけに特化すると確かに汎用的な比較は困難かもしれない。
 他のテストベッドも用意する事が必要かもしれない。

Q: 評価の尺度は、マリオの点数? コインを獲得?速度?
A: 総合評価。
Q: チューニングしたら金貨を沢山取れるとか、速度重視とかにチューニングできる?
A: どちらを重点的にチューニングするかは評価関数を変えるだけで対応できると思う。

C: 先週ファジィシステムシンポジウムがあって、マリオAIに関するコンペが日本で初めて開催された。
 そこでは距離だけでの評価だった。どこまで面をクリアして先に進めるかというテストベッド。
 元々はIEEEで開催されてたコンペで、ようやく日本での開催になった。
 何故マリオなのかについては、ゲームの分類でいうと「不完全情報ゲーム」と捉えているようだ。
 学習アルゴリズムを評価する上でのテストベッドとしての活用があるのでは。
 現時点ではA*ベースのアルゴリズム、探索アルゴリズムが最も良いらしい。

Q: 敵の出現状況は固定?
A: 固定。
Q: ということはある時刻にあるパターンを取るとやれば、目をつぶってても問題無いということ?
A: 恐らくその通り。
C: コンペではワンチャンス。見えない。そういう意味で不完全情報。
 積み重ねる事で全体が分かってしまうと完全情報だが、コンペではそうではない。
Q: コンペだと、毎回AIにプレイさせるステージは変わる?
C: レベル調整も含めて、トライする人に取ってはブラインドなステージ。
 アルゴリズムを提出して、コンペで用意されたステージで評価する。
Q: 恐らく固定だと、Q-learningでは最終的には最適解に落ち着く。
 比較するにしても、現状では目的が見えにくい。
 未学習のプレイヤを投入してどうですかではないと思うので、
 問題をどう捉えて、どう分かりたいのかが重要だと思う。
C: 日本に関して言うと、そこら辺クリアにしないと行けないねという話題が出ている状態。


Twitterのツイート解析による人物像の推定 長浜祐貴(琉大工学部4年・遠藤研)

naltoma: 人物像とは?
naltoma: 意図的に「ある種の人物像」と見えるように、見せかけるようにツイート
 することもありえそうだが、それはその人物像を推定できれば良い?
naltoma: 日本は英語圏と比較して「おはよう」等異常に広まっているようだが、
 日常生活に近しい情報が流れる事は何か影響する?
naltoma: 公認アカウントを対象として学習した分類器は、
 他の一般的なアカウントに対してどのぐらい有効に機能するだろうか?
naltoma: 形態素解析困難なケースはどう対応?
naltoma: 「東京ガールズコレクション」のタイミングで「東京(略)」
 も女性である可能性が高いという例は、本当?


Q: 形態素解析は日本語限定?
A: 日本語についてしか調べていない。英語は単語自体が最初から区切られているが、
 日本語では区切られていないため、形態素解析を利用している。

Q: 形態素解析されてるようだが、品詞は何を使っている?全部?
A: 今回は主に名詞。除外したのは助詞と1字、2字。3字以上を採用。
Q: 除外したのは、より特徴的な単語だけを使うため?
A: そのつもり。分類器構築を通しながらチューニングしていきたい。

Q: どんな人物なのかを見つける際に、データセットに合うような人物を見つける?
A: ツイッターのあるアカウントをこのシステムに入力すると、
 その人物像として最近の興味等を推定するような利用方法を想定。

Q: IKKOさんが除外されてたが、性別判定上はノイズになるから?
A: 明らかな女性言葉だが、そう判定しているのは人間。
Q: こういった人物も男性と判定したい?
A: 今回のシステムでは女性と判定されてしまうと思うが、
 システムの中でノイズだと考えたのはIKKOさんを女性と考えるのも女性。
 確実に女性か男性かというデータセットを与えたかったから除外。
Q: 男性と女性だけでもこれだけ考える余地があるが、
 明るい/暗いとかより踏み込んでいくとさらに複雑な検討が必要になる?
 教師データの構築自体がコスト高くなる?
A: 心理テストや性格判断を参考にできないか考えている。
 2値ではなくどのぐらい、どちらよりという表示をするだけでも有益かなと。

Q: 男女で比較して見るとちらほら同じ単語もあったように見える。
 そういうのは除外しては?
A: 除外していこうとは考えている。
 ただし、教師データとして両方に含まれる度合いが高いと、
 結果として有益な度合いが低いと判定されると考えている。


動画像解析を用いた既存道路の自転車走行補助マップの作成 山入端峻(琉大工学部4年・遠藤研)

naltoma: 「より自転車を利用しやすくするコンテンツを提供」することで、
 自転車へのモーダルシフトを起こせる?
naltoma: 自転車走行の安全度(危険度)をどう評価する?
naltoma: 諸外国に合わせて1.5m基準で路肩/路側帯のランク付けするようだが、道幅だけ?
naltoma: 路肩や路側帯の領域抽出、幅推定をするようだが、道理情報自体は公開されていない?
(時間は守りましょう:5分強オーバー)


Q: 道幅を測るとの事だが、衛星写真かなにかで測るという手法とかありそうだが、それとの差は?
A: 道路幅は刻々と変化している。厳密なデータが欲しいということで
 実際に撮影したデータから測りたかった。既存データを使っていくのも
 勿論一つのアプローチだとは思う。
Q: 道幅=安全性、安全性の一要因として道幅をあげているようだが、
 他には何を考えている?
A: 混雑具合も使っていきたい。動画像という点では障害物有無、路面のでこぼこ具合、
 等を考えている。
Q: 個人的に自転車使ってて感じる事だが、
 勾配のきつい道といったものが分かると嬉しそう。

Q: 安全性よりも効率の方が重要かなと思っている。どちらを優先するかを考える際には、
 どうしたら良い?
A: 効率を判定する際にはシミュレーションが必要だと思うが、
 安全性による判定をどうするか自体が一つの問題点。
 今回はモーダルシフトという点を重視している。

Q: 何故動画像を使っている? 道幅で安全性とのことだが、勾配/路面凹凸の方が重要では?
 また交通流を解析するから動画かと思ったが、そうではないらしい。
 ステレオである必要もありそうだし、どこに焦点を当てているのか。
A: ビジョンベースである必要はないかもしれないが、
 道路状態を考慮するためビジョンベースを想定している。
 交通流は時間帯によるバラツキがあるので、別調査データの利用を想定している。

Q: 目的がもし、自動車が多く、渋滞を緩和させるというためにモーダルシフトを考えていて、
 そのためのマップを提供するということが第一義だとすると、
 それで本当にモーダルシフトが起きるのかが問題。私ならそれでも車に乗る。
 マップ提供という政策だけでは難しいので、それに加えて何か別の事が必要ではないか。
 例えばシミュレーションしてみるとか。
 もしくは、自転車乗ってる人のことを考えて、より便利にするためのマップを提供するとか、
 少し目的や政策を考え直してはどうか。
A: 確かに現状ではマップだけでは不足感を感じている。今後検討したい。


エッジ方向を考慮した折り紙追跡プログラムの実装 伊佐元希(琉大修士2年・遠藤研)

naltoma: 他のエッジベースの追跡と比較してどういう違いがある?
naltoma: ARでの作業支援が向いている例は?
 作業支援自体にいろんなアプローチがあると思うが、ARとそれ以外とでの違いは?
naltoma: ARでの作業支援をするためのコンテンツ作成のためのフレームワークとしては何が必要?


Q: エッジ1本単位で追跡? 直線だけだとその直線のどこにあるか対応点になりうる。
 直線上の問題を抑えるために頂点が必要になりそうだが、
 現状方法では瞬間的な大きな動きだと追跡できなくなりそう。
 そういう追いかけ方をしないと、開口問題で追跡困難になりそう。
 なので、今後の問題を解決する必要がある。

Q: 最後の課題に3Dに対応とあるが、3Dに拡張した場合の問題点として
 例えばエッジが隠れるケースがありそうだが、具体的な案はある?
A: 3Dの場合は隠面処理を予定している。

Q: 見えてる線を隠面処理で消すのは簡単だが、見えていない線を推定する必要は無い?
A: 折り紙の例では推定しなくても大丈夫だと思う。

Q: ARの種類でいろいろ紹介されたが、エッジベースを選んだ理由は?
 また先ほどの質問に関連するが、折り紙デモでは回転だけだった。
 折っていく作業が入ると、紙の同系色で内側に折った時にエッジ検出できる?
 形状複雑になっても大丈夫?
A: 作業支援なので、センサを一つずつ付けるのは非現実的。
 マーカベースはマーカ変更の手間が入るため除外。
 特徴点ベースは折り紙のようなケースでは特徴量が取りづらいため、エッジベースを選択。
 折り紙の間のエッジについては、まだ未考慮。外枠だけの追跡を想定。
Q: どういうシステムを提供しているのかが見えない。
 イメージで良いが、どういう順番でどういうふうに折っていくのかがARで分かると嬉しい。
 手前に折る場合、奥に折る場合。
 ARで色を変えるとか、その画面を見る事で分かりやすくする工夫が必要では。
 折り紙で構わないが、将来像として何を描いているのか。
A: 重畳表示としてはそこまで詳しくは考えていないが、
 折り線を谷間表示できると嬉しいと考えていた。


対象物体のエッジ及び頂点情報を用いたカメラ位置姿勢推定手法の提案 徳盛太一朗(琉大修士2年・遠藤研)

naltoma: 2Dエッジ距離(隣接)を利用する事で尤度上昇させているが、
 複雑な形状、特に3D形状でもうまく機能する?
naltoma: 作業支援という点では、作業途中毎に初期位置登録をしておく必要がある?


Q: 同一平面上での実験のみだが、奥行き方向に変わる場合でも可能?
 今はマーカで2自由度は与えているようだが、それが与えられない場合には?
 どういった状況で何を狙っているのかを明確にしよう。
 キャリブレーション情報しか使えないのか、そうでもないのか。
A: 現状では平面でしか動かしていないが、持ち上げるだけなら追跡可能。
 マーカからxy軸の回転を取ってきているので、その回転範囲内である必要がある。
Q: センサ使ってもマーカ使っても難しいと思うが、
 モデルベースでビジョンベースなので、センサもマーカも使わない方向で頑張って欲しい。
A: 現状いろんなデバイスにセンサついているのでセンサ利用は構わないようにも思う。
Q: それなら3次元のモーションも全て取れば良くて、
 それだと研究の意義自体が問題にならないか。

Q: 作業支援という点で、折り紙という形があるならそれがそれがマーカになればと思うがそれは無理?
A: 現状では折り紙モデルを用意して、エッジ情報を検出計算している。
Q: センサ無しでカメラだけでやれない?
 あと、追跡する事の意義と、私だったら「ここに合わせろ」と出して手で動かす方が
 早そうにも思う。本当に追跡が必要?
A: 折り紙だと合わせさせるのも良いかもしれないが、
 積み木の例では動かした時に矢印が動かす前後に繋がっている事が重要だと考えた。


合議アルゴリズムにおける適切なプレーヤ重み変更方法の検討 當間啓介(琉大修士1年・遠藤研)

naltoma: 「局面に応じてプレーヤ重みを可変にする」ために、
 局面に対するプレーヤの直接的な良し悪しを判断基準にすることは困難?
naltoma: 採用実績はあくまでも採用実績で、局面評価値も評価値にすぎないが、
 その結果勝敗がどうだったかが大切では?
naltoma: 乱数により局面評価値が異なるような実装になっているが、
 そのようなプレーヤ集団と、そうではないプレーヤ集団とで適切な合議方法は異なるのだろうか?
 逆に言うと、汎用的に機能する最適な合議方法はあるのだろうか?
naltoma: 互いにゲームする事で勝敗を見ているが、
 特定の相手に対して勝てる合議を選択している結果になってたりしないか?


Q: ボナンザ5台用意しているようだが、評価値が異なるのは疑似乱数に偏りを与えている?
 乱数の与え方自体に偏りを持たせている?
A: 乱数のシード値を変えてプレーヤを生成している。

Q: そもそも論として、合議はどういった場合に使うべき?
A: 合議する事によって明らかに間違えた手を出しにくくするという効果は確認されている。
 誰でも思いつかなかった手を探索するという手法ではなく、ミスを減らす。
Q: より精度の高い手を出す場合には、もっとリソースを用意する必要がある?
A: その通り。

Q: 低成績を排除していくという話だったが、それを学習していくと最終的には決まった
 プレーヤだけが選択されて、ある一定以上の勝率で頭打ちになりそうだが、
 そういう理解で良いか。
A: 評価をリセットするという処理がないため、終盤になると固定プレーヤに偏ってしまう
 という問題がある。何らかのリセット方法を検討中。

Q: アルゴリズムとしてはボナンザ評価して合議でどれを選びやすいかを過去の意見採用実績で
 選びやすくしているということ? 合議でどの意見を採用するかを決めるため、
 過去の採用実績を加味しているようだが、採用されてその手が良かったかどうかは入っていない?
A: 評価値ベースで並び替えての検証はやってみている。
Q: ほぼこれとモデル的に近いものが98年ぐらいにあって、
 将棋とか合議とか無関係の所で発表されていた。
 マイノリティゲームで最初に提案されたアルゴリズム。
 各プレーヤが複数テーブルを持ち、どのテーブルを採用するか。
 点数が取れたか否かで仮想的な点数を戦略テーブルに与える。
 その点数の高低を見て、GAでのルーレット選択みたいな形で点数に応じて確率的に採用する。
 合議アルゴリズムに重みを付けてという部分がオリジナリティだとすると、
 そのマイノリティゲームで採用してたアルゴリズムも対比させてみた方が良さそう。

Q: 折角将棋なので、戦局に合わせて、例えば攻め時とかそういうのも考慮して
 手を選べると面白そう。


佐藤研4名(本科5年生3名、専攻科2年生1名)
タイトル等調整中


生殖方法の違いによる移動戦略の創発への影響 比嘉康晴(沖縄高専本科5年・佐藤研)

生物の生存戦略
 追跡ゲーム:追跡戦略/逃走戦略の創発検証
  従来:無性生殖。有性生殖は扱っていない。度外視しても問題無い?
  ヴェーレンの仮説:対立する種の変異に対抗するためには、多様性が獲得できる有性生殖が有利。

naltoma: ヴェーレンの仮説に沿うと、例えば多様性が獲得できるモデルになっていれば、
 有性無性は関係ないとも解釈できる?
 逆に言うと多様性を獲得できるためには、有性無性や他に何があれば良い?
naltoma: 生殖方法の違いというか遺伝子操作に交叉を導入したという話に見えるが、
 他に「多様性」を得る手段は無いのか?
naltoma: 共進化を考えると(例えばジャンケンのような)ループに陥る事も考えれるが、
 それは問題にならない?


Q: ヴェーレン仮説について、無性生殖の場合には変異体は産まれない?
A: 産まれるが、とても確率が低い。産まれたとしても同じような形質を持つ個体が多い。
 一方の個体が全滅するような場合には、別の個体も全滅しやすい。

Q: 進化や創発について、羊/オオカミ両方の進化を見たい? 評価方法は?
A: 2次元座標空間で、羊は逃げるターンが多いほど得点を得る。オオカミは捕食できるほど得点を得る。

Q: 今回の解析をする事で、どういうことに役立てられる?
A: 具体的に役立つという事は考えていないが、明らかにする事が目的。
 有性無性どちらが良いかという研究はあまりされていない。
 共進化で考えるとどちらも進化するので、多様性獲得する方が有利だと考えられる。
Q: 戦略は何を目的として戦略と考えている? 何かしたいからこういう戦略が産まれてくる?
 ここでいう戦略とは何?
A: 追跡ゲームにおける双方での得点を上げるための戦略。
Q: その現実への応用は? 追跡ゲーム自体が何のシミュレーションに相当する?
A: どのように進化していくかを見るためのシミュレーション。
 有性生殖が有利ということを見たいという訳ではなく、違いを見たい。

Q: 生殖方法の違いがエージェントにどういう影響を及ぼすかを見たいということだが、
 実際どうなると想定している?
A: 冬にはお見せできるかと。

C: 2種いるから追いかける側と追いかけられる側がいて、
 片方が進化するだけだと無性生殖の方が速く何かしらの構造を獲得しそう。
 お互いに進化すると、相手の裏をかくとかトリッキーな行動をするとか、
 相手に読まれない動きを獲得しないと相手に勝てないという構造になっていると
 想像するので、そういうことを考えると有性生殖の方が有利になっていくだろうなと想像はしている。


囚人のジレンマゲームにおけるプレーヤの戦略と移動の相互作用 和宇慶朝亮(沖縄高専本科5年・佐藤研)

社会関係を良好に保つにはどのようにすれば良いか?
 囚人のジレンマ:渡辺の移動モデル→凝集性の高い小集団で相互協力達成
 移動そのものの意味を考えている事例はない
  移動が戦略に与える影響
  戦略変化が移動の仕方に与える影響

naltoma: 移動を導入したモデルでは、対戦相手をユニークに識別できる?
naltoma: 最高評価を与えるマスと最低評価を与えるマスとで移動の仕方の違いを見たいようだが、
 その違いを見る事で「移動が戦略に与える影響」や「戦略変化が移動の仕方に与える影響」
 をどう見ることができる?
naltoma: 詐欺みたいな例を想像してしまうが、
 ある一定期間毎に小集団を転々と移り変わりながら騙して稼ぐような場合と、
 そうではない一般的な場合との移動には意味合いが異なりそうだが、
 そういう違いを見たい?
naltoma: 常にあるエリア内で相互作用をするという条件自体が、
 移動の意味や移動戦略に制限を与えていないか?


Q: 先行研究ではどこまでやっている?
A: 移動を入れることで小集団ができ、TFT戦略になったという結果までは出ている。
 ただし、どういう移動をしたかという話は出ていない。
Q: 移動に対して何かしら傾向が見つかったら、何かしら意味を見出せる?
A: 移動に特徴がある場合とそうでない場合とで異なる結果が出るかもしれない。

Q: どういう移動経路をとって、その移動に対して意味を考える?
 得たい結果は、移動に意味を持たせたい?
A: 移動で戦略が変わり、戦略が変わる事で移動が変わるその相互作用を明らかにしたい。
Q: あるプレーヤにワザと移動させたらその影響がどうなるかを解析できる?
A: 想定していなかったが、できるようになると思う。

Q: 学習する事で移動しやすいエージェント、移動しにくいエージェントが発生する?
A: 移動しやすい/しにくいは戦略テーブルにより異なる。
 テーブルの設定方法に依存するが、双方の個体が出てくる事は考えられる。
Q: 移動する事のリスクは考慮している?
A: これから。

Q: どうやって分析する予定? 傾向見るとかも対象データが膨大になりそうだが。
A: まだ分析方法は考えていない。


Episode-based Profit Sharingの柔軟性及び最適性の検証 慶留間諒大(琉大工学部4年・當間研)

naltoma: POMDP環境下でマップを作成することはできないのか?(高コスト?)


Q: 比較が研究目的になる?
A: 最終的なゴールは見えていないが、
 EPS-RLが限定的な環境でのみ試行されているので、
 より複雑な環境でどう動くかを取りあえず見てみたい。
Q: 方向性としてはさらに改善したアルゴリズムに結びつけたい?
A: 現時点ではまだ未検討。

Q: 順序が固定されてない環境というのは、マップが変わるという事?
A: 先行研究での話になるが、状態s1,s2を通ってs8,s7、、、というように固定されている。
 ここが固定されているから順番で分離するとうまくいったという話にしか見えないので、
 そこを固定されてない環境で検証したい。
Q: 順序が固定されていない環境というのは具体的にどういう環境?
C: 一番最初に提示されたマップがその例になっていない? ルートが複数ある場合。

Q: 先行研究での観測o1,o2、、を与えるというのは、
 そういう環境があると分かった後で人間が手動で与える?
A: 論文には具体的な記述が無かった。

Q: 普通のPSとEPSだと具体的にどこがどう違う?
A: PSだと、スタートからゴールまで全て記憶して累積評価する。
 EPSだと、同じ状態と行動が複数回選ばれても1回しか評価しない。
Q: エピソードはスタートからゴールまでに辿り着くのをエピソードと数えている?
A: その通り。
Q: それだと違いが出て来るかよくわからない。
 もっと拡張したQ学習や、リカレントQ学習とか、
 いくつも時系列を扱えるQ学習が提案されているが、
 何か手をつけてみてエピソードの方が良いと比較をする予定はある?
A: 今の所は考えていなかったが、やってみたい。


勉強SNSに特化した情報推薦 玉城翔(琉大工学部4年・當間研)

naltoma: SNS上にあるデータが「その参考書の位置付けを適切に評価するための
 データになっている」とは限らないが、データの信頼性はどのぐらいあるのか?
naltoma:
(黒背景に黒矢印はやめよう)


Q: 勉強は、受験みたいなものを想定している?
A: 最終的にはどんなジャンルにも対応できると嬉しいと考えている。
 資格試験や、高校での定期テストとかも。
Q: 勉強には2種類あって、歴史が好きだからあれこれ時間を好きに使って勉強したいというのと、
 受験のような限られた時間で最大パフォーマンスを出す事を求められるものに分けられないか。
 例えば受験ならベネッセとかあれこれやっている。
 そういうのも参考にしてはどうか。
A: ありがとうございます。

Q: アプローチで、ユーザ毎に参考書の使い方を示すとあったが、ユーザのマッチングは
 協調フィルタリングと同じようにやる?
A: まだ未検討だが、現時点ではそうなのかなぐらいの認識。
 何かあれば教えて欲しい。

Q: SNS上でサービスとして作る?アプリを作る? データはどこから引っ張ってくる?
 studyplusから引っ張ってくることはできない? FBアプリのように作れる?
A: FBのようにはいかない。

Q: studyplusからデータを引っ張って来るという話だが、studyplus以外のサイトからの情報収集も
 検討している?
A: 現時点ではどのぐらい引っ張って来れるかも分かっていないが、
 他のサイトからも引っ張ってくる方が比較の観点では良さそうに感じている。
Q: 情報を使って良いか駄目か、著作権的な観点については検討しているか。
A: APIのようには提供していないので、まだ未検討。

Q: 現実味が無いように感じる。
 何かしらの、例えばAPI提供されているとか、どういう情報取得できるとか、
 studypulusという外部サイトに対して何かしらプラグイン提供できるとか。
 もう既にstudyplus側で何かしら提供していることを前提にしているなら分かるが、
 そうでないようなら早急に調べるべき。
 また、ユーザ毎に参考書の使い方が代わり、着目点も千差万別だとすると、
 どういう基準で推薦したら良いかが分からない。どう考えているのか。
 類語でみたい、用例で見たいとか軸の決め方とかも自由度が高そうだし、どうやって決めるのか。
 ユーザのニーズに合わせて軸を決めるなら、どういう基準で決めるのか。


マーカレス型ビジョンベースARにおける初期位置姿勢推定に関する基礎研究 潮平寛弥(琉大工学部4年・赤嶺研)

naltoma: 想定している用途にはどのぐらいのスペックが要求されるのか。
naltoma: 実験結果の見方が良く分からないが、
 キーフレームx枚とy割程度というのはどういう意味?
naltoma: 平均6割とのことだが、どのステップがネック?
 別ステップの結果を参照する事で調整することはできない?


Q: 処理にかかった時間は計測している?
A: キーフレームの選抜までにかかった具体的な時間は計測していないが、
 30ほどある状態で5秒かからない程度。
Q: 何秒ぐらいに抑えるのが目標?
A: うん秒かからない程度。

Q: 実験結果で述べた「良い結果」とは何をどう良いと評価した?
A: 一つのシーンに対して、同じ作成日に作った5枚と別の日に作成した5枚を用意し、
 それぞれからキーフレームを作成してどのぐらい推定できたか。
Q: ちゃんと初期位置推定できた画像がどのぐらいの割合か、ということ?
A: その通り。

Q: 環境変化への対応は大切だと思うが、どういう変化を想定している?
 もしくはどういう変化へのロバストさを追求したい?
A: 例えばシーンモデルを作成する際に、動画のぶれがキーフレーム作成や選出に
 与える影響があると考えており、そこを踏まえた実験を想定。
Q: 環境変化に対してロバストだと言える明快な基準が無さそうだが、どうしたら良さそう?
A: 実験が必要。

Q: カメラの初期位置推定は、今カメラがどこにあり、どこを向いているかの基準点として必要?
 内蔵されているGPSやジャイロ等を使わないのはそれらが使えない状況を想定しているから?
A: センサは用いずに、カメラ画像だけを利用することを想定しているから。
Q: 2値化するとかフィルタリングするとか複数手法を組み合わせるとかは考慮している?
A: できるとうれしい。

Q: 屋外で使うことを想定されているとようなので、
 ロバストで考えると朝夕の違い等でもある程度の変化には対応できることが欲しいと思う。
 こういう話はロボットビジョンでは凄く沢山ありそう。カメラ画像解析して障害物避けたりとか。
A: そのあたりはまだ見ていない。
Q: 定量的に評価できない? 数値的にどれぐらいマッチできたかを目視するのではなく。
 目で見た評価で問題無い?
A: どうにかしないといけない部分ではある。
Q: どのぐらいの精度が求められるかにもよるが、定量的な評価が重要だと思う。


屋外での使用を考慮した特徴点型マーカレスARにおけるトラッキング手法の提案 神山朗(琉大修士2年・赤嶺研)

naltoma: 日照変化に強い特徴量とのことだが具体的に何を使っている?
naltoma: 局所特徴量のため同一3次元点に対して異なる特徴量になるのが問題との事だが、
 事前に撮影してデータ構築するのであればそこで「オブジェクト」として特徴点集合として
 のマッチングを考慮することはできない?


Q: 複数カメラで作成された特徴点のマッチングはどうやる? シーンモデル作成時。
A: 3次元点位置は既に復元して持っている。どこにあるかは分かっている前提で、
 特徴量を算出している。

Q: 特徴量の辞書は複数カメラで構築しているようだが、
 1点あたりどれぐらい取れば十分?
A: これから実験で決めていく必要がある。
 現状では、AとBというカメラ位置で30度以上誤差があると特徴量が変わってくる。
 その事を考えると180度では6つ程度必要。
 シーンによっても変わるが、特徴量が変化しないこともあるため、
 決まった閾値を設けない方向で検討。


中規模ミクロ道路交通シミュレーションにおける旅行時間の再現性向上に関する研究 與那嶺貴雄(琉大工学部4年・赤嶺研)

naltoma: 「自由流最高速度を下げることで調整する」はかなり恣意的なチューニングに見えるが、
 今回参照していない部分で相関が落ちてることは考えられないか?


Q: 自由流最高を0.55倍するというのは、実際にドライバーが60km/hを30km/hで走るという事?
 主観的にはおかしいように感じる。交差点モデルが影響している?
A: 交差点モデルが影響していると思います。
Q: どうチェックする? チェック自体は可能?
A: 交差点モデルを追加してチェックする形になるかもしれない。

Q: ミクロモデルの動きをマルチエージェントでシミュレーションしているようだが、
 自由流最高速度を0.55倍するというのは、高速道路のネックを再現していることに相当するようにも見える。
 そこを今後調整していく?
A: その方向で検討している。

Q: シミュレータの使い方にもよると思うが、何を測るために現況再現性が不十分?
 どのぐらい精度が出たら十分? 不十分なのはどこ?
 速度パラメータを半分に調整するという話は現実的にはおかしいという話だったが、
 信号モデルで帳尻合うだけでパラメータとしては機能しているならそれでも良いという考え方もあり得る。
 何をどう測りたいのか。取捨選択すべきは何か。
 どこまでも現実に近づけるというのが第一義ではないよね。
 何かしら指針はある?
A: 現時点ではない。
C: シミュレータを使って何を主張したいかに依存する。
 具体的にこれ以上であれば良いというのは難しい。
 現状では混雑時と非混雑時の相関の差が大きすぎるのでそこを埋めたい。

Q: 最終的な目標、目的、これを使って何を目指しているのかが分からない。
 実データがあって、シミュレーションして再現性高めたい。
 高いモデルになったとして、どうしたい? それで終わり?
 再現性高い状態で何かしたい目的がある?
A: バス路線を変えてみたりして、より良いルート探索等に繋がると嬉しい。
Q: そこを考えてるなら良い。
 短期中期的なシミュレーションをすることで、
 ベースラインがあることで基準として使うという事なら良いと思う。
 具体的に何をやる?
A: デマンドバス。


玉城研5名(本科5年生4名、専攻科1年生1名)


デマンドバス運用における乗車時刻指定を除いた予約の影響分析 上地遥(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: 先行研究の大和らのスケジューリングでは、
 スケジュール候補作成時に可能/不可能かを検査しているようだが、
 具体的に何をチェックしている?
naltoma: 乗車時刻指定を除いた予約の影響を分析する事で、何を検証したい?
naltoma: 赤字路線にはどのぐらいの改善余地がありそう?


Q: 実乗車時間も重要だと思うが、そこは考慮している?
A: スケジューリングのみ。
Q: 乗客はその時間範囲内であればどこでも構わないと考える?
 なるべく移動時間を減らしたいはずだが。
C: 乗車時間が指定されていないから、数時間とかなっても問題無いように見える。
 制限時間としてのパラメータを入れる必要が無いか。

Q: シミュレーションを使った実験をする? どういう形で実験する?
A: エージェントを動かしたりはせず、
 スケジューリングが実施された際の乗車率、利用率を見てみたい。

Q: リアルタイム予約とのことだが、どういったタイミングで経路割り込みが入る?
 運転手に運転経路等の情報が通知されるタイミングや、更新されるタイミングは?
 走ってる間に経路が変わったら危ないし。
A: バス停や、赤信号時、信号500m手前等の条件がある。

Q: 運行経路計算時には距離のみ考慮?
A: 未検討。


津嘉山バイパスによる渋滞緩和効果の検証 金城匡(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: CAで「市街地の複雑な道路形状を再現」するようだが、
 目的達成のためにはどのぐらいの複雑さを再現する事が必要?
naltoma: 複数経路がある状態で経路選択はどうやって決定する?
naltoma: 現在整備中の道路については既にシミュレーションが行われていそうだが、
 そこでのシミュレーション方法や結果は参照できない?
naltoma: バイパス無し時の片側2車線というのは可能な想定?


Q: 1セルは車1台?
A: その通り。
Q: 車にも様々な形状があって、渋滞のし難さも影響していそうだが、車種の違いは考慮できる?
A: 今回は重要だと考えていないため、考慮していない。

Q: 全ての車に対して、スタート地とゴール地を決める?
A: スタート/ゴール地点を決めて、シミュレーションする事で渋滞有無等を見る。

Q: 実測するという話があったように思うが、他の調査データを参照? 実際に実測?
A: 現在分かってる情報に加えて実測もできればやりたい。

Q: バイパス効果を調べる場合は経路配分も必要だと思うが、何を考えている?
 新しい経路が増えた時にどのぐらいの人がその経路を使うか。
A: 現時点での計画の予想。また、スーパーの需要も検討。
Q: 経路が二つある場合、仮に片方が最短経路だとしても別の経路を選択して、
 旅行時間はどちらも均等になるという第一原則を想定してシミュレーションすることが多い。

Q: 今回のマップでは、バイパス作ることでバイパス双方の交通流は確実に減ると思うが、
 実際に渋滞がどうかと考えるとその先で渋滞が発生してたりしないか。
A: 渋滞が解消されないだろうという想定で研究を進めている。
Q: 507号線は複雑すぎるので単純化したモデルではシミュレーション困難だと思う。

Q: スタート地点ゴール地点の有無に関する質問があったが、
 どこからスタートして、何割をどこに動かすかは大きく影響しそう。
 またどれぐらいがどのルートに配分するかも影響が大きそう。どうする?
 もしくはある調整しながら定性的な影響を調査する?
A: どこに流れていくかについては調査データから推測できると考えている。
Q: CAモデルでオリジナルのルールで動かすと思うが、どういうルールを採用する?
 2次元モデルに拡張する必要は無い?
A: 2次元でやる。
Q: その際に具体的なCAルールは?
A: 確率速度モデルを2次元にして利用する。


SPH法を用いた土中爆破による飛散軌跡の解析 具志堅和真(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: 不発弾だと腐食による影響があると思うが、
 シミュレーション上の影響は無視して構わない程度?
naltoma: 避難範囲という点では、最悪ケースを想定して設定しているように思うが、
 その最悪ケースを狭めるためにはどのぐらいの精度が求められる?
naltoma: 飛び散らないように壁を作るとあるが、それは妥当な設定?


Q: サマリア人の例を挙げてもらったが、爆発範囲を調べる事で避難範囲に繋げたい?
 そもそもその範囲から動けないという例なので、今回のアプローチで解決できそう?
A: この例では避難範囲自体が曖昧だった。
 より正確に狭めることができれば嬉しいという意味で紹介した。
Q: 範囲を正確に調べて解決する訳ではないように見えるが。
C: 沖縄の人にとって避難は日常的。ただこれは経験則で決められていて、
 科学的には決められていない。こういうのはいけないということで、
 どのぐらいの距離だとどのぐらい影響があるという根拠のある数字を出したい。
C: 本当は飛び散って、その被害を受けるということがあるからその被害の度合いを知りたいということ。

Q: このシステムを作ったとして、入力は火薬の量?
 SPH法は、結果が出るまでそうとう時間喰いそうだが、どのぐらいで結果を出せる?
A: 速さは研究に入れてなくて、次の発表者が予定している。

Q: パラメータとして3つを与えるようだが、土の質は難しいように思う。
A: 土の形、重さ、密度で表現する事を想定している。
Q: 実際に土を調べてからの入力?
A: まだ考えていないが、より忠実に表現するためには調査が必要だと思う。

Q: 土の中よりも空気中の方が爆破範囲が広そうだが、そこでシミュレーションする必要は無い?
A: テーマが土の中にある事を想定している。
Q: 土の中でそのまま爆発させる?
A: 不発弾処理フローを把握してない。


GP-GPUを用いたSPH法高速化の検討 宇江城貴仁(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: 多少の誤差に目をつむって高速化重視の手法? それとも純粋な高速化で結果は変わらない?


Q: 近傍探索で、一見すると近傍候補が増えてるようにも見えるが高速になる理由は?
A: 粒子がソートされているので、シーケンシャルに見ていくことができる。
Q: ソートし直す事が必要?
A: その通り。GP-GPUではソートも並列化する事が可能で、実験上は0.17s。
Q: 先行研究との比較の方が意味がありそうだが。
A: そこはまだ。ただし、ソートに要するコストが微小だという前提で。

Q: 減点を左下に取ってるが、別の位置に取る事が効率に影響する?
A: ソートするならx,y軸でも成り立つが、汎用性を考慮すると原点からの距離を採用。

Q: ソートするということは、メモリアクセスを効率化するためにはローカルメモリに
 配置する事が必要だと思うが、そこも効率化を考えている?
 それともソート化でそこが効率化される?
A: ソートする段階では基本的にはグローバルにあって、ソートする分だけをスレッドに投げている。
 各粒子について調べる段階でローカルに投げている。

Q: 先行研究のNNSではどういう距離を測っている?
A: 近傍粒子半径。注目ボクセルにある粒子は、その近傍ボクセルの近傍に入ることが自明。

Q: ボクセルの中に近い点を探している?
A: 影響を与える範囲がパラメータで決まっており、全探索をさせずに枝狩りするのが重要。
Q: 先行研究と提案手法では全く違うように見えるが。
A: 図が悪かったが、同じ。

Q: 近傍の候補範囲が広くなることで、粒子数が大量になった際にローカルメモリから溢れる事も
 考えられるが、そこは何か検討しているか。
A: 未検討。