Archive for the ‘イベントレポート’ Category

AO合格者事前ガイダンス1回目を終了

土曜日, 11月 3rd, 2012

中間予稿は名嘉村研4名をコメント。これで4研究室15名分。まだまだ先は長いな。

AO合格者向けの事前ガイダンス1回目が終わりました。事前ガイダンスと言いつつ数学スキルチェックをしてからガイダンスの意義を振り返るという流れ。

大学新入生のための微分積分入門」から例題を集めて作ったテスト(PDF)で分野的には幅広く「数と式の計算/関数とグラフ/三角関数/指数関数/対数関数/関数の極限/微分/積分」から出題。合計47問を1時間程度で解くのはちょっとキツいかなと思ってましたが、理解してる箇所についてはちゃっちゃと解けるようで40分あたりで鉛筆音がほぼ無くなったかな。

採点結果的には、今まで通りのペース(高校授業)だけで問題無さそうなのは2名。残りはこのままだと入学後に苦労するのが目に見えます。ということで、予定通り月一集合して進捗チェックだか何かしらテコ入れをする事に。毎回テストするのも面白くないので、テスト自体は2ヶ月に1回のペース(次のテストは1月と3月)にしておいて、その間の月は一人一人が先生役としてその場で問題の解き方を解説して貰おうかと画策。ペアプロみたいにペア作って互いに説明しながら解き合うみたいな方法もありかもしれない。

ガイダンスはこんな感じ(PDF)で「入学後の大学講義にスムーズに」するために「学習週間を定着」させようという話で、余力があるなら英語も毎日積み重ねよう。後は Mac OS X なPCを購入して欲しいのでという話ぐらい。

テスト&ガイダンス後はお茶会しながら互いに自己紹介したり、夢や興味のあることについて雑談タイム。あれこれ聞いてくるタイプと、質問に突っ込むタイプとやっぱりあれこれ違いますね。既に在学生のTwitterアカウントフォローしている人もいて、「夏休みに東京に行ってる人多いんですか?」とか聞かれました。「え、授業中にツイートして良いんですか!?」とか。やりたいことあるならそれに向けて突っ走ろう、と無理矢理まとめてみましたが。

一人欠席でしたが、たまたま同じ高校出身者がいたので資料渡すことを頼めました。後で電話確認はしてみますが、大丈夫でしょう。

月1ミーティグということで、次回は12/1(土)の予定です。

明日から4連休〜。水曜日は仕事が入ってるけど。

「うない研究者支援センター」主催のスキルアップセミナーに参加

金曜日, 11月 2nd, 2012

写真はゼミ後のお茶会でのケーキ。ベーカリーキャッスルの紅芋モンブラン(?)っぽいタルトでした。うまうま。

午前中は中間予稿読みで、和田研6人+吉田研2人へのコメントを終了。毎日6名前後ぐらいずつコメントして行けば来週中には終わるはず。といいつつここ最近休めてなかったので来週月曜から水曜まで休みを取っちゃいましたが。でも読みはするはず。というか休むのがヘタな方なのでちゃんと休まんとなー。そろそろ旅行にでも行きたい。

午後は「うない研究者支援センター」が主催するスキルアップセミナー「英語論文の書き方セミナー」に参加してきました。「うない研究者支援センター」は職員公募情報を見る限りでは「女性研究者の在職比率を上げるために、男女共同参画室に新規に設置」したセンターらしい。アンケートで「セミナーして欲しいもの」を尋ねていたのですが、何か予算が通って設置しているセンターらしいので、今ならリクエストしたら適う可能性高いかも。

対象が研究者&院生。試しに卒研生も可能か確認してみたんですが「最終的に空きがあればOK」とはなったものの、昨日の時点で席が埋まったとの連絡が届きました。ということで私を含めてNAL研院生が参加。一人は集中的にクイズを振られたのがある意味印象的。

内容は比較的一般的なものだとは思います。それだけにどういう点に意識してコメントするかという点で、参加して良かったです。講師曰く、「最も重要なのはOrganizationでそこについて編集手伝いをしたいのが本音だが、Nativeでは絶対にやらないケアレスミスが目についてそこに辿り着くまででお互い時間を浪費してしまう。有意義に時間を使うためにも最低限の過ちはしないようにしよう」という主張で、あれこれ話されてました。例えば以下のようなもの。一言要約するなら「Position has meaning.」です。試しに「ある論文でのケアレスミス」を数えてみたら、6〜7項目ぐらいでチェックした総数が650件だったらしい。そりゃ「まだ本題に入ってないのに、こんなことに時間費やしていたくない」よね。

  • 最優先項目はOrganization。そもそも全体の構成(特にTitle, Thesis Statement, Conclusion)の整合性が取れてないと読めない。論文はparagraphの塊。paragraphはsentenceの塊。それぞれ大切な情報を前方に書こう。Position has meaning.
  • 次に重要なのはStyle & Formatting。基本的には「指示通りにやる」だけなのでコスト自体は少ないが、そこのやり取りから相手にお願いすると互いに時間を浪費する事になる。一般的な掲載する雑誌毎の指定があるはずなのでそれに従おう。ただし、指定の有無とは無関係にEditor側でどのぐらい編集するかは雑誌毎に大きな差がある。論文毎の差異が大きい雑誌はそこへのコストをかけないというスタイルだが、逆に言えば全責任を著者が追う必要があるので注意。
  • Grammarはどちらかというと優先度は低い。100%正しいGrammerで書けてても「何を言ってるのか分からない = English is poor.」となる文章は、positioning and/or identification に問題がある。statement間にリンクを張り、重要語は見やすくpositioningしよう。

ちなみに「Nativeでは絶対にやらないケアレスミス」についてのクイズが8問用意されてたのですが、スペース区切りについてそこまで気にしてるんだというのは意外でした。

明日はAO合格者が来学予定〜。

琉球大学・沖縄高専第3回交流研究会を終えて

水曜日, 9月 19th, 2012

昨日のことになりますが、琉球大学・沖縄高専第3回交流研究会が終わりました。

今回は沖縄高専での実施ということもあり、多数の車で押し掛けてしまいましたが「学外での発表」を意識できる分、4年次の学生にとっても気が引き締まる思いで参加できたんじゃないかと思います。

当初は21名?ぐらいの発表が予定されていましたが、就職活動や体調不良が被って当日4人のキャンセル。その割には討論時間延長や、当日発表追加があって終わってみたら予定時間をやや過ぎるぐらいの時間まで討論が続きました。

他学科の先生も数名来られてて、特に午前のセッションでは画像処理/ロボットビジョン周りの専門家から有意義なコメントを。それ以外のセッションでも関連教員を含む多数参加者から様々な視点を通した討論が行われてました。卒研着手して半年が過ぎたタイミングですが、このぐらいの時期に「研究室外の目に晒して、コメント貰える」のはやっぱり良いですね。

次回は冬(年末年始頃)の実施を予定しています。

以下、発表時のメモ+質疑応答一覧です。
私の解釈違いやメモれなかった分もありますので注意ください。

関連リンク: [ 1回目 | 2回目 ]


<目次>


マリオAIを用いた学習アルゴリズムのパフォーマンスの比較 岩瀬翔(琉大工学部4年・遠藤研)

動機:様々な学習アルゴリズムのパフォーマンスの違いを知りたい

naltoma: 学習アルゴリズムのパフォーマンスを知りたいということだが、
 問題設定やアルゴリズムの実装方法等様々な要因が絡む。
 マリオAIでパフォーマンスを比較するのはどういう意図?
naltoma: マリオエージェントの動作を編集したら良いとのことだが、
 マリオエージェントへの入力(観測情報)は?
naltoma: 段階的に学習することで学習効率は改善する?
 学習効率と学習アルゴリズム毎のパフォーマンスはどう関係している?
naltoma: GPによる学習がうまくいってないとのことだが、評価関数は?


Q: GPを使った理由は?
A: 3年次の時に進化計算班でGAを使ったプロジェクトに携わった。そこでGPを触った事があるから。
Q: GPだと行き詰まっているとのことだが、GAを考えても難しそう? GAよりはGPがマリオ向き?
A: どちらでも実現可能だとは思う。学習するかどうかという点ではどちらも悪そうな印象。

Q: それぞれの学習アルゴリズムで最終的にゴールに到達するというのがいい結果になる?
A: はい。ゴールが最低条件で、そこから敵を倒したか、タイムはといった条件で評価が変化する。
Q: 最良なアルゴリズムはマリオAIに特化したものが選ばれそうだが、
 マリオAIだけでパフォーマンス比較できる? それが汎化に繋がる問題点?
A: マリオAIだけに特化すると確かに汎用的な比較は困難かもしれない。
 他のテストベッドも用意する事が必要かもしれない。

Q: 評価の尺度は、マリオの点数? コインを獲得?速度?
A: 総合評価。
Q: チューニングしたら金貨を沢山取れるとか、速度重視とかにチューニングできる?
A: どちらを重点的にチューニングするかは評価関数を変えるだけで対応できると思う。

C: 先週ファジィシステムシンポジウムがあって、マリオAIに関するコンペが日本で初めて開催された。
 そこでは距離だけでの評価だった。どこまで面をクリアして先に進めるかというテストベッド。
 元々はIEEEで開催されてたコンペで、ようやく日本での開催になった。
 何故マリオなのかについては、ゲームの分類でいうと「不完全情報ゲーム」と捉えているようだ。
 学習アルゴリズムを評価する上でのテストベッドとしての活用があるのでは。
 現時点ではA*ベースのアルゴリズム、探索アルゴリズムが最も良いらしい。

Q: 敵の出現状況は固定?
A: 固定。
Q: ということはある時刻にあるパターンを取るとやれば、目をつぶってても問題無いということ?
A: 恐らくその通り。
C: コンペではワンチャンス。見えない。そういう意味で不完全情報。
 積み重ねる事で全体が分かってしまうと完全情報だが、コンペではそうではない。
Q: コンペだと、毎回AIにプレイさせるステージは変わる?
C: レベル調整も含めて、トライする人に取ってはブラインドなステージ。
 アルゴリズムを提出して、コンペで用意されたステージで評価する。
Q: 恐らく固定だと、Q-learningでは最終的には最適解に落ち着く。
 比較するにしても、現状では目的が見えにくい。
 未学習のプレイヤを投入してどうですかではないと思うので、
 問題をどう捉えて、どう分かりたいのかが重要だと思う。
C: 日本に関して言うと、そこら辺クリアにしないと行けないねという話題が出ている状態。


Twitterのツイート解析による人物像の推定 長浜祐貴(琉大工学部4年・遠藤研)

naltoma: 人物像とは?
naltoma: 意図的に「ある種の人物像」と見えるように、見せかけるようにツイート
 することもありえそうだが、それはその人物像を推定できれば良い?
naltoma: 日本は英語圏と比較して「おはよう」等異常に広まっているようだが、
 日常生活に近しい情報が流れる事は何か影響する?
naltoma: 公認アカウントを対象として学習した分類器は、
 他の一般的なアカウントに対してどのぐらい有効に機能するだろうか?
naltoma: 形態素解析困難なケースはどう対応?
naltoma: 「東京ガールズコレクション」のタイミングで「東京(略)」
 も女性である可能性が高いという例は、本当?


Q: 形態素解析は日本語限定?
A: 日本語についてしか調べていない。英語は単語自体が最初から区切られているが、
 日本語では区切られていないため、形態素解析を利用している。

Q: 形態素解析されてるようだが、品詞は何を使っている?全部?
A: 今回は主に名詞。除外したのは助詞と1字、2字。3字以上を採用。
Q: 除外したのは、より特徴的な単語だけを使うため?
A: そのつもり。分類器構築を通しながらチューニングしていきたい。

Q: どんな人物なのかを見つける際に、データセットに合うような人物を見つける?
A: ツイッターのあるアカウントをこのシステムに入力すると、
 その人物像として最近の興味等を推定するような利用方法を想定。

Q: IKKOさんが除外されてたが、性別判定上はノイズになるから?
A: 明らかな女性言葉だが、そう判定しているのは人間。
Q: こういった人物も男性と判定したい?
A: 今回のシステムでは女性と判定されてしまうと思うが、
 システムの中でノイズだと考えたのはIKKOさんを女性と考えるのも女性。
 確実に女性か男性かというデータセットを与えたかったから除外。
Q: 男性と女性だけでもこれだけ考える余地があるが、
 明るい/暗いとかより踏み込んでいくとさらに複雑な検討が必要になる?
 教師データの構築自体がコスト高くなる?
A: 心理テストや性格判断を参考にできないか考えている。
 2値ではなくどのぐらい、どちらよりという表示をするだけでも有益かなと。

Q: 男女で比較して見るとちらほら同じ単語もあったように見える。
 そういうのは除外しては?
A: 除外していこうとは考えている。
 ただし、教師データとして両方に含まれる度合いが高いと、
 結果として有益な度合いが低いと判定されると考えている。


動画像解析を用いた既存道路の自転車走行補助マップの作成 山入端峻(琉大工学部4年・遠藤研)

naltoma: 「より自転車を利用しやすくするコンテンツを提供」することで、
 自転車へのモーダルシフトを起こせる?
naltoma: 自転車走行の安全度(危険度)をどう評価する?
naltoma: 諸外国に合わせて1.5m基準で路肩/路側帯のランク付けするようだが、道幅だけ?
naltoma: 路肩や路側帯の領域抽出、幅推定をするようだが、道理情報自体は公開されていない?
(時間は守りましょう:5分強オーバー)


Q: 道幅を測るとの事だが、衛星写真かなにかで測るという手法とかありそうだが、それとの差は?
A: 道路幅は刻々と変化している。厳密なデータが欲しいということで
 実際に撮影したデータから測りたかった。既存データを使っていくのも
 勿論一つのアプローチだとは思う。
Q: 道幅=安全性、安全性の一要因として道幅をあげているようだが、
 他には何を考えている?
A: 混雑具合も使っていきたい。動画像という点では障害物有無、路面のでこぼこ具合、
 等を考えている。
Q: 個人的に自転車使ってて感じる事だが、
 勾配のきつい道といったものが分かると嬉しそう。

Q: 安全性よりも効率の方が重要かなと思っている。どちらを優先するかを考える際には、
 どうしたら良い?
A: 効率を判定する際にはシミュレーションが必要だと思うが、
 安全性による判定をどうするか自体が一つの問題点。
 今回はモーダルシフトという点を重視している。

Q: 何故動画像を使っている? 道幅で安全性とのことだが、勾配/路面凹凸の方が重要では?
 また交通流を解析するから動画かと思ったが、そうではないらしい。
 ステレオである必要もありそうだし、どこに焦点を当てているのか。
A: ビジョンベースである必要はないかもしれないが、
 道路状態を考慮するためビジョンベースを想定している。
 交通流は時間帯によるバラツキがあるので、別調査データの利用を想定している。

Q: 目的がもし、自動車が多く、渋滞を緩和させるというためにモーダルシフトを考えていて、
 そのためのマップを提供するということが第一義だとすると、
 それで本当にモーダルシフトが起きるのかが問題。私ならそれでも車に乗る。
 マップ提供という政策だけでは難しいので、それに加えて何か別の事が必要ではないか。
 例えばシミュレーションしてみるとか。
 もしくは、自転車乗ってる人のことを考えて、より便利にするためのマップを提供するとか、
 少し目的や政策を考え直してはどうか。
A: 確かに現状ではマップだけでは不足感を感じている。今後検討したい。


エッジ方向を考慮した折り紙追跡プログラムの実装 伊佐元希(琉大修士2年・遠藤研)

naltoma: 他のエッジベースの追跡と比較してどういう違いがある?
naltoma: ARでの作業支援が向いている例は?
 作業支援自体にいろんなアプローチがあると思うが、ARとそれ以外とでの違いは?
naltoma: ARでの作業支援をするためのコンテンツ作成のためのフレームワークとしては何が必要?


Q: エッジ1本単位で追跡? 直線だけだとその直線のどこにあるか対応点になりうる。
 直線上の問題を抑えるために頂点が必要になりそうだが、
 現状方法では瞬間的な大きな動きだと追跡できなくなりそう。
 そういう追いかけ方をしないと、開口問題で追跡困難になりそう。
 なので、今後の問題を解決する必要がある。

Q: 最後の課題に3Dに対応とあるが、3Dに拡張した場合の問題点として
 例えばエッジが隠れるケースがありそうだが、具体的な案はある?
A: 3Dの場合は隠面処理を予定している。

Q: 見えてる線を隠面処理で消すのは簡単だが、見えていない線を推定する必要は無い?
A: 折り紙の例では推定しなくても大丈夫だと思う。

Q: ARの種類でいろいろ紹介されたが、エッジベースを選んだ理由は?
 また先ほどの質問に関連するが、折り紙デモでは回転だけだった。
 折っていく作業が入ると、紙の同系色で内側に折った時にエッジ検出できる?
 形状複雑になっても大丈夫?
A: 作業支援なので、センサを一つずつ付けるのは非現実的。
 マーカベースはマーカ変更の手間が入るため除外。
 特徴点ベースは折り紙のようなケースでは特徴量が取りづらいため、エッジベースを選択。
 折り紙の間のエッジについては、まだ未考慮。外枠だけの追跡を想定。
Q: どういうシステムを提供しているのかが見えない。
 イメージで良いが、どういう順番でどういうふうに折っていくのかがARで分かると嬉しい。
 手前に折る場合、奥に折る場合。
 ARで色を変えるとか、その画面を見る事で分かりやすくする工夫が必要では。
 折り紙で構わないが、将来像として何を描いているのか。
A: 重畳表示としてはそこまで詳しくは考えていないが、
 折り線を谷間表示できると嬉しいと考えていた。


対象物体のエッジ及び頂点情報を用いたカメラ位置姿勢推定手法の提案 徳盛太一朗(琉大修士2年・遠藤研)

naltoma: 2Dエッジ距離(隣接)を利用する事で尤度上昇させているが、
 複雑な形状、特に3D形状でもうまく機能する?
naltoma: 作業支援という点では、作業途中毎に初期位置登録をしておく必要がある?


Q: 同一平面上での実験のみだが、奥行き方向に変わる場合でも可能?
 今はマーカで2自由度は与えているようだが、それが与えられない場合には?
 どういった状況で何を狙っているのかを明確にしよう。
 キャリブレーション情報しか使えないのか、そうでもないのか。
A: 現状では平面でしか動かしていないが、持ち上げるだけなら追跡可能。
 マーカからxy軸の回転を取ってきているので、その回転範囲内である必要がある。
Q: センサ使ってもマーカ使っても難しいと思うが、
 モデルベースでビジョンベースなので、センサもマーカも使わない方向で頑張って欲しい。
A: 現状いろんなデバイスにセンサついているのでセンサ利用は構わないようにも思う。
Q: それなら3次元のモーションも全て取れば良くて、
 それだと研究の意義自体が問題にならないか。

Q: 作業支援という点で、折り紙という形があるならそれがそれがマーカになればと思うがそれは無理?
A: 現状では折り紙モデルを用意して、エッジ情報を検出計算している。
Q: センサ無しでカメラだけでやれない?
 あと、追跡する事の意義と、私だったら「ここに合わせろ」と出して手で動かす方が
 早そうにも思う。本当に追跡が必要?
A: 折り紙だと合わせさせるのも良いかもしれないが、
 積み木の例では動かした時に矢印が動かす前後に繋がっている事が重要だと考えた。


合議アルゴリズムにおける適切なプレーヤ重み変更方法の検討 當間啓介(琉大修士1年・遠藤研)

naltoma: 「局面に応じてプレーヤ重みを可変にする」ために、
 局面に対するプレーヤの直接的な良し悪しを判断基準にすることは困難?
naltoma: 採用実績はあくまでも採用実績で、局面評価値も評価値にすぎないが、
 その結果勝敗がどうだったかが大切では?
naltoma: 乱数により局面評価値が異なるような実装になっているが、
 そのようなプレーヤ集団と、そうではないプレーヤ集団とで適切な合議方法は異なるのだろうか?
 逆に言うと、汎用的に機能する最適な合議方法はあるのだろうか?
naltoma: 互いにゲームする事で勝敗を見ているが、
 特定の相手に対して勝てる合議を選択している結果になってたりしないか?


Q: ボナンザ5台用意しているようだが、評価値が異なるのは疑似乱数に偏りを与えている?
 乱数の与え方自体に偏りを持たせている?
A: 乱数のシード値を変えてプレーヤを生成している。

Q: そもそも論として、合議はどういった場合に使うべき?
A: 合議する事によって明らかに間違えた手を出しにくくするという効果は確認されている。
 誰でも思いつかなかった手を探索するという手法ではなく、ミスを減らす。
Q: より精度の高い手を出す場合には、もっとリソースを用意する必要がある?
A: その通り。

Q: 低成績を排除していくという話だったが、それを学習していくと最終的には決まった
 プレーヤだけが選択されて、ある一定以上の勝率で頭打ちになりそうだが、
 そういう理解で良いか。
A: 評価をリセットするという処理がないため、終盤になると固定プレーヤに偏ってしまう
 という問題がある。何らかのリセット方法を検討中。

Q: アルゴリズムとしてはボナンザ評価して合議でどれを選びやすいかを過去の意見採用実績で
 選びやすくしているということ? 合議でどの意見を採用するかを決めるため、
 過去の採用実績を加味しているようだが、採用されてその手が良かったかどうかは入っていない?
A: 評価値ベースで並び替えての検証はやってみている。
Q: ほぼこれとモデル的に近いものが98年ぐらいにあって、
 将棋とか合議とか無関係の所で発表されていた。
 マイノリティゲームで最初に提案されたアルゴリズム。
 各プレーヤが複数テーブルを持ち、どのテーブルを採用するか。
 点数が取れたか否かで仮想的な点数を戦略テーブルに与える。
 その点数の高低を見て、GAでのルーレット選択みたいな形で点数に応じて確率的に採用する。
 合議アルゴリズムに重みを付けてという部分がオリジナリティだとすると、
 そのマイノリティゲームで採用してたアルゴリズムも対比させてみた方が良さそう。

Q: 折角将棋なので、戦局に合わせて、例えば攻め時とかそういうのも考慮して
 手を選べると面白そう。


佐藤研4名(本科5年生3名、専攻科2年生1名)
タイトル等調整中


生殖方法の違いによる移動戦略の創発への影響 比嘉康晴(沖縄高専本科5年・佐藤研)

生物の生存戦略
 追跡ゲーム:追跡戦略/逃走戦略の創発検証
  従来:無性生殖。有性生殖は扱っていない。度外視しても問題無い?
  ヴェーレンの仮説:対立する種の変異に対抗するためには、多様性が獲得できる有性生殖が有利。

naltoma: ヴェーレンの仮説に沿うと、例えば多様性が獲得できるモデルになっていれば、
 有性無性は関係ないとも解釈できる?
 逆に言うと多様性を獲得できるためには、有性無性や他に何があれば良い?
naltoma: 生殖方法の違いというか遺伝子操作に交叉を導入したという話に見えるが、
 他に「多様性」を得る手段は無いのか?
naltoma: 共進化を考えると(例えばジャンケンのような)ループに陥る事も考えれるが、
 それは問題にならない?


Q: ヴェーレン仮説について、無性生殖の場合には変異体は産まれない?
A: 産まれるが、とても確率が低い。産まれたとしても同じような形質を持つ個体が多い。
 一方の個体が全滅するような場合には、別の個体も全滅しやすい。

Q: 進化や創発について、羊/オオカミ両方の進化を見たい? 評価方法は?
A: 2次元座標空間で、羊は逃げるターンが多いほど得点を得る。オオカミは捕食できるほど得点を得る。

Q: 今回の解析をする事で、どういうことに役立てられる?
A: 具体的に役立つという事は考えていないが、明らかにする事が目的。
 有性無性どちらが良いかという研究はあまりされていない。
 共進化で考えるとどちらも進化するので、多様性獲得する方が有利だと考えられる。
Q: 戦略は何を目的として戦略と考えている? 何かしたいからこういう戦略が産まれてくる?
 ここでいう戦略とは何?
A: 追跡ゲームにおける双方での得点を上げるための戦略。
Q: その現実への応用は? 追跡ゲーム自体が何のシミュレーションに相当する?
A: どのように進化していくかを見るためのシミュレーション。
 有性生殖が有利ということを見たいという訳ではなく、違いを見たい。

Q: 生殖方法の違いがエージェントにどういう影響を及ぼすかを見たいということだが、
 実際どうなると想定している?
A: 冬にはお見せできるかと。

C: 2種いるから追いかける側と追いかけられる側がいて、
 片方が進化するだけだと無性生殖の方が速く何かしらの構造を獲得しそう。
 お互いに進化すると、相手の裏をかくとかトリッキーな行動をするとか、
 相手に読まれない動きを獲得しないと相手に勝てないという構造になっていると
 想像するので、そういうことを考えると有性生殖の方が有利になっていくだろうなと想像はしている。


囚人のジレンマゲームにおけるプレーヤの戦略と移動の相互作用 和宇慶朝亮(沖縄高専本科5年・佐藤研)

社会関係を良好に保つにはどのようにすれば良いか?
 囚人のジレンマ:渡辺の移動モデル→凝集性の高い小集団で相互協力達成
 移動そのものの意味を考えている事例はない
  移動が戦略に与える影響
  戦略変化が移動の仕方に与える影響

naltoma: 移動を導入したモデルでは、対戦相手をユニークに識別できる?
naltoma: 最高評価を与えるマスと最低評価を与えるマスとで移動の仕方の違いを見たいようだが、
 その違いを見る事で「移動が戦略に与える影響」や「戦略変化が移動の仕方に与える影響」
 をどう見ることができる?
naltoma: 詐欺みたいな例を想像してしまうが、
 ある一定期間毎に小集団を転々と移り変わりながら騙して稼ぐような場合と、
 そうではない一般的な場合との移動には意味合いが異なりそうだが、
 そういう違いを見たい?
naltoma: 常にあるエリア内で相互作用をするという条件自体が、
 移動の意味や移動戦略に制限を与えていないか?


Q: 先行研究ではどこまでやっている?
A: 移動を入れることで小集団ができ、TFT戦略になったという結果までは出ている。
 ただし、どういう移動をしたかという話は出ていない。
Q: 移動に対して何かしら傾向が見つかったら、何かしら意味を見出せる?
A: 移動に特徴がある場合とそうでない場合とで異なる結果が出るかもしれない。

Q: どういう移動経路をとって、その移動に対して意味を考える?
 得たい結果は、移動に意味を持たせたい?
A: 移動で戦略が変わり、戦略が変わる事で移動が変わるその相互作用を明らかにしたい。
Q: あるプレーヤにワザと移動させたらその影響がどうなるかを解析できる?
A: 想定していなかったが、できるようになると思う。

Q: 学習する事で移動しやすいエージェント、移動しにくいエージェントが発生する?
A: 移動しやすい/しにくいは戦略テーブルにより異なる。
 テーブルの設定方法に依存するが、双方の個体が出てくる事は考えられる。
Q: 移動する事のリスクは考慮している?
A: これから。

Q: どうやって分析する予定? 傾向見るとかも対象データが膨大になりそうだが。
A: まだ分析方法は考えていない。


Episode-based Profit Sharingの柔軟性及び最適性の検証 慶留間諒大(琉大工学部4年・當間研)

naltoma: POMDP環境下でマップを作成することはできないのか?(高コスト?)


Q: 比較が研究目的になる?
A: 最終的なゴールは見えていないが、
 EPS-RLが限定的な環境でのみ試行されているので、
 より複雑な環境でどう動くかを取りあえず見てみたい。
Q: 方向性としてはさらに改善したアルゴリズムに結びつけたい?
A: 現時点ではまだ未検討。

Q: 順序が固定されてない環境というのは、マップが変わるという事?
A: 先行研究での話になるが、状態s1,s2を通ってs8,s7、、、というように固定されている。
 ここが固定されているから順番で分離するとうまくいったという話にしか見えないので、
 そこを固定されてない環境で検証したい。
Q: 順序が固定されていない環境というのは具体的にどういう環境?
C: 一番最初に提示されたマップがその例になっていない? ルートが複数ある場合。

Q: 先行研究での観測o1,o2、、を与えるというのは、
 そういう環境があると分かった後で人間が手動で与える?
A: 論文には具体的な記述が無かった。

Q: 普通のPSとEPSだと具体的にどこがどう違う?
A: PSだと、スタートからゴールまで全て記憶して累積評価する。
 EPSだと、同じ状態と行動が複数回選ばれても1回しか評価しない。
Q: エピソードはスタートからゴールまでに辿り着くのをエピソードと数えている?
A: その通り。
Q: それだと違いが出て来るかよくわからない。
 もっと拡張したQ学習や、リカレントQ学習とか、
 いくつも時系列を扱えるQ学習が提案されているが、
 何か手をつけてみてエピソードの方が良いと比較をする予定はある?
A: 今の所は考えていなかったが、やってみたい。


勉強SNSに特化した情報推薦 玉城翔(琉大工学部4年・當間研)

naltoma: SNS上にあるデータが「その参考書の位置付けを適切に評価するための
 データになっている」とは限らないが、データの信頼性はどのぐらいあるのか?
naltoma:
(黒背景に黒矢印はやめよう)


Q: 勉強は、受験みたいなものを想定している?
A: 最終的にはどんなジャンルにも対応できると嬉しいと考えている。
 資格試験や、高校での定期テストとかも。
Q: 勉強には2種類あって、歴史が好きだからあれこれ時間を好きに使って勉強したいというのと、
 受験のような限られた時間で最大パフォーマンスを出す事を求められるものに分けられないか。
 例えば受験ならベネッセとかあれこれやっている。
 そういうのも参考にしてはどうか。
A: ありがとうございます。

Q: アプローチで、ユーザ毎に参考書の使い方を示すとあったが、ユーザのマッチングは
 協調フィルタリングと同じようにやる?
A: まだ未検討だが、現時点ではそうなのかなぐらいの認識。
 何かあれば教えて欲しい。

Q: SNS上でサービスとして作る?アプリを作る? データはどこから引っ張ってくる?
 studyplusから引っ張ってくることはできない? FBアプリのように作れる?
A: FBのようにはいかない。

Q: studyplusからデータを引っ張って来るという話だが、studyplus以外のサイトからの情報収集も
 検討している?
A: 現時点ではどのぐらい引っ張って来れるかも分かっていないが、
 他のサイトからも引っ張ってくる方が比較の観点では良さそうに感じている。
Q: 情報を使って良いか駄目か、著作権的な観点については検討しているか。
A: APIのようには提供していないので、まだ未検討。

Q: 現実味が無いように感じる。
 何かしらの、例えばAPI提供されているとか、どういう情報取得できるとか、
 studypulusという外部サイトに対して何かしらプラグイン提供できるとか。
 もう既にstudyplus側で何かしら提供していることを前提にしているなら分かるが、
 そうでないようなら早急に調べるべき。
 また、ユーザ毎に参考書の使い方が代わり、着目点も千差万別だとすると、
 どういう基準で推薦したら良いかが分からない。どう考えているのか。
 類語でみたい、用例で見たいとか軸の決め方とかも自由度が高そうだし、どうやって決めるのか。
 ユーザのニーズに合わせて軸を決めるなら、どういう基準で決めるのか。


マーカレス型ビジョンベースARにおける初期位置姿勢推定に関する基礎研究 潮平寛弥(琉大工学部4年・赤嶺研)

naltoma: 想定している用途にはどのぐらいのスペックが要求されるのか。
naltoma: 実験結果の見方が良く分からないが、
 キーフレームx枚とy割程度というのはどういう意味?
naltoma: 平均6割とのことだが、どのステップがネック?
 別ステップの結果を参照する事で調整することはできない?


Q: 処理にかかった時間は計測している?
A: キーフレームの選抜までにかかった具体的な時間は計測していないが、
 30ほどある状態で5秒かからない程度。
Q: 何秒ぐらいに抑えるのが目標?
A: うん秒かからない程度。

Q: 実験結果で述べた「良い結果」とは何をどう良いと評価した?
A: 一つのシーンに対して、同じ作成日に作った5枚と別の日に作成した5枚を用意し、
 それぞれからキーフレームを作成してどのぐらい推定できたか。
Q: ちゃんと初期位置推定できた画像がどのぐらいの割合か、ということ?
A: その通り。

Q: 環境変化への対応は大切だと思うが、どういう変化を想定している?
 もしくはどういう変化へのロバストさを追求したい?
A: 例えばシーンモデルを作成する際に、動画のぶれがキーフレーム作成や選出に
 与える影響があると考えており、そこを踏まえた実験を想定。
Q: 環境変化に対してロバストだと言える明快な基準が無さそうだが、どうしたら良さそう?
A: 実験が必要。

Q: カメラの初期位置推定は、今カメラがどこにあり、どこを向いているかの基準点として必要?
 内蔵されているGPSやジャイロ等を使わないのはそれらが使えない状況を想定しているから?
A: センサは用いずに、カメラ画像だけを利用することを想定しているから。
Q: 2値化するとかフィルタリングするとか複数手法を組み合わせるとかは考慮している?
A: できるとうれしい。

Q: 屋外で使うことを想定されているとようなので、
 ロバストで考えると朝夕の違い等でもある程度の変化には対応できることが欲しいと思う。
 こういう話はロボットビジョンでは凄く沢山ありそう。カメラ画像解析して障害物避けたりとか。
A: そのあたりはまだ見ていない。
Q: 定量的に評価できない? 数値的にどれぐらいマッチできたかを目視するのではなく。
 目で見た評価で問題無い?
A: どうにかしないといけない部分ではある。
Q: どのぐらいの精度が求められるかにもよるが、定量的な評価が重要だと思う。


屋外での使用を考慮した特徴点型マーカレスARにおけるトラッキング手法の提案 神山朗(琉大修士2年・赤嶺研)

naltoma: 日照変化に強い特徴量とのことだが具体的に何を使っている?
naltoma: 局所特徴量のため同一3次元点に対して異なる特徴量になるのが問題との事だが、
 事前に撮影してデータ構築するのであればそこで「オブジェクト」として特徴点集合として
 のマッチングを考慮することはできない?


Q: 複数カメラで作成された特徴点のマッチングはどうやる? シーンモデル作成時。
A: 3次元点位置は既に復元して持っている。どこにあるかは分かっている前提で、
 特徴量を算出している。

Q: 特徴量の辞書は複数カメラで構築しているようだが、
 1点あたりどれぐらい取れば十分?
A: これから実験で決めていく必要がある。
 現状では、AとBというカメラ位置で30度以上誤差があると特徴量が変わってくる。
 その事を考えると180度では6つ程度必要。
 シーンによっても変わるが、特徴量が変化しないこともあるため、
 決まった閾値を設けない方向で検討。


中規模ミクロ道路交通シミュレーションにおける旅行時間の再現性向上に関する研究 與那嶺貴雄(琉大工学部4年・赤嶺研)

naltoma: 「自由流最高速度を下げることで調整する」はかなり恣意的なチューニングに見えるが、
 今回参照していない部分で相関が落ちてることは考えられないか?


Q: 自由流最高を0.55倍するというのは、実際にドライバーが60km/hを30km/hで走るという事?
 主観的にはおかしいように感じる。交差点モデルが影響している?
A: 交差点モデルが影響していると思います。
Q: どうチェックする? チェック自体は可能?
A: 交差点モデルを追加してチェックする形になるかもしれない。

Q: ミクロモデルの動きをマルチエージェントでシミュレーションしているようだが、
 自由流最高速度を0.55倍するというのは、高速道路のネックを再現していることに相当するようにも見える。
 そこを今後調整していく?
A: その方向で検討している。

Q: シミュレータの使い方にもよると思うが、何を測るために現況再現性が不十分?
 どのぐらい精度が出たら十分? 不十分なのはどこ?
 速度パラメータを半分に調整するという話は現実的にはおかしいという話だったが、
 信号モデルで帳尻合うだけでパラメータとしては機能しているならそれでも良いという考え方もあり得る。
 何をどう測りたいのか。取捨選択すべきは何か。
 どこまでも現実に近づけるというのが第一義ではないよね。
 何かしら指針はある?
A: 現時点ではない。
C: シミュレータを使って何を主張したいかに依存する。
 具体的にこれ以上であれば良いというのは難しい。
 現状では混雑時と非混雑時の相関の差が大きすぎるのでそこを埋めたい。

Q: 最終的な目標、目的、これを使って何を目指しているのかが分からない。
 実データがあって、シミュレーションして再現性高めたい。
 高いモデルになったとして、どうしたい? それで終わり?
 再現性高い状態で何かしたい目的がある?
A: バス路線を変えてみたりして、より良いルート探索等に繋がると嬉しい。
Q: そこを考えてるなら良い。
 短期中期的なシミュレーションをすることで、
 ベースラインがあることで基準として使うという事なら良いと思う。
 具体的に何をやる?
A: デマンドバス。


玉城研5名(本科5年生4名、専攻科1年生1名)


デマンドバス運用における乗車時刻指定を除いた予約の影響分析 上地遥(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: 先行研究の大和らのスケジューリングでは、
 スケジュール候補作成時に可能/不可能かを検査しているようだが、
 具体的に何をチェックしている?
naltoma: 乗車時刻指定を除いた予約の影響を分析する事で、何を検証したい?
naltoma: 赤字路線にはどのぐらいの改善余地がありそう?


Q: 実乗車時間も重要だと思うが、そこは考慮している?
A: スケジューリングのみ。
Q: 乗客はその時間範囲内であればどこでも構わないと考える?
 なるべく移動時間を減らしたいはずだが。
C: 乗車時間が指定されていないから、数時間とかなっても問題無いように見える。
 制限時間としてのパラメータを入れる必要が無いか。

Q: シミュレーションを使った実験をする? どういう形で実験する?
A: エージェントを動かしたりはせず、
 スケジューリングが実施された際の乗車率、利用率を見てみたい。

Q: リアルタイム予約とのことだが、どういったタイミングで経路割り込みが入る?
 運転手に運転経路等の情報が通知されるタイミングや、更新されるタイミングは?
 走ってる間に経路が変わったら危ないし。
A: バス停や、赤信号時、信号500m手前等の条件がある。

Q: 運行経路計算時には距離のみ考慮?
A: 未検討。


津嘉山バイパスによる渋滞緩和効果の検証 金城匡(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: CAで「市街地の複雑な道路形状を再現」するようだが、
 目的達成のためにはどのぐらいの複雑さを再現する事が必要?
naltoma: 複数経路がある状態で経路選択はどうやって決定する?
naltoma: 現在整備中の道路については既にシミュレーションが行われていそうだが、
 そこでのシミュレーション方法や結果は参照できない?
naltoma: バイパス無し時の片側2車線というのは可能な想定?


Q: 1セルは車1台?
A: その通り。
Q: 車にも様々な形状があって、渋滞のし難さも影響していそうだが、車種の違いは考慮できる?
A: 今回は重要だと考えていないため、考慮していない。

Q: 全ての車に対して、スタート地とゴール地を決める?
A: スタート/ゴール地点を決めて、シミュレーションする事で渋滞有無等を見る。

Q: 実測するという話があったように思うが、他の調査データを参照? 実際に実測?
A: 現在分かってる情報に加えて実測もできればやりたい。

Q: バイパス効果を調べる場合は経路配分も必要だと思うが、何を考えている?
 新しい経路が増えた時にどのぐらいの人がその経路を使うか。
A: 現時点での計画の予想。また、スーパーの需要も検討。
Q: 経路が二つある場合、仮に片方が最短経路だとしても別の経路を選択して、
 旅行時間はどちらも均等になるという第一原則を想定してシミュレーションすることが多い。

Q: 今回のマップでは、バイパス作ることでバイパス双方の交通流は確実に減ると思うが、
 実際に渋滞がどうかと考えるとその先で渋滞が発生してたりしないか。
A: 渋滞が解消されないだろうという想定で研究を進めている。
Q: 507号線は複雑すぎるので単純化したモデルではシミュレーション困難だと思う。

Q: スタート地点ゴール地点の有無に関する質問があったが、
 どこからスタートして、何割をどこに動かすかは大きく影響しそう。
 またどれぐらいがどのルートに配分するかも影響が大きそう。どうする?
 もしくはある調整しながら定性的な影響を調査する?
A: どこに流れていくかについては調査データから推測できると考えている。
Q: CAモデルでオリジナルのルールで動かすと思うが、どういうルールを採用する?
 2次元モデルに拡張する必要は無い?
A: 2次元でやる。
Q: その際に具体的なCAルールは?
A: 確率速度モデルを2次元にして利用する。


SPH法を用いた土中爆破による飛散軌跡の解析 具志堅和真(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: 不発弾だと腐食による影響があると思うが、
 シミュレーション上の影響は無視して構わない程度?
naltoma: 避難範囲という点では、最悪ケースを想定して設定しているように思うが、
 その最悪ケースを狭めるためにはどのぐらいの精度が求められる?
naltoma: 飛び散らないように壁を作るとあるが、それは妥当な設定?


Q: サマリア人の例を挙げてもらったが、爆発範囲を調べる事で避難範囲に繋げたい?
 そもそもその範囲から動けないという例なので、今回のアプローチで解決できそう?
A: この例では避難範囲自体が曖昧だった。
 より正確に狭めることができれば嬉しいという意味で紹介した。
Q: 範囲を正確に調べて解決する訳ではないように見えるが。
C: 沖縄の人にとって避難は日常的。ただこれは経験則で決められていて、
 科学的には決められていない。こういうのはいけないということで、
 どのぐらいの距離だとどのぐらい影響があるという根拠のある数字を出したい。
C: 本当は飛び散って、その被害を受けるということがあるからその被害の度合いを知りたいということ。

Q: このシステムを作ったとして、入力は火薬の量?
 SPH法は、結果が出るまでそうとう時間喰いそうだが、どのぐらいで結果を出せる?
A: 速さは研究に入れてなくて、次の発表者が予定している。

Q: パラメータとして3つを与えるようだが、土の質は難しいように思う。
A: 土の形、重さ、密度で表現する事を想定している。
Q: 実際に土を調べてからの入力?
A: まだ考えていないが、より忠実に表現するためには調査が必要だと思う。

Q: 土の中よりも空気中の方が爆破範囲が広そうだが、そこでシミュレーションする必要は無い?
A: テーマが土の中にある事を想定している。
Q: 土の中でそのまま爆発させる?
A: 不発弾処理フローを把握してない。


GP-GPUを用いたSPH法高速化の検討 宇江城貴仁(沖縄高専本科5年・玉城研)

naltoma: 多少の誤差に目をつむって高速化重視の手法? それとも純粋な高速化で結果は変わらない?


Q: 近傍探索で、一見すると近傍候補が増えてるようにも見えるが高速になる理由は?
A: 粒子がソートされているので、シーケンシャルに見ていくことができる。
Q: ソートし直す事が必要?
A: その通り。GP-GPUではソートも並列化する事が可能で、実験上は0.17s。
Q: 先行研究との比較の方が意味がありそうだが。
A: そこはまだ。ただし、ソートに要するコストが微小だという前提で。

Q: 減点を左下に取ってるが、別の位置に取る事が効率に影響する?
A: ソートするならx,y軸でも成り立つが、汎用性を考慮すると原点からの距離を採用。

Q: ソートするということは、メモリアクセスを効率化するためにはローカルメモリに
 配置する事が必要だと思うが、そこも効率化を考えている?
 それともソート化でそこが効率化される?
A: ソートする段階では基本的にはグローバルにあって、ソートする分だけをスレッドに投げている。
 各粒子について調べる段階でローカルに投げている。

Q: 先行研究のNNSではどういう距離を測っている?
A: 近傍粒子半径。注目ボクセルにある粒子は、その近傍ボクセルの近傍に入ることが自明。

Q: ボクセルの中に近い点を探している?
A: 影響を与える範囲がパラメータで決まっており、全探索をさせずに枝狩りするのが重要。
Q: 先行研究と提案手法では全く違うように見えるが。
A: 図が悪かったが、同じ。

Q: 近傍の候補範囲が広くなることで、粒子数が大量になった際にローカルメモリから溢れる事も
 考えられるが、そこは何か検討しているか。
A: 未検討。

日本認知言語学会 第13回全国大会 を振り返る #JCLA

木曜日, 9月 13th, 2012

日本認知言語学会 第13回全国大会が終了して数日過ぎました。

記録のため、見つかる範囲で関連ブログ記事を整理すると以下のようになります。

@naltoma: レポート: [ セミナー | 1日目(ワークショップを含む) | 2日目(シンポジウム含む) ]

以上。
Web上で何らかの全校大会に絡んだ交流跡がないかなと「JCLA、認知言語」で検索してみたのですが、書籍展示してた人のツイートや、Artaという言語を調査しているらしいドクターさん英語構文研究している院生ぐらいで、他は見つからず。他は自分のツイート(その1その2その3)が少しfavoriate, RTされたり、たまにJCLAでツイートが拾えるぐらいかな。ということで私の観測範囲とは接点が少ない学会だったらしい。それを踏まえると、取りあえず突撃してくるというアプローチは正しかったな。

當間レポートでは、ワークショップとシンポジウムについては割と細かいメモを取ってますが、一般セッションについては基本的に質疑応答を中心とした備忘録がメインでした。この記事では、「聴講した発表」を話の種に個人的に感じた感想や考え等についてつらつらと書いてみます。

ちなみに、今年に入ってからの学会参加振り返り記事はこれが3回目。1回目が情報処理学会第74回全国大会(IPSJ74)で、2回目が自然言語処理学会第18回年次大会(NLP2012)です。ここ数年の主な疑問、例えば「言葉自体の意味に個体差を気にせず利用できるのは何故か。どうして言葉等を通してコミュニケーションできるのか。身体以外に何があれば言語を獲得できるのか」等についていろんな立場からの事例や主張を聞けてとても楽しいです。


<目次>
コーパスから事例抽出して認知的側面から{仮説を導く|仮説の妥当さを補強する}
 いわゆる一般的な科学的アプローチ(事例を積み上げて仮説を補強しながら検証する)を忠実に守って取り組んでるような発表が多かったように思います。ただし、予稿や発表では意図的に省略しているのかまだ途中段階だからなのかは分からないのですが、「多くても事例数が数十」止まりで、少ないケースでは10に満たないものばかり。
 せめて「このケースに合致するのはコーパス上x%程度」とか割合も示して欲しい気がするんですが、(一般発表で)私が見た範囲ではそこまでやってる人はいませんでした。一人は質疑応答時に答えてる人がいたので、査読付き論文用に意図的に小出しにして様子見しているのかなと想像しますが。
 あと、仮説に関与している事例をコーパスから探す方法については誰も話していなかったのですが、簡易的なテキストマッチングぐらいで基本的には手動だったりするんだろうか。

仮説に合致しない事例は反例か例外扱いで済ます? もしくは仮説自体に制約を設ける?
 事例を積み重ねて仮説を補強するという話ではどうしても「合致しない事例が出てきたとき」の対応が気になります。聞いた発表の中では「探してきた事例に対しては十分説明できるように仮説を修正する」人もいましたし、「全事例の中では存在割合が少ないレアケースなので例外扱い」で済ましてる人もいました。いろいろ対応は考えられると思いますが、基本はその先に見据えているゴールとの整合性から妥当な方を選択するしかないのかな。

カテゴリー化とプロトタイプ理論の違い
 現地で聞いてる時点では、カテゴリーとプロトタイプというのが対比される形で使われているというよりは、カテゴリーの一種でデフォルトが決まっているのがプロトタイプという感じで聞き取っていました。
 カテゴリー化プロトタイプ理論を参照する限りでは後者は「典型事例とそれとの類似性によって特徴づけられるという考え方」らしいので、それほど間違った解釈ではないようなのですが、どちらかというとその後に補足されてる「境界は明確でなく、それぞれ典型的なメンバーと、非典型的・周辺的なメンバーをもつと考える」という点が重要っぽい。言い換えると、「未知の状況に遭遇した場合、典型的なメンバーとして考える傾向が強い」ということ。

[認知科学からの視点] 連続的に推移する世界はことばによって離散的に分節され、カテゴリーを発見・想像・修正を繰り返すことで多層的かつ重層的に捉える
 シンポジウムで認知科学専門の今井先生が話されてた内容を一文にまとめると、上記のようになると感じました。認知科学寄りの知識が不足し過ぎているので、暫く今井先生関連本とか漁ってみよう。
 上記のまとめで気になるのは、結局の所「ことば」を使って考えを表現したり、コミュニケーションしたりしている訳ですが、恐らく「ことば」を単体で考えてもうまくいかなさそうだという点。ヒトの「ことば」が「ヒトによる分節」という意思・意図を含んだものである以上、独立したものではありえない。そこにどう取り組むかという一つのソリューションが「場の言語学」ではあるんでしょうけど。

[認知神経学からの視点] 視覚情報では認知できなくとも非視覚情報では認知できたりすることから、入力モダリティ毎に意味システムを構築していると考えざるを得ない
 シンポジウムで医学・認知神経学専門の大槻先生が話されてた内容をまとめると上記のようになるのかな、と。例えば意味野の機能障害といってもいろんなレベルの障害があって、意味野にアクセスができない状態だと「たまにアクセスできることがある」状態では普段通りに振る舞えるが、「機能的な障害」だと例えば「りんご」があたかも存在しないように「意味」が喪失するらしい。
 変わった所だと「自宅にあるテーブルはテーブル」と認識できるけど、新しく見るテーブルはそう認識できないとか。これはプロトタイプ理論的には「デフォルトに相当する抽象化された概念はあるけど、そこからの派生を探そうとする」ところに障害がある状態なのかな。複数の入力情報から意味野への接続自体が多層的かつ重層的になっているので、どのリンクにどういう障害が起きるかによって症状が分かれるということではあるけど、一方でフェイル・セーフフォールト・トレランス等の柔軟な構成になっている側面もあって観察するだけでも大変。生きてるシステム(動的なシステム)だから尚更観察困難だとは思うけど、一方で、認知を身体活動を伴った環境との相互作用の枠組みで捉えないと解釈困難という点では認知言語学でも対象は同じ生きてるシステムな訳で、どちらも複雑系科学的な意味での「システムを構成する各要素が系全体としての挙動にどう関係しているか」を観察していく必要がある訳だ。

[場の言語学からの視点] 身体を通した自己の二重性と即興劇モデルに基づく共存在の深化(身体と身体、身体と環境との相互作用)が主体的な意識を形成し、コミュニケーションが産まれて言語へと発達した
 ワークショップで場の理論と認知言語学を統合しようとしてる先生らの内容をまとめると、上記のようになると感じました。自己組織化とか複雑系科学寄りの話は選書でも紹介した井庭先生の「複雑系入門―知のフロンティアへの冒険」を、言語未発達時に他者の行為を見ただけで理解するための説明としてでてきたミラーニューロンについては同じく選書した「ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学」を勧めるとして、場の理論/自己の卵モデル/即興劇モデルについては清水先生の「場の思想」を参照すると良いらしい。やや古めの書籍が多いけど清水先生関連本も漁ってみよう。
 キーワードがあれこれ出ていますが、工学的には「ミラーニューロンを有する身体」を用意して、「人間に限りなく近いインタフェース」を持たせて人間を含む実環境で相互作用できるようにしてやれば、「主体的な意識」を形成して、「言語」を体系化していくのだろうか。ちなみに個人的には「身体」は仮想的なものでも大丈夫だというスタンスなんですが、少なくとも「自己の二重性(卵モデル)」を有する必要はありそう。
 この「場の言語学」の話を、個人的にはここ数年興味を持ってるキーワードが組み合わさっていくストーリーとして聞くことができてとても楽しかったのですが、一部はまだ納得いってません。これは私の勉強不足が大きな理由かもしれないけども。

[対話言語学] 音声言語に限らず手話にもプロソディがあり、プロソディの有無で内容理解度は大きく異なる
 NLP2012の市川先生による招待講演「対話言語」では言語を発話する際に生じる情報「プロソディ」を中心に、発話されたことばを理解するための負担に影響していることをいろんな事例で検証しているらしい。プロソディ自体は言語毎にどう発現するかは異なる(多分、同じ言語でも方言みたいなレベルでの差もあるんでしょう)ようだけど、例えばリズムや音程差として現れ、プロソディの有無と内容理解度について検証した一例では「標準音声で理解度80-90%と同じ文章を、プロソディ無しで音声合成した音声では理解度40-50%にまで落ちる」ということがあるらしい。つまり、対話言語には「テキスト」という側面だけでは把握できないコミュニケーションがあるわけだ。前述の「場の言語学」でいうところの「身体を通した人や環境との相互作用」や「対話の共同活動」という観点が不可欠、と。

[その他の分野] パターン・ランゲージという視点
 認知科学/認知言語学/認知神経学/対話言語学では、「普段何気なく行われているコミュニケーションって実はいろんな側面が絡んでて何をどうやって理解しているのか把握しきれていない」というような所に焦点を当てて分析しているというような印象が強い(個人的な主観です)のですが、これに対して「パターン・ランゲージ」では「創造・実践の経験則 を「パターン」という単位にまとめ、それを体系化」することに焦点を当てているようです。例えばプレゼンテーション・パターンでは一つのパターンを「状況、問題、フォース、解決、アクション、結果」という項目で記述しており、これにより例えば「同じことばで話してても話が食い違ってしまう。その違いはどこにあるのか」を区別しやすくするための言語として「パターン・ランゲージ」を提唱しているようです。講義資料もこことかいろいろ公開されていますので、興味がある人は覗いてみよう。
 経験則的な知識をパターン・ランゲージという形で整理するというのは、「再利用しやすい形に残す」ための方法論とも言えます。これを言い換えると、記録として残す事が困難な知識の多くは「徒弟制度/OJT」のような形で「体験することで多層・重層的に学習者が体系化していく」ことで受け継がれているかと思いますが、この多層・重層的に解釈していく部分を「言語化」することで見通し良く理解しやすくなるだろう。そのための方法論が「パターン・ランゲージ」だと解釈しています。普段の「対話」とは異なる状況ですが、相手に理解しやすくするための言語としてどう組み上げていくと紐解きやすくなるかという観点を、認知科学/認知言語学/認知神経学/対話言語学で分析する際の観点として役立てられないかなー。そういう観点がゼロだという意味ではなく、研究者間で観点の盛り込み方の差が大きい(ので全体像が見えにくい)という意味で。

という感じであれこれリンクさせながら長々と書き連ねましたが、レッツ・マッピングとか書いたので自分でもやってみている次第です。

日本認知言語学会 第13回全国大会 2日目 #JCLA

日曜日, 9月 9th, 2012

今朝は駅で知り合ったお嬢さんをエスコートしながら会場に向かいました。話聞いて見ると昨日も参加してたけど、大東文化大学の場所が分からないそうな。自分より方向音痴な人は初めて見た。道中あれこれ話してて驚いたのが、中国の広東(かな)あたりでは沖縄の「涙そうそう」がもの凄く有名で、日本語勉強してる人は大抵知ってるらしい。勿論日本語バージョンだと思うけどw その曲繋がりで、三線とかあれこれ比較的沖縄については興味持ってる人が多いとか。妙な所で接点が合ったものだ。

ということで日本認知言語学会 第13回全国大会の最終日が終わりました。今日は「一般セッション+ポスターセッション+シンポジウム」というプログラム。ポスターセッションは昼食と並行して行われることもあってパスしちゃいました。

認知言語処理学会の大会に参加するのは今回が初めてですが、論文の書き方にも特徴が合って面白い。例えば例文を

{お酒/涙}{をガマンスル/*にタエル}

のように書いて、{}中の「/」は選択、冒頭に「*」がある場合は選択できないことを示すらしい。冒頭に「?」がある場合は、選択可能だがやや意味に変化が加わるケースっぽい。{}が具体的な例文を示すのに対し、抽象化したスキーマは<>で書くらしい。

参考文献の参照(cite)は人によって差が大きい。少なくとも括弧書き補足として使ってる場合には括弧書き以外を使って欲しい気がする。また、連名に指導教員が併記されてない人が殆どっぽい。文系(?)だとこういうスタイルが多いのかしら。

座長さん次第なのか1件あたりの時間が長いからなのか分からないけど、発表者間の交代の時間が比較的長く、民族代移動も多々。

発表の仕方にも、プロジェクタ等使わずに論文をベースに読みながら解説を加えるというスタイルの人もいました。殆ど問題無いけど、図ぐらいは投影しながら指し示して説明して欲しいかな。


一般セッションの公共広告について調査分析してた話によると日本人は主観的事態把握をしてしまうらしい。つまり、自分自身の視点で物事を捉え自身の体験と結びつけて読み込み解釈をしがちで、モノローグ的な広告をすると「直接的には書かれていないこと」に対して反応してしまうことがあるとか。モノローグ的な広告か否かではなく、主観的事態把握をしてしまうか否かの方が有意ってことなのかは謎。

シンポジウムでは、認知科学/言語心理学/神経心理学の辻先生が司会役を担当し、認知・発達心理学の今井先生脳神経・神経内科学の大槻先生認知言語学の堀江先生らの発表を聞きながら、会場との質疑応答という内容。パネル討論チックなのを創造してたのでやや期待はずれでしたが、先生方の発表自体はとても面白かった!

今井先生曰く、

そもそも「ことば」で何かを表現するという行為は、「ことば」で世界をカテゴリーに分割・分節するということ。
連続的に推移する世界を離散的かつ多層的に捉える行為であり、概念の括り方は言語により異なる。

というのはその通りだよなぁ。このあたりが脳神経的にどう絡んでいるのかとか知らない事だらけなんだけど、今日のシンポジウムのお陰でいろんなリファレンスも頂けたので大満足です!


<目次>


「ガマンスルとタエルの類義語分析-力動性の観点から-」滝理江(名古屋大学[院])

(1) {痛み/寒さ}{をガマンスル/にタエル}
(2) {お酒/涙}{をガマンスル/*にタエル}
(1)のようにガマンスルとタエルは類義関係にあると考えられるが、
(2)のように置き換えられない場合の理由は明らかでない。
両語において心理動詞と考えられる別義について力動性のモデルを用いて表し、
意味の相違点を明らかにすることを目指す。


naltoma: 類例をスキーマ抽出&分類して傾向分析するのは分かるし、
 そこに力動性モデルから考察を加えている点も理解できるけど、
 その先に目指しているものは何だろう?
naltoma: KOTONOHAのようにコーパスとして例文はDB化されてるのがあるようだけど、
 そこからスキーマ抽出なりスキーマ検索するには人手でやらざるを得ない?
naltoma: 抽出したスキーマや力動性モデルが現象をうまく説明できたとしても、
 人間がそのように認知・理解しているとは限らないし、
 スキーマは静的なものではなく時代と共に動的に変動することも考えられるが、
 このギャップはどうしたら埋めることができるだろうか?


Q: 例文2で「他人の涙に耐える」なら置き換えられそうだが。
A: 例文2では「自分の涙」が対象なので置き換えられないという解釈。
Q: 類義語分析という点では「置き換えにくい」のような曖昧な表現ではなく、
 そこを分析して明確にしていくことが大切だと思う。
A: 置き換えにくい、許容度が下がるといった曖昧な表現になっているのは、
 個人差もあって明確な境界が引けないため。

Q: 格助詞のニ格とヲ格は関係していないのか?
A: 今回は意図的に揃えた例文を用意した。


「「おかしい」と「変」の類義語分析-「評価性」と「判断基準の活性化の度合い」に注目して」閔ソラ(名古屋大学[院])

「おかしい」と「変」の多義語分析から得られたそれぞれの別着を比較して
類義語分析を行い、両語の意味の相違点を明確にすることを目的とする。


naltoma: 一つ前の分析と一緒だが、実際にはどのぐらいの分量を分析したのだろう。
 全部でなくても良いけど、偏った例を持ってきてたりしてない?


Q: 「おかしい」と「変」はモデルが違う気もする。
 「おかしい」は何かやらなければならないケースでは。
A: 同じことを感じている。
Q: 別義4の「性的な面において社会的に健全」というのは決め打ち過ぎに思う。
 性的以外なものが殆どないのなら良いが。
A: 確認してみたいと思う。

Q: 例文10では「おかしな男」にすると通じる。
A: 同じ意見を聞いていて、分析中。

Q: 「おかしなX」は多くあるが、「おかしいX」という構文は統計的にどのぐらい多いのか。
A: 統計はまだ確認していない。体感上だが「おかしいX」よりは「〜おかしい」の方が多い。


「日本語話者が好む公共広告の表現-日英の観点から-」田中優美子(昭和女子大学[院])

JTの喫煙マナー啓発広告を中心に、日本語と英語が併記されている公共広告を取り上げ、
日本語話者に効果的に訴えると思われる表現の特徴を英語表現と対比、検討した。

事態把握:人が発話する際に、それに先立つ認知の営みを捉えるもの [池上2000,2003,2004,2006]

日本語話者:<主観的事態把握> 独和型:モノローグ的
英語話者:<客観的事態把握> 対話型:ダイアログ的


naltoma: 広告は作成者と依頼者の意図が絡み合って制作されると思うが、
 広告毎の意図の違いは問題にならないのか?
naltoma: 「モテ色」の例で、日本人は「自身との関わりを軸に感情をこめて捉える傾向、
 つまりこの色を塗った自分が持てると解釈する傾向が高い」、米国人は「その色自体が
 好まれていると解釈する傾向が高い」とあったが、これは言葉単体で本当にそう解釈する?
 広告、環境等その他の文脈でそう解釈させてない?
naltoma: 対話型で直接的な要求になると、自身のマナー改善に繋がらないと解釈したのは何故?
naltoma: 独白型だと自身の経験に照らし合わせて解釈することで共感を集めることが
 できるのは分かるが、それが効果的になると考えた理由は?


Q: 英語は客観的に第三者ということ? 三者というよりも聞き手の方だと思うがどうか。
 話者と聞き手とその他の第三者と分かれると思うが、英語は第三者を中心にするという理解?
A: 英語では自分自身も「他人を見ているかのように表現」している。
Q: イギリス英語やアイルランド英語は日本広告に近い雰囲気があるように思う。
A: 日本で作られたものしか取り上げていないが、今後は英語が母語になっている所の事例も
 調べてみたい。

Q: JTで使われてる英語表現はネイティブチェックを受けているとは思うが、個人的には
 完璧な純粋英語としては読みにくく感じる。かなり直訳に近く、日本人が理解しやすい
 英語になっている。必ずしも客観的把握をしているとは感じられない。
A: JTの例ではネイティブチェックはしているとのことだった。ただし、日本の人が作成した
 英文をチェックしてもらうという形なので、日本人が読みやすい英文になっていると思われる。
Q: アフォーダンス理論で魚の水の関係と紹介されたが、広告とどう繋がるのか。
A: 読み手は広告だと分かった瞬間、自分に対して影響を与えるものだと認識して好感を
 持って読み込む。と解釈している。
Q: 少し解離があるように感じた。
C: 若者の流行語表現を使うのも独和型だと感じた。


「距離から共同注意へ-「聞き手の注意」を用いた「中距離指示」のソ系の再分析-」平田未季(北海道大学[院])

言語を用いたコミュニケーションにおける共同注意の中でも、指示詞は密接に
関わる形式であり、一義的な機能は「対話相手の共同注意的な焦点を調節する」
伝達機能であると論じられている。
日本語指示詞の「中距離指示」のソ系も「中距離」という距離概念ではなく、
聞き手の注意という共同注意形成に関わる概念を用いて分析しうることを示す。

聞き手の注意:聞き手の視線、アクセス可能性、言語的要素に向けられる注意


naltoma: 「聞き手の注意」を調節するという観点で変化するという点は面白いが、
 目に見えないものについても同じように説明できるのだろうか?


Q: 聞き手の注意に関して、聞き手が対象に対してアクセスが可能であることと、
 注意が実際に向いていることの両方を「聞き手の注意」に含めているように感じた。
 「その机をごらん」の例は、見える範囲にあることで聞き手の注意が向いていると
 解釈しているが、実際にはまだ注意が向いていないものを指している。
 この違いを区別する必要は無いか。
A: 最初の例は先行研究を紹介したものなので本来の解釈がどうなのかは分からない。
 自分で出した例でのピンポイントで注意を向けさせる例。

Q: 距離感が重要で無くなるのか? 例えば「あの時計」が話してるうちに
 「これさ」のように変化してくる場合とか。
A: 距離は距離として残り続けるが、加えて注意が関与してくるという解釈。


「手触りの質を表すオノマトペの有効性-感性語との比較を通して」坂本真樹(電気通信大学)・渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所・東京工業大学大学院)

被験者による触感評価を行う際、感性語を評価尺度としたSD法や多次元尺度構成法を
用いてあらかじめ定量化された尺度で感性評価を求めるという手法がとられてきた。
このような方法では、素材の物理特性との対応を取れる一方、触対象を触った時に
生じる好き・嫌いや快・不快といった個人差がある感性的な側面は測定できなかった。
また、被験者の触覚認識がその尺度の種類と幅によって制約を受ける。
そこで本研究では「さらさら」といったオノマトペに着目する。


naltoma: オノマトペと感性語の事なり語平均個数ではオノマトペの方が多かったということで、
 多様に表現しやすいとのことだが、被験者個別に見ると逆の人もいたようだ。
 これは何を意味するのだろう? ただの例外にするには勿体無い気もするが。


Q: 快・不快といったことについて、脳的な根拠までいわないと分かりにくということは無いか。
A: 脳のことに興味を持ちながらやってはいるが、脳科学の人らはまさにその部分を計測
 しながらやっている。こちらではディスカッション・レベル。
Q: 感性語だと側頭ようまでいくが、オノマトペだとそこまでいかないのでは。この点が
A: オノマトペだと日本人しか分からないが、言語不変なより本能的な表現を用いた場合との
 脳の作用がどう関与しているのかについて調べて行くべきかなと感じている。
Q: 動作によって脳の中での活動の仕方が異なるはずなので、そこを考慮した考察はできないか。
A: 参考にさせて頂きます。

Q: 形容詞とオノマトペ全体の語彙数を調べて、全体の語彙数とは関係がないとの話だったが、
 語彙数全体を見るというのは大雑把に感じる。形容に関するオノマトペはどのぐらい
 あったのか。例えば痛みについては殆どオノマトペでしか表現できない。
 元々触覚ではオノマトペが多いとかそういうことはないのか。
A: まさにそこが気になっていて、まとめている最中。
 なぞるや押すに関するオノマトペは圧倒的に多い。
 その他の場合には感性語が多いように感じている。
 触覚にも使えるというマルチモーダルな分類。


シンポジウム:意味の獲得・変容・喪失:認知言語学と関連分野との対話


辻幸夫(慶應義塾大学):もう一つの意味論、意味を多角的に捉える

今回の主題:もう一つの意味論、意味を多角的に捉える。
意味の三角形:観念表象、記号、指示対象
 「箱」に「ネコ」と書いた絵を見せただけでも、
 そこから受け取るものは文化等の影響を受けて大きく異なる。

何か喋ろうと思うと自然と言葉が出てくる。
話を聞こうと思うと耳を通して聞こえてくる。
何か理解しながら喋ってるか、聞いてるか分からないけれども、
音や文字を通して、身振り手振りも交えて話をして認知しているらしい。

言葉で考え会話をしているが、何をどのように考えているのだろう?
認知言語学にとらわれず、音声、身体性、脳神経、心理学、様々な観点から
一般的な意味での「意味」について考えてみよう。


今井むつみ(慶應義塾大学):カテゴリーの発見、創造、修正:ことばの意味の習得過程

認知科学(認知・発達心理学、言語心理学、教育心理学)、言語認知発達、語彙・概念獲得、問題解決過程、第二言語習得

大人が外国語を学ぶ場合
 外国語のシンボルを母語のシンボルに置き換えるプロセス
子どもの母語の語彙習得は?
 シンボルを説明するシンボルを持たないところからはじめなければならない
 世界を記号に設置させる
  環境音と違うことに気づく
  聞こえてくる音列が単位(音列の塊)に分節されることに気づく
   *「意味」の存在を知らない状態で分節するようになる
  分節された音の塊が外界の何かに対応することに気づく
  世界の何かに対応するだけではなく、「意味」を持つことに気づく
 母語の記号体系を自分の中にとりこむ

(そもそも言葉で表現するということは)言葉は世界をカテゴリーに分割する
 世界はことばによって離散的に分節される
  連続的に推移する世界を離散的に捉える
  多層的に捉える
   概念の括り方は言語により異なる
 ことはば違う種類の概念に対応する
 違う種類のことばは世界を異なる基準で切り取る
  モノ(名詞)、動作(動詞)、関係(動詞)、モノの性質(形容詞)
 naltoma: ことばによって離散的に分節するとのことだが、「ことば」自身は離散的なラベル?量子的なラベル?

ことばの学習の問題(赤ちゃんの視点)
 ことばのカテゴリーを自分で発見しなければならない
 ことばを使うことができる→カテゴリーの境界がわかるということ
 事例からの一般化でカテゴリーの基準(内包)とそれによって決まる境界を決めなければならない
  たまたまうまく推測できたとしても、一般化の問題がある
 カテゴリーの内包はカテゴリーの成員の共通性を分析することによって理解できる
  *事例が集まるまで待てない
 カテゴリーの境界は概念領域を当該言語がどう決めるかによって決まるので、
 全体がどう分けられているか知らなければ個々の単語の意味が分からない
  *全体のシステムは当初から知りようがない
   本当は全体を知らないと分かりようが無いが、
   少数のピースから推測して解決して行く必要がある。

一般化の問題
 初語から数ヶ月:10〜14ヶ月
  「パパ」→写真。「アヒル」→風呂桶に落ちた時だけ。「ワンワン」→四足動物+毛布。
   何を基準にして一般化して良いか分からない。
   他の特徴は捨てなくてはいけない。
 語彙爆発以降
  「カテゴリー」のために何を基準にし、何を捨てれば良いかが分かる。
 naltoma: 1年程度同様のことを「身体性を有するロボット」にさせるためには何が必要?
  すでに名前を知っている動物についた新しい名前
   一般名詞/固有名詞の違いを理解(2歳程度)
 ただし、上位カテゴリーの学習は難しい(5歳でも困難)
 動詞の学習も難しい(3歳で半々)
  モノの名前ではないということは理解。
  変数を変数としておいといて動作だけに注目するということができない。

アクションイベントの動詞への対応漬け
 動詞が名詞と「ちがう」種類のことばであることへの気付き
  形態的な違いから? 中国語の問題
 モノと動作を切り離し、動作だけに注目して一般化することの難しさ
 動詞の多様性:様態、結果、様態+結果
  動作のどこに注目すれば良いのか
  一つの動詞の範囲が言語によって違う
 7歳児でも大人と比較して60%未満
  長い期間をかけて徐々に学んで行く

一般化によるカテゴリーの形成と類義語との差異化
 事例からのマッピング
 マッピングの規則を探す
  一般化を制約するバイアスの発見→語彙爆発
 アナロジーによる創造的一般化
  いちごのしょうゆ(コンデンスミルク)
  せなかでだっこ(おぶって)、葉でくちびるを踏む(噛む)
 新しい語を学習することで、既存の語の意味を修正、さらに類義語どうしの境界を修正
  学習しっぱなしではなく、語や境界も修正して体系化していく
   同じ概念領域の単語が語彙にある程度たまればシステムを構築
   新しい単語、既知の単語の新しい用法を学習する度にシステムの修正
   非常に早い時期からこのプロセスの繰り返し
   →レキシコンを創り上げていく


大槻美佳(北海道大学):脳損傷からみる言語のしくみ

医学(神経学・神経内科学、脳血管障害、高次機能障害、神経心理学)、神経科学一般、認知神経科学
高次機能障害:失語、失行、失認
記憶障害

神経生理学のひとつの方法:動物実験
 動物:能のある部位を破壊→どんな症状が出現するか
 ヒト:能のある部位が損傷→どんな症状が出現するか
  →神経心理学

臨床研究からみた口頭言語における要素的症状と病巣の関係
 「要素的機能と局在」とも言い換えることができる
 音韻の選択・配列、単語の意味処理、、、等を機能分担していることは分かっている
 脳の機能の原則:機能要素毎に分担されている≒言語も機能要素毎に障害される
  音韻、意味、把持、想起
  単語を理解:音韻+意味で重層的に理解
  文を理解:音韻+意味+把持で重層的に理解

脳機能の大枠
 脳の内側vs外側
 脳の前方vs後方
  言い誤り(錯誤):意味性錯誤(後方)、無関連錯誤(前方)
  仮説1:
   前方: 標的カテゴリーに至る前段階?カテゴリーを決める?→NG
   後方: 標的カテゴリーの中から、ターゲットの単語を選ぶ?
  仮説2:
   前方: ターゲットの語が引き出された後、発語実現までの調整?

言語:音+意味+経時的処理(ワーキングメモリ)
 ワーキングメモリ=作動記憶:視空間性スケッチパッド音韻性ループ
  中央遂行系
   文レベルの処理(どこまで喋ったか、どのように話すか、、etc.)

症状の詳細(壊れ方)から、見えること
意味に関与していると言われている部位:前頭葉、側頭葉
 意味野へのアクセス障害:単語理解障害/呼称障害(時々で言えたり言えなかったり)
 意味野の機能障害:あたかも「りんご」が存在しないかのような状態
  語彙における「意味」の喪失(語義失語)
   語彙そのものが喪失: in/out共に障害
  「語彙」と語彙に関係ない「音の操作」は保存
  非言語性の意味は保存
  単語さえ分かれば文理解の問題は無い

特定の感覚様式に選択的な意味記憶の障害
 単語がわからないだけ?
 対象物の視覚情報が障害?
 言語を介さない課題
 他のモダリティーと比較する:聴覚的認知、擬音からはOK。視覚からはNG。
  OK: 非視覚情報→呼称、単語→非視覚情報
  NG: 視覚情報→呼称、単語→視覚情報
   意味記憶の中でも「視覚情報」のみに障害

カテゴリー特異性のある障害
 生物VS人工物(個人差大きい)

様々な入力モダリティ(様態)を前提としたモダリティフリーな意味野を構築していると
考えられてきたが、共通の意味システムがあるという話では説明できない。
 複数の特化した意味野があると考えるしかない?
  「意味野」は単一ではない
  「意味野」は特定の感覚様式毎に解離する構造を持っている
  入力モダリティー毎に意味システムがあるのか?


堀江薫(名古屋大学):認知類型論の応用的展開:第二言語習得研究との関連を中心に

認知言語学、言語類型論、機能(主義的)言語学、対照言語学、応用認知言語学、認知類型論、日韓対照言語学、文法化、言語接触、第二言語習得

言語類型論とは?
 言語の全体像やその構成部分の分類を、それらが共有する形式的特徴に基づいて行う学問分野
 語順による言語類型
  SOV, SVO(主語先頭)
  VSO, VOS(動詞先頭)
  OSV, OVS(目的語先頭)
  OV言語 vs VO言語
 世界の言語の語順類型論:SOV, SVOが圧倒的多数、約80%。VSOが約10%。
  SがOに先行する強い選好的傾向
   S(主語)は既に前の文脈から分かっている情報(古い情報)を表す傾向が高く、
   O(目的語)は「新しい情報」を表す傾向が高い。
   情報の流れは「旧情報」→「新情報」

言語類型論と第二言語習得
 通言語的な関係節の作りやすさ
 習得順序が階層性を反映:主語>直接目的語>関節目的語>斜格目的語
  ただし、日本語に関しては必ずしも該当せず [大関2008]

認知類型論(Cognitive Typology)とは?
 類型論的に異なる文法的特徴を有する言語間の構造的相違点・類似点
 「する言語」vs.「なる言語」 [池上1981,2000]
 Person-focus vs. Situation-focus [Hinds 1986]
 Reader/Speaker-responsibility [Hinds 1987]

社会言語学的類型論(Sociolinguistic Typology) [Trudgill 2011]
 社会的要因が、当該言語において見られる言語特性の分布や言語構造(例:
 形態的カテゴリー)の複雑さの程度と相関しているという仮説
  社会要因→構造的複雑性

「枠付(framing)」による言語類型 [Talmy 2000]
 移動表現に合成されている二つのイベント
  動詞枠付 vs. 衛生枠付
 第3の枠付パターン: E-languages (例:中国語)
  経路も様態も動詞に
 枠付が異なる言語の学習は困難。中級〜上級にかけて大きな差が。

枠付による言語類型の3分類(衛生枠付、動詞枠付、equipollently-framed)を支持
 E-languiage≠衛生枠付言語
e-framed言語母語話者は動詞枠付言語母語話者よりも衛生枠付言語の習得が早い
移動様態動詞+前置詞が習得し難い
学習者は母語の経路動詞を「go+前置詞」に入れ替える傾向がある
 母語からの負の移転
英語教育への提案
 習得しやすくて化石化しやすい表現を避ける
  ラテン語起源の移動同士enterなど
 前置詞の「移動を表す」などの様々なはたらきに気づくように明示的に指導する必要
  形態動詞を加えるとどのような意味になるか

<質疑応答>
他者とのやり取りの間で何をどうしているのか。
認知的発達の中で相互作用しながら言語が発達していく。


naltoma: E-languagesである中国語を母語にする人は英語に対する学習が比較的良好
 とのことだが、逆にネックになってある一定以上向上しにくくなるという影響は無いのか?


Q: 動詞の習得が遅かったのは静止画だったからでは?
A: 今井:動画で行った。ただし音声は無し。

Q: ペンギンの時には固有名を選択したが、ボールには固有名を取らなかった。
 ぬいぐるみということが影響している?
A: 今井:有性無性ではなく日常的に培われた「何に名前を付けるか」が関わっているかと思う。

Q: 子どもは修正し続けるということだが、大人とで対応が異なる?
A: 今井:子どもは明示的に直さなくても徐々に直っていく。
 (外国語を学ぶ)大人の場合には明示的に直さないといけない。そもそも注意がされにくい。

Q: ある単語を聞いたとき、何をどのように想起していくのか。
 意味野がモダリティーフリーとあったが、一度視覚に入ったものは必ず意味野を通るのか。
A: 大槻:いろんな所から入力として入ってきた「パターン」を概念とかコアなものと
 呼んでいると思われる。意味野が入力システム毎に異なるという意味は、
 発火パターンが異なるという意味だと解釈している。

Q: おかしな言語習得をするという話があったが。
A: 大槻:脳障害の人で再構築する過程でどうなるかは分からない。
 上位概念的に共通事項を抽出する能力が落ちると、崩れていくということはあり得る。

Q: 失語症の症状は改善するか?
A: 大槻:改善はする。ただし、再獲得されやすいものとしにくいものがある。

Q: 類型論における主語の定義は?
A: 堀江:フィリピンのように主語を定義するのが難しい言語もあるが、
 認知言語学のプロトタイプ的な考え方を採用している。
 動詞との一致を引き起こすとか、語用論的な観点とかから選択的に決まる。

Q: 動詞枠付は程度の問題だと考えると、新たなタイプとしてE言語を考える必要はないのでは?
A: 堀江:チャレンジングな話。説明をするために便利だということで使っている側面もある。
 前置詞のようなはたらきをしている動詞は衛生に近いと考えると、
 E言語を解消するということも考えられるが、まだ決着はついていない。

Q: 語順とか特定のものについては類似論で説明がつくと思うが、
 文法とか全体としては何を提供できるのか?
A: 堀江:全体類型論についてはいろいろ批判があることは事実。
 パーツの類型論に走って、全体として特徴付ける類型論は避けられてきた。
 アドバンテージがあるとしたら、「する言語」ならこういう構文が好まれるとか、
 ある種の特徴付けを提示することはできるかもしれない。
 少なくとも教育的なアドバンテージはある。

日本認知言語学会 第13回全国大会 1日目 #JCLA

土曜日, 9月 8th, 2012

大会初日は残念ながら雨。とはいえ小雨程度なので持ち歩いてる折りたたみ傘で十分。なんだけど、道路上はところどころで「歩道幅全体が埋まる程度の水たまり」があって歩きにくい。しくしく。昼前には雨も上がって、帰る頃には快適快適。

ということで日本認知言語学会 第13回全国大会の1日目が終了しました。一昨日の日記でも書いたけど
 ・ワークショップ4並列
 ・昼食
 ・会長挨拶、開催港挨拶
 ・特別講演: Mysteries of meaning construction
 ・通常セッション5並列(1件あたり35分もあるのね)
 ・懇親会
という流れ。

昨日のプレ・イベント参加者が100人弱ぐらい? だったので今日もそのぐらいかと思ってたら本番は200名強集まってたっぽい。(多分)

ワークショップはどれも面白そうだったんですが、折角なので事前知識が少しでもある方をということで涙をのんでWS1「場の言語学とは何か」に参加してきました。複雑系では一般的な話ばかりだと残念だと思ってたんですが、
 ・自己組織化による環境(場や他人)との相互作用によりコミュニケーションが発達。
  (鶏が先か卵が先かという意味では、上記の相互作用が生じる「場」があった)
 ・身体と身体、身体と環境とが相互作用してコミュニケーションが産まれる。
 ・当初はミラーニューロンのような「他者の行為を見ただけで理解」したり、
  音声言語が発達。文字的な意味での言語は大分後になってから産まれた。
 ・身体は環境と相互作用するための媒体。
 ・「場所」の状態は「身体」を介して「場」の情報として個人に直接伝えられる。
 ・言語はコミュニケーション・ツールの一つ。その言語は身体を通して伝えられる。
 ・身体を通した場の役割を捉えることで、言語の役割に迫れるのではないか。
といった考え方を聞けて、そして関連文献をいろいろ教えてもらえてとても良かった!

午後は門外漢過ぎてサッパリでしたが、これは想定内。

一般セッション(と呼んで良いのか良く分からないけど一般の研究発表)は、一人35分という長丁場なことも影響してるのか、一人終わる度にガラッと結構な人数の聴講者が移動しまくり。「セッション名」が付いてないスタイルは初めて見たけど、一応近そうなものが同じ部屋になるように分類されてるのかな。(門外漢なので分からないけど、一応近そうには感じた)

以下、例によって當間個人で解釈した概略メモです。誤解/誤認等多々あるかと思いますのでご注意を。


<目次>


ワークショップ1: 場の言語学とは何か

ワークショップの目的
 「場の言語学」の原理を明らかにする
 ケーススタディを通して「場の言語学」の理解を深める

経緯
 アスペクト/存在論から捉える
 個よりも場所とか場面が優先される社会構造:場面論、主語不要論、etc.
 「場所」から日本語の文法に立ち向かう
 →【場所の哲学】
  ケーススタディ:XはY
  (参照言ということよりも場を制限することが重要?)

場における事物の相互作用のパラダイム:場の量子論
一般理論としての「場の理論」
言語学への適用としての「場の言語学」


WS1-1「場の言語学と認知言語学 -その統合と発展」岡 智之(東京学芸大学)


場の言語学と認知言語学の統合可能性
 認知科学の主要な発見:身体化された心、認知的無意識、概念メタファー [Lakoff & Johnson 1999]
  基本レベル概念、意味論的フレーム、、、:「場」に関連

認知言語学のパラダイムと場所論の親和性
 メタファー思考
  述語的同一性:女性は輝く+太陽は輝く→女性は太陽だ

認知言語学でとりあげる「場所」の限界性
 認知科学で理論化される場や視点はあくまで主体と外界、つまり<我とそれ>の関係
 に焦点が当てられた場である [メイナード]
 場から独立した視点(主客分離)と場に埋め込まれた視点(主客非分離)

言語習得と心の理論(共同性)の問題
 心の理論
 共同注意(joint attention)
 問題性
  ヒトの言語習得が、他者の意図を読むという「心の理論」を前提とするか?
  →類人猿やさるでも見られる特性

やまだ[2010]の言語習得論
 乳児においては「ここ」という心理的場所(トポス)だけがあり、
 そこでは、ヒトは個としてあるのではなく、場所の中に溶けこむ形で存在


naltoma: 「場」はどのようにして生まれるのだろう?


WS1-2「言語学における場の理論とは何か」大塚正之(早稲田大学)

言語の外から言語を見る立場で取り組んでいる
場の理論から言語を捉えることの意義
 (1)言語をコミュニケーション一般の枠組みの中で理解できる。
  場においては、身体の相互作用から無意識的な相互作用が存在する。
  言語はコミュニケーションにおける一要素。
 (2)場における相互同期現象を説明できる。
  談話における「あいづち」現象などの無意識に発言する相互同期現象。
 (3)言語を複雑系の枠組みにおいて理解できる。
  物事は秩序から非秩序に、崩れる方向に流れる
  逆方向、エントロピーが減る方向に流れるのは何故か?
  言語は、複雑系における自己組織化現象の一つ。
   自己組織化現象は「場における相互作用」として生じるが、
   どのような自己組織化が起こるのかは予測できない。
   カオスにならずに秩序が生み出される。
    人と環境とのインタラクションの中で自己組織化が生じ、言語が生まれた。
 (4)言語以外の学問分野と統一的理解が可能となる。
  生物は環境との相互作用の中で生物として自己組織化される。
   ES細胞は周囲の環境によって何になるかが決まる [福岡伸一:世界は分けても分からない]
   主体と客体の例
    人間の主体というのは最初から個として存在していたのではなく、
    主体と環境の中で相互作用することで個が自己組織化されることで環境と分離し、
    主体と客体が生まれてくる。
  意識を伴う精神場(CMF)の理論 [Libet1993]
   ニューロンの結合単体を見るのではなく場として考える
 (5)言語類型の存在を統一的に説明できる。
  言語を主体のみの能力ではなく、環境との間で自己組織化する存在として理解をすれば、
  様々な言語類型が生まれることを説明できる。
 (6)文法理論の普遍性と言語の相対性を統一的に理解できる。
  遺伝子的な基礎と場における相互作用が統語構造を形成する。
   遺伝子的基礎:ある程度の共通性
   場における相互作用:言語の双対性

場の理論による言語理解の基礎
 (1)主体が先か、場における相互作用が先か?
  認知言語学の捉え方
   言語を話す主体がまず存在。(まずそういう存在があるんだろうか?)
  場の言語学の捉え方
   身体と身体、身体と環境とが相互作用してコミュニケーションが産まれる。
   そこから次第に主体的な意識が形成され、言語が使用できるようになる。
    ミラーニューロン:他者の行為を見ただけで同じニューロンが発火=理解(認知)
     人と人は繋がっている。言語は身体的なコミュニケーションのずっと後に生まれた。
 (2)複雑系における自己組織化としての言語現象
  自己組織化によるコミュニケーションの一部として捉え、その拘束条件
  (言語によるコミュニケーションを可能にする条件)を明らかにする。

場の理論の理論的背景
場の理論の特徴
 1. 無意識的な身体的相互作用が先にあり、そこから、言語と共に主体としての自我が形成されてくる。
  場において、自我と同時に他者が形成される。他者に対して自我となる。
 2. 全体は、個々の要素の寄せ集めではない。
 3. 場における自己組織化から個物が生まれる。
 4. 場において個物は生成死滅する。固定的な実体は存在しない。
  全体の構造を場から見る必要がある。
 5. 同一性は、個物的同一性ではなく、場において形成される秩序構造の同一性である。


naltoma: 言語を形成する拘束条件がまだ分からないというのは、絞りきれていないという意味?
 まだそれらしいものも見つかっていないという意味?
naltoma: そもそもどういう「実験」をしたら証明or強い根拠になるのだろう?


WS1-3「場の理論からみた言語」井出祥子(日本女子大学)、櫻井千佳子(武蔵野大学)

何故「場の理論」か
 [井出 2006] わきまえの語用論
 多様な人称詞:東アジアの諸言語なぜ多様性があるのか
 多様なモダリティ表現
  他言語にもあるが、日本語では構造上義務的なモダリティ:命題とモダリティ
   モダリティ表現をどのように使っているのか?
    変異理論(バラエティ理論)では解けない
    例:敬語の使い方
     「敬語は削って、削るもの」NHKアナウンサー加賀
     →場を読む

場とは:意味的スペース
認知言語学の問題を場の理論で捉える
 客観的事態把握と主観的事態把握
 主観性と視点構成
 伊豆の踊子:「高等学校の学生さんよ」「He is a high school boy.」
  主観的事態把握にないもの:主語、動詞、冠詞
   どちらがベターとかいう話ではなく、違いがある。
  場の考えでは、自他分離(外的)視点。
   話し手・聞き手が場の中に埋もれた視座を持って発話。
   配慮をモダリティで示す。

清水博の「場の理論」
 1. 静的モデル:卵モデル
  自己の二重性: Dual-mode Thinking
   自己中心的自己(大脳で認識される意識)
   場所的自己(身体で知覚される無意識)
 2. 動的モデル:即興劇モデル
 3. 共存在の深化


naltoma: 場が意味的なスペースだということは、
 場にも様々なレベルがあるということだと思うが、「場」はどのようにして生まれるのか?
naltoma: 「場」は生得的に持てる?


WS1-4「場における身体性と言語」河野秀樹(目白大学)

言語は身体を通して行われるもの。
身体を通した場の役割を明確にすることで、言語の役割を明確にできるのでは。

身体性を通じた間文化的関係構築と共創 [Kono 2008]
 言語的な情報交換、働きだけではなく、一つの繋がりが存在。
 場の定義
  個人間の振る舞いの間に整合性を持たせながら集団全体の表現を
  自律的に生み出す関係性の枠組み。
 「場」理論における「身体」の位置付け
  場の情報伝達を取り持つ身体
  「場所」の状態は「身体」を介して「場」の情報として個人に直接伝えられる [清水2000]
  【「場所」と「場」は明確に区別】
  「場」は一つの働きであり、直接目には見えない。

場の情報の非記号的性格
 暗黙知としての記号化のできない情報。
 場の情報は「場所」の印象、雰囲気などとしてしばしば情意的意味付けを伴って自覚される。
 環境と自己との関係を快・不快感などの内的感覚として反映する。

「場」における「身体」の意味
 可視的な肉体のみでなく、場の情報を伝える身体の「はたらき」を含む概念。
 身体のはたらきには、直感・情動等場所の状態把握のための心的機能を含む [清水2000]

身体論からみた「場」における身体
 はたらきとしての身体
  環境と個人、個人と個人を結ぶ身体の自律的はたらき [河野2011]
   場所の状態の認識と身体の自律性。
   閉じた系として作用するものではない。
    気分によって世界の見え方が変わる。
   匿名的身体性による自他非分離な関係 [山口2002]
   同調行動の基盤としての主客未分化

「場」における身体的コミュニケーションの共創
 共創=文脈を共に創っていく
  身体性を介した二者間の動作の整合性の生成実験 [三輪2000]

場における音声言語・言霊の役割
言語による身体的認知の補完
言語化できないものをどう言語化していくか


naltoma: 場は意味的なスペースであり、働きであって直接目には見えないというが、
 身体を通して感じる・知覚するものということは、表現する手段として言語だけでは
 不足しているかもしれないが、表現手段は言語以外にもある。
naltoma: 「意味的なスペース」は人間固有の把握能力?
 「意味的なスペース」を把握or認知or理解or創造するためには何が必要?


WS1-全体討論


Q: 日本語は話し手が「場」に埋もれて、存在していてものを捉えるため、自分が持っている
 ものを指示することができない。英語ではitでもtheでも指示することができる。
 「場」の理論は日本語についてはうまく解釈できるように思うが、英語ではどうか?
A: 日本語と英語の違いという問題だと思うが、場としては音声が届く範囲を越えてはいない。
 音声言語が中核。そこから離れて行き、場を共にしていない所では、主語を入れるとか
 モダリティを加えるといったことをしていかないと情報が伝わりにくくなる。
 という理解をしている。
A: 場の理論で日本語を見直すと、英語から見ておかしいと言われる部分が真っ当に見える。
 そういう点でうまく使っていけば良いのでは。

Q: 言語は複雑系における自己組織化現象とのことだが、ここでいう「自己」とは何か?
 ヒト?言語?
A: 自己組織化という言葉自体は複雑系科学で生まれてきた。いろんなものが相互作用することで
 組織化される。生命、言語、ヒト、自我もその一つ。自己組織化の「自己」とは非常に
 広い意味。「私」とかの自己ではない。環境との作用の結果として生まれてくるもの。


特別講演: Mysteries of meaning construction

古くは「(「意味」のように)観測できないもの」を対象としたものは「非科学的」だった。

conceptual mappings in cognitive linguistics:
 conceptual metaphor theory
 cognitive grammar
 fictive motion
 mental spaces & conceptual blending

x is the y of z
 find domain, structure, mapping –> emergent meaning?
 at least, emergent them to get “something”

Mapping schemes
 Input space Blended space Input Space(base space)
 compose the mapping: “what the domain is?”

“They (mirror neurons) get more complex as they are studied more and more.” [Michael Corballis’ talk]

Blending and meaning retrieval
“Make this envelope disappear”
 analogy -> identity -> uniqueness
 emergent -> blended -> re-construction
 blending level
 partial information (meanings)
 guess/imagine parallel scenarios

Composition of casual chains
parallel scenarios
Setting up a hypothetical mental space


naltoma: ドメインを言語化・共有化できると初めて「新しい概念」を共有することができる?
naltoma: 一方で、共有化できた(認知できた)と思った時点で情報欠落が起き、
 自己組織化的に秩序化とカオスを繰り返し、体系化していく(ように感じている)?
naltoma: 言語毎に特有の部分と、共通の部分は何か必然があってそのように分かれているのか?偶然?


Q: 言語毎にマッピングの仕方やマップのブレンド方法は異なるのか?
A: 異なるだろう。文法上の違いに出てくることもあれば、マッピングの仕方の違いとして
 出てくることも、それ以外の部分で表出することもあるだろう。

Q: マップが階層的に構築されるのだとすると、一番ベーシックな、generic spaceのような
 共通基盤に相当するマップはあるだろうか?
A: あると思う。


第3室



1「英語副詞の通時的意味変化に見られる放射状パターンとその認知的制約」小笠原清香(立教大学[院])

「強意」と「迅速」の意味を持つ副詞の通時的意味変化に着目
 具象領域→抽象領域→具象領域を繰り返す変化パターン。
 変化と意味の相関性を図式化すると、放射状カテゴリーの一端を想起させるパターンを描く。
 意味拡張には認知的制約がかかり、通時的意味変化が共時的な多義性に繋がる。


naltoma: 「変化と意味の相関性を図式化すると、放射状カテゴリーの一端を想起させる
 パターンを描く」とは何を意味する?


Q: 面白い観点だったが、コーパスがあるのにそれを使用せずに数例を持ってきて傾向を見る
 というのはどうかなと感じた。
A:

Q: p.112の表としてまとめることで新しい傾向が観察できたということについて、
 その要因については何か考察しているか。例えば年代や地域の影響など。
A: 年代と背景というのは気になっているが、まだ研究に直接活かしてはいない。
 調べるのに時間がかかることもあり、まだ着手できていない。
Q: 6.1の用例でfastがどちらの意味にも解釈できるということだったが、
 このようなケースは比較的多く出てくるのか?
A: そういう例があることを示したくて持ってきた。

Q: 新しい変化パターンがでてきたことで、推測する際に過剰な予測になってしまうことは起きないか?
 例えば予測をとめるような事例であるとかは見つからなかったのか。
A: そちら側からの話は考えていなかったが、制約を課すことは大切だと感じた。


2「英語前置詞byの意味ネットワークにおける〈差分〉用法について」平沢慎也(東京大学[院])

差分の用法と他の用法の関係を探る
共時的な分析の可能性と限界についての考察
通時的な視点の必要性についての考察

メトミニー [atode]


Q: 差分クラスタと呼んでいるところにネットワークが出来ているのは良く分かったが、
 例文1〜7がまとまりを見ているということ、例文6〜8にはちょっと繋がりが良く分からない。
 これらを全てに共通するスキーマはあるのか?
A: そこは考えていない。

Q: 例文3,4とではaがつかずtheがつく例で、差分クラスタには含めたくない。
 その場合にはどうするのか?
A: 定冠詞が現れる場合は、by単体の意味を記述することにどれぐらいの意味があるのかに疑問がある。
 by単体の意味は無くて、
 byが出てくるコロケーションといったものについて意味が定義されるべきではないか。
 例文3,4は「by 単位」という例ではなく、「by the 単位」という例として考えている。

Q: byの意味ネットワークについての研究とのことだが、
 プロトタイプのようなイメージ・スキーマ的なものがあれば教えて欲しい。
 中心的なイメージ・スキーマがあるなら、差分クラスタとの繋がりが知りたい。
A: 意味の抽象的なスキーマが表出できるかどうかと、
 絵画的に表現できるかは別の問題だと理解している。
 スキーマを描くことで理解が深まったのは over での物理的空間的用法の例。
 byについては空間用法の「近い」については、コーパス上頻度が1%程度で低い。
 さらに、空間的な近さ以外も含まれるため描くことにはあまり意味がないと思う。

Q: 用例13,14のかけ算の場合はたまたま一緒だっただけで、そうじゃない場合には違うことがないか?
A: 日本語、中国語を出したのはヨーロッパ圏以外という程度の意味合い。
 決して少なくはない。
 面積と寸法、乗算は比較的結びつきやすいことが影響していることに妥当性があるということではないか。
 乗算に限っての話。


3「語彙の多義性を再考する: 前置詞の意味と機能の連続性を中心に」大谷直輝(埼玉大学)

意味論に留まっていた語義の多義性に関する研究を、
語用論、統語論、談話理論などと関係づけ、
多義性の研究が持つ可能性と広がりを検討する。

連続性問題
 従来は、意味と機能は離散的という暗黙の前提。
 これまでは中心的意味→拡張的意味への連続性を扱ってきた。
 拡張的意味→文法化(機能)への連続性は無いのか?


Q: 内容は意味と異なるものととして機能がある? 異なる必要があるのか?
 内容の詳細化によって話者の意味の特定に繋がるのではないか。
 内容語と機能語という区別は従来来からあるが、今回提案された3機能は機能なのか。
A:

Q: 前置詞というが副詞も含めたparticle?
A: その通り。
Q: 例文10のアスペクトは、文法アスペクトではなく語彙アスペクト?
A: 従来の文法アスペクト/語彙アスペクトとは違う分け方で、最も広い意味での文法。

Q: 機能と呼んでいるものは「一つの意味の連続体としてある」ように感じた。
 強意のoverはどこに含まれる?
A: 文法機能が近いように思われる。今回は定着度の低い例がメインだった。
 to不定詞やoverは比較的定着度が高いため、別の観点が必要があるのが自然かもしれない。

日本認知言語学会 第13回全国大会 0日目(プレ・イベント) #JCLA

金曜日, 9月 7th, 2012

日本認知言語学会 第13回全国大会のプレ・イベント、セミナー「認知言語学と日英語対象研究-ことばからこころと文化に迫る-」に参加してきました。初潜入なのでわくわくドキドキですよ。

参加してきたといっても沖縄からの移動なので、空路で羽田に向かってから陸路で電車乗り継ぎまくってようやく着いたのですが。Webで適当に見つけておいたお店ハーブ&おいしい野菜塾レストランは個人的にはアタリ。前菜+スープ+メイン選択+デザート+ドリンクのセットで1500円。メインは肉/魚/ピザ/包み焼きピザ/今月の一品みたいな感じで数種類あってどれも美味しそうだったし、土日も空いてるようなので時間取れそうなら行こう。

会場の大東文化大学はお店からも近く、徒歩数分で到着。駅からでも20分弱ぐらいでそんなに遠くは感じなかったのだけど、会場での話を耳にする限りでは遠いと感じてる人も少なくなかったっぽい。あと何か高校と連携してるのかたまたまイベントか何かあったのか分からないですが、JKの皆さんが一杯いたな。

肝心のセミナーの詳細は以下を眺めてもらうとして、個人的には現象ベースの話で、
 ・スキーマ抽出能力:特定の状況化で共通するスキーマを把握する力。
 ・プロトタイプ:特定状況を想定していない状態、デフォルトでの意識レベル。
 ・フレーム:ある概念を理解するための前提となる背景的知識(の総体)。
 ・ブロッキング:特殊な表現の方が複合的表現より優先される言語体系に根ざした制約。
といった話を聞けたのが良かったかな。

一仮説ぐらいの位置付けでもちょっとすっきりした感。とはいえ、こういう能力なりをどうやったら生得的/経験的に得られるのかは別問題だけど。リファレンスたっぷりの資料貰えたのと、何かあったら改めて質問できるなということでやっぱり参加して良かったかな。

ちなみにホテルについてから気づいたんだけど、明日は浅草流鏑馬なんてイベントがあるらしい。がっつり学会日程と被ってるので見れないけど。しくしく。

以下、當間個人で解釈した概略メモです。誤解/誤認等多々あるかと思いますのでご注意を。


<目次>


第1講義: 語の意味の対照研究

現象は誰にでも開かれているので、現象から考える
対照言語学
 個別の異なる側面が強調されがち
言語相対主義
 言語は話し手の思考や経験のありようにも影響を与える
  (この点をさらに押し進めた理論→言語決定論)
認知主義
 概念化の問題
 相対主義を無視することはできないが制限ない相対主義は
 「人間言語に共通の認知的仕組みが働いている」点を見落としてしまう危険性がある

「水」とwaterをめぐる相対論
 英語には「湯」に当ることばがない。
 明確に区別する必要がある場合にはhot waterと言うことも出来るが、
 waterは、温度に関しては元来中立的な性質を持っている。
 →一つの言語の中で終始生活していれば「ものとことばの関係」は懐疑の対象にはなりにくい。
  他言語と比較することで「特定言語に依存している恣意的な区別にすぎない」ということ
  が初めて理解できる。
  →【共通の認知基盤は無い?】

「水」と「湯」の対立と中和@液体当てクイズ
 ガソリン/アルコール/湯/etc.,,,といった様々な液体が用意された状態で、
 「液体の正体をあててください」という状況下では「湯」であっても「水」と答えるのが
 自然ではないか。
 →日本語でも湯と水を区別しないことがあり得る。
  「一定の用途」という文脈を離れると、「中和」という現象が見られる。
  「水」と「湯」の対立だけに見られる現象ではない。
  →共通スキーマの抽出/スキーマの把握/カテゴリー化能力

中和の類例
 「米」とrice:もみ/稲/米/ごはん
レトリック論
 意味の伸び縮み:シネクドキ(提念)
  *一種のスキーマ化能力?

waterのプロトタイプ
 waterも元来温度に対して中立という訳ではない。
 言語論から離れて一般的なカテゴリー論でいう「プロトタイプ」が無標の概念に相当。
 プロトタイプに基づいた一般化。
 とはいえネイティブに尋ねても様々な要因が絡んで必ずしも適当な答えが出るとは限らない。
 →類例に頼る
  naltoma: 判例が出てきた場合には例外として扱う?理論を見直す?
   時代/環境などの様々な要因が絡む部分もありそうだが。

プロトタイプから特殊化/特定化されるのは文脈に依存する
 山田は走れない
  (1)山田はリハビリで歩けるようにはなったが、まだ走れない。
  (歩く/走るレベルでの走る)
  (2)山田は先頭打者には向いていない。走れないから。
  (走るの中でも「速く走る」というレベルでの走る)
   *「速く走れないから」と【言い換え】ることも可能だが、省略しても通じる。

naltoma: プロトタイプと特殊化という考え方をするということは、
  ひょっとして認知言語屋さんにとっては「言語」は表層的なものだけではなくもっと
  厳格なものとして認知し合っていると考えてたりする?

「熱い水」とブロッキングの法則
 複合的な表現とすでに存在する特殊な表現が同じ意味を表す場合、特殊な表現の方が
 複合的表現より優先される。
  話す→話せる
  スポーツをする→スポーツが{*すれる/できる}
 殺す=死なせる:死なせる⊃殺す
  「殺した」ら「死なせた」のと一緒だが、「死なせた」からといって「殺した」とは限らない。
  *分業が生じる。「死なせる」は「殺す」より長い語として作られたので、より広い意味を持つ。
 ブロッキングは様々な要因が影響
  例えば「頻度」。あまり普段使われない用途だと複数共存する。
  schema/schemata/schemas
  例えば「フォーマリティ」。昨日/本日/明日。きのう/きょう/あす。
   意味にも様々な段階がある。

水とwaterに関する概念化の背後には、
言語的違いスキーマとプロトタイプによるカテゴリー化の仕組みが同じように働いている。
→強い相対主義のいう「外的世界に対する認識のありようの恣意性」を指示するものではない

常識
概念理解とフレーム:ある概念を理解するための前提となる背景的知識(の総体)
 言語だけでは違いが強調されすぎる
  飴を口に入れる/煙草を口にくわえる:put in one’s mouse
  常識的知識があるからどちらも put in one’s mouse と言える。


naltoma: 常識とかフレームと呼んでいるものは、工学的に実現できないのか?
naltoma: 人間同士の対話では即興的に文脈を擦り合わせていくことでカテゴリー化や
 特殊化をしていると思われるが、即興的に気づいた文脈であっても何度も繰り返し
 起こることで普遍性の高い文脈を獲得する、つまりスキーマを抽出した際の文脈を
 築き上げて行くと思われる。この文脈獲得とスキーマ抽出は「鳥と卵」にも見えるが、
 人間は生得的にどちらの機能も有しているのだろうか?
 文脈獲得とスキーマ抽出が必要な環境で育てられるから教育効果として獲得しているのか?
naltoma: 文脈獲得とスキーマ抽出があれば一般的な意味での「言語」を獲得できる?
naltoma: 学生が新しい事物について学んでいるとき、文脈獲得やスキーマ抽出が
 できていないと応用が利かない?


第2講義: 言語における主体性の対照研究

(第1講義の補遺)
概念理解とフレーム
 状況を見る時に「一定の背景知識」を持って見る。
 e.g., 日常的フレーム/科学的フレーム
  普遍的に使われるようになると辞書にも登録されるが、それまではフレームでしかない。

リフレーミング:対象の捉え方を変える
 fat -> horizontally challenged
 short -> vertically challenged
 個人のレベルでの「心の持ち方」
 →言語レベルではより普遍的な(特殊化された)文化や文脈にも繋がる。
  見方を変える、心の持ち方を変えるためには「言葉」が必要。
  *様々な状況把握を実現する語彙力が重要

naltoma: パターン・ランゲージ?

(第2講義ここから)
言語学で言う「主体性」:ことばで自己を表現すること
 日本語から見た日本人は、個としての自己意識が強く、だからこそ逆に、
 対人関係には敏感となる。日本人にとって対人関係は建前として重視しなければならないが、
 その影には本音としての強い自己意識がある。

日本人は「集団主義的」である?<- [高野2008]で批判(肯定する人もいる)
言語行動の集団モデル
 日本人の言語行動は「ウチ・ソト」の対立等に見られる集団性の論理によって支配され、
 個の主体性は集団に同化・埋没する。
 →西洋語以上に強い個の意識に根ざした言語体系が存在することを言語的証拠で示したい

一人称代名詞
親族指示語の使い分け
授与動詞(くれる/やる/あげる)の使い分け:ウチ・ソトに基づく自己意識の流動性
尊敬語・謙譲語の使い分け

ウチに同化しない絶対的な自己
 心理述語の文法:自他の厳密な区別に基づく
  e.g., わたしはうれしい母は{うれしがっている/うれしそうだ}
 「話し手は自己以外の他者の心理を直接知ることができないという一般的認知制約」
  I am happy You are happy
   言語上は違いが出て来ないが「うれしい/うれしそうだ」という認知になっているはず。
   *常識が言語体系に現れて来ない例

日本語における絶対的自己の優位性
 絶対的自己の意識は言語修得の早期に現れ(自然獲得され)るが、
 相対的自己の概念獲得はかなり後(教育によって教え込まれる)。
  書店に相対敬語の本が並ぶ様はある意味で奇異。

naltoma: 言語が思考や経験のありように影響を与えるのであれば、
 「社員教育としての相対敬語」をなくすとどのような影響を及ぼすと考えられるか?

普遍的概念としての自己とその二面性
 絶対的自己:言語主体としての自己(普遍的概念)。
 思考表現の手段? コミュニケーションの手段?
 公的自己:(意識のレベルで良い)聞き手と対峙する伝達の主体としての側面。
 私的自己:聞き手を想定しない思考・意識の主体としての側面。
  日本語は「公的表現」「私的表現」が発達している言語

naltoma: Twitter TimeLineでのメンションを使わない「談話」は
  公的自己と私的自己が渾然一体となっている状態?

声色が果たす役割

「裸」の自己とその衣服
 「ぼく/わたし/お父さん/先生」などの表現は、その私的自己に場面に応じて着せ分ける衣服。
 衣服を脱げば、個としての意識の主体である「自分」がそこにある。

naltoma: 言いたいことは分かるけど、礼儀/忠誠心と関係させて「衣服」という
  例えは無理矢理すぎるような。。

日本語に反映される日本人の自己概念
言語というのは思考表現する機能と、コミュニケーションする機能の2面性がある。
概念的なレベルでの共通化するのを「外から内」に向けて共通化するか、
「内から外」に向けて共通化するかの違いがある。

naltoma: 内とか外と表現しているもの自体が概念的であり、
 どちらがデフォルト(プロトタイプ)なのかを解釈する人が
 どういう文脈で解釈するかだけの話では?


質疑応答


Q: 関西における2人称の「自分」が何故残っているのか。
A: 独自に進化したものが普遍化している例。他者のままだと対立構図の側面が強くなるが、
 他者を通して自己として表現することで厳しいことを親身さを持って伝えることができる。
 「自分」は近親憎悪まではいってない良好な状態。

Q: 水と湯の例で、液体のように上位に考えがいかないのは何故か。
A: basic levelと呼ばれている。上位概念には液体のように
 subordinet/superordinetを考えていくのもあるが、
 その中核にはbasic levelがあり、普段の生活には無いレベルは生じにくいという考え方。
 [Mori, Yuichi 2006]
Q: 特殊化について、水1が文脈に応じて湯に特殊化されたという話があったが、
 水2が拡張して湯に特殊化されたという解釈はできないか?
A: 水1,水2のようにインデックスを振ってはいるが、こういう解釈自体がおかしい可能性もある。
 数字を付けてしまった時点で一人歩きしてしまう側面もある。
 水と湯では水の方がより日常的だと思うので、上の方に来るのが自然ではないか。

Q: ある言語で区別されてるからその区別が意識に上りやすくなるという話があったが、
 逆方向は無いのか。例えば英語圏よりも湯が日本では身近な存在なので区別されたのではないか。
A: それ自身がどういう段階にあって、段階に応じて取るべき対応を取る必要がある。
 そこを区別するために異なる特別な名前を付けることで意識しやすくなるのが最も単純なアプローチ。
 重要なものには名前を付けることで、それを重んずる文化が深まる。
Q: 言語的な区別が出発点なのか、認識に上りやすいのが出発点なのかどちらが先かというよりは両方?
A: 言語を通じて教えるというのがあると思う。自分より年上か年下かとか。
 言語として文化的側面も刷り込まれる。
 縦社会年功序列という側面と、成果主義という側面とが出てきたことで、
 旧来の価値が言語的に残りながら新しい社会的価値が対立している状態。

予定通りに忙しかったFANシンポジウム最終日

金曜日, 8月 31st, 2012

会期は二日間なので今日が最終日ということで、日程上はFANシンポジウムが終了しました。午前は表彰関連での体裁準備しつつ、評価集計を担当している赤嶺先生をヘルプ。終わった残りの時間で座長担当するセッションの論文を読んでました。

座長担当したセッションは「マルチエージェントシミュレーションと強化学習」で、そのまんまタイトルに則した内容が多かったです。強化学習は大雑把に言えば静的な環境(逆に動的環境の例として出てきたのはサッカーのように逐次環境が変化する問題)であれば時間をかければ最適な学習結果を得られるというもの。だけど動的な問題では学習コストが爆発してしまうので、状態空間数をどうやって抑えるか、状態空間自体を自動構築できないか、状態空間数を環境に応じて増減調整できないか、といった側面に対してアイデアを提案し、いくつかの事例で検証してみたという発表が多かったです。

最終セッションが終了したら各セッションの評価を集計して表彰者の決定、表彰状印刷しながらできた分から表彰式で表彰するという強行スケジュール。それでも最終的にはだいたい予定通りで終われたんじゃないかと。

昨日の日記に書いた領収書問題は、気づかなかったか昨日の午前で帰られたかで正式バージョンに差し替えていない参加者がまだ残っているので、これは後で郵送対応。表彰式に参加できてなかった表彰者にも郵送対応。シンポジウム自体に欠席した人にも郵送対応。その他収支確認や何やらいろいろ残作業リストを整理だけしておいて、今日の仕事は終わりです。後は週明けにやりましょう〜。

帰りは最近沖縄そば野が発火中なので久しぶりに、生麺の沖縄そばが食べられる与那原家IIに行ってきました。冷やし月見トロロそば美味しかったです!

P.S.
研究室MLにも書きましたが、
発表の無かった学生も多くの発表を聞けて刺激になったかと思います。
進学しない人は卒論発表のレベル目標に、
進学する人はそれ以上を目指すという意味での目標にして頑張ってください。

発表した皆さんは、
頂いた質問コメントやそれに対してどう答えたか、
また改めて考え直すとどう答えるべきだったか、
今後の研究に活かすためにはどうしたら良いか、
を考えていきましょう。

バイトも含めて、まずはお疲れさまでした!

おおぽかをやらかしたFANシンポジウム初日

木曜日, 8月 30th, 2012

予定では忙しいのは午前だけで後はどうにかなるだろう、その時に明日座長を担当するセッションの論文に目を通しておこうというつもりだったんですが、私の致命的なミスでそんなことしてる状況じゃなく。正確にはミスしたのは昔の私ですが(そこはどうでもいい)、領収書作成のための集計作業した際にミスがあり恐らく過半数近い人の金額に誤りが出ました。ランダムサンプリングでチェックしたのがたまたた当ってたのは、確かに今回のケースだと「ズレてても当ってることがある」のでテストに不備があったという話でもある。

結果としては、決済処理をお願いしていた日本旅行さんに原本取り寄せてもらい、改めて作業。領収書取り替えやそのための告知やらといった予定に無かったタスクが発生しました。日本旅行さんをはじめ、関係者各位に多大な迷惑をかけてしまった次第。本当に申し訳ない。取りあえず一段落したら日本旅行さんに出向かわなくては。学生には何度か奢ってるから良いよね(そういう問題ではないが)。

そんなこんなで午後イチのイベント特別講演も殆ど聴講できず、午後のセッション開始になってようやく手が空き始めたのですが新タスクのためセッション張り付かざるを得なかったので写真ツイートとかでのイベント中継やる暇もありませんでした。残念。

懇親会では流石に時間があったのでコンベンションビューローから支援頂いた余興の様子とかツイートしてました。こちらはカラビサというユニットで、こんな感じ(BEGINの涙そうそうとか有名どころも交えつつ)で盛り上げてくれました。こういう懇親会にしては珍しく学生が半数を占めるという状況だったことも影響してたのか、比較的歓談/討論交流があり、余興含めて楽しんで頂けたようで何よりです。

懇親会会場は比較的分かりにくい場所にあったんだけど、ちゃんと曲がるタイミングで掲示が出ててとても分かりやすい。こういう点も今回のシンポジウムではこちらの不手際だらけだったなぁ。本当やそのぐらいやるつもりだったんだけど、セッション開始30分前ぐらいにしか中に入れず(なんだけど、これでも予定よりは早く入れてもらえて助かった)準備時間が決定的に不足していたのが悪かったのではあるけど、参加者からするとそんなの言い訳に過ぎないし。

SICEからの支援物資は今日の午後に届いていたらしい。ということで見えにくいレーザーポインタは指し棒に変更しよう。

発表済んだ学生は、忘れる前に頂いた質問・コメントを消化(昇華)できるようにちゃんと記録として残し、次に繋げよう。私も今回の集計ミスに繋がってあろうExcelのオートフィルタ(を使ったまま集計すること)は信用しないようにします。

ということで領収書取り替えの件含めて、明日も宜しくお願いします。

テストで測れる達成目標は良くも悪くも一側面

金曜日, 8月 10th, 2012

予定してたタスクを消化せずにほぼずっとUstream観戦な一日になってしまった。まぁ、今日でやる必要がある訳じゃなかったから問題は無いんですが、文具店チェックの方は週末にはやっとこう。

まだ関連データ整理等で動いてる人もいるようですが、プロジェクトデザイン最終発表会関係者各位、お疲れさまでした。最終仕上げのために今週はかなり時間をかけたかと思いますので、まずはゆっくり休んでください。休んだ後で構わないので、できれば記憶が新しいうちに今回のプロジェクトを通して体験したこと、感じたこと、気づいたことを目に見える形で残そう。文章でも良いし、列挙して見るも良し、何らかの形で目に見える形で残すことで参照しやすくなり、次に繋げやすくなります。私がイベントレポート書いてるのもその一環です。

何を書いたら分からないという人もいるかもしれない。そういう人は、シラバスを参考にどのぐらい自分が達成できたかを自己判断してみるのも良いでしょう。例えばプロジェクト・デザイン1では、次のような記述があります。

(授業内容と方法より抜粋)
2)地域の産業と文化への理解と調査,3)地域活性化策の検討・立案・報告を行わせる.具体的なテーマの設定や方法論,まとめ方についてはプロジェクト班ごとにデザインさせる.

(達成目標より抜粋)
大まかに設定された環境のもとで自ら積極的に考え行動し([A-1]積極性[C-3]チームワーク力),文章作成と成果を発表する力([C-2]コミュニケーション能力)を身につけさせるとともに,柔軟な発想力とデザイン能力を養成し([E-2]柔軟性),取り巻く社会の状況を理解させるとともに学習成果を社会に還元する力をつけさせる([B-2]社会性)

いろんな項目が列挙されていますが、項目毎に自分がどう行動できたかを思いつくだけ列挙してみて、自己採点した上でその理由を考えてみよう。主観的でも良いと思いますが、客観的に見たいというなら同じグループのメンバ同士で互いにやってみるのも一つの手段かと思います。

上記とは別に、つまり学科で掲げている学習教育目標とは無関係に、独立して自分が目指している目標があるなら、それを基準にして検討してみても良いでしょう。どんな方法でも良いのでまずは評価してみること。そしてその次に、どうしたら改善できるかを考えよう。それを繰り返すこと、積み重ねることが一つの成長に繋がります。

この積み重ねるということはこの記事でも書いてますが、これを繰り返しやすくすることで一歩ずつ進んでいる度合いを測りやすくなるし、参照しやすくなる分再利用もしやすくなります。再利用しやすくなるということは、第三者が継続してくれる(前進させてくれる)可能性が高くなるということです。例えば先の達成目標では「学習成果を社会に還元する力をつけさせる([B-2]社会性)」という記述がありますが、どうやれば「学習成果を社会に還元する」ことに繋がるのだろう? その一つの方法は、自分たちのテーマについて調べたことを整理し、参考文献を明示することです。明示されてると、例えば同じテーマについて取り組もうとする人が現れた時に、参考文献を探すというコストを大幅に削減することができます。

特に類似事例の調査の分量が多かったであろうと思われる1年次のテーマ「沖縄の振興」について、Web上に掲載された情報を参照する限りでは参考文献を明示しているグループが少ないのですが、次回からはできるだけ参照した文献は示そう。それが信頼度の向上にもつながるし、新規性を突き詰めることにも繋がります。

これはあくまでも一つの例です。他にもいろんな考え方や観点があるでしょう。そういうことを自分なりに一歩ずつ考えながら進んでみよう。それが自分らしさを創り上げていくことに繋がります。